7 / 33
英雄と親友と令嬢と
公爵家で決闘を
しおりを挟む
「勇者様っ!!!」
「シュン殿。・・・・・・・・・隣のお方が、レイ様ですか?」
少女の声と、男性の声は重なった。男性は、すぐに俺に対して告げ、少女の場合はシュンを勇者様、と呼んだ。
「ん?そうだよ~僕の大親友で、チートの頂点、レイだよ!」
「その説明で大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫」
ただシュンの親友という説明だけで納得出来るのだろうか。
仮にもこの場所は、国で二番目に偉い地位を持つ公爵家、その当主の前だろうに。
しかし、心配は杞憂だったようで、男性は俺に対して何も咎めなかった。
代わりに、少女が口を開く。
「勇者様の大親友?・・・・・・・・・・・・!!じゃあ、貴方があの、英雄様?」
_ふむ。シュンは俺の事を何て言ったんだ?
少し鋭い目でシュンを見ると、下手な口笛を吹きながら顔を背けていた。アイツ。
_さて、この質問にはどう答えようか。シュンのことはバレていることだし、何よりも肩書きが無いと面倒かもしれないな。
そう判断した俺は、少女の問いに頷いた。
「そうだな。俺は、ごく普通の、平凡な英雄だ」
◆◇◆◇◆
風がそよぐ中庭で、俺は前方に構える少年と対峙していた。
_何故こうなったんだ。
俺が普通の英雄だと告げた瞬間に、後ろの扉が開き、この少年が飛び込んできたのだ。
そして、開け口一番にこう告げた。
「俺と決闘しろ!」
もちろん、断ったし、シュンにも助けを求めたのだが、相手が悪かった。
対面する少年は、ピクリスト・レイニーン。この国の第二王子なのだ。
結局、シュンの頼みという事で引き受け、現状に至る訳だが、どうにも納得がいかない。
どうして、偽装、または隠蔽系の魔道具を譲ってもらいに来たのに、こんな少年の相手をしなくてはならないのだろうか。
勿論、戦う事が嫌いな訳ではない。戦闘狂に近い感性を持つ自覚もあるが、好き好んで青二才の相手をするのは面倒なのだ。
「決闘のルールを確認する。勝敗は、片方の降参宣言または審判による戦闘不能の判定。制限としては、相手に永続的な日常的害の残る傷を負わせることを禁止、また、剣技、魔法の使用も禁止とする」
最後の、剣技と魔法の禁止は俺に対する制限だ。この2つを可能にすると、勝敗など一瞬で付くだろう。
「それでは、試合を開始する。公爵家長女であるエリシアを賭けた決闘、始め!!!」
_んん!!?!?!
「おい、ちょっとまっ「貰ったあああ!!!」」
不穏な言葉を聞き、真意を問おうと振り向くと、それを好機と思ったのか、少年は突撃してきた。
普段の俺ならば、こんなものは無意識にでも反撃して沈められるだろう。
_仮にも、レイニーンの名を継ぐ者ではあるか。
そう考えらざるおえない状態だった。
なんと、少年の足は淡く輝き、瞬間的に俺の”素の身体能力”と同等まで引き上げられているのだ。
つまり、実質的には少年の元の身体能力の、およそ1万倍である。
_5階級技能<神速>
かつて、歩兵軍の隊長を務め、無類無き速度で敵を屠った人物だ。
彼の持っていた固有技能が、その子孫にも受け継がれているのだろう。
「フッ!!」
咄嗟に右腕を高速で振り下ろし、回し蹴りを放った。
その速度に付いてこれなかった少年は、自身の速度も相まって、驚異的な速度で吹き飛ばされた。
ただ、外傷は0だ。全てのダメージが、蟻に噛まれた程度の傷にしかなっていない。
勿論、痛みはそのまま感じてしまうが、そこはあの一族だ。
期待を裏切らず、吹き飛ばされ、叩きつけられた壁から起き上がってきた。
「なるほど。興味が沸いた。少年、君の全力の力を見せてくれ」
「偉そうにッ!!」
事実、偉いのだから仕方無いだろう。
仮にも、世界で最も多く人を殺し、そして最強を誇ったのだ。
流石に、”人の身”では無理な敵も存在するのだが、その話はまた別の機会に。
苛立ちを隠さない少年は、先ほどよりも速くなって突撃してきた。
その速度に、攻撃の練度も合わさると最高なのに、と感じてしまうのは否めない。
この速度からの的確な一撃を繰り出せれば、最強の一角に立てるだろう。
少年の祖先がそうして敵を屠り続けたように。
そんな事を考えながら、拙い攻撃を防ぐ俺に対して、シュンは何時ものように輝いた視線を向けてくる。
公爵家の男性と少女は、驚きを隠せない状態で、放心しているようだ。
目と口を大きく開いて、その場に立ち尽くしている。
暖かな風と日差しが眠気を誘う中、中庭には、激しい攻撃と、眠そうな少年が立っていた。
もしかしたら、運動にすらなっていないのかもしれない。
「シュン殿。・・・・・・・・・隣のお方が、レイ様ですか?」
少女の声と、男性の声は重なった。男性は、すぐに俺に対して告げ、少女の場合はシュンを勇者様、と呼んだ。
「ん?そうだよ~僕の大親友で、チートの頂点、レイだよ!」
「その説明で大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫」
ただシュンの親友という説明だけで納得出来るのだろうか。
仮にもこの場所は、国で二番目に偉い地位を持つ公爵家、その当主の前だろうに。
しかし、心配は杞憂だったようで、男性は俺に対して何も咎めなかった。
代わりに、少女が口を開く。
「勇者様の大親友?・・・・・・・・・・・・!!じゃあ、貴方があの、英雄様?」
_ふむ。シュンは俺の事を何て言ったんだ?
少し鋭い目でシュンを見ると、下手な口笛を吹きながら顔を背けていた。アイツ。
_さて、この質問にはどう答えようか。シュンのことはバレていることだし、何よりも肩書きが無いと面倒かもしれないな。
そう判断した俺は、少女の問いに頷いた。
「そうだな。俺は、ごく普通の、平凡な英雄だ」
◆◇◆◇◆
風がそよぐ中庭で、俺は前方に構える少年と対峙していた。
_何故こうなったんだ。
俺が普通の英雄だと告げた瞬間に、後ろの扉が開き、この少年が飛び込んできたのだ。
そして、開け口一番にこう告げた。
「俺と決闘しろ!」
もちろん、断ったし、シュンにも助けを求めたのだが、相手が悪かった。
対面する少年は、ピクリスト・レイニーン。この国の第二王子なのだ。
結局、シュンの頼みという事で引き受け、現状に至る訳だが、どうにも納得がいかない。
どうして、偽装、または隠蔽系の魔道具を譲ってもらいに来たのに、こんな少年の相手をしなくてはならないのだろうか。
勿論、戦う事が嫌いな訳ではない。戦闘狂に近い感性を持つ自覚もあるが、好き好んで青二才の相手をするのは面倒なのだ。
「決闘のルールを確認する。勝敗は、片方の降参宣言または審判による戦闘不能の判定。制限としては、相手に永続的な日常的害の残る傷を負わせることを禁止、また、剣技、魔法の使用も禁止とする」
最後の、剣技と魔法の禁止は俺に対する制限だ。この2つを可能にすると、勝敗など一瞬で付くだろう。
「それでは、試合を開始する。公爵家長女であるエリシアを賭けた決闘、始め!!!」
_んん!!?!?!
「おい、ちょっとまっ「貰ったあああ!!!」」
不穏な言葉を聞き、真意を問おうと振り向くと、それを好機と思ったのか、少年は突撃してきた。
普段の俺ならば、こんなものは無意識にでも反撃して沈められるだろう。
_仮にも、レイニーンの名を継ぐ者ではあるか。
そう考えらざるおえない状態だった。
なんと、少年の足は淡く輝き、瞬間的に俺の”素の身体能力”と同等まで引き上げられているのだ。
つまり、実質的には少年の元の身体能力の、およそ1万倍である。
_5階級技能<神速>
かつて、歩兵軍の隊長を務め、無類無き速度で敵を屠った人物だ。
彼の持っていた固有技能が、その子孫にも受け継がれているのだろう。
「フッ!!」
咄嗟に右腕を高速で振り下ろし、回し蹴りを放った。
その速度に付いてこれなかった少年は、自身の速度も相まって、驚異的な速度で吹き飛ばされた。
ただ、外傷は0だ。全てのダメージが、蟻に噛まれた程度の傷にしかなっていない。
勿論、痛みはそのまま感じてしまうが、そこはあの一族だ。
期待を裏切らず、吹き飛ばされ、叩きつけられた壁から起き上がってきた。
「なるほど。興味が沸いた。少年、君の全力の力を見せてくれ」
「偉そうにッ!!」
事実、偉いのだから仕方無いだろう。
仮にも、世界で最も多く人を殺し、そして最強を誇ったのだ。
流石に、”人の身”では無理な敵も存在するのだが、その話はまた別の機会に。
苛立ちを隠さない少年は、先ほどよりも速くなって突撃してきた。
その速度に、攻撃の練度も合わさると最高なのに、と感じてしまうのは否めない。
この速度からの的確な一撃を繰り出せれば、最強の一角に立てるだろう。
少年の祖先がそうして敵を屠り続けたように。
そんな事を考えながら、拙い攻撃を防ぐ俺に対して、シュンは何時ものように輝いた視線を向けてくる。
公爵家の男性と少女は、驚きを隠せない状態で、放心しているようだ。
目と口を大きく開いて、その場に立ち尽くしている。
暖かな風と日差しが眠気を誘う中、中庭には、激しい攻撃と、眠そうな少年が立っていた。
もしかしたら、運動にすらなっていないのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる