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お茶会の終わりにオリビアとアイリスは、二人の伯爵夫人に改めて場を設けたいと願った。
そこで、リマ伯爵夫人のお母上が、リーシャのファンだったと教えてくれた。
「オリビア様、本当はあの場でお会いしたことを光栄に思って、言葉を用意していたのですが、なにぶん言い出せずじまいで。遅くなりましたが、この度のご婚約、心よりおめでとうございます」
「おめでとうございます」
夫人たちはにこやかに祝の言葉を述べてくれて、オリビアの心はその日初めて穏やかに凪いだ。
「ありがとうございます。お二人に招待状を送らせてもらいますので、是非リーテンベルクにいらしてくださいね」
次のお茶会の約束を取り付け、二人を見送ると、オリビアとアイリスはセスカ公爵家の応接室へと急いだ。
案内された応接室にいたのはディビットと二人の令嬢、そしてセスカ公爵令嬢ミルチェルだった。公爵夫人はその場には呼ばれていなかった。
夫婦のことは夫婦で解決しようと言うことかもしれない。
オリビアとアイリスが部屋に入ると、どうしてあんな悪態をついたのか、二人の令嬢は言い訳を始めた。
「フィリア様は、ずっと王家に嫁ぐと仰っていました」
「私達はそれを信じていましたので正そうとしただけです」
伯爵令嬢のエリンがそう訴えると、マリアもミルチェルも頷いた。どうやら四人の関係性は、ミルチェルとフィリアのそれぞれの取り巻き?らしい。
エリンとマリアはどちらも婚約者は居らず、家も嫡男が継ぐために、卒業後は就職するつもりだった。
だが、王宮の試験に落ちてしまい、二人には後がなく、ミルチェルとフィリアの侍女になりたくて侍っていたという。
オリビアがディビットを見る。彼は空を見つめて首を振った。
ディビットは、リーシャよりも五つほど年下だった。彼も父親の急逝で若くして公爵家を継いだ。家は変わらず王族派である為、彼なりにそのレールの上を順調に歩いていた。導くのは陛下であるからなんの躊躇いもなかった。
ただ、忙しすぎて家をあまり省みることがなかった。嫡男の教育にはかなり携わったが、娘は只管甘やかした。妻は結婚したときから甘やかしている。
難しいことは自分が引き受け、公爵夫人としての教育をする母親の意見を退け、領地で静養するように告げた。それも妻の「お義母様がとても怖いの」という言葉を信じたからだった。
今は思う、母が正しかったと。
時すでに遅し。
オリビアは今更彼女達に派閥の何たるかなど教える気もないし、教えたところで恋愛脳にはきっと響かない。
とりあえずは、本命だった若き二人の伯爵夫人は、鉾を収めてくれた。
だからオリビアから彼女達に話す言葉はない。
あとは、セスカ公爵の差配だ。
ここにオリビアとアイリスが呼ばれたのは、彼女たちからの謝罪を受ける為だった。
だが、未だに彼女たちの誰からも謝罪はない。
公爵からはすでにこの応接室に来る前に謝罪は受けていたので、二人は受け取っている。
いつまで待てばいいのかとチラリとアイリスを盗み見る。
彼女の顔は無表情だった。
「どうして、アレクサンドル様の婚約者がオリビア様なのですか?」
謝罪待ちをしていたらミルチェルが、爆弾投下をした。
それにいち早く反応したのはディビットだった。
─バチン─ドサッ─
大きな破裂音は、ミルチェルの頬を打つものだった。
少しの加減もしなかったことがわかる。
そしてそのまま彼女はソファから転げ落ちた。
隣に座っていた二人の令嬢が顔面蒼白になって震えている。
「親子喧嘩は、お身内だけでなさってください」
アイリスが立ち上がり、呆然とするオリビアに「帰りましょう」と促した。
そこで、リマ伯爵夫人のお母上が、リーシャのファンだったと教えてくれた。
「オリビア様、本当はあの場でお会いしたことを光栄に思って、言葉を用意していたのですが、なにぶん言い出せずじまいで。遅くなりましたが、この度のご婚約、心よりおめでとうございます」
「おめでとうございます」
夫人たちはにこやかに祝の言葉を述べてくれて、オリビアの心はその日初めて穏やかに凪いだ。
「ありがとうございます。お二人に招待状を送らせてもらいますので、是非リーテンベルクにいらしてくださいね」
次のお茶会の約束を取り付け、二人を見送ると、オリビアとアイリスはセスカ公爵家の応接室へと急いだ。
案内された応接室にいたのはディビットと二人の令嬢、そしてセスカ公爵令嬢ミルチェルだった。公爵夫人はその場には呼ばれていなかった。
夫婦のことは夫婦で解決しようと言うことかもしれない。
オリビアとアイリスが部屋に入ると、どうしてあんな悪態をついたのか、二人の令嬢は言い訳を始めた。
「フィリア様は、ずっと王家に嫁ぐと仰っていました」
「私達はそれを信じていましたので正そうとしただけです」
伯爵令嬢のエリンがそう訴えると、マリアもミルチェルも頷いた。どうやら四人の関係性は、ミルチェルとフィリアのそれぞれの取り巻き?らしい。
エリンとマリアはどちらも婚約者は居らず、家も嫡男が継ぐために、卒業後は就職するつもりだった。
だが、王宮の試験に落ちてしまい、二人には後がなく、ミルチェルとフィリアの侍女になりたくて侍っていたという。
オリビアがディビットを見る。彼は空を見つめて首を振った。
ディビットは、リーシャよりも五つほど年下だった。彼も父親の急逝で若くして公爵家を継いだ。家は変わらず王族派である為、彼なりにそのレールの上を順調に歩いていた。導くのは陛下であるからなんの躊躇いもなかった。
ただ、忙しすぎて家をあまり省みることがなかった。嫡男の教育にはかなり携わったが、娘は只管甘やかした。妻は結婚したときから甘やかしている。
難しいことは自分が引き受け、公爵夫人としての教育をする母親の意見を退け、領地で静養するように告げた。それも妻の「お義母様がとても怖いの」という言葉を信じたからだった。
今は思う、母が正しかったと。
時すでに遅し。
オリビアは今更彼女達に派閥の何たるかなど教える気もないし、教えたところで恋愛脳にはきっと響かない。
とりあえずは、本命だった若き二人の伯爵夫人は、鉾を収めてくれた。
だからオリビアから彼女達に話す言葉はない。
あとは、セスカ公爵の差配だ。
ここにオリビアとアイリスが呼ばれたのは、彼女たちからの謝罪を受ける為だった。
だが、未だに彼女たちの誰からも謝罪はない。
公爵からはすでにこの応接室に来る前に謝罪は受けていたので、二人は受け取っている。
いつまで待てばいいのかとチラリとアイリスを盗み見る。
彼女の顔は無表情だった。
「どうして、アレクサンドル様の婚約者がオリビア様なのですか?」
謝罪待ちをしていたらミルチェルが、爆弾投下をした。
それにいち早く反応したのはディビットだった。
─バチン─ドサッ─
大きな破裂音は、ミルチェルの頬を打つものだった。
少しの加減もしなかったことがわかる。
そしてそのまま彼女はソファから転げ落ちた。
隣に座っていた二人の令嬢が顔面蒼白になって震えている。
「親子喧嘩は、お身内だけでなさってください」
アイリスが立ち上がり、呆然とするオリビアに「帰りましょう」と促した。
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