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文化祭まで、あと2日。
学園の対応は、驚くほど早かった。
騒動は一切表に出ることなく処理され、
松風 空の名前は、翌日には名簿から消えた。
朝陽にも、何も伝えられていない。
生徒たちはあの騒がしかった青年が転校してきて直ぐ退学していることに驚き、色んな噂が立ったが
文化祭準備の楽しさや慌ただしさで大きな噂にはならなかった。
病院から戻る道すがら、朝陽はずっと無言だった。
窓の外を流れる景色を見つめ、時折、右腕を胸に引き寄せる。
「……生徒会室、行ってもいいですか」
小さな声でそう言われ、蓮は一瞬迷った。
本当は、寮で休ませたい。
一人にしたくない。
「……俺も行く」
頷きながらそう答えると、朝陽はほっとしたように頷いた。
生徒会室には、千早たちがすでに揃っていた。
朝陽の姿を見ると、全員が一斉に駆け寄る。
「大丈夫ですか?痛みは?」
「………むり、しないで」
「休んでなくて大丈夫なの?」
次々に飛んでくる言葉に、朝陽は小さく微笑む。
「痛みも大丈夫です。文化祭まで時間もないですし、
残り、やっちゃいましょう。」
仕事をしている方が、気が紛れた。
手を動かしている間は、あの赤い光景を思い出さずに済む。
4人は心配そうにちらちらと朝陽の様子を見ながら仕事をした。
夜になっても、眠気は来なかった。
——一人で部屋に戻るのが、怖い。
しばらく悩んだ末、朝陽は蓮の部屋の前に立っていた。
ノックする指が、少し震える。
「……蓮、先輩」
ドアが開き、蓮が驚いた顔をする。
「どうした」
「……眠れなくて」
それだけで、蓮には十分だった。
その夜、二人は同じベッドで眠った。
触れ合わない程度の距離。
同じベッドで寝ることに不思議な感じがしたが
落ち着いた呼吸を感じるだけで、朝陽の胸は少し楽になった。
——眠れない、かと思ってたけど、不思議だ。
うなされる事もなく気がつけば朝を迎えていた。
——よく、眠っているな。
穏やかに眠る朝陽を見て安心する蓮。
そっと朝陽の前髪を撫でながら、後悔と覚悟が浮かんでくる。
——伝わらないからとそのままにしてはいけない。
守るためにも、この気持ちを伝える。
もし離れていってしまったとしても…
「ん……」
「朝陽、おはよう。」
「…れん、せんぱい?」
「あぁ、よく眠れたか?」
「はっ!すみませんありがとうございました、っつ……」
「ほらいきなり動かすな」
目が覚めて蓮の部屋で寝かせてもらったのを思い出す。
勢いよく起きあがろうと右手をベッドにつくと
ピリッと痛みを感じた。
——そうだ、、忘れてた。ゆっくり眠れたんだ…
「すみません、大丈夫です。
ありがとうございました。なんだかゆっくり眠れたみたいです」
蓮は、そう言いながら柔らかく笑う朝陽を見て
守らなければいけないと強く感じた。
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