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第一章 公爵夫人になりました
周りを固めて行きましょう
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テモシーの話は長くなりそうなので彼に座るように促したのだけど遠慮されてしまいました。
それから暫く思案して、口を開く。
さて、何を聞かされるのかしら?
「奥様、スノーの態度が大変ご不快だったようですので前公爵様には、私の方からご報告致します。
侍女の選定をしなければなりませんので失礼してもよろしいでしょうか?」
拍子抜けしてしまった。
テモシーは私に話すのも躊躇ったみたい。
私に話してもいいかの判断を誰かにしてもらわなければいけないって事かしらね。
使用人の態度を改めてもらえれば私が困る事はないからテモシーの態度の変化に乗ることにしました。
そもそもの話はそこからだから、助かったわ。
ふぅ、ため息が出てしまう。
ため息を見てテモシーは私の心中を察してくれたみたい。
「では奥様、先程申しました通り3名の侍女の選定はできておりますので先に紹介させて頂きます。
充分な人数を揃えられないのはこちらの失態でございます。大変申し訳ありませんでした」
そう言ってテモシーは3名の侍女を連れてきました。
右からアンナ、ローリー、マリー。
彼女達はこれから私付きになる。
一番年上そうなのがローリーかしら?
メリルと同じ年くらいに見えるわ。
「朝の挨拶はしたけれど改めてアディルです。
人数が揃うまで3人で大変だとは思うけどよろしくね。
朝の仕度以外は一人でいいわよ、揃ってからまた考えましょう」
「奥様、寛大なお心ありがとうございます。
それでは私は失礼させて頂きますので、あとは侍女にお申し付けください」
テモシーはそう言って彼女達を置いて下がったんだけど、おそらくは今からとんでもなく忙しいのでしょうね。
仕事を増やして申し訳なかったわ。
とりあえず暇なので彼女達と話をしてみようかしら。
「この中で一番に権限を持つ人は誰になるの?」
「私になります。アディル奥様」
私の予想に反して声を上げたのはマリーだった。
「私は侍女長の部署から参りましたので、まとめ役を仰せつかりました」
「そう、解ったわ、マリーね。それでは3人で話し合って順番を決めて頂戴。暫くは大きなものはないから一人で大丈夫だから。緊急な時の対応も貴方にお願いするわ」
「畏まりました、それではローリーを残して私とアンナは一旦下がらせてもらいます。失礼いたします」
一人になったローリーを見ると直ぐに壁際に移動していた。公爵家では侍女は常に控えることを徹底してるのね。助かるわ。
とりあえずは図書室から持ち出した魔法書に手を伸ばす。
興味を引いたのは3冊目、初心者用の本の中でも中級に近いみたい。
変化の魔法の章だった。
水からお湯、水から氷、そして逆も然り。
おかしいわね。私は水は水だし、お湯はお湯、氷は氷で出すのだけど変化とかさせたことはない。
3人の侍女達の中で魔力持ちはマリーだけだったし、彼女は自覚ありで魔力量はスノーより少し多い感じだった。
マリーは魔法が使えるのなら彼女の魔力量でどこまで魔法が使えるのかしら?
他者の魔法の事など魔力量の観察のみで気にした事がなかったから、この本に書かれているのが一般の魔法なら私の使う魔法は何故原理が違うのかしら?
あ~やっぱりちゃんと勉強すればよかったわ。
今更興味が出てきてもお母様は遠くに行ってしまったし、マーク様しか聞く人はいないわね。
7年も魔術師団にいるなら仮妻にくらい指南していただけないかしら。
うわぁ、話題が見つかったわ、よかったわ~。
サンディル様の過去戻りの事情と話を聞いてからマーク様は、私に極力近づかないと宣言されましたが、それにテモシーが待ったをかけました。
仮で婚姻した事は王命を知っている極々僅かの人のみだから、婚姻が周知の事実であるのにその様にすると、私が公爵家に侮られた事になり、目覚めた時のサンディル様が怒り狂い出すのは目に見えているとの事です。
だからサンディル様の私への執着⋯⋯本当に何故?
ただあまりにも仲睦まじくするのも駄目で、妥協案が夕食は必ず一緒に取りその後サロンで二人で話すのを使用人に見せつけるという物でした。
外部に漏らす使用人がいるのが不思議だったのだけど、それは事情があって話せないと言われましたの。
公爵家の秘密多くありません?
だからサロンでお話しする時の話題が必要だったので今日は助かりました。
フフフ、やっぱり本は私を救うのね。
きっと知らない事を学ぶのは楽しいわ。
スパナート家には異常なほど魔法に関しての本が少なかった。
あるにはあるんだけど母によって魔法で鍵がかけてあり母以外読めない仕様になっていて、解除するのにかなり苦労したの。
2冊しか解除できなくて、どちらも治癒の本だったから治癒は極めたかもしれないけど、そんなに難しくなくて直ぐに飽きてしまったから、まだ字が読めなかったけど弟に譲ったわ。
あとで母にバレちゃって、鍵が前より厳重になった上に解除返しまで付帯してるの。
解除返しが付いてしまったら好奇心だけで解除するのは危険だから諦めたのだけど、母は何故あんなにも魔法書に敏感だったのかしら?
とりあえず話のネタができたので安心して、庭の散歩に行こうと思いついた。
「ローリー庭に行きたいの、仕度して頂戴」
「はい奥様」
ローリーはテキパキとクローゼットから何着か出し、私に確認したあと淡い緑色のワンピースを着せてくれたんだけど、かなり手際がいい、優秀なのね。
髪も聞かれたけど梳いてもらうだけにした。
日よけの傘を持ち後ろに控えてる。
テモシーといい侍女といい公爵家の使用人の質の高さに驚くわ。
と、なるとやはりスノーの態度の低級さが際立つ。
テモシーが色々謎の話しを保留にしているので、そのうちわかるでしょう。
エントランスを歩いていたら玄関脇に騎士ではなく使用人が立っていて不思議に思い、昨日このお邸に着いた時の事を思考したけど、やはり違うわね。
「貴方そこで何をしているの?」
「奥様、私はサンディル様の侍従でダルトンと申します。以後お見知りおきください」
「名乗れと言ってないわ。テモシーが紹介しないのであれば私を待つのは違うのではなくて?」
いくら主の侍従でも女主人に自分から自己紹介するのは私を侮ってる証拠になるのだけど、そんな事もわからない者をサンディル様は侍従にしているのかしら、程度が低いわ。
どうしたものかと思案していると、急ぎ足でテモシーともう一人、男の方が来ました。
「ダルトン様、何故ここにいらっしゃるのですか?」
「サンディル様がご婚姻されたのに侍従の私が知らされないのは可笑しいだろう。
休暇を頂いているがご挨拶に馳せ参じたのだ」
「可笑しいですね、ダルトン様は侍従の任は解除されていると聞いておりますが」
「ドーラン!お前が言っただけだろう。サンディル様からは休めと言われただけだ!」
なるほど察しの悪い方だったのね。
休めが休暇だと思ったという事かしら、なんでこのような者を侍従にしたのかしら?
サンディル様が断れない相手から頼まれたってとこなのかしらね。
「ダルトン、そこまで察しの悪いやつだとは思わなかったぞ」
「サンディル様、何故ですか?私は誠心誠意尽くしてきたのに侍従を解除だなんて聞いておりません。
只管貴方様に忠誠を誓っておりました。ですからこの7年、お呼びがかかるまで領地にて待機していたのです。なのに、なのにご婚姻の事もお知らせ頂けなくて、それで⋯⋯。それで⋯⋯」
いつの間に帰宅したのかマーク様がエントランスにいらしてダルトンとやらに怒鳴りましたが、この忠誠心故の解除かしら?
解雇ではないからサンディル様は帰還したら戻すつもりではいたのね。
それにしても7年も言いつけを守るなんて、このままではダルトンが気の毒だわ。
正直すぎて裏の立ち回りが出来ないから今回の件で外されたのであるならば。
「サンディル様おかえりなさい、早かったのですね」
「ただいまア、アディル。師団長から新婚だからと気を使って頂いたんだ」
「そうでしたの(余計な事を、でも今回は助かったわ)ダルトンはお暇を取らされていたのですか?」
「そのつもりでいたのだがな」
「では、私が引き取ってもよろしいですか?」
「「「ええっ」」」
みんなの驚愕のお顔が面白い。
ここに嫁いでから一番に愉快だわ。
「聞けば並々ならぬ忠誠心。私の従者として側に置こうと思いますが、ダルトン貴方はどうしたいかしら?」
「奥様⋯⋯。よろしいのですか?私はサンディル様に暇を出されているのも解らないうつけ者です」
「察しが悪いだけでしょう、これから勉強してもらいますわ。私はかなり厳しいかもしれないし、貴方が忠誠を誓った旦那様でもありませんけど、どうかしら?」
「奥様、ありがとうございます。
私のような者を拾って頂いて感謝申し上げます。是非お側で仕えさせてください」
「はい、決まり。これからよろしく頼むわ。
早速だけど今から散歩に行くところなの、庭を案内して」
「畏まりました」
「では皆様、後ほどね。ごきげんよう」
呆気に取られてる男性陣を袖にしてローリーとダルトンを供に庭に散歩にお出かけよ。
さて、これからどうしましょうか。
マーク様やテモシーと謎の男は困惑してたけど、暇な私はホクホクしてた。
ダルトン貴族らしくないけどテモシーが様付してたのなら貴族でしょう。
私は家の中で過ごす事が多かったし、お茶会もつまらなくて参加しても積極的に友人を作ることもなかったから、友人と呼べるのは2人しか居なかった。
彼女達は今、学園で寮生活をしているからなかなか会えないし。
ダルトンを鍛えるのがこれからの楽しみになりそうでワクワクするわ。
サンディル様の置土産かしら?
今後の期待に胸が弾んで満面の笑みで後ろを振り返ると泣き顔を隠そうともしないダルトンが居て⋯⋯。
前途多難だわ。
それから暫く思案して、口を開く。
さて、何を聞かされるのかしら?
「奥様、スノーの態度が大変ご不快だったようですので前公爵様には、私の方からご報告致します。
侍女の選定をしなければなりませんので失礼してもよろしいでしょうか?」
拍子抜けしてしまった。
テモシーは私に話すのも躊躇ったみたい。
私に話してもいいかの判断を誰かにしてもらわなければいけないって事かしらね。
使用人の態度を改めてもらえれば私が困る事はないからテモシーの態度の変化に乗ることにしました。
そもそもの話はそこからだから、助かったわ。
ふぅ、ため息が出てしまう。
ため息を見てテモシーは私の心中を察してくれたみたい。
「では奥様、先程申しました通り3名の侍女の選定はできておりますので先に紹介させて頂きます。
充分な人数を揃えられないのはこちらの失態でございます。大変申し訳ありませんでした」
そう言ってテモシーは3名の侍女を連れてきました。
右からアンナ、ローリー、マリー。
彼女達はこれから私付きになる。
一番年上そうなのがローリーかしら?
メリルと同じ年くらいに見えるわ。
「朝の挨拶はしたけれど改めてアディルです。
人数が揃うまで3人で大変だとは思うけどよろしくね。
朝の仕度以外は一人でいいわよ、揃ってからまた考えましょう」
「奥様、寛大なお心ありがとうございます。
それでは私は失礼させて頂きますので、あとは侍女にお申し付けください」
テモシーはそう言って彼女達を置いて下がったんだけど、おそらくは今からとんでもなく忙しいのでしょうね。
仕事を増やして申し訳なかったわ。
とりあえず暇なので彼女達と話をしてみようかしら。
「この中で一番に権限を持つ人は誰になるの?」
「私になります。アディル奥様」
私の予想に反して声を上げたのはマリーだった。
「私は侍女長の部署から参りましたので、まとめ役を仰せつかりました」
「そう、解ったわ、マリーね。それでは3人で話し合って順番を決めて頂戴。暫くは大きなものはないから一人で大丈夫だから。緊急な時の対応も貴方にお願いするわ」
「畏まりました、それではローリーを残して私とアンナは一旦下がらせてもらいます。失礼いたします」
一人になったローリーを見ると直ぐに壁際に移動していた。公爵家では侍女は常に控えることを徹底してるのね。助かるわ。
とりあえずは図書室から持ち出した魔法書に手を伸ばす。
興味を引いたのは3冊目、初心者用の本の中でも中級に近いみたい。
変化の魔法の章だった。
水からお湯、水から氷、そして逆も然り。
おかしいわね。私は水は水だし、お湯はお湯、氷は氷で出すのだけど変化とかさせたことはない。
3人の侍女達の中で魔力持ちはマリーだけだったし、彼女は自覚ありで魔力量はスノーより少し多い感じだった。
マリーは魔法が使えるのなら彼女の魔力量でどこまで魔法が使えるのかしら?
他者の魔法の事など魔力量の観察のみで気にした事がなかったから、この本に書かれているのが一般の魔法なら私の使う魔法は何故原理が違うのかしら?
あ~やっぱりちゃんと勉強すればよかったわ。
今更興味が出てきてもお母様は遠くに行ってしまったし、マーク様しか聞く人はいないわね。
7年も魔術師団にいるなら仮妻にくらい指南していただけないかしら。
うわぁ、話題が見つかったわ、よかったわ~。
サンディル様の過去戻りの事情と話を聞いてからマーク様は、私に極力近づかないと宣言されましたが、それにテモシーが待ったをかけました。
仮で婚姻した事は王命を知っている極々僅かの人のみだから、婚姻が周知の事実であるのにその様にすると、私が公爵家に侮られた事になり、目覚めた時のサンディル様が怒り狂い出すのは目に見えているとの事です。
だからサンディル様の私への執着⋯⋯本当に何故?
ただあまりにも仲睦まじくするのも駄目で、妥協案が夕食は必ず一緒に取りその後サロンで二人で話すのを使用人に見せつけるという物でした。
外部に漏らす使用人がいるのが不思議だったのだけど、それは事情があって話せないと言われましたの。
公爵家の秘密多くありません?
だからサロンでお話しする時の話題が必要だったので今日は助かりました。
フフフ、やっぱり本は私を救うのね。
きっと知らない事を学ぶのは楽しいわ。
スパナート家には異常なほど魔法に関しての本が少なかった。
あるにはあるんだけど母によって魔法で鍵がかけてあり母以外読めない仕様になっていて、解除するのにかなり苦労したの。
2冊しか解除できなくて、どちらも治癒の本だったから治癒は極めたかもしれないけど、そんなに難しくなくて直ぐに飽きてしまったから、まだ字が読めなかったけど弟に譲ったわ。
あとで母にバレちゃって、鍵が前より厳重になった上に解除返しまで付帯してるの。
解除返しが付いてしまったら好奇心だけで解除するのは危険だから諦めたのだけど、母は何故あんなにも魔法書に敏感だったのかしら?
とりあえず話のネタができたので安心して、庭の散歩に行こうと思いついた。
「ローリー庭に行きたいの、仕度して頂戴」
「はい奥様」
ローリーはテキパキとクローゼットから何着か出し、私に確認したあと淡い緑色のワンピースを着せてくれたんだけど、かなり手際がいい、優秀なのね。
髪も聞かれたけど梳いてもらうだけにした。
日よけの傘を持ち後ろに控えてる。
テモシーといい侍女といい公爵家の使用人の質の高さに驚くわ。
と、なるとやはりスノーの態度の低級さが際立つ。
テモシーが色々謎の話しを保留にしているので、そのうちわかるでしょう。
エントランスを歩いていたら玄関脇に騎士ではなく使用人が立っていて不思議に思い、昨日このお邸に着いた時の事を思考したけど、やはり違うわね。
「貴方そこで何をしているの?」
「奥様、私はサンディル様の侍従でダルトンと申します。以後お見知りおきください」
「名乗れと言ってないわ。テモシーが紹介しないのであれば私を待つのは違うのではなくて?」
いくら主の侍従でも女主人に自分から自己紹介するのは私を侮ってる証拠になるのだけど、そんな事もわからない者をサンディル様は侍従にしているのかしら、程度が低いわ。
どうしたものかと思案していると、急ぎ足でテモシーともう一人、男の方が来ました。
「ダルトン様、何故ここにいらっしゃるのですか?」
「サンディル様がご婚姻されたのに侍従の私が知らされないのは可笑しいだろう。
休暇を頂いているがご挨拶に馳せ参じたのだ」
「可笑しいですね、ダルトン様は侍従の任は解除されていると聞いておりますが」
「ドーラン!お前が言っただけだろう。サンディル様からは休めと言われただけだ!」
なるほど察しの悪い方だったのね。
休めが休暇だと思ったという事かしら、なんでこのような者を侍従にしたのかしら?
サンディル様が断れない相手から頼まれたってとこなのかしらね。
「ダルトン、そこまで察しの悪いやつだとは思わなかったぞ」
「サンディル様、何故ですか?私は誠心誠意尽くしてきたのに侍従を解除だなんて聞いておりません。
只管貴方様に忠誠を誓っておりました。ですからこの7年、お呼びがかかるまで領地にて待機していたのです。なのに、なのにご婚姻の事もお知らせ頂けなくて、それで⋯⋯。それで⋯⋯」
いつの間に帰宅したのかマーク様がエントランスにいらしてダルトンとやらに怒鳴りましたが、この忠誠心故の解除かしら?
解雇ではないからサンディル様は帰還したら戻すつもりではいたのね。
それにしても7年も言いつけを守るなんて、このままではダルトンが気の毒だわ。
正直すぎて裏の立ち回りが出来ないから今回の件で外されたのであるならば。
「サンディル様おかえりなさい、早かったのですね」
「ただいまア、アディル。師団長から新婚だからと気を使って頂いたんだ」
「そうでしたの(余計な事を、でも今回は助かったわ)ダルトンはお暇を取らされていたのですか?」
「そのつもりでいたのだがな」
「では、私が引き取ってもよろしいですか?」
「「「ええっ」」」
みんなの驚愕のお顔が面白い。
ここに嫁いでから一番に愉快だわ。
「聞けば並々ならぬ忠誠心。私の従者として側に置こうと思いますが、ダルトン貴方はどうしたいかしら?」
「奥様⋯⋯。よろしいのですか?私はサンディル様に暇を出されているのも解らないうつけ者です」
「察しが悪いだけでしょう、これから勉強してもらいますわ。私はかなり厳しいかもしれないし、貴方が忠誠を誓った旦那様でもありませんけど、どうかしら?」
「奥様、ありがとうございます。
私のような者を拾って頂いて感謝申し上げます。是非お側で仕えさせてください」
「はい、決まり。これからよろしく頼むわ。
早速だけど今から散歩に行くところなの、庭を案内して」
「畏まりました」
「では皆様、後ほどね。ごきげんよう」
呆気に取られてる男性陣を袖にしてローリーとダルトンを供に庭に散歩にお出かけよ。
さて、これからどうしましょうか。
マーク様やテモシーと謎の男は困惑してたけど、暇な私はホクホクしてた。
ダルトン貴族らしくないけどテモシーが様付してたのなら貴族でしょう。
私は家の中で過ごす事が多かったし、お茶会もつまらなくて参加しても積極的に友人を作ることもなかったから、友人と呼べるのは2人しか居なかった。
彼女達は今、学園で寮生活をしているからなかなか会えないし。
ダルトンを鍛えるのがこれからの楽しみになりそうでワクワクするわ。
サンディル様の置土産かしら?
今後の期待に胸が弾んで満面の笑みで後ろを振り返ると泣き顔を隠そうともしないダルトンが居て⋯⋯。
前途多難だわ。
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