【完結】マリナの再婚

maruko

文字の大きさ
13 / 53
すれ違い多種多様

手紙

しおりを挟む
父と無駄な話しをしながらも荷造りの手は止めていなかった。
荷物を纏めた私に父は溜息を吐きながらまたまた口を開く。

「マリナ頼む少しでいいから、せめて明日まで」

「二度と会わないつもりですか?」

「は?何を言ってるそんな訳はない」

「では今引き止める理由は?」

「⋯⋯」

「私は今も昔も一所ひとところに居ます。あちこち旅に出ているわけではありません。会いに来ないのはお父様達の方なのですよ。私はいつも受け身側です」

「⋯会いたくなかったわけじゃない」

「お父様、今朝お母様が倒れたのはご存知ですよね」

「あっああ目眩がしたとか」

朝食を一緒に食べてる時に母は倒れたのですが、それが私のせいだったか、父のせいだったかは解りません。
でも母が父に理由を言ってないのを聞いて父のせいなのだと確信しました。

「お父様と叔母の関係とはどのようなものですか?」

私個人では全く興味はなかったけれど母の為に聞いておこうと思った。
私は一つの決意をしているのでその為に急いで帰りたかったけれど、少しだけ同情した目の前の父に理由を言ってみるのもいいかと思った。
私は許さないけれど母は違うかもしれないから。

「急に何だ?関係も何も妹だ」

「あの人は何故結婚していないのですか?」

「どうしたんだ、先程から何故そんなことばかり聞くんだ!」

「だってまだあそこに住んでますよね」

「あぁだがマリナとロイドが一緒に来てくれるなら別の家に住まわせるつもりだ」

「私と会っていなかったら?どうするおつもりでした?」

「それは⋯それは知らなかったからそのままだっただろう」

「お父様、私お母様と一晩中お話したのです、とても楽しかったです」

突然話しが変わった私に父が戸惑った表情をしています。

「少し込み入った話しをしたいのです、ロイドの前ではしたくないのでお母様に預かってもらいます」

「いや、だがソフィアは目眩が⋯マリナの話しを聞くのはいいが、だが⋯」

ロイドと離れがたい父は色々言っていましたが私はロイドを父の膝から取り上げました。

「ロイド!お祖母様に絵本を読んでもらう約束だったでしょう」

「いぇほん!はい!いぇほん」

いぇほんより絵本の方が言いやすいと思うのに子供って本当に摩訶不思議です。
可愛いから何でもいいけれど。
ロイドを抱いたまま母の部屋に行くと母はソファに座って刺繍をしていました。

理由を話してロイドを預かって欲しいと言うと快くというより理由は必要なかったようです。
でも私が父に何を話すのか解ったのでしょう。

「あまり傷つけないようにしてあげてくれない?」

「⋯⋯⋯⋯善処します」

ロイドは母に近付きましたが刺繍をする手を見て、私の方へ振り返りました。

「お祖母様がお片付けしてからね」

「はい!」

針を使う作業の時に近付かないように、もっと小さい時から口を酸っぱく言っていたので母の刺繍する手を見て立ち止まったようです。
ロイド偉いわよ!

母と母の侍女は刺繍をいそいそと片付けてロイドを隣に座らせてくれたのを見届けて「お願いします」と言って部屋を出ていこうとすると再び「お願いね」と言われました。

扉を閉めながら「善処します」同じ言葉を告げました。

父は私の部屋で大人しく待っていましたが、何故か兄も一緒にいました。
きっとロイドに会いに来たのでしょう。

「お兄様おはようございます」

「あぁ母上の所に行ってたと聞いたがロイドも?」

「母に預けてきました」

「何故?」

「大人の話しになるからです、お兄様も聞かれますか?」

兄は少し迷って目を彷徨わせていましたが残ることにしたようです。
私はお茶の仕度をしてきていたので父と兄の前にガップを置くと、私の手慣れた手つきを見て二人は悲壮な顔をします。
なぜかしら?まぁどうでもいいけれど。

「さて、ではお父様、お兄様。私はお母様と沢山お話をさせて頂きました。お母様側からの話しは殆どなくて主に私の半生?を聞く形でした。今朝やっと聞けたというふうにお母様から私は質問をされましたの、私が質問に答えたらお母様は目眩を起こして倒れたのです。直ぐに気を取り直しましたが」

「「⋯⋯」」

私の話しにどう言っていいのか戸惑っているのでしょう。二人は無言で私を見つめます。

「結論から言いますね。お母様は私とロイドと一緒に住んでもらおうと思ってます」

「私は!「どうぞ叔母とお過ごしください」どう⋯⋯」

父は私の言葉に一緒に住む数に自分が入ってないことに直ぐに気が付いたようで、反論しようとしましたが遮りました。

「叔母が何かをしたのは昨日のマリナの話しで解ったが、母上とも何か合ったのか?」

お兄様も気付いていなかったのでしょうね。
でもあの叔母は狡猾なのでお兄様が知らなくてもそれは許してあげましょう。
兎角男の人は女の気持ちに気付かないものですから、お母様の気持ちよりもご自身の妻と子供の気持ちにお兄様は気付かなければいけないわ。

「お父様、お母様が朝食の時に私へした質問は、何故手紙の返事をくれなかったのかしら、で、私の答えは手紙は一度ももらった覚えはないわです」

「私の手紙もか?」

その言葉に少し吃驚しましたが、私は黙って頷きました。




しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?

秋月一花
恋愛
 本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。  ……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。  彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?  もう我慢の限界というものです。 「離婚してください」 「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」  白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?  あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。 ※カクヨム様にも投稿しています。

待ってください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。 毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。 だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。 一枚の離婚届を机の上に置いて。 ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。 ※短編連作 ※この話はフィクションです。事実や現実とは異なります。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

佐藤 美奈
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」 弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。 結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。 それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。 非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

あなたに嘘を一つ、つきました

小蝶
恋愛
 ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…  最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ

幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~

希猫 ゆうみ
恋愛
ダウエル伯爵家の令嬢レイチェルはコルボーン伯爵家の令息マシューに婚約の延期を言い渡される。 離婚した幼馴染、ブロードベント伯爵家の出戻り令嬢ハリエットの傍に居てあげたいらしい。 反発したレイチェルはその場で婚約を破棄された。 しかも「解放してあげるよ」と何故か上から目線で…… 傷付き怒り狂ったレイチェルだったが、評判を聞きつけたメラン伯爵夫人グレース妃から侍女としてのスカウトが舞い込んだ。 メラン伯爵、それは王弟クリストファー殿下である。 伯爵家と言えど王族、格が違う。つまりは王弟妃の侍女だ。 新しい求婚を待つより名誉ある職を選んだレイチェル。 しかし順風満帆な人生を歩み出したレイチェルのもとに『幼馴染思いの優しい(笑止)』マシューが復縁を希望してきて…… 【誤字修正のお知らせ】 変換ミスにより重大な誤字がありましたので以下の通り修正いたしました。 ご報告いただきました読者様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 「(誤)主席」→「(正)首席」

処理中です...