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15話 護衛の依頼
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⸺⸺バルニエ街道、フラリス前⸺⸺
「おい、ルカ」
「ん?」
『きゅ?』
日も落ちかかって空が夕焼けに染まる頃。ヴィルヘルムに呼ばれて白虎の背中からすらにゃんと共にひょこっと顔を出す。彼は白虎の隣でやれやれとため息を吐いた。
「もう町だ。白虎をしまうか縮めるかしろ」
「あっ、本当だ! あっという間に町だ!」
『きゅっきゅー♪』
そうか、白虎は大きすぎるから町の中では迷惑になっちゃうのか……って。
「縮めるって何!?」
「そのペンダント様に聞いてみやがれ」
「あ、うん……」
テイムの仕方や召喚方法を思い出すみたいに、“仲間の縮め方”を思い出してみる。
ピンッと、脳内に知識が蘇ってきて、テンションが上がってくる。
「おぉぉぉ……白虎、召喚士のテイムした仲間は、自分の意志で身体の大きさを縮める事が出来るんだって。元の大きさよりも大きくするのは無理だって。やってみて?」
僕はすらにゃんをローブのフードの中に入れ、白虎から飛び降りる。
『承知』
白虎はすぐに身体の大きさをぎゅんぎゅんと縮めていき、子猫くらいのサイズへと変形する。
『このくらいでいかがか、我が主』
そう言う白虎の声はテノールからソプラノへと高くなっていた。
「うわぁ、最っっ高に可愛いよ白虎! これなら僕の頭に乗るかな?」
白虎を両手でそっとすくい上げて頭の上に乗せると、白虎はゴロゴロと喉を鳴らしながら落ち着いた。
⸺⸺冒険者ギルド、フラリス支部⸺⸺
ヴィルヘルムに依頼を報告してこいと言われて、依頼書を受付に提出して報酬を振り込んでもらった。
受付にある画面を見て間違いがないことを受付嬢と一緒に確認をしたのだけれど、その時ふと、パーティメンバーの進行中の依頼が目に入ってしまう。
『バルニエ第二王子の護衛 残り5日』
「ルカ王子殿下……? 宜しかったでしょうか?」
「えっ、あっ、はい。これで大丈夫です。ありがとうございました!」
無理に笑顔で受付嬢との会話を済ませ、ヴィルヘルムにも無事報酬が支払われたと報告をする。
その後は酒場で食事をすると、宿屋に入り、ヴィルヘルムとは隣同士の個室に別れた。
⸺⸺
もふもふとぷにぷにと一緒にシャワーを浴びて、洗面所でドライヤーを使って白虎の毛を乾かす。
『主、冒険者としての初日を終えて、疲れているか? もし、我らの召喚維持がしんどければ、我らはペンダントの中に帰るぞ』
『きゅぅ、きゅぅ♪』
「えっ、色んな事がたくさんあって疲れてるけど、召喚維持がしんどいとか、そう言うのはないよ」
『そうか。依頼を報告した辺りから、上の空な事が多かった故……』
うわぁ、僕、こんな可愛い子猫に心配されちゃってるよ。
「心配かけてごめんね、白虎。実はさ、依頼の報告をするとき、ヴィリーが個人で受けてる依頼も見えたんだ」
『ほう』
話しながら白虎の毛のもふもふ具合を確かめる。よし、乾いたから次は僕の髪だ。
「依頼主は僕の兄様で、内容は僕の護衛。もちろん、依頼の事は知ってたんだよ。でも、残り5日って書いてあってさ……もう1日が終わるから、今は実質あと4日でしょ? あと4日しか一緒にいられないなんて、知らなかったんだ……」
『ふむ、期限付きの依頼であったのだな……』
「うん。ヴィリーとは今日会ったばっかでさ、全然自分の事も話してくれないし、分からない事だらけなんだ。でも、なぜか一緒にいると安心するし、勝手にこれからもずっと一緒に冒険していけるんだって、勘違いしてた」
『なるほど、主はヴィリーと別れるのが辛くて、あんなにも上の空になっていたのだな』
「うん……もちろん、すらにゃんや白虎と一緒にいられて幸せだよ。でも、ヴィリーとだって一緒にいたいし、もっとヴィリーの事が知りたい。そう思うのは、僕のわがままなのかな……」
『きゅぅぅ……』
すらにゃんがスリスリと擦り寄ってくれる。
「ありがとう、すらにゃん」
『主、ヴィリーに今と同じように話してみたらいい。もしかしたら兄者との契約を更新してくれるかもしれぬ』
「うん、それが気軽に出来たら良いんだけど……甘えるな、とか言われそうだし、それに、ヴィリーにだって僕のお守りばっかじゃなくて他にもやりたい事あるだろうし……そう考えたら、言い出せなくて……」
『主は、思慮深く思いやりのある人間なのだな』
「あはは、すごい良い様に言ってくれるね。ただ、小心者なだけだよ。でも、このままじゃいけないって思ってる」
『きゅ?』
ドライヤーのスイッチをカチッとオフにする。
「せめて、契約期間終了までの間に、“一般冒険者”のランクの“D級冒険者”まで冒険者ランクを上げたいんだ。今は見習いひよっこのFランクだから、あと2ランク。それで、一人前の冒険者になって、もう心配いらないからって、笑顔でお別れしたいんだ」
そう言いつつも涙が溢れ出す。
『主……。承知した。我が魔物を狩って狩って狩りまくる故、主はどんどん依頼を受注するのだ。共にD級を目指そう』
『きゅっきゅーぅ♪』
「ありがとう、2人とも……うん、一緒に頑張ろうね」
僕はもふもふとぷにぷにをぎゅーっと抱き締めた。
「おい、ルカ」
「ん?」
『きゅ?』
日も落ちかかって空が夕焼けに染まる頃。ヴィルヘルムに呼ばれて白虎の背中からすらにゃんと共にひょこっと顔を出す。彼は白虎の隣でやれやれとため息を吐いた。
「もう町だ。白虎をしまうか縮めるかしろ」
「あっ、本当だ! あっという間に町だ!」
『きゅっきゅー♪』
そうか、白虎は大きすぎるから町の中では迷惑になっちゃうのか……って。
「縮めるって何!?」
「そのペンダント様に聞いてみやがれ」
「あ、うん……」
テイムの仕方や召喚方法を思い出すみたいに、“仲間の縮め方”を思い出してみる。
ピンッと、脳内に知識が蘇ってきて、テンションが上がってくる。
「おぉぉぉ……白虎、召喚士のテイムした仲間は、自分の意志で身体の大きさを縮める事が出来るんだって。元の大きさよりも大きくするのは無理だって。やってみて?」
僕はすらにゃんをローブのフードの中に入れ、白虎から飛び降りる。
『承知』
白虎はすぐに身体の大きさをぎゅんぎゅんと縮めていき、子猫くらいのサイズへと変形する。
『このくらいでいかがか、我が主』
そう言う白虎の声はテノールからソプラノへと高くなっていた。
「うわぁ、最っっ高に可愛いよ白虎! これなら僕の頭に乗るかな?」
白虎を両手でそっとすくい上げて頭の上に乗せると、白虎はゴロゴロと喉を鳴らしながら落ち着いた。
⸺⸺冒険者ギルド、フラリス支部⸺⸺
ヴィルヘルムに依頼を報告してこいと言われて、依頼書を受付に提出して報酬を振り込んでもらった。
受付にある画面を見て間違いがないことを受付嬢と一緒に確認をしたのだけれど、その時ふと、パーティメンバーの進行中の依頼が目に入ってしまう。
『バルニエ第二王子の護衛 残り5日』
「ルカ王子殿下……? 宜しかったでしょうか?」
「えっ、あっ、はい。これで大丈夫です。ありがとうございました!」
無理に笑顔で受付嬢との会話を済ませ、ヴィルヘルムにも無事報酬が支払われたと報告をする。
その後は酒場で食事をすると、宿屋に入り、ヴィルヘルムとは隣同士の個室に別れた。
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もふもふとぷにぷにと一緒にシャワーを浴びて、洗面所でドライヤーを使って白虎の毛を乾かす。
『主、冒険者としての初日を終えて、疲れているか? もし、我らの召喚維持がしんどければ、我らはペンダントの中に帰るぞ』
『きゅぅ、きゅぅ♪』
「えっ、色んな事がたくさんあって疲れてるけど、召喚維持がしんどいとか、そう言うのはないよ」
『そうか。依頼を報告した辺りから、上の空な事が多かった故……』
うわぁ、僕、こんな可愛い子猫に心配されちゃってるよ。
「心配かけてごめんね、白虎。実はさ、依頼の報告をするとき、ヴィリーが個人で受けてる依頼も見えたんだ」
『ほう』
話しながら白虎の毛のもふもふ具合を確かめる。よし、乾いたから次は僕の髪だ。
「依頼主は僕の兄様で、内容は僕の護衛。もちろん、依頼の事は知ってたんだよ。でも、残り5日って書いてあってさ……もう1日が終わるから、今は実質あと4日でしょ? あと4日しか一緒にいられないなんて、知らなかったんだ……」
『ふむ、期限付きの依頼であったのだな……』
「うん。ヴィリーとは今日会ったばっかでさ、全然自分の事も話してくれないし、分からない事だらけなんだ。でも、なぜか一緒にいると安心するし、勝手にこれからもずっと一緒に冒険していけるんだって、勘違いしてた」
『なるほど、主はヴィリーと別れるのが辛くて、あんなにも上の空になっていたのだな』
「うん……もちろん、すらにゃんや白虎と一緒にいられて幸せだよ。でも、ヴィリーとだって一緒にいたいし、もっとヴィリーの事が知りたい。そう思うのは、僕のわがままなのかな……」
『きゅぅぅ……』
すらにゃんがスリスリと擦り寄ってくれる。
「ありがとう、すらにゃん」
『主、ヴィリーに今と同じように話してみたらいい。もしかしたら兄者との契約を更新してくれるかもしれぬ』
「うん、それが気軽に出来たら良いんだけど……甘えるな、とか言われそうだし、それに、ヴィリーにだって僕のお守りばっかじゃなくて他にもやりたい事あるだろうし……そう考えたら、言い出せなくて……」
『主は、思慮深く思いやりのある人間なのだな』
「あはは、すごい良い様に言ってくれるね。ただ、小心者なだけだよ。でも、このままじゃいけないって思ってる」
『きゅ?』
ドライヤーのスイッチをカチッとオフにする。
「せめて、契約期間終了までの間に、“一般冒険者”のランクの“D級冒険者”まで冒険者ランクを上げたいんだ。今は見習いひよっこのFランクだから、あと2ランク。それで、一人前の冒険者になって、もう心配いらないからって、笑顔でお別れしたいんだ」
そう言いつつも涙が溢れ出す。
『主……。承知した。我が魔物を狩って狩って狩りまくる故、主はどんどん依頼を受注するのだ。共にD級を目指そう』
『きゅっきゅーぅ♪』
「ありがとう、2人とも……うん、一緒に頑張ろうね」
僕はもふもふとぷにぷにをぎゅーっと抱き締めた。
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