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王都
5
日も高く上がりきった頃、
セナ、ミエルの診察を受け魔力波形も安定していた。
「今日は無理せずに、な。」
「……?」
「陛下が、早急に“魔力測定”を望んでおられるから。」
はるの指先が、きゅっと強張る。
「……そ、っか…」
「しかし、強制的な発動はさせない。
測定も、セナとミエルの立ち会いのもとで行う。
無理はしないでくれ。」
「……ありがとう」
はるは小さく笑った。
その様子を、少し離れた部屋の扉に寄りかかり静かに見つめる影がある。
カエルスだった。
腕を組み、表情を崩さず、だが確かに――思案している。
(……守る、か)
第二騎士団長の姿勢は、あまりに一貫している。
命令でも、理想でもない。
ただ“守る”という選択。
(それほどの価値が、この少年にあるというのか)
カエルスは、無意識に剣の柄に手を置いた。
その瞬間。
――ひたり。
背筋を、冷たいものが撫でた。
“見られている”。
視線ではない。
気配でもない。
もっと深いところから――。
カエルスは、思わず振り返る。
そこには誰もいない。
ただ、朝の光が差し込む回廊だけ。
(……錯覚か)
だが、胸の奥に残った不快な感覚は消えなかった。
その後、はるはセナとミエルに付き添われ、王城から数分離れた魔法を研究する魔道科の塔の地下の魔力測定室へ向かった。
巨大な魔法陣に
壁一面に刻まれた古代文字。
「……すごい…!……」
フードが落ちてしまわないように片手で押さえながらきょろきょろと見回し思わず呟くはるに、ミエルが苦笑する。
「ここは、王国でも数えるほどしか使われない場所です。
“根源魔力”に触れる者のための――ね」
その言葉に、セナの眉がわずかに動く。
「余計なことを言うな」
「…?」
「失礼」
ミエルは肩をすくめた。
アルバートは、はるの正面に立つ。
「辛かったり、怖かったら、やめる。
変だと思ったら、すぐ言ってくれ。」
はるは、少し考えてから頷いた。
「……うん。でも……やってみる」
魔法陣の中心へ歩き、目を閉じると深呼吸するはる。
じわり、と魔法陣が淡く光り始める。
そして、その最奥で。
『……来たか』
あの声が、再び目を覚ました。
黒の力は、静かに、しかし確実に――
王城という檻の中心で、息を吸い始めていた。
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