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第五章 「結末」
第十九話
しおりを挟む「シオン……全てのアクセサリーはあなたが持っていてください。外せるものすべて、あなたに託します。そして治癒で傷を癒やすんです。その間に、私が全て終わらせます」
睨む。その先にいるものは鼓だ。
剣を構えたままに静止した男。その男、依然として動くことはない。青い瞳、未来をひたすらに見ている。
鼓、彼の目に映る未来が告げているのだろう、攻撃をしてはいけないと。
しかしモノクロームの本来の能力はアクセサリーありきだ。そのアクセサリーをほとんど俺に託すなど、一見すれば勝利を放棄するようなもの。
彼女は、一体開花で何を得た?
「モノクロームは……」
「私には、今はこの剣があればいい」
見下ろした剣、素朴ながらに装飾の込んだ剣だ。
見栄えはどこまでも美しい。芸術品のような剣、通常の武器としては、実用性を放棄したような剣。一つの装飾品だ、この武器は。モノクロームを惹きたてるための存在。
「十まではストックできる。けれど……クローバーならば決まっていますよね」
グリップに葉がついている。その葉、一ッ葉だった。しかしモノクロームがその剣を地に立てれば、その剣は様相を変える。
地からせりあがるように形状が変わってゆく。書き換わっていく、という方が近い。
内部が空洞となっている剣。しのぎだけ残し、その内部には彫刻。花の彫刻、シロツメクサとシオン。
蔦の中心、二つが寄り添い合っている。それを見て俺は目を伏せれば、照れ隠しに失笑を浮かべた。
「本当に、モノクロームのそのひたむきさには呆れさえしますよ」
すると彼女は無邪気に笑う。突き抜けるような笑顔、痛みを忘れさせるようだ。
「ふふっ、誉め言葉として受け取っておきます」
グリップの葉、四つ葉だ。一つ葉から十つ葉まであるクローバーの内、その葉の数を選んだのにはおそらく理由がある。
そうだ、俺は四つ葉のクローバーの花言葉を知っている。幸運、そして――
「『私のものになって』」
モノクロームが思考を読んだように告げる。
「……今更ですよ」
それにモノクロームが笑って答えれば、その剣を引き抜き低い声を吐き捨てた。
感じるのは明確な敵意。彼女らしからぬそれには絶対的な威圧感が籠っている。
「さぁ、復讐の時です」
周囲、剣が抜かれると同時にモノクロームの四方向から現れた四つの剣。回転し、宙へと浮かび上がったそれにも手の込んだ装飾が施されている。
モノクロームが手に持つものと同様だ、しのぎはあれども腹がない。腹の部分はほとんど彫刻のような装飾のみで形成されている。
対して鼓の背後、歩み寄ってくる四つの影。
その内の一人、和乃が鼓の前へと出る。
モノクロームを睨み、拳は堅く握りしめられている。怒りに震えている、目元には怒りから涙の一つでも浮かび上がりそうだ。親の仇かのようにモノクロームを敵視していた。
「勝負を判断するには早かったんじゃない?」
その正面、いつからか鎧が敷詰められている。
かつて見たものと同じだ、各種異なる武器を持った七つの鎧。ゆらゆらと蠢くように歩くたびに鎧同士が擦れあい、無機質な音が鳴り響く。
頭部、視界を確保するわずかな隙間からは光が走っている。それぞれの基調となる色に応じた光、それは暗闇に軌跡を描いていた。
「もう戦えないと思っていたんですけれどね」
「死なない限り、私たちは何度でも回復できる」
「そうでしたね……」
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