17 / 32
第17話 作戦
しおりを挟む
二階堂圭吾。それが、ニケの本名だ。
二階堂家は昔から医薬品メーカーとして、新薬の研究開発から臨床試験、製造、供給に至るまで幅広く取り扱っている。一族の長であるニケの家は主に研究、開発に従事しているらしく、ニケの兄は二階堂メディカルアカデミーという研究機関で副所長をしているという。一族には医者も多くおり、ニケの妹は臨床医。従姉や叔父にも医者がいる。祖父が二階堂家を総括している会長であり、ニケの父はその下で取締役としていくつかの会社を束ねる社長だと教えられた。
「……思ったより、だ~いぶ規模が大きいわね」
志麻が顔を引き攣らせ、笑った。
都内のコーヒーショップで、ニケを交えての最終打ち合わせ。果たしてうまくいくのかどうか、判断がつかない状態だ。しかし、受けてしまったからにはやるしかあるまい。あとは野となれ山となれ、である。
「パーティーの参加者も多岐に渡ってるわ。政界関係者から芸能界、財界、色々ね。そんな中でどんな騒動を起こすのが有効なのか、私なりに考えてみた」
ルーズリーフを取り出し、テーブルに並べる。
「まず、今回は私と雨歌、二人体制でやりましょう」
「志麻先輩も?」
雨歌の目が輝く。志麻は、今でこそ演出業ばかりだが、昔はよく演劇部の舞台に立っていた。長身で、見た目も中性的。女子生徒のアイドル的存在だったこともある。 志麻の芝居は大胆で、その相貌も相まって人の目を引き付ける。
「私は全身ブランドで固めた駆け出しモデル。雨歌は田舎から出てきた歌手を夢見る女の子。ニケさんには二股かけてもらうことにした」
「えっ? ふ、二股ですかっ?」
ニケが慌てる。そういうタイプではないのだろうことは、わかっている。
「とにかく、ご両親や集まった親戚筋にガッカリしてもらうことが目的だから。不本意かもしれませんけど、お願いします」
「あっ、いやとんでもない。こちらこそよろしくお願いします。……ただ、僕に二股が務まるかどうか」
真面目な顔で、悩み始める。
「それでいいんです。ニケさんは真面目だから、私と雨歌を前に『どちらか一人を選ぶことができない』で構いません」
「優柔不断ですね……」
「ええ。それを狙ってます」
志麻の説明を聞き、タジタジになるニケ。
「私と雨歌の設定はこれ」
役作りのための資料を見せる。
志麻が演じるのは柏木《かしわぎ》シエラ、二十五歳。裕福な家庭の出で、幼いころから周りにチヤホヤされて育ってきたお嬢タイプ。ニケに近付いたのはミーハー心。しかし、財閥の御曹司だと知り、本気になる。
それに対し雨歌が演じるのは風森千翔《かぜもりちか》、二十歳。地方出身で母子家庭。幼いころから貧乏だった千翔は、歌手を夢見て都会に出てくるも、未だ芽は出ず。ニケに近付いたのは、チャンスを手にするため。
「……すごい。こんなに細かく人物像を掘り下げるんですね」
資料を見たニケはただ感心するばかりだ。
「ここからさらに深堀りするんです。ニケさんがシエラと千翔のどこに惹かれているのか。交際からどのくらい経っているか、二人のデートコース、思い出の場所、エピソード。その辺を詰めていきましょう」
「……えええ」
若干引き気味のニケを巻き込み、二階堂家パーティー引っ掻き回し作戦という名のお芝居が、幕を開けるのである。
◇
「ねぇ、この子……」
楽屋でマネージャーに携帯を差し出したのは、女優の出流。
三十五歳とは思えない若々しい姿に、どんな役でも完ぺきにこなす演技力。そして見た目の華やかさ。今、一番売れている女優だと言っても過言ではないだろう。
「どれです?」
出流のマネージャーである畑山沙織が画面を覗き込む。それは、ここ最近話題になっているWebで流れるCMだった。
公園で男女が別れ話をしている。
別れを告げられた少女は、すべてを受け入れ悲し気に微笑みを浮かべる。
男性が一瞬だけ少女を抱き締め、苦し気に顔を歪ませその場から走り去る。
「Unstoppable Time ──時間を超える愛」
というテロップが流れ、腕時計が映るショートバージョン。
更にそのあと、大人になった少女が傘を差し公園を歩き、男性とすれ違う。
すれ違った瞬間、なにかを感じ、立ち止まる女性。
同じように男性も立ち止まり、振り向く。視線と視線がぶつかり、すべてを思い出す二人。傘を投げ出すと同時に曲が流れ、雨が止み、空が明るくなる。
駆け寄る二人のスローモーションに虹が掛かる。
抱き合った二人は見つめ合い、額を付け合う。微笑む女性の頬には一筋の涙が流れ、
「時間は変わらない。でも、君がいるなら、すべてが変わる──」
のナレーションが入るロングバージョン。
「話題になってるやつですね。ENDのONAGAが出てるし、ドラマ仕立てなんで目を引くし」
「……そう、話題になってるのね」
納得したようにそう口にする。
この映像を見て驚いたのは、少女を演じている女優の演技だ。一人の人間が少女と大人の女性を演じることはドラマや映画でも多々ある。衣装やメイクでどうにでもできるし、さしたる技術もいらない。ただ、この女優は、大人になった状態でありながら、再会した時に一瞬だけ「少女」に戻っている。額を付けたあの時、明らかに少女だった頃の表情をしてみせた。このショートムービーを見て驚くのは、構成の素晴らしさもあるが、それにきっちり応える演技をしているところだろう。
「この映像が何か?」
「その子、来るわよ」
出流が言った。畑山沙織は、ハッとして話を続ける。
「そう! 出流さんっ、私もそう思ったんです! この子絶対来るだろうな、って。だから調べたんですよ、どこの事務所の子なんだろうって。そしたら!」
「……そしたら?」
「情報、ないんです」
「……え?」
出流が眉を寄せた。
「この女優、まだ事務所に入ってないのかなんなのか、名前が出てきませんでした。出流さんのロケの合間に、他の事務所の方と話す機会があって聞いてみたんですけど、界隈でも秘かに話題みたいですよ。出してみたいって言ってる局もあるとか」
名前を出さないというのは、プロモーション活動の一環なのだろうか? と出流は考える。確かに謎があると、人間は探求心でその謎を解き明かしたくなるものだ。目を引くにはいいやり方かもしれない。しかし名を明かさなければ次の仕事に繋がらないとも言える。
「へぇ、面白いわね」
大して面白そうでもない口調でそう口にした。
「調べますか?」
出流がこんな風に他人に興味を持つことは珍しい。沙織は気を利かせたつもりだったが、
「ううん、必要ない」
と即答されてしまう。
「それより、二階堂院長のパーティーって、何着るの?」
普段ならパーティーなど、誘われても行かないのだが、相手が二階堂なら話は変わる。若い頃、やんごとなき事情だった時に助けてもらった恩があった。今回はただの懇親会だという話だ。肩肘張らずに参加できそうで安心だった。なにしろ台詞のない場というのは、何を話せばいいかさっぱりわからないのだ。
「前回は着物でしたから、今回はドレスでいいと思います。何着か用意しておきます」
「お願いね」
そう言うと、鏡に向き直る。今日はバラエティー番組への出演だ。今度封切りになる映画の番宣だから仕方がないが、バラエティーは台本がないから苦手だ。しかし、黙っていては存在を認識してもらえない。仕方なく、出流は「天然お惚けキャラ」を演じることにした。素の自分があまりに地味で目を引かないため、無理矢理作ったのだ。この設定ならば、多少ちぐはぐなことを口にしても「天然だからな」で納得してもらえる。更に、普段天然キャラな出流が、舞台や映画で真面目な役を演じると、そのギャップだけで演技力が高いと評価されるのだから非常にありがたい。
「出流さん、そろそろスタジオ入り、お願いしまーす!」
ディレクターが楽屋の外から声を掛ける。出流は小さく息を吐き出すと、立ち上がった。
二階堂家は昔から医薬品メーカーとして、新薬の研究開発から臨床試験、製造、供給に至るまで幅広く取り扱っている。一族の長であるニケの家は主に研究、開発に従事しているらしく、ニケの兄は二階堂メディカルアカデミーという研究機関で副所長をしているという。一族には医者も多くおり、ニケの妹は臨床医。従姉や叔父にも医者がいる。祖父が二階堂家を総括している会長であり、ニケの父はその下で取締役としていくつかの会社を束ねる社長だと教えられた。
「……思ったより、だ~いぶ規模が大きいわね」
志麻が顔を引き攣らせ、笑った。
都内のコーヒーショップで、ニケを交えての最終打ち合わせ。果たしてうまくいくのかどうか、判断がつかない状態だ。しかし、受けてしまったからにはやるしかあるまい。あとは野となれ山となれ、である。
「パーティーの参加者も多岐に渡ってるわ。政界関係者から芸能界、財界、色々ね。そんな中でどんな騒動を起こすのが有効なのか、私なりに考えてみた」
ルーズリーフを取り出し、テーブルに並べる。
「まず、今回は私と雨歌、二人体制でやりましょう」
「志麻先輩も?」
雨歌の目が輝く。志麻は、今でこそ演出業ばかりだが、昔はよく演劇部の舞台に立っていた。長身で、見た目も中性的。女子生徒のアイドル的存在だったこともある。 志麻の芝居は大胆で、その相貌も相まって人の目を引き付ける。
「私は全身ブランドで固めた駆け出しモデル。雨歌は田舎から出てきた歌手を夢見る女の子。ニケさんには二股かけてもらうことにした」
「えっ? ふ、二股ですかっ?」
ニケが慌てる。そういうタイプではないのだろうことは、わかっている。
「とにかく、ご両親や集まった親戚筋にガッカリしてもらうことが目的だから。不本意かもしれませんけど、お願いします」
「あっ、いやとんでもない。こちらこそよろしくお願いします。……ただ、僕に二股が務まるかどうか」
真面目な顔で、悩み始める。
「それでいいんです。ニケさんは真面目だから、私と雨歌を前に『どちらか一人を選ぶことができない』で構いません」
「優柔不断ですね……」
「ええ。それを狙ってます」
志麻の説明を聞き、タジタジになるニケ。
「私と雨歌の設定はこれ」
役作りのための資料を見せる。
志麻が演じるのは柏木《かしわぎ》シエラ、二十五歳。裕福な家庭の出で、幼いころから周りにチヤホヤされて育ってきたお嬢タイプ。ニケに近付いたのはミーハー心。しかし、財閥の御曹司だと知り、本気になる。
それに対し雨歌が演じるのは風森千翔《かぜもりちか》、二十歳。地方出身で母子家庭。幼いころから貧乏だった千翔は、歌手を夢見て都会に出てくるも、未だ芽は出ず。ニケに近付いたのは、チャンスを手にするため。
「……すごい。こんなに細かく人物像を掘り下げるんですね」
資料を見たニケはただ感心するばかりだ。
「ここからさらに深堀りするんです。ニケさんがシエラと千翔のどこに惹かれているのか。交際からどのくらい経っているか、二人のデートコース、思い出の場所、エピソード。その辺を詰めていきましょう」
「……えええ」
若干引き気味のニケを巻き込み、二階堂家パーティー引っ掻き回し作戦という名のお芝居が、幕を開けるのである。
◇
「ねぇ、この子……」
楽屋でマネージャーに携帯を差し出したのは、女優の出流。
三十五歳とは思えない若々しい姿に、どんな役でも完ぺきにこなす演技力。そして見た目の華やかさ。今、一番売れている女優だと言っても過言ではないだろう。
「どれです?」
出流のマネージャーである畑山沙織が画面を覗き込む。それは、ここ最近話題になっているWebで流れるCMだった。
公園で男女が別れ話をしている。
別れを告げられた少女は、すべてを受け入れ悲し気に微笑みを浮かべる。
男性が一瞬だけ少女を抱き締め、苦し気に顔を歪ませその場から走り去る。
「Unstoppable Time ──時間を超える愛」
というテロップが流れ、腕時計が映るショートバージョン。
更にそのあと、大人になった少女が傘を差し公園を歩き、男性とすれ違う。
すれ違った瞬間、なにかを感じ、立ち止まる女性。
同じように男性も立ち止まり、振り向く。視線と視線がぶつかり、すべてを思い出す二人。傘を投げ出すと同時に曲が流れ、雨が止み、空が明るくなる。
駆け寄る二人のスローモーションに虹が掛かる。
抱き合った二人は見つめ合い、額を付け合う。微笑む女性の頬には一筋の涙が流れ、
「時間は変わらない。でも、君がいるなら、すべてが変わる──」
のナレーションが入るロングバージョン。
「話題になってるやつですね。ENDのONAGAが出てるし、ドラマ仕立てなんで目を引くし」
「……そう、話題になってるのね」
納得したようにそう口にする。
この映像を見て驚いたのは、少女を演じている女優の演技だ。一人の人間が少女と大人の女性を演じることはドラマや映画でも多々ある。衣装やメイクでどうにでもできるし、さしたる技術もいらない。ただ、この女優は、大人になった状態でありながら、再会した時に一瞬だけ「少女」に戻っている。額を付けたあの時、明らかに少女だった頃の表情をしてみせた。このショートムービーを見て驚くのは、構成の素晴らしさもあるが、それにきっちり応える演技をしているところだろう。
「この映像が何か?」
「その子、来るわよ」
出流が言った。畑山沙織は、ハッとして話を続ける。
「そう! 出流さんっ、私もそう思ったんです! この子絶対来るだろうな、って。だから調べたんですよ、どこの事務所の子なんだろうって。そしたら!」
「……そしたら?」
「情報、ないんです」
「……え?」
出流が眉を寄せた。
「この女優、まだ事務所に入ってないのかなんなのか、名前が出てきませんでした。出流さんのロケの合間に、他の事務所の方と話す機会があって聞いてみたんですけど、界隈でも秘かに話題みたいですよ。出してみたいって言ってる局もあるとか」
名前を出さないというのは、プロモーション活動の一環なのだろうか? と出流は考える。確かに謎があると、人間は探求心でその謎を解き明かしたくなるものだ。目を引くにはいいやり方かもしれない。しかし名を明かさなければ次の仕事に繋がらないとも言える。
「へぇ、面白いわね」
大して面白そうでもない口調でそう口にした。
「調べますか?」
出流がこんな風に他人に興味を持つことは珍しい。沙織は気を利かせたつもりだったが、
「ううん、必要ない」
と即答されてしまう。
「それより、二階堂院長のパーティーって、何着るの?」
普段ならパーティーなど、誘われても行かないのだが、相手が二階堂なら話は変わる。若い頃、やんごとなき事情だった時に助けてもらった恩があった。今回はただの懇親会だという話だ。肩肘張らずに参加できそうで安心だった。なにしろ台詞のない場というのは、何を話せばいいかさっぱりわからないのだ。
「前回は着物でしたから、今回はドレスでいいと思います。何着か用意しておきます」
「お願いね」
そう言うと、鏡に向き直る。今日はバラエティー番組への出演だ。今度封切りになる映画の番宣だから仕方がないが、バラエティーは台本がないから苦手だ。しかし、黙っていては存在を認識してもらえない。仕方なく、出流は「天然お惚けキャラ」を演じることにした。素の自分があまりに地味で目を引かないため、無理矢理作ったのだ。この設定ならば、多少ちぐはぐなことを口にしても「天然だからな」で納得してもらえる。更に、普段天然キャラな出流が、舞台や映画で真面目な役を演じると、そのギャップだけで演技力が高いと評価されるのだから非常にありがたい。
「出流さん、そろそろスタジオ入り、お願いしまーす!」
ディレクターが楽屋の外から声を掛ける。出流は小さく息を吐き出すと、立ち上がった。
80
あなたにおすすめの小説
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
「無能な妻」と蔑まれた令嬢は、離婚後に隣国の王子に溺愛されました。
腐ったバナナ
恋愛
公爵令嬢アリアンナは、魔力を持たないという理由で、夫である侯爵エドガーから無能な妻と蔑まれる日々を送っていた。
魔力至上主義の貴族社会で価値を見いだされないことに絶望したアリアンナは、ついに離婚を決断。
多額の慰謝料と引き換えに、無能な妻という足枷を捨て、自由な平民として辺境へと旅立つ。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる