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元夫の事情
対面 2
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その夜ロイドをいつものように抱きしめて眠った。
丁度顎の所にロイドの旋毛が見える。
何故か今日はいつもより潜って眠っているみたい。
ロイドの黒髪を触りながらカイルを思い出してしまった。
『じょこにいちゃの?ぼくのこちょ、わちゅれちゃ?』
あの言葉は私の胸に突き刺さった。
私も子供のときに思った事だ。
『お父様とお母様は何処にいるの?
私の事忘れてしまったの?』
何度もベッドの中では思った事だ。
同じ事をロイドに思わせた、それが何より胸を抉った。
「私は何をやってるの⋯」
一番自分がされて辛かった事を自分の気持ちだけを考えた自分勝手な私。
きっといつも自分自分自分自分。
「ロイドごめんね」
ス~ス~とロイドの寝息を聞きながら彼の旋毛にキスを落とした。
──────────────
次の日、早速手紙を書いてホテルに向かった。
家からは少し離れた場所だった。
メーチェ伯爵領は海も港もあるので観光客も多い。
ホテルもアチコチに建っている。
カイルが泊まっているのはその中でも少し高級な部類のホテルだった。
益々訝しむけど泊まってないのに見栄など張る必要もないだろうから本当なのだろう。
乗合馬車で2つめで降りてホテルは目の前だった。
「ふわぁ」
ロイドは大きなホテルに目を見開いて手で口を抑えてる。
ロビーに行くと受付に職員が居たので名前と部屋番号を伝え手紙を渡した。
「手紙を渡してマリナが来たと伝えてもらえないでしょうか?」
私の名前を聞いてその職員はパラパラと黒表紙のノートを捲り、顔をあげてニッコリとした。
「ご承知しております、そちらに常設のカフェがあります、個室にご案内しますのでお待ち下さい」
カイルは私が来ることが解っていたのだろうか?
何故か受付の職員は聞いていたように言う。
案内された個室でロイドとソファに座った。
真ん中のテーブルは洒落た丸テーブルだ、硝子で出来ているものを初めて見た。
私はロイドのシャツをもう一度整えてあげた。
つい自分の髪も手で乱れがないかと撫でつけた。
「ははうえ~」
「どうしたの?」
「これ~」
ロイドは硝子のテーブルが珍しくて下から手を硝子にくっつけていた。
自分の掌を見て欲しいようだ。
「ん?」
「ふぉら~」
下から翳した掌を硝子越しに反対の人差し指で突いて、さも凄いだろうという風に鼻を膨らませて私に訴える。
緊張していた私は自然に眦を下げた。
「フフ凄いロイド」
「でちょう~」
楽しそうに自分の手でロイドが遊んでいた時、ノックの音がした。
先程の職員とは別の職員がカイルと入ってきた。
カイルは少し息が上がっているように見えるけど?
カイルが入ってきて職員がメニューを開いて私に渡してきた。
メニューを見ながらチラッとカイルを見るとロイドを見ていた。
ロイドを見ると遊んでいた掌と指は突いた状態で止まったままカイルを見てる。
「珈琲とアップルジュースを」
「あっ珈琲を」
それぞれのオーダーを聞いて職員は出ていった。
「すまない待たせたかな?」
「いいえ、大丈夫」
「⋯⋯あの⋯手紙に書いて⋯」
「えぇちょっと待ってね」
未だにカイルをずっと見つめたままのロイドの肩をトントンと叩くとロイドは私へ顔を向けた。
「ロイド貴方のお父様よ」
「まえ~あっちゃ」
「そうねこの前は時間がなかったから」
そう言うとロイドはソファから降りてピシッと立った。
「ちちうえ~りょいどでしゅ!」
頭をまたテーブルに頭突きするように深く下げる。
残念ながら名前を噛んでしまった。
カイルはその声を聞いて椅子から立ち上がりこちらに来て床に膝をついてロイドを抱きしめていた。
ただただ何も言わずロイドを只管抱きしめている。
途中ノックをされた時、扉まで行って職員に私が飲み物を受け取ると言うと何も言わず渡してくれた。
丸テーブルにトレー毎置いたけどカイルはまだ抱きしめている。
久しぶりにじっくりと見た、懐かしいカイルの広い背中が酷く震えている。
ロイドが大人しく抱かれたままになっているけれど⋯⋯。
暫くそのまま見守っていると
「いちゃい」
と聞こえた。
その声でカイルはロイドを離したけれどロイドは片手がカイルの胸元を掴んでいて離さない。
「いちゃいの」
ロイドが自分の胸を押さえて言った言葉に涙が溢れた。
「ロイド」
私がそう言うとロイドがブワッとカイルと同じ瞳から涙を溢れさせ「ははうえ~いちゃい」と胸を押さえていた。
私もカイルと同じように膝をつきロイドを抱きしめた。
「ぼくのぅちちうえ~」
私の耳元でそう言って今度は大きな声で泣き出した。
いつの間にかロイドを抱きしめた私毎カイルが抱きしめていた。
ひとしきり三人で泣いたあと、すっかり冷めた珈琲を飲んだ。
ロイドはカイルの膝の上だ。
美味しそうにジュースを飲んでいる。
ロイドが胸が苦しくなるほどカイルに会えて嬉しかった事実に私は打ちのめされていた。
私は、どれだけ我慢させていたのだろうか?
ロイドがジュースを飲みながらキラキラとした眩しい笑顔で私を見ている。
「ははうえ~おいちぃね」
その言葉に私も笑顔で返す、カイルはロイドの頭を優しく撫でていた。
丁度顎の所にロイドの旋毛が見える。
何故か今日はいつもより潜って眠っているみたい。
ロイドの黒髪を触りながらカイルを思い出してしまった。
『じょこにいちゃの?ぼくのこちょ、わちゅれちゃ?』
あの言葉は私の胸に突き刺さった。
私も子供のときに思った事だ。
『お父様とお母様は何処にいるの?
私の事忘れてしまったの?』
何度もベッドの中では思った事だ。
同じ事をロイドに思わせた、それが何より胸を抉った。
「私は何をやってるの⋯」
一番自分がされて辛かった事を自分の気持ちだけを考えた自分勝手な私。
きっといつも自分自分自分自分。
「ロイドごめんね」
ス~ス~とロイドの寝息を聞きながら彼の旋毛にキスを落とした。
──────────────
次の日、早速手紙を書いてホテルに向かった。
家からは少し離れた場所だった。
メーチェ伯爵領は海も港もあるので観光客も多い。
ホテルもアチコチに建っている。
カイルが泊まっているのはその中でも少し高級な部類のホテルだった。
益々訝しむけど泊まってないのに見栄など張る必要もないだろうから本当なのだろう。
乗合馬車で2つめで降りてホテルは目の前だった。
「ふわぁ」
ロイドは大きなホテルに目を見開いて手で口を抑えてる。
ロビーに行くと受付に職員が居たので名前と部屋番号を伝え手紙を渡した。
「手紙を渡してマリナが来たと伝えてもらえないでしょうか?」
私の名前を聞いてその職員はパラパラと黒表紙のノートを捲り、顔をあげてニッコリとした。
「ご承知しております、そちらに常設のカフェがあります、個室にご案内しますのでお待ち下さい」
カイルは私が来ることが解っていたのだろうか?
何故か受付の職員は聞いていたように言う。
案内された個室でロイドとソファに座った。
真ん中のテーブルは洒落た丸テーブルだ、硝子で出来ているものを初めて見た。
私はロイドのシャツをもう一度整えてあげた。
つい自分の髪も手で乱れがないかと撫でつけた。
「ははうえ~」
「どうしたの?」
「これ~」
ロイドは硝子のテーブルが珍しくて下から手を硝子にくっつけていた。
自分の掌を見て欲しいようだ。
「ん?」
「ふぉら~」
下から翳した掌を硝子越しに反対の人差し指で突いて、さも凄いだろうという風に鼻を膨らませて私に訴える。
緊張していた私は自然に眦を下げた。
「フフ凄いロイド」
「でちょう~」
楽しそうに自分の手でロイドが遊んでいた時、ノックの音がした。
先程の職員とは別の職員がカイルと入ってきた。
カイルは少し息が上がっているように見えるけど?
カイルが入ってきて職員がメニューを開いて私に渡してきた。
メニューを見ながらチラッとカイルを見るとロイドを見ていた。
ロイドを見ると遊んでいた掌と指は突いた状態で止まったままカイルを見てる。
「珈琲とアップルジュースを」
「あっ珈琲を」
それぞれのオーダーを聞いて職員は出ていった。
「すまない待たせたかな?」
「いいえ、大丈夫」
「⋯⋯あの⋯手紙に書いて⋯」
「えぇちょっと待ってね」
未だにカイルをずっと見つめたままのロイドの肩をトントンと叩くとロイドは私へ顔を向けた。
「ロイド貴方のお父様よ」
「まえ~あっちゃ」
「そうねこの前は時間がなかったから」
そう言うとロイドはソファから降りてピシッと立った。
「ちちうえ~りょいどでしゅ!」
頭をまたテーブルに頭突きするように深く下げる。
残念ながら名前を噛んでしまった。
カイルはその声を聞いて椅子から立ち上がりこちらに来て床に膝をついてロイドを抱きしめていた。
ただただ何も言わずロイドを只管抱きしめている。
途中ノックをされた時、扉まで行って職員に私が飲み物を受け取ると言うと何も言わず渡してくれた。
丸テーブルにトレー毎置いたけどカイルはまだ抱きしめている。
久しぶりにじっくりと見た、懐かしいカイルの広い背中が酷く震えている。
ロイドが大人しく抱かれたままになっているけれど⋯⋯。
暫くそのまま見守っていると
「いちゃい」
と聞こえた。
その声でカイルはロイドを離したけれどロイドは片手がカイルの胸元を掴んでいて離さない。
「いちゃいの」
ロイドが自分の胸を押さえて言った言葉に涙が溢れた。
「ロイド」
私がそう言うとロイドがブワッとカイルと同じ瞳から涙を溢れさせ「ははうえ~いちゃい」と胸を押さえていた。
私もカイルと同じように膝をつきロイドを抱きしめた。
「ぼくのぅちちうえ~」
私の耳元でそう言って今度は大きな声で泣き出した。
いつの間にかロイドを抱きしめた私毎カイルが抱きしめていた。
ひとしきり三人で泣いたあと、すっかり冷めた珈琲を飲んだ。
ロイドはカイルの膝の上だ。
美味しそうにジュースを飲んでいる。
ロイドが胸が苦しくなるほどカイルに会えて嬉しかった事実に私は打ちのめされていた。
私は、どれだけ我慢させていたのだろうか?
ロイドがジュースを飲みながらキラキラとした眩しい笑顔で私を見ている。
「ははうえ~おいちぃね」
その言葉に私も笑顔で返す、カイルはロイドの頭を優しく撫でていた。
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