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第四十六話 『予言』
【輝夜】
「藤壺様、お聞きになりましたか」
とうに花の終わった庭の藤の木を眺めながら義守のことを想っていると、いつもは、人の所作にうるさい女房が、無粋な足音を響かせ駆けつけてきた。
なにごとかと思えば、息を切らせながら、
「酒呑童子と呼ばれる鬼の法師の予言の事です」と、いう。
眉をひそめ、
「鬼の名など口にするものではありません。物の怪や邪気を呼び寄せましょう」
と、素知らぬ顔で答えた。
檜扇も使わず、その鬼と一夜を過ごしたと、口にしようものなら内裏は大騒ぎになろう。
女房によると酒呑童子は三月ほど前に予言と称し、羅城門の近くに立札を掲げた。
京職によってすぐに撤去されたものの、そこには、火災、水害、疫病をはじめ七つの項目が挙げられていたという。
そのうち六つは早々に的中。
最後のひとつが昨日的中したのだ、と。
相生神社の「連理の賢(さか)木(き)」と呼ばれる神木が枯れる、という最も衝撃的な項目が。
他の項目であれば起こりうることだ。
だが、神木が枯れることなど、そうはない。
しかも、数日前までは青々と葉を繁らせていたというのだ。
氏子(うじこ)は言うにおよばず都の民に動揺が広がっているさなか、酒呑童子の名で、今朝、新たな立札が掲げられた。
「西国より来たりし義守という男、呪をよくし、魑魅魍魎、怨霊を操り、都に災いをなす。飢饉、疫病を流行らせる」
先に掲げられた立札との違いに違和感を感じたが、問題はそこに記されていたという男の名であった。
酒呑童子が記した義守とは、わたしの知るあの男のことであろう。
ばかばかしいと思いながらも、そのあとに続く怨霊の名に息を飲んだ。
かつては父の政敵であり、阿岐国に流され憤死した男の名であった。
――では、やはり、義守は、阿岐国から来たのか。
*
女の学問ではないと、露骨に顔をしかめる者の多い漢書を、傍らに山のように積み上げた。
女房を遠ざけるための方便である。
物忌み、は使ったばかりだからである。
漢詩に詳しい者を呼びましょうかと、利かせなくとも良い気を利かせる、父のお気に入りの物語を書いている女房を、
「困ったときは、あなたを呼びますから」
と、追いやった。
手鏡を取り出し、わが身を眺める。
作り物ではない笑顔が増えたと思う。
それどころか、うっかりすると口元がだらしないほど、ほころんでいることがある。
衣は、これまでの落ち着いた、時に年寄りくさいと言われるものをすべて下げ渡し、年相応にした。
かといって華美になれば嫌われよう。
その匙加減に苦心した。
気がつく度に鏡を見ていた。
自信を失いかけていたが、決して顔立ちは悪くない。
凛としているとも思う。
惜しむらくは柔らかさにかけることだが、最近では食も進み、年相応にふっくらしてきた。
あとは、うっとりするほど優美な微笑みを手に入れることが出来れば、あの男も気に掛けてくれるのではないか。
鏡を手に、幾通りもの笑顔を試していると、
「入るぞ」と、一声だけ発し、断りもなしに御簾をあげ、誰かが入ってきた。
その姿を見られたのではないかと、鏡を落としそうになる。
無礼にもほどがある。
叱りつけようとして口を開け、そのまま固まってしまった。
革袋を背負った義守が目の前に立っていた。
火照った顔で、しばらく見上げたあげく、
「何かあったのですか? ……いえ、なければないでよいのですが」
と、うつむきながら口にするのが精いっぱいだった。
馬鹿なおなごだと自嘲する。
どうして「訪ねてくれてうれしい」と、素直に口に出せぬのだろう。
これだから帝に嫌われるのだ。
「笛のことで、な」
「笛?」
一体、何のことだろう。思い当たることなど何もない。
それを、口実に逢いに来てくれたのであれば、どれほど嬉しいだろう。
例え本心でなかろうとも、「お前の顔が見たくなった」と、ささやけばよいものを。
そうすれば、おなごが喜ぶ、ということがわからぬのだろうか。
わたしのお兄様の十分の一でもよいというのに。
しかも、問いに答えぬままだ。
目をやると、隅の柱に、もたれかかり、瞼を閉じている。
陽の差し込まぬ身舎(もや)は暗い。
燈台の灯り一つでは身舎の隅まで照らし出すことができない。
それでも、顔色が悪いように見えた。
「具合が悪いのではありませんか?」
「ここ数日……な」
その答えに驚いた。
弱音を口にするような男ではない。
それほど具合が悪いのだ。
「検非違使から追われているさなかに、それでは……」
というと、ようやく目を開いた。
しかし、その目に力はない。
「何のことだ」
「都が厄災に見舞われているのは、あなたの呪詛によるものだと酒呑童子が……」
「おれは呪術など操れぬ」
義守は瞼を閉じる。
怒っているようにも哀しんでいるようにも見える。
やはり、どこかで酒呑童子のことを信用していたのだろう。
人違いであって欲しかった。
義守という名の男など掃いて捨てるほどいよう。
しかし、名指しされているのが、ほかの男であるとは思えなかった。
「真偽はともかく、そのような立札が……」
身の潔白を証明できないのであれば、一刻も早く都を離れるべきである。
いくつもの予言を的中させてきた、酒呑童子が断言しているのだ。
義守の抗弁を信じる者はいないだろう。
宴では、酒呑童子が一方的に気に入っていたようにも見えた。
だが、義守も心底から嫌がっているようには見えなかった。
むしろ相性があっているように見えただけに、できることなら、その話題は避けたかった。
「その立札は……噂は聞いた……放っておけばよい」
義守は緩慢な動作で、懐から見覚えのある曼荼羅の図柄の細長い袋を取り出した。
今回、立ち寄った理由は、どうやらそれにあるらしい。
何もなくても会いに来てくれれば良いのに、と思うが口にできるはずもない。
そもそも、今、この時期に洛中に入るなどもってのほかだ。
自分の置かれた立場を全く理解していない。
検非違使だけではなく、京職、滝口の武者までもが、義守という男を探しているであろうに。
「神木が枯れたのですよ。あなたが立札に記された者と知れれば、検非違使に捕らわれる前に氏子(うじこ)に打ち殺されましょう」
言い募る私の言葉にも動じず、
「イカサマじゃ」と、断言する。
「そのようなことが、できるはず……」
意外な答えに戸惑うわたしの言葉を遮り、
「二日ほど前に根元近くを掘り返した。大半は流れておったが、白い塊が幾分か残っていた。塩を埋めたのだ。周りの灌木も枯れておった」
塩で樹木が枯れることは知らなかったが、義守が断言するからには間違いないのだろう。
「予言には、すべてからくりがあったと言うのですか?」
「あれを、予言と呼ぶのであれば、おれでもできる」
と、にべもない。
火は放てばよい。水はせき止めればよい、と続けた。
困惑を隠せなかった。
酒呑童子の童のような笑顔が作り物だったというのか。
大岩をも破壊した、あの法力さえも偽物だったのだろうか?
だが、その真偽よりも、優先せねばならぬことがある。大事な話がある。
うまく説き伏せることができれば、この男を窮地から救い出し、英雄に押し上げることもできよう。
「検非違使が、必死になってあなたを探している。それは事実です。一刻も早く都を離れるべきですが……」
面倒そうに、義守が口にした。
「逃げるのは嫌いなのだ」
好き嫌いの問題ではない。
言い返そうとしたができなかった。
柱にもたれかかっていた義守が、ずるずるとしゃがみこんでしまったからだ。
しかも、倒れるように横になり、動かなくなったのだ。
あわててそばに寄って息をのんだ。
義守の顔色は紙よりも蒼く、その額は熱を持つどころか氷のように冷たかった。
巌のような酒呑童子との力比べでも引けを取らなかった、あのたくましい男の姿はどこにもなかった。
*
「藤壺様、お聞きになりましたか」
とうに花の終わった庭の藤の木を眺めながら義守のことを想っていると、いつもは、人の所作にうるさい女房が、無粋な足音を響かせ駆けつけてきた。
なにごとかと思えば、息を切らせながら、
「酒呑童子と呼ばれる鬼の法師の予言の事です」と、いう。
眉をひそめ、
「鬼の名など口にするものではありません。物の怪や邪気を呼び寄せましょう」
と、素知らぬ顔で答えた。
檜扇も使わず、その鬼と一夜を過ごしたと、口にしようものなら内裏は大騒ぎになろう。
女房によると酒呑童子は三月ほど前に予言と称し、羅城門の近くに立札を掲げた。
京職によってすぐに撤去されたものの、そこには、火災、水害、疫病をはじめ七つの項目が挙げられていたという。
そのうち六つは早々に的中。
最後のひとつが昨日的中したのだ、と。
相生神社の「連理の賢(さか)木(き)」と呼ばれる神木が枯れる、という最も衝撃的な項目が。
他の項目であれば起こりうることだ。
だが、神木が枯れることなど、そうはない。
しかも、数日前までは青々と葉を繁らせていたというのだ。
氏子(うじこ)は言うにおよばず都の民に動揺が広がっているさなか、酒呑童子の名で、今朝、新たな立札が掲げられた。
「西国より来たりし義守という男、呪をよくし、魑魅魍魎、怨霊を操り、都に災いをなす。飢饉、疫病を流行らせる」
先に掲げられた立札との違いに違和感を感じたが、問題はそこに記されていたという男の名であった。
酒呑童子が記した義守とは、わたしの知るあの男のことであろう。
ばかばかしいと思いながらも、そのあとに続く怨霊の名に息を飲んだ。
かつては父の政敵であり、阿岐国に流され憤死した男の名であった。
――では、やはり、義守は、阿岐国から来たのか。
*
女の学問ではないと、露骨に顔をしかめる者の多い漢書を、傍らに山のように積み上げた。
女房を遠ざけるための方便である。
物忌み、は使ったばかりだからである。
漢詩に詳しい者を呼びましょうかと、利かせなくとも良い気を利かせる、父のお気に入りの物語を書いている女房を、
「困ったときは、あなたを呼びますから」
と、追いやった。
手鏡を取り出し、わが身を眺める。
作り物ではない笑顔が増えたと思う。
それどころか、うっかりすると口元がだらしないほど、ほころんでいることがある。
衣は、これまでの落ち着いた、時に年寄りくさいと言われるものをすべて下げ渡し、年相応にした。
かといって華美になれば嫌われよう。
その匙加減に苦心した。
気がつく度に鏡を見ていた。
自信を失いかけていたが、決して顔立ちは悪くない。
凛としているとも思う。
惜しむらくは柔らかさにかけることだが、最近では食も進み、年相応にふっくらしてきた。
あとは、うっとりするほど優美な微笑みを手に入れることが出来れば、あの男も気に掛けてくれるのではないか。
鏡を手に、幾通りもの笑顔を試していると、
「入るぞ」と、一声だけ発し、断りもなしに御簾をあげ、誰かが入ってきた。
その姿を見られたのではないかと、鏡を落としそうになる。
無礼にもほどがある。
叱りつけようとして口を開け、そのまま固まってしまった。
革袋を背負った義守が目の前に立っていた。
火照った顔で、しばらく見上げたあげく、
「何かあったのですか? ……いえ、なければないでよいのですが」
と、うつむきながら口にするのが精いっぱいだった。
馬鹿なおなごだと自嘲する。
どうして「訪ねてくれてうれしい」と、素直に口に出せぬのだろう。
これだから帝に嫌われるのだ。
「笛のことで、な」
「笛?」
一体、何のことだろう。思い当たることなど何もない。
それを、口実に逢いに来てくれたのであれば、どれほど嬉しいだろう。
例え本心でなかろうとも、「お前の顔が見たくなった」と、ささやけばよいものを。
そうすれば、おなごが喜ぶ、ということがわからぬのだろうか。
わたしのお兄様の十分の一でもよいというのに。
しかも、問いに答えぬままだ。
目をやると、隅の柱に、もたれかかり、瞼を閉じている。
陽の差し込まぬ身舎(もや)は暗い。
燈台の灯り一つでは身舎の隅まで照らし出すことができない。
それでも、顔色が悪いように見えた。
「具合が悪いのではありませんか?」
「ここ数日……な」
その答えに驚いた。
弱音を口にするような男ではない。
それほど具合が悪いのだ。
「検非違使から追われているさなかに、それでは……」
というと、ようやく目を開いた。
しかし、その目に力はない。
「何のことだ」
「都が厄災に見舞われているのは、あなたの呪詛によるものだと酒呑童子が……」
「おれは呪術など操れぬ」
義守は瞼を閉じる。
怒っているようにも哀しんでいるようにも見える。
やはり、どこかで酒呑童子のことを信用していたのだろう。
人違いであって欲しかった。
義守という名の男など掃いて捨てるほどいよう。
しかし、名指しされているのが、ほかの男であるとは思えなかった。
「真偽はともかく、そのような立札が……」
身の潔白を証明できないのであれば、一刻も早く都を離れるべきである。
いくつもの予言を的中させてきた、酒呑童子が断言しているのだ。
義守の抗弁を信じる者はいないだろう。
宴では、酒呑童子が一方的に気に入っていたようにも見えた。
だが、義守も心底から嫌がっているようには見えなかった。
むしろ相性があっているように見えただけに、できることなら、その話題は避けたかった。
「その立札は……噂は聞いた……放っておけばよい」
義守は緩慢な動作で、懐から見覚えのある曼荼羅の図柄の細長い袋を取り出した。
今回、立ち寄った理由は、どうやらそれにあるらしい。
何もなくても会いに来てくれれば良いのに、と思うが口にできるはずもない。
そもそも、今、この時期に洛中に入るなどもってのほかだ。
自分の置かれた立場を全く理解していない。
検非違使だけではなく、京職、滝口の武者までもが、義守という男を探しているであろうに。
「神木が枯れたのですよ。あなたが立札に記された者と知れれば、検非違使に捕らわれる前に氏子(うじこ)に打ち殺されましょう」
言い募る私の言葉にも動じず、
「イカサマじゃ」と、断言する。
「そのようなことが、できるはず……」
意外な答えに戸惑うわたしの言葉を遮り、
「二日ほど前に根元近くを掘り返した。大半は流れておったが、白い塊が幾分か残っていた。塩を埋めたのだ。周りの灌木も枯れておった」
塩で樹木が枯れることは知らなかったが、義守が断言するからには間違いないのだろう。
「予言には、すべてからくりがあったと言うのですか?」
「あれを、予言と呼ぶのであれば、おれでもできる」
と、にべもない。
火は放てばよい。水はせき止めればよい、と続けた。
困惑を隠せなかった。
酒呑童子の童のような笑顔が作り物だったというのか。
大岩をも破壊した、あの法力さえも偽物だったのだろうか?
だが、その真偽よりも、優先せねばならぬことがある。大事な話がある。
うまく説き伏せることができれば、この男を窮地から救い出し、英雄に押し上げることもできよう。
「検非違使が、必死になってあなたを探している。それは事実です。一刻も早く都を離れるべきですが……」
面倒そうに、義守が口にした。
「逃げるのは嫌いなのだ」
好き嫌いの問題ではない。
言い返そうとしたができなかった。
柱にもたれかかっていた義守が、ずるずるとしゃがみこんでしまったからだ。
しかも、倒れるように横になり、動かなくなったのだ。
あわててそばに寄って息をのんだ。
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巌のような酒呑童子との力比べでも引けを取らなかった、あのたくましい男の姿はどこにもなかった。
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