聖女(仮)になりまひた

Miki

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召喚されたようです

聖女(仮)になりまひた

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「あと私の主についてですが…」

 私を召喚したという人ですね。

「実はサク様を召喚された際に、多大な魔力を消費してしまい、今もまだ回復せず、自室から出れない状況にあります」

 …はい?

「本来なら聖女様のお話しについても、主からして頂く予定だったのですが、そのような状況なので、私からさせていただきました」

 こんなヘッポコを召喚してしまったがために、動けなくなったと?少し主様が哀れに思えた。
 ノア様からまたしても私の手を握られる。

「サク様のお力が開花すれば、大きな魔力を操れるようになると考えられます。そして、その魔力を主に分けて頂ければ、回復できるはずです」

 強い押しに少し身を引いてしまいそうになるが、ソファーに座ったままの私は体を傾けることしか出来なかった。

「その力を開花する方法って、何かあるんですか?」

「これまでの史実によれば、教会で祈りを捧げることで、聖女様の力が強められるとありました」

 方法あるのですね。なら、私もお祈りすれば、何かしらの力が目覚めるということか…。

 ここが元いた世界なら、『胡散臭い話』と、突っぱねるところだけど、今いる世界は違う。魔物、魔法というモノが、存在するというのだから、信じるしかない。
 でも…

「正直私はまだ自分が聖女とか信じられないです。もしかしたら力がないままという可能性もありますよ?」

 少しの間沈黙が流れる。ノア様は顎に指をそえて、なにやら考えている。そして、なにか思いついたようで、素敵な笑みとともにこう言われた。

「では、サク様の力が開花し、聖女として自信を持たれるまでは、聖女候補といたしましょう」

 あぁーなるほど。候補というだけなら、万が一そうでなかった場合も、言い訳ができますね。『あくまで私は候補だっただけです』と。

 しかし、このままの話の流れで、はい、やります、とやすやすと引き受けるのも怖い。私はしばらく考える。これを仕事として引き受けるなら、待遇内容は大切だ。

「分かりました。2つ程、私からお願いがあります。

 1つ目は、私が聖女だった場合も、そうでは無かった場合も、最低限の衣食住を保証してほしいです。大金はいらないです。生活ができるほどでかまいません。

 2つ目は、私がなんらかの形で役割を終えた時は、元の世界へ返してください。

 どうですか?お願いできますか?」

「1つ目の条件は、問題ございません。むしろこちらの勝手でサク様に来ていただきましたので、しっかりサポートいたします。
 もう1つの条件につきましては、申し訳ないのですが、これから専門の者に調べさせることになるので、必ず方法がある、とは保証できません」

 ですよね。聖女についての史実があると言うから、もしかしたら、と淡い期待があったが、帰還の情報は、やはり誰も知らないんだな。

「保証はできませんが、私どもが使えるものを最大限に利用し、期待に答えられるよう努めさせて頂く、という形でもよろしいでしょうか?」

 ノア様はまじめそうな方だ。やると言ったら大丈夫だろう、とは思うけれど、念には念を入れたほうがいいかな。

「もし見つからなかったらどうされますか?」

 まるで就職面接のいじわる質問だな、と我ながら思う。しかしノア様は、ひるまず即答する。

「見つかるまで私達は諦めません」

 ここまで言ってもらえたなら、私も頑張らないといけないかもしれない。

「分かりました。私も自分ができること、精一杯努めさせて頂きます」

 今だ握られている手をそっと離し、私は両手を前で軽く重ね置き、礼をした。

 こうして私は、所謂、聖女(仮)になりまひた。
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