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第四十四話 『呪の国』
【酒呑童子】
その国――壱支国は、呪の国として知られていた。
また、鬼の呪術師を育てる国としても知られていた。
多くは、鬼と人との間に生まれた子だと聞く。
まれに人と人のあいだにも生まれるという。
壱支国の法師は修験者と称し、山伏姿で全国を渡り歩く。
鬼が生まれたと聞くと、その地に走り、譲らぬかと、話しを持ちかけるという。
分限者であっても隠したいのが人情だろう。
貧しい民であれば、人であっても育てるのは難しい。
ましてや鬼の姿で生まれた子である。
買ってくれるならと喜んで売るという。
自ら手に掛けるよりは、と手放すという。
首を縦に振らなければ、さらっていたとも聞く。
もの心ついた時から修行に明け暮れた。
過酷な修行ゆえ、死ぬものが後を絶たなかった。
逃げることなどかなわなかった。
壱支国は潮流渦巻く海に囲まれていたからだ。
舟の操り方は言うまでもなく、泳ぎひとつ教えられなかった。
それでも望みはあると思っていた。
体力がつく齢まで、運よく生き残っていたら逃げ出そうと決めていた。
その方策を考えることが生きがいだった。
だが、その夢は早々に打ち砕かれた。
――「呪縛」されていたのだ。
呪の国と呼ぶにふさわしい呪われた方法で。
われら鬼の名――諱は、生まれてすぐに人間どもが勝手につける。
その名を隠し、それをもとにわれらを支配する。
痛めつける。
逃げようが隠れようが、呪詛ひとつで、炙り出される。
見せしめとして、さらされたあげく、命を奪われる。
修業は厳しければ厳しいほど良い。身につくとされた。
むろん、弟子の中には壱支国の人の子もいる。
人の子にそのような仕打ちはできない。
ゆえに、鬼の子を買ってくるのだ。
修行に耐え、才能があると認められたモノだけが、壱支国の守護鬼としての適性試験を受けることができる。
否応もない。
生き残りたければ、勝ち残るほかなかったのである。
【義守】
檜にとまった双頭の鴉は眠っているように見える。
姫も酒がまわったのだろう。
童の頭を膝に置いたまま、頭を垂れ眠っていた。
酒呑童子が曼荼羅図の袋に仕舞い込んだ先ほどの笛を差し出してきた。
「かつては、帝のもとにあったものと聞く。盗まれたものか、誰ぞに下賜されたものかは知らぬ。返しておいてくれぬか……わしには過ぎた笛だ」
「おれの知り合いに帝はいない」
お門違いも甚だしい。
それとも、何かほかに目的があって言っているのか。
酒呑童子は、眠っている姫を見つめて、
「貴族であれば、朝廷につながる者を誰ぞ知っておろう」
と、続けた。
道理ではある。
「ならば、自分で頼め」
と、いうと、心底驚いたようすを見せた。
「わしが、あの姫君にか? ……気味悪がられるだけであろう」
「怖がっているように見えるか?」
その言葉に、酒呑童子は頬が緩むところを見せまいとでもするように腕を組み、口元を引き締めた。
「確かに……面白き姫君よのう」
ふん、と鼻を鳴らし、話を逸らしてきた。
「お前の笛もさぞかし、名のある物であろう。あの姫君から貰いうけたのか?」
「違う」
「では、なんだ?」
酒が、しつこくさせているようだ。
切り上げようと、核心を避けて答えた。
「借り受けておるのだ。お前の知らぬ者から」
酒呑童子が、知っておるぞとばかりに、にやりと笑った。
「わが師は笛が好きでのう。名のある笛のうんちくを聞かされたものよ。さながらそれは『小枝』という名であろう」
*
【酒呑童子】
組んでいた腕をほどく。
うとうとと、していたようだ。
崖の前に義守が立ち、都の方角を眺めていた。
夜のうちに足元を覆っていた雲海が晴れようとしていた。
畳の上の姫君は、眠っている若君の頭を膝に、義守と同じ方角を眺めている。
気配に気がついたのか、姫君が振り向いた。
檜扇で顔を隠そうともせず、まるで、わしが夫でもあるかのように微笑んだ。
「気を遣わせましたね。とても暖かくぐっすりと眠れました」
夏とは言え、山頂付近である。
朝方になると随分と冷え込む。
昨夜、焚火の暖かさを逃がさぬよう術をほどこした。
それに気づいてくれたのだろう。
「見事な眺めですね。四季の移ろいも存分に味わえることでしょう」
さらに、この山も褒めてくれる。
だが、春の佐保山にはかなわない。
この山に移築するにふさわしい社を探し、かつて都があったという場所を訪れた。
そこで佐保山の春霞を見た。
時を忘れ、見入っていた。
白くやわらかな薄衣をまとった神霊、佐保姫がおわすという山である。
わしにとっては、目の前で微笑む姫君こそ、春の女神、佐保姫そのものだった。
ところが、その姫君が、その美しい眉を寄せた。
「ですが……一方で、都の周りの山は民人が勝手気ままに薪を採るので禿山になったと聞きました」
「ここが山深く、鬼の住む山ゆえ、恐れて手を出さぬだけ。元来、人とは身勝手極まりないもの……ゆえに法で律するほかないのでしょう」
坊主の言葉とは思えなかった。
そもそも、われらは坊主ではない。
あえて言えば、古くから伝わる神道、陰陽(いんよう)五行説(ごぎょうせつ)をもとにした惟(かんな)神道(がらのみち)を極めようとする者だ。
教えなどない。
修行により、神の力をわがものにしようとする呪術師にすぎない。
おのれの言葉を笑い飛ばしたかったが、それよりも、神妙に耳を傾ける姫君を見て、その性根を確かめたくなった。
まことに、わしの女神にふさわしいのかと。
わずかに逡巡したのち、覚悟を決めて口にした。
「姫君は、地獄絵をご覧になったことがありますかな」
何を言い出すのだとばかりに義守が睨みつけてきた。
何を怒っている。わしの覚悟が、おまえごときにわかろうか。
姫君は、わずかに眉をひそめ、
「ええ」と、挑むように答える。
「どこぞの坊主が見せたのですな。功徳を積めばこのような目に遭わずとも済むと。そのような説法をすれば、たちまち布施や喜捨が増えますからな」
姫君が表情を曇らせる。
なんと罰当たりなことを。あなたこそ、莫大な寄進を受けてこの社寺を建立したのでしょう、と。
口にはできぬが、寄進だけでは、この社は建たなかった。
「あの中に腹の膨れた餓鬼という亡者が描かれておりましょう。あれは決して誇張して描かれているのではないのです。飢えても食べるものは無く、やせ細り、せめて水で腹を満たそうとすると、あのような姿になるのです」
あえて、そこまでにした。
言葉を飲み込んだ。
生きたまま捨てられる者もいるのだ、と。
食うに困る状況になれば、働けず食うだけの年寄りは捨てなければならないのだ。
生まれたばかりの赤子の口もふさがねばならぬのだ、と。
【輝夜】
飢えて死ぬ――耳にしたことはあった。
義守から、薪のことを教わり、大枝山のおばばの大盤振舞だ、という料理――と、呼ぶにはあまりにもひどいものであったが――を目にし、飢饉が繰り返されそうだと聞いていながら聞き流していた。
おなごには何もできないと、政(まつりごと)には口を出せないと、あきらめていた。
いや、そもそも本気で考えもしなかった。
支障がないからだ。
わたしの暮らしには何一つ影響がないからだ。
貴族の子として生まれたおなごは、家の繁栄のための道具として使われる。
官位の高い家柄であれば、先々は入内させたいと教育に力を入れる。
そこまでの家柄でなくとも将来性のある男の妻となることを求められる。
男が出世すれば、妻の家族も親族も引き立てられるからだ。
何より暮らしを立てねばならない。
だが、それも寵愛を得続けてこそだ、と聞く。
夫は通って来た時に生活に必要な金品を置いていく。
だが、寵愛を失い、夫が通わなくなると、それさえ途切れる。
頼る親族も財産もなくば、女房や家司も逃げ散り、一人残されたおなごは餓死することになる。
それに比べ、と自らの立場を振り返る。
帝が通わなくとも、夜御殿にお召がなくても、内廷費など比較にならぬほどの援助を父から受けている。
にもかかわらず、小次郎と、るりを救っただけで満足していた。
それとて、義守の気を惹きたいがための行動だったかもしれない。
父が、帝をわたしのもとに通わせようと、気を惹くために手に入れ、置いていった、結局、なんの効果もなかった物を売り、それをもとに、都の大路で貧しい者たちに食べ物をふるまうこともできたはずである。
むろん、たかが知れている。
それでも幾十人かは救えたのではないか。
口さがない者は偽善だと批判するだろう。
それでも何もせぬよりよほど良い。
父に意見するどころか、考えることまでやめていた。
そのような自分に腹が立った。情けなかった。
彼らの作った穀物や道具、苦労や犠牲、そして税の上に胡坐をかいて暮らしていることにようやく気がついた。
民あっての「国」である。
それを思い描けない者が、上に立つことは許されない。
わたしは、なんと愚かであったのだろう。
気がつくと、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。
【酒呑童子】
どうやら自分がいかに恵まれた身であるかに気がついたようだ――それが俵の中のたった一粒にしかすぎぬとも。
そもそも、わしの姿を見て、泣き叫び、逃げ惑うおなごは数えきれぬほど見てきたが、
わしの問いに向き合い、涙をこぼしたおなごは初めてだった。
胸が痛んだ。
義守を妬んだ。
わしは、この姫君に魅入られていた。
懸想していた。
別れ際に義守に伝えた。
「早々に立ち去れ。できることなら、その姫君と若君を連れて、な」
その国――壱支国は、呪の国として知られていた。
また、鬼の呪術師を育てる国としても知られていた。
多くは、鬼と人との間に生まれた子だと聞く。
まれに人と人のあいだにも生まれるという。
壱支国の法師は修験者と称し、山伏姿で全国を渡り歩く。
鬼が生まれたと聞くと、その地に走り、譲らぬかと、話しを持ちかけるという。
分限者であっても隠したいのが人情だろう。
貧しい民であれば、人であっても育てるのは難しい。
ましてや鬼の姿で生まれた子である。
買ってくれるならと喜んで売るという。
自ら手に掛けるよりは、と手放すという。
首を縦に振らなければ、さらっていたとも聞く。
もの心ついた時から修行に明け暮れた。
過酷な修行ゆえ、死ぬものが後を絶たなかった。
逃げることなどかなわなかった。
壱支国は潮流渦巻く海に囲まれていたからだ。
舟の操り方は言うまでもなく、泳ぎひとつ教えられなかった。
それでも望みはあると思っていた。
体力がつく齢まで、運よく生き残っていたら逃げ出そうと決めていた。
その方策を考えることが生きがいだった。
だが、その夢は早々に打ち砕かれた。
――「呪縛」されていたのだ。
呪の国と呼ぶにふさわしい呪われた方法で。
われら鬼の名――諱は、生まれてすぐに人間どもが勝手につける。
その名を隠し、それをもとにわれらを支配する。
痛めつける。
逃げようが隠れようが、呪詛ひとつで、炙り出される。
見せしめとして、さらされたあげく、命を奪われる。
修業は厳しければ厳しいほど良い。身につくとされた。
むろん、弟子の中には壱支国の人の子もいる。
人の子にそのような仕打ちはできない。
ゆえに、鬼の子を買ってくるのだ。
修行に耐え、才能があると認められたモノだけが、壱支国の守護鬼としての適性試験を受けることができる。
否応もない。
生き残りたければ、勝ち残るほかなかったのである。
【義守】
檜にとまった双頭の鴉は眠っているように見える。
姫も酒がまわったのだろう。
童の頭を膝に置いたまま、頭を垂れ眠っていた。
酒呑童子が曼荼羅図の袋に仕舞い込んだ先ほどの笛を差し出してきた。
「かつては、帝のもとにあったものと聞く。盗まれたものか、誰ぞに下賜されたものかは知らぬ。返しておいてくれぬか……わしには過ぎた笛だ」
「おれの知り合いに帝はいない」
お門違いも甚だしい。
それとも、何かほかに目的があって言っているのか。
酒呑童子は、眠っている姫を見つめて、
「貴族であれば、朝廷につながる者を誰ぞ知っておろう」
と、続けた。
道理ではある。
「ならば、自分で頼め」
と、いうと、心底驚いたようすを見せた。
「わしが、あの姫君にか? ……気味悪がられるだけであろう」
「怖がっているように見えるか?」
その言葉に、酒呑童子は頬が緩むところを見せまいとでもするように腕を組み、口元を引き締めた。
「確かに……面白き姫君よのう」
ふん、と鼻を鳴らし、話を逸らしてきた。
「お前の笛もさぞかし、名のある物であろう。あの姫君から貰いうけたのか?」
「違う」
「では、なんだ?」
酒が、しつこくさせているようだ。
切り上げようと、核心を避けて答えた。
「借り受けておるのだ。お前の知らぬ者から」
酒呑童子が、知っておるぞとばかりに、にやりと笑った。
「わが師は笛が好きでのう。名のある笛のうんちくを聞かされたものよ。さながらそれは『小枝』という名であろう」
*
【酒呑童子】
組んでいた腕をほどく。
うとうとと、していたようだ。
崖の前に義守が立ち、都の方角を眺めていた。
夜のうちに足元を覆っていた雲海が晴れようとしていた。
畳の上の姫君は、眠っている若君の頭を膝に、義守と同じ方角を眺めている。
気配に気がついたのか、姫君が振り向いた。
檜扇で顔を隠そうともせず、まるで、わしが夫でもあるかのように微笑んだ。
「気を遣わせましたね。とても暖かくぐっすりと眠れました」
夏とは言え、山頂付近である。
朝方になると随分と冷え込む。
昨夜、焚火の暖かさを逃がさぬよう術をほどこした。
それに気づいてくれたのだろう。
「見事な眺めですね。四季の移ろいも存分に味わえることでしょう」
さらに、この山も褒めてくれる。
だが、春の佐保山にはかなわない。
この山に移築するにふさわしい社を探し、かつて都があったという場所を訪れた。
そこで佐保山の春霞を見た。
時を忘れ、見入っていた。
白くやわらかな薄衣をまとった神霊、佐保姫がおわすという山である。
わしにとっては、目の前で微笑む姫君こそ、春の女神、佐保姫そのものだった。
ところが、その姫君が、その美しい眉を寄せた。
「ですが……一方で、都の周りの山は民人が勝手気ままに薪を採るので禿山になったと聞きました」
「ここが山深く、鬼の住む山ゆえ、恐れて手を出さぬだけ。元来、人とは身勝手極まりないもの……ゆえに法で律するほかないのでしょう」
坊主の言葉とは思えなかった。
そもそも、われらは坊主ではない。
あえて言えば、古くから伝わる神道、陰陽(いんよう)五行説(ごぎょうせつ)をもとにした惟(かんな)神道(がらのみち)を極めようとする者だ。
教えなどない。
修行により、神の力をわがものにしようとする呪術師にすぎない。
おのれの言葉を笑い飛ばしたかったが、それよりも、神妙に耳を傾ける姫君を見て、その性根を確かめたくなった。
まことに、わしの女神にふさわしいのかと。
わずかに逡巡したのち、覚悟を決めて口にした。
「姫君は、地獄絵をご覧になったことがありますかな」
何を言い出すのだとばかりに義守が睨みつけてきた。
何を怒っている。わしの覚悟が、おまえごときにわかろうか。
姫君は、わずかに眉をひそめ、
「ええ」と、挑むように答える。
「どこぞの坊主が見せたのですな。功徳を積めばこのような目に遭わずとも済むと。そのような説法をすれば、たちまち布施や喜捨が増えますからな」
姫君が表情を曇らせる。
なんと罰当たりなことを。あなたこそ、莫大な寄進を受けてこの社寺を建立したのでしょう、と。
口にはできぬが、寄進だけでは、この社は建たなかった。
「あの中に腹の膨れた餓鬼という亡者が描かれておりましょう。あれは決して誇張して描かれているのではないのです。飢えても食べるものは無く、やせ細り、せめて水で腹を満たそうとすると、あのような姿になるのです」
あえて、そこまでにした。
言葉を飲み込んだ。
生きたまま捨てられる者もいるのだ、と。
食うに困る状況になれば、働けず食うだけの年寄りは捨てなければならないのだ。
生まれたばかりの赤子の口もふさがねばならぬのだ、と。
【輝夜】
飢えて死ぬ――耳にしたことはあった。
義守から、薪のことを教わり、大枝山のおばばの大盤振舞だ、という料理――と、呼ぶにはあまりにもひどいものであったが――を目にし、飢饉が繰り返されそうだと聞いていながら聞き流していた。
おなごには何もできないと、政(まつりごと)には口を出せないと、あきらめていた。
いや、そもそも本気で考えもしなかった。
支障がないからだ。
わたしの暮らしには何一つ影響がないからだ。
貴族の子として生まれたおなごは、家の繁栄のための道具として使われる。
官位の高い家柄であれば、先々は入内させたいと教育に力を入れる。
そこまでの家柄でなくとも将来性のある男の妻となることを求められる。
男が出世すれば、妻の家族も親族も引き立てられるからだ。
何より暮らしを立てねばならない。
だが、それも寵愛を得続けてこそだ、と聞く。
夫は通って来た時に生活に必要な金品を置いていく。
だが、寵愛を失い、夫が通わなくなると、それさえ途切れる。
頼る親族も財産もなくば、女房や家司も逃げ散り、一人残されたおなごは餓死することになる。
それに比べ、と自らの立場を振り返る。
帝が通わなくとも、夜御殿にお召がなくても、内廷費など比較にならぬほどの援助を父から受けている。
にもかかわらず、小次郎と、るりを救っただけで満足していた。
それとて、義守の気を惹きたいがための行動だったかもしれない。
父が、帝をわたしのもとに通わせようと、気を惹くために手に入れ、置いていった、結局、なんの効果もなかった物を売り、それをもとに、都の大路で貧しい者たちに食べ物をふるまうこともできたはずである。
むろん、たかが知れている。
それでも幾十人かは救えたのではないか。
口さがない者は偽善だと批判するだろう。
それでも何もせぬよりよほど良い。
父に意見するどころか、考えることまでやめていた。
そのような自分に腹が立った。情けなかった。
彼らの作った穀物や道具、苦労や犠牲、そして税の上に胡坐をかいて暮らしていることにようやく気がついた。
民あっての「国」である。
それを思い描けない者が、上に立つことは許されない。
わたしは、なんと愚かであったのだろう。
気がつくと、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。
【酒呑童子】
どうやら自分がいかに恵まれた身であるかに気がついたようだ――それが俵の中のたった一粒にしかすぎぬとも。
そもそも、わしの姿を見て、泣き叫び、逃げ惑うおなごは数えきれぬほど見てきたが、
わしの問いに向き合い、涙をこぼしたおなごは初めてだった。
胸が痛んだ。
義守を妬んだ。
わしは、この姫君に魅入られていた。
懸想していた。
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