隠れ御曹司の恋愛事情

秋月朔夕

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 彼の前で自分から肌を曝け出す羞恥に耐えきれず、自分から彼に強請る。

「ええ。もちろん」

 ほんの一瞬。彼の呼吸が浅くなったのを確かに聞いた。
 彼の長い指がシャツの裾を持ち上げ、脱がされる。
 外気に触れた胸の先が触れられてもいないのに、立ち上がる。

「ああ、やっぱりノーブラだったんですね」

 わざわざそれを指摘されると恥ずかしくて堪らない。早くシャワーに入ってしまいたい。けれど、彼は一向に服を脱ぐ様子はない。

(わたしはもうショーツ一枚だけなのに)

 自分だけが服を脱いでいる状況が羞恥を増幅させる。

「桐山くんは脱がないの?」

 やっぱりわたし一人でシャワーを浴びて良いのだろうか?
 そろりと視線を上げれば、彼は艶やかに微笑んだ。

「桃子さんから脱がせてください」
「え……」
「僕だけが貴女を脱がせるのはフェアじゃないでしょう? それとも僕にこのまま視姦されます?」


 じっとりとした視線を向けられて、わたしは彼の言う通りに動くことを選んだ。
 とりあえず脱がせるのは上からで良いだろうか?
 シャツのボタンに手を掛ける。緊張に震えそうになる自分の手に力を込めて、なんとか一つ、二つ、と外していく。

(良かった。なんとかなりそう)

 そう安堵したのも束の間。三つ目のボタンを外そうとすれば、彼がわたしの背を意味深に撫で上げる。

「…………ぁ」

 ただ背中を撫でられただけなのに、大袈裟なまでに反応をしてしまった。


「やらしい。昨日の今日でもう気持ちいいこと覚えたんですか?」
「ちが……」

 ふるふると首を横に振っても、さっき反応してしまったことで説得力がないだろう。それどころか……

「可愛い。ほら、僕を脱がせてください」

 彼の手がお尻に触れる。

「やっ……触っちゃ、だめ」
「どうしてです? 感じていないのなら、僕がどこを触っても良いでしょう?」

 わたしを追い詰めるための材料にされた。
 最初は触るか、触らないかのフェザータッチだったのに、ゆるやかに円を描くように、撫でられる。
 大きな手が包み込むようにお尻の柔らかい肉を揉み込んだかと思うと、ペしりと手の甲を使って叩かれる。


「ほら、早く僕を脱がさないとずっとこのままですよ? それとも悪戯されたくてわざとやっています?」

 もう一度お尻を叩かれる。ペシン、と音はしたものの、痛みはない。けれえど、わざと音を立てられたことで、被虐的に責められている事実を耳で知らされてしまう。


(早く脱がせないと、ずっとこのまま……)

 狭い脱衣場で立ったままの状態で、被虐的な悪戯が続けられるのだ。

「ちゃんと脱がせるから……」

 だから、止めてと懇願する。こんな行為に悦びを見出したら、それこそ性癖が歪んでしまいそうだ。
 その思いで三つ目のボタンを外そうとしたのに。
 彼の手がショーツのクロッチ部分をなぞり始める。

「あ……っ」


 いやらしい彼の手から腰を引いて逃れようとすれば、抱き止められる。隙間なく密着した体勢。こんな状態で服なんか脱がせられるはずもない。
 彼だってそれが分かっているはずなのに、不埒な手は一向に責めを緩めようとはしなかった。
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