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第一章 「花の入れ墨」と「開花」
第九話
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「まだよくわからない。保留は出来ないのか?」
「無理よ」
「それならいったん断ることにする」
「あなた、これだけ家屋を破壊しておいてそれ?」
指さした平屋の一室。けれどそんなもの、俺にはほとんど無関係のものだ。
ついさっきまで能力者や超能力者団体なぞ知らなかった自分が、どうすれば「一昨日ごみ捨てに行かない」という選択肢を取れようか。そもそも自分の能力すら知らないというのに。
「責任を押し付けないでくれ、それは俺の責任じゃない」
「ならこっちの責任っていうの? あの子はただ普通に過ごしていただけなのに? 能力だって失ったのよ。前代未聞よ、あなたのせいに決まってる」
「違う、責任の所在なんてない。誰も悪くない、理不尽な不幸だってある。生きていれば良くあることじゃないか、偶然を装って一方的に不幸を押し付けてくることなんて」
自分だけじゃないはずだ、きっと。その被害者は。
何度も何度も不幸を背負って、その報いは一向に来ない。死後にでも来るのだろうか、天国に行く条件なのだろうか。
自分から言わせれば、現世が『天国』と『地獄』だ。誰かの『天国』であり、誰かの『地獄』。一つの場所に混在している。
こんな発想いつか拭われる日が来ればいい、そう思って何年がたっただろうか?
「違う、あなたのせいよ。仮にあなたが自身の能力を知らなくても、あの子と関わらなければよかっただけの話」
無茶なことを言ってくれる。
なんで日本人口は一億人近いんだと怒られているような気分だ。知らないとしか言いようがない。
少子化になることぐらい六十年前から予想しろと言われる気分だ。当時はそんなことになるなんて思いもしなかったろうに。
「いつもそうだ、不幸を背負うばかり……」
「責任の所在がないのなら作ればいい」
「その先が俺って?」
「そうよ」
「あんたは随分と勧誘に向かない性格をしているな」
勧誘への答えはNoだ。ここまで言われて今この時点で入るわけにはいくまい。
要約すれば、「予期せぬ事件の責任は全てあなたにある、だから私の元に来なさい」、まるで当たり屋か何かだ。
女性の額には浮かぶのは深まった皺。
怒りに震え、胸元まで持ち上げた手はわなわなと震えている。しかし怒りを体現したいのはこちらも同じだ。初対面の人間にこうも無茶な責任を言われたのだから。
問題は、この女性が「普通」ではないという点にあった。
「無理よ」
「それならいったん断ることにする」
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指さした平屋の一室。けれどそんなもの、俺にはほとんど無関係のものだ。
ついさっきまで能力者や超能力者団体なぞ知らなかった自分が、どうすれば「一昨日ごみ捨てに行かない」という選択肢を取れようか。そもそも自分の能力すら知らないというのに。
「責任を押し付けないでくれ、それは俺の責任じゃない」
「ならこっちの責任っていうの? あの子はただ普通に過ごしていただけなのに? 能力だって失ったのよ。前代未聞よ、あなたのせいに決まってる」
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自分だけじゃないはずだ、きっと。その被害者は。
何度も何度も不幸を背負って、その報いは一向に来ない。死後にでも来るのだろうか、天国に行く条件なのだろうか。
自分から言わせれば、現世が『天国』と『地獄』だ。誰かの『天国』であり、誰かの『地獄』。一つの場所に混在している。
こんな発想いつか拭われる日が来ればいい、そう思って何年がたっただろうか?
「違う、あなたのせいよ。仮にあなたが自身の能力を知らなくても、あの子と関わらなければよかっただけの話」
無茶なことを言ってくれる。
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「いつもそうだ、不幸を背負うばかり……」
「責任の所在がないのなら作ればいい」
「その先が俺って?」
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要約すれば、「予期せぬ事件の責任は全てあなたにある、だから私の元に来なさい」、まるで当たり屋か何かだ。
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怒りに震え、胸元まで持ち上げた手はわなわなと震えている。しかし怒りを体現したいのはこちらも同じだ。初対面の人間にこうも無茶な責任を言われたのだから。
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