眠れる森の聖女

maruko

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第二章 アルディオ・シュトラウゼ

娘の嫁ぐ日〜シュトラウゼ公爵の懸念

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真っ青な空に白い雲
雲間に見える白い鳥の羽ばたき
教会の控室、窓から見える空模様、柔らかな陽射しは今日という日を祝福している。

部屋の中には今から嫁ぐ娘が絹の白いドレスを纏い、皺が寄らないように細心の注意をしながら椅子に腰掛けている。
そして俯きながら私と妻に育ててもらった御礼を述べ始めた。
その震えながら紡がれる声を聞くのを、往生際の悪い私は抗うように窓の外を眺めていた。

いつかこんな日が来るのは、娘が生まれた時から覚悟はしていたつもりだった。
幼い頃は嫁に行っても娘は娘、どこかの馬の骨にくれてやるつもりは⋯なんて思っていたのだが、実際に結婚する相手は国有数の資産家で我が家と同じ家格の公爵家の次男。
しかも嫁ぐのではなく彼が婿に来てくれるというオマケ付き。
憂いなどあるはずもなく、それ故に悔しい。
少しは文句を言いたい!
非の打ち所のない相手など愚痴すらも言えないではないか!

シュトラウゼ公爵である私は、娘が愛おしくて堪らないのだ。

娘アミエルは、今日嫁ぐと同時に聖女として広く知られる事になる。

夫になるライアンは、スコティファリ公爵家の子息で女神の声が聴ける者だ。

二人の行く末は安定した未来だと確信している、なんせ神が付いているのだから。

それでも寂しいものは寂しい。

長年アミエルに“庶子”という枷を背負わせてしまった。
大人達の勝手で背負わせたその重荷も数日前に片が付いた。

国毎たった一人の男の策略に騙されたという、何ともお粗末な事態だったのだ。

私達はあまりにも知らなすぎた。

教えてくれた、そしてこの時代に目覚めてくれた私の先祖でもある聖女イェナルに感謝してもしきれない。

娘が聖女という重圧に負けずに嫁げるのもきっと彼女のおかげなのだろう。

ふと目に止まった馬車から今日の招待客が下りてくるのが目に入った。
彼に偶然出会わなければもっと酷いことになっていたかもしれないのだなと見つめた。

下りてきたのは私と似通った黒髪の男性
そして彼の手を借りて下りてきたのは、世間的には私の本妻と呼ばれているの娘のマリエール。
それからその娘エミリーナ。

3人が馬車から下りてきた途端、周りがざわついていた。

真実の発表はアミエルの式が終わってからだから、妾の娘の結婚式に本妻が乗り込んできた縮図に周りからは見えるのだろう。
その様子を見て私は、妻と娘に分からないように大きく溜息を吐いた。
雰囲気が悪くならなければよいが⋯。

彼女達を呼ぶ事は妻と娘の希望だったが、私は何度めかの後悔をまた繰り返していた。




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