全寮制男子高校 短編集

天気

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テスト3




テスト最終日の午後、教室の窓から差し込む光は温かく
張りつめていた糸が少しずつ緩んでいくのを、朝陽ははっきりと感じていた。

(……終わった)

答案用紙を提出し、席を立つ。
廊下に出た瞬間、肺いっぱいに息を吸い込んだ。

「お疲れ」

待っていたように、蓮が声をかけてくる。

「……お疲れさまです」

「顔、少し軽くなったな」

生徒会室に向かうと、すでに他の面々が集まっていた。

「いや~終わった終わった!」
湊翔が机に突っ伏す。

「俺今回は割といけた気がする」
「“気がする”ですか」
千早が淡々と突っ込む。

悠真は窓辺で、外を眺めていた。
校庭の木々はすっかり冬の色を帯びている。

「……雪、降りそう」

その一言に、部屋の空気がふっと和らいだ。

「会長。今日はもう、解散でいいでしょう?」
頷く蓮。

「わ~い!甘いもの食べたい」
「……湊翔、それ…ばっかり、」

朝陽は、みんなの会話を聞きながら、静かに椅子に座った。
胸の奥に、じんわりとした温度が残っている。

(……この感じ、好きだな)

騒がしくもない。
でも、確かに誰かがそばにいる。



夕方、寮に戻る途中。
蓮が自然と隣を歩く。

「今日は、何か食べたいものあるか」

「……あ」

少し迷ってから、朝陽は小さく言った。

「一緒に、夕飯……行きたいです」

小さなお願い。
それを口に出すのは、まだ少し怖い。

でも、蓮は何でもないことのように頷いた。

「いいな。行こう」

その返事に、胸がふっと軽くなる。

寮の食堂は、いつもより人が少なかった。
テスト明けで、皆それぞれ解放感に浸っている。

席につき、料理を待つ間。
朝陽は、蓮の横顔をちらりと見る。

(……やっぱり、すき、、だなぁ)

無意識に微笑む朝陽。

料理が運ばれ、二人で静かに食べる。

「テスト前、無理してなかったか」

「……少し、してました」

正直に答えると、蓮は怒るでもなく、ただ頷いた。

「次は、言え」

「……はい」

短いやり取り。
でも、それが約束のように胸に残る。


部屋に戻り、夜。

朝陽はベッドに腰掛け、膝の上で手を握った。

(頼っていいって……こういうこと、かな)

完全には、まだ慣れない。
怖さも、消えない。


それでも——

ノックの音。

「朝陽、起きてるか」

「……はい」

「少し話すか」

扉の向こうにいる蓮の声は、穏やかだった。

朝陽は立ち上がり、ドアを開ける。

(……大丈夫)

一歩ずつ。
揺れながらでも、前に進いていい。

そんな予感を胸に、
テスト明けの夜は、静かに更けていった。






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