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私が第二夫人?:新婚時代
夜明け前の贈り物
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生まれて初めて趣味らしい趣味が出来た明美は愉快だった。
人形を作る。ウィンドウで飾られるような出来栄えではない。てるてる坊主のようなシルエットで、点の集合体のような顔。一針一針丁寧にほぐしたベビーピンクの毛糸を頭に縫い付ける。
完成間近の人形の顔を明美はまじまじと見つめた。
端切れを筒状に縫い綿を詰め本体に縫い付けた。こんなものかな?
明美は人形を持ったまま立ち上がり他の人形が置いてある棚に向かった。他の家具と同じく白塗りの棚で、目隠しのようにブーケで覆われている。明美はブーケを退かし、茶髪の人形に尋ねた。
「ねえハリー。この子を仲間にしてくれる?」
ハリー人形は頷いたように見えた。視界のブレかもしれないがとりあえず頷いてくれた。新しい人形を緑髪の人形、スーザンの隣に置いた。
「きみの名前はグレイシー。スーザン、仲良くしてあげてね」
明美はフフッとブーケで人形を隠した。編み物をしていたフリーダが立ち上がった。
「エルサ様、冬の衣装はどうなさいますか?」
冬の衣装?
私はゆるりと円を描くように首を傾げた。
フリーダの眉間に微かな皺が寄った。怒らせたかも。見放されない? フリーダは小さく微笑んだ。
「ええ。もう10月ですから」
「そっか。もう10月なのねぇ」
「今度の冬は目も覚めるような赤とベージュ、可愛らしいピンクが流行るそうですわ」
「流行りに合わせてどうするの?」
社交の場はマカレナの仕事となっている。私の出る幕なんてない。今私のなすべきことは閣下を拒まないことくらい。
「閣下はどんな色がお好きなの?」
「エルサ様はどのような色がお好きですか?」
「え?」と私は目を見開いた。
そんなの分からない。考えても何もでない。色々と思い浮かべてみた。濃淡も含めて。けれど色を浮かべれば浮かべるほど混ざり合って混ざって泥のような色になった後、真っ白になった。何も分からない。自分についてちゃんと考えていなかったから? とりあえず似合う色は何?
「淡いピンク?」
小さな風の音が聞こえた。窓の外で1枚の落ち葉が舞った。
「エルサ様は今何色のドレスをお召になっていますか?」
「赤色じゃないの?」
「どのような赤ですか?」
「明るいけどくすんだ赤?」
「では私のドレスの色は?」
「渋い黄色でしょ?」
イチョウみたいな、と心の中で付け加える。
フリーダは微笑み、本棚を指さした。
「ではあの本の中で真っ先に目につくのは何色ですか?」
「ええと、あのサーモンピンクと緑のチェック模様の本」
「左様でございますか」とフリーダは微笑んだ。
何だったんだろう?
部屋にノック音が響いた。フリーダが応対した。閣下からの伝言を預かった従僕だった。
私は「今夜も部屋に来てって?」と頬杖をついた。
フリーダは「はい」と頷いた。
*
むくりと起き上がったヨハネスは横で眠るエリザベスに目を向けた。すやすやと体を丸めて眠っている。
「起きなさい、エリザベス」
エリザベスを起こそうと体を揺すった。エリザベスはもぞもぞと上体を捻った後、顰めた顔でこちらを見た。夜中に起こされたせいか機嫌が悪そうだ。エリザベスは小さくあくびをした後、にこやかな顔になった。
「何ですの? 閣下?」
「さきほど其方は誕生日を迎えた」
エリザベスは小さく首を傾げた。そして時計を見たエリザベスは納得したように頷いた。そう、11月2日0時だ。そのまま彼女が寝てしまいそうだったので、寝台の隣の引き出しから箱を取り出した。
「エリザベス、起きなさい。明日、いや、今日は予定があるので日中は家に居られぬのだ」
彼女の膝に箱を置いた。エリザベスは寝ぼけているようで蓋の真ん中を両手で摩った。ようやく箱を開けるとワアと小さく声を上げた。箱の中身は首飾りだ。
「サファイアですか?」
「いや、アイオライトだ。サファイアとアイオライトを間違えるのか?」
エリザベスは「今まで見たことがなかったものですから」と可愛らしく首を傾げた。
「そうか」
反応が微妙だな。やはりピンクの首飾りの方が良かったのか?
「やはり本の方が良かったか?」
「え?」
「其方はよく本を読むだろう?」
「最近はあまり読んでいませんので」とエリザベスは首飾りを着けてみた。
さすがに一日中本を読んでいれば飽きるか。と、言うことは遊びに連れ出すか?
「では行きたい所はあるか? 公の場以外で」
エリザベスは「行きたい所……」と首を傾げた。
目を忙しなく動かしている。なぜこの暗闇の中でこれほど表情が見えるのだろうか? カーテンの隙間から光が差し込んでいる。エリザベスはそっと寝台を抜け出し、窓辺に向かった。
「スケートに行きたいです」と私の方を見た。
人形を作る。ウィンドウで飾られるような出来栄えではない。てるてる坊主のようなシルエットで、点の集合体のような顔。一針一針丁寧にほぐしたベビーピンクの毛糸を頭に縫い付ける。
完成間近の人形の顔を明美はまじまじと見つめた。
端切れを筒状に縫い綿を詰め本体に縫い付けた。こんなものかな?
明美は人形を持ったまま立ち上がり他の人形が置いてある棚に向かった。他の家具と同じく白塗りの棚で、目隠しのようにブーケで覆われている。明美はブーケを退かし、茶髪の人形に尋ねた。
「ねえハリー。この子を仲間にしてくれる?」
ハリー人形は頷いたように見えた。視界のブレかもしれないがとりあえず頷いてくれた。新しい人形を緑髪の人形、スーザンの隣に置いた。
「きみの名前はグレイシー。スーザン、仲良くしてあげてね」
明美はフフッとブーケで人形を隠した。編み物をしていたフリーダが立ち上がった。
「エルサ様、冬の衣装はどうなさいますか?」
冬の衣装?
私はゆるりと円を描くように首を傾げた。
フリーダの眉間に微かな皺が寄った。怒らせたかも。見放されない? フリーダは小さく微笑んだ。
「ええ。もう10月ですから」
「そっか。もう10月なのねぇ」
「今度の冬は目も覚めるような赤とベージュ、可愛らしいピンクが流行るそうですわ」
「流行りに合わせてどうするの?」
社交の場はマカレナの仕事となっている。私の出る幕なんてない。今私のなすべきことは閣下を拒まないことくらい。
「閣下はどんな色がお好きなの?」
「エルサ様はどのような色がお好きですか?」
「え?」と私は目を見開いた。
そんなの分からない。考えても何もでない。色々と思い浮かべてみた。濃淡も含めて。けれど色を浮かべれば浮かべるほど混ざり合って混ざって泥のような色になった後、真っ白になった。何も分からない。自分についてちゃんと考えていなかったから? とりあえず似合う色は何?
「淡いピンク?」
小さな風の音が聞こえた。窓の外で1枚の落ち葉が舞った。
「エルサ様は今何色のドレスをお召になっていますか?」
「赤色じゃないの?」
「どのような赤ですか?」
「明るいけどくすんだ赤?」
「では私のドレスの色は?」
「渋い黄色でしょ?」
イチョウみたいな、と心の中で付け加える。
フリーダは微笑み、本棚を指さした。
「ではあの本の中で真っ先に目につくのは何色ですか?」
「ええと、あのサーモンピンクと緑のチェック模様の本」
「左様でございますか」とフリーダは微笑んだ。
何だったんだろう?
部屋にノック音が響いた。フリーダが応対した。閣下からの伝言を預かった従僕だった。
私は「今夜も部屋に来てって?」と頬杖をついた。
フリーダは「はい」と頷いた。
*
むくりと起き上がったヨハネスは横で眠るエリザベスに目を向けた。すやすやと体を丸めて眠っている。
「起きなさい、エリザベス」
エリザベスを起こそうと体を揺すった。エリザベスはもぞもぞと上体を捻った後、顰めた顔でこちらを見た。夜中に起こされたせいか機嫌が悪そうだ。エリザベスは小さくあくびをした後、にこやかな顔になった。
「何ですの? 閣下?」
「さきほど其方は誕生日を迎えた」
エリザベスは小さく首を傾げた。そして時計を見たエリザベスは納得したように頷いた。そう、11月2日0時だ。そのまま彼女が寝てしまいそうだったので、寝台の隣の引き出しから箱を取り出した。
「エリザベス、起きなさい。明日、いや、今日は予定があるので日中は家に居られぬのだ」
彼女の膝に箱を置いた。エリザベスは寝ぼけているようで蓋の真ん中を両手で摩った。ようやく箱を開けるとワアと小さく声を上げた。箱の中身は首飾りだ。
「サファイアですか?」
「いや、アイオライトだ。サファイアとアイオライトを間違えるのか?」
エリザベスは「今まで見たことがなかったものですから」と可愛らしく首を傾げた。
「そうか」
反応が微妙だな。やはりピンクの首飾りの方が良かったのか?
「やはり本の方が良かったか?」
「え?」
「其方はよく本を読むだろう?」
「最近はあまり読んでいませんので」とエリザベスは首飾りを着けてみた。
さすがに一日中本を読んでいれば飽きるか。と、言うことは遊びに連れ出すか?
「では行きたい所はあるか? 公の場以外で」
エリザベスは「行きたい所……」と首を傾げた。
目を忙しなく動かしている。なぜこの暗闇の中でこれほど表情が見えるのだろうか? カーテンの隙間から光が差し込んでいる。エリザベスはそっと寝台を抜け出し、窓辺に向かった。
「スケートに行きたいです」と私の方を見た。
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