魔王とは戦わず国王を捕まえる

颯馬

文字の大きさ
上 下
21 / 71

21話 面白い

しおりを挟む
「ここか。モルガンが言っていた洞窟は?」
「そうだな。この洞窟で合ってるぞ」
「なら入るか。っとその前にだ。シシク村に向かってる時は、特に魔物や盗賊会わなかったから。お前らはどんな戦い方が出来るか、分からねぇんだが」

「そう言えばそうだったな。俺は剣を使えるが、弓で戦う方が特異だな」
「ボクは魔法だね。一応弓も使えるけど、アルセルみたいに特異じゃないけどね」
「そうなると。自分とタクヤは前衛になるな。アルセルは中衛、アレアは後衛だな。アディシアはどうする?」

「そうですね・・・。後ろがやられると困るので、私も後衛に回りましょう」
「っうし。一応は決まったな。場合によっては変わるだろうから、そこは臨機応変にな」
「そうだな。なら中に入ろうぜ」

 僕たちは洞窟の中に入る。

「くら!? ちょっとこれ暗くない? 明るくするよ」

 アレアは魔法で周りを明るくする。明るくなったら先に進む。

「何言われなかったけど。とりあえず3つあればいいよね」
「そうだな。次の買い出しで松明が必要になるな」
「洞窟に入るのはそんなにねぇと思うが」

「それ以外にも使い道があるだろ。夜は明かりが無いと進むの大変だっただろ」
「あぁ~言われてみればそうだな。話が変わるがよぉ。シルビアの剣は使えるのか? 洞窟の中では、長い物は使えねぇだろ」
「自分は魔法が使えるんだ。剣が無くても戦える。それに短剣も持っている」

「流石に短剣じゃ戦えないだろ。俺の剣と弓も戦えないかな」
「ボクだって戦えないかな。タクヤとシルビアが前に出ると、魔法が使えなくなるからね。特にこの洞窟の中ではね」
「私も投げナイフや魔法を使いますが、攻撃がタクヤさんとシルビアさんに当たりそうなので。控えさせていただきます」

「・・・まともに戦えるのが僕しかいねぇじゃねぇか」
「俺達の分まで頑張ってくれ!」
「他人事だと思いやがって・・・」

「気を付けろよ。あんまりムカつくような事を言ってると、いつか蹴られたりするからな。自分は一度蹴られてるからな」
「あれはお前が起きなかったのが悪い。それにすぐに手は出さねぇよ。多分」
「っと言う事だ。危険人物だが、大体は冗談で終わらせてくれる」

「ま、マジと冗談が分からない・・・」
「まぁタクヤが本気は今は置いといて。今通った道で、曲がる所あった?」
「ねぇな。ずっと一本道だな」

「なら道が長いだけかな。ちょっとサーチしてみよ」

 アレアはサーチっと言う魔法を使う。

「・・・うん。このまま進めば少し広い所に出るね」
「ならこのまま進むか」

 僕たちは先に進む。進んでいると、アレアが言ってた通り少し広い所に出る。僕は待てと言う合図を出す。僕は岩影に隠れて、奥の方に何かいるかを確認する。

 何だあのデケェ魔物は? 犬じゃねぇな。狼か? にしてデカすぎる。一体なん―――。

 僕が考えてると、誰かに頭に手を置かれて。そのまま下に押される。

「何だラージウルフじゃないか。あれなら戦えるだろ」
「おいシルビア。テメェ今すぐに僕の頭から手をどけろ」
「あぁすまないな。つい手が置ける場所があってな、ついつい置いてしまった。今どける」

 シルビアがどけると言ったが。中々どけない。

「おい。早くしろよ」
「いや、そうしたいが。何故だが変な気分になる。こう強い奴を無理やり押さえて、こっちが強くなった気がするんだ。こういうは何と言うんだ?」
「知るか! サッサとどかさねぇと、アディシアが殺しに来るぞ。さっきから殺気がやべぇんだよ!」

 僕がそう言うと、シルビアはすぐに手をどかす。

「下らねぇことをしてたら、バレたんじゃねぇか?」

 僕はラージウルフを見る。ラージウルフは『終わった?』って感じで、こっちを見る。

「律儀に待っていたのかよ・・・。アニメや特撮ヒーローじゃねぇんだよ」
「何言ってるか分からないが。とりあえず目を潰すか」

 アルセルは空間から弓と矢を出して、2本同時に矢を引いて、ラージウルフの両目を狙って矢を放つ。2本の矢はラージウルフの両目に刺さり叫ぶ出す。

「あのラージウルフ。自分たちに気付いてなかったんじゃないか?」
「それは無いかと。ラージウルフは鼻が利くので、私たちの存在に気付いてるかと」
「それなら俺の矢なんて避けてるだろ」

「なら鼻づまりじゃない? ほら死体を解体して体を調べてると、色々分かるでしょ」
「確かに。それなら納得するな。タクヤはどうだ? ってタクヤは?」
「タクヤさんなら、ラージウルフを殺して解体してますよ」

「行動が早いな」
「テメェらがおせぇんだよ! ぺちゃぺちゃぺちゃぺちゃ喋ってねぇで、サッサとこっちに来て手伝いやがれっ!」
「ごめんごめん! 今行く」

 アルセルたちがこっちに来て、ラージウルフの解体をする。終わったら、素材はアイテムボックスの中に入れる。伝書バトが持っているバックから、紙とインクと羽ペンを出して地面に置く。

「あ、今更だけど。僕が文字を書いても読めるのか?」
「どうだろうな。試しに地面に何か書いたらどうだ?」

 僕は試しに地面に、ラージウルフの文字を書く。

「読めるか?」
「読めるな。ちゃんとこちらが使う文字で書いてるな。お前はいつ練習をしたんだ?」
「してねぇよ。5日間城にいた時に、お前はほぼ一緒にいただろうが。こっちは何か監視されていて、居心地は悪かったがな」

「あぁ監視をしてたからな。お前を好き勝手にさせたら、何をするか分からないからな」
「やっぱり監視をしてやがったか、このクソアマが!」
「あたり前だろ! お前みたいな化物を放置をしていたら、姫様が危ないだろ!」

「僕がいつ姫サマに危害を加えるだってぇ? ふざけた事を言ってんじゃねぇぞ」
「ふざけた事を言ったつもりは無い。事実だろ。化物」
「表に出ろよ。ぶちのめしてやるよ」

「はっ! 返り討ちにしてやろう!」
「―――お2人とも。これ以上くだらない喧嘩をするのであれば、私が相手をしますが」

 それを聞いた僕とシルビアは黙る。

「冗談だ。ただの冗談だ。そうだよなシルビア!」
「そうだ。今のはただの冗談だ。ただの遊び心だ。だからその武器はしまってくれ・・・」
「・・・・・・そうですか。では紙には私が書きます」

 ベラは羽ペンを持って、インクを付けて紙に書く。

「この3人面白いよね~。見てて飽きないよ」
「そうだな」
しおりを挟む

処理中です...