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第三章 「好転」と「安らぎ」
第十五話
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未来視、ここでも出てくるのは鼓の存在だ。
「あの能力の本質は、未来の固定。鼓が見た未来は絶対なのです、書き換える未来をあらかじめ固定する。彼が未来を見た以上、鼓が行動を変えない限り未来は変化しない。今は未来視の力が弱い。しかし鼓が未来を見続けることができるようになったのならば――」
――未来は彼のものです。
おもわぬ有効打、特効能力だ。フォーチュンの能力者が鼓に肩入れする理由がはっきりした。
待ちわびられた能力なのだろう。渇望された能力、アスピレーションを壊滅させるために生まれた能力者だ。
「隕石を降らせる、なんて突飛なことはできません。通常あり得る未来を見るだけですから。しかし、その未来は絶対なのです。揺るがせない」
しかしわからない、なぜモノクロームの表情は暗いのか。
この話、むしろ都合のいい話ではないか。モノクロームが未来視の能力をアクセサリーにすれば、運命操作にだって対抗できる。
運命操作のアクセサリー化が難しくとも、未来視ならばアクセサリー化しやすい。未来視は決して、世界を都合よく書き換える能力ではないのだから。
むしろこちらにしてもおあつらえ向きな話じゃないか。打開の一手になりうる話。
「モノクロームは何をそんなに不安がっているのですか?」
返答は早い。口だけが動いた、あからさまな嘘。
「怖がってなどいませんよ」
「嘘ですよね。何か未来を見据えているかのようだ。あなたは……結末を見ている」
否定はない。実質的な肯定ともいえる。
しかしどんな未来を描いたというのだ、モノクローム。口にできないのだ、おそらくろくでもない未来なのだろう。
例えば、俺が死にゆく未来、などといった。
「もしモノクロームが思い描いた俺の結末が死ならば、この積み重ねは俺への苦なのかもしれませんね。あと少しで『死んだほうがましだから』と逝けたのに、今失命したならきっと後悔する。『もっとモノクロームと一緒に生きたかった』、きっとそう思ってしまう。俺は最後の最後で明るい未来を見てしまった」
ようやく開けそうな人生、それを目の前にした瞬間に終焉を迎えるなんて。それならば、開けない人生を目の前に終わりを迎えたほうがましだ。
俺は……すでにモノクロームとの未来を期待してしまったのだ。
「結末……」
彼女は呆然と天井を見上げた。そして喉を鳴らす。
「あの能力の本質は、未来の固定。鼓が見た未来は絶対なのです、書き換える未来をあらかじめ固定する。彼が未来を見た以上、鼓が行動を変えない限り未来は変化しない。今は未来視の力が弱い。しかし鼓が未来を見続けることができるようになったのならば――」
――未来は彼のものです。
おもわぬ有効打、特効能力だ。フォーチュンの能力者が鼓に肩入れする理由がはっきりした。
待ちわびられた能力なのだろう。渇望された能力、アスピレーションを壊滅させるために生まれた能力者だ。
「隕石を降らせる、なんて突飛なことはできません。通常あり得る未来を見るだけですから。しかし、その未来は絶対なのです。揺るがせない」
しかしわからない、なぜモノクロームの表情は暗いのか。
この話、むしろ都合のいい話ではないか。モノクロームが未来視の能力をアクセサリーにすれば、運命操作にだって対抗できる。
運命操作のアクセサリー化が難しくとも、未来視ならばアクセサリー化しやすい。未来視は決して、世界を都合よく書き換える能力ではないのだから。
むしろこちらにしてもおあつらえ向きな話じゃないか。打開の一手になりうる話。
「モノクロームは何をそんなに不安がっているのですか?」
返答は早い。口だけが動いた、あからさまな嘘。
「怖がってなどいませんよ」
「嘘ですよね。何か未来を見据えているかのようだ。あなたは……結末を見ている」
否定はない。実質的な肯定ともいえる。
しかしどんな未来を描いたというのだ、モノクローム。口にできないのだ、おそらくろくでもない未来なのだろう。
例えば、俺が死にゆく未来、などといった。
「もしモノクロームが思い描いた俺の結末が死ならば、この積み重ねは俺への苦なのかもしれませんね。あと少しで『死んだほうがましだから』と逝けたのに、今失命したならきっと後悔する。『もっとモノクロームと一緒に生きたかった』、きっとそう思ってしまう。俺は最後の最後で明るい未来を見てしまった」
ようやく開けそうな人生、それを目の前にした瞬間に終焉を迎えるなんて。それならば、開けない人生を目の前に終わりを迎えたほうがましだ。
俺は……すでにモノクロームとの未来を期待してしまったのだ。
「結末……」
彼女は呆然と天井を見上げた。そして喉を鳴らす。
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