プライベート・スペクタル

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第四章

第八節

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『『旧支配者』ですと……』
「何なんですソレ?」
『私が【星】に覚醒したての際、漁っていた文献の中でそんな内容の一説を読んだ気がします…それでは確か……』

遥か遥か昔。人類や【星】が現れて間もないほどの古代。
世界にはカミガミがまだ存在していた。
カミガミは全能の力をもって人類を囲い。その中から稀に現れ出る【星】に手を焼きながらも何とか抑えつつ人類を庇護し、支配していた。
そんなカミガミ達。だが彼らの中にも上下があった。一柱とそれ以外という形で位階を定めたのである。
全員で選んだ一柱を彼らは『上位者』と名付け全員が従うように決めたのであった。
大和達『創世神』が【星具】を蒐集し相対を目指す最終目標もその『上位者』である。
決めた当初については問題はなかった。自らが選んだ『上位者リーダー』の意見を尊重し定めた規則を堅守する…それだけでよかった。
だが、それも僅かな間のみ…全能同士がそんな簡単に収まるわけがなかった。
いくつかの世紀ときが流れ、庇護のもと人類が少し発展した頃…一部のカミガミが『上位者』に従うことに不満を覚えだしたのである。
支配者である自身が、自ら選んだとはいえ格が同じ存在に従うこと自体がおかしいと…。
はじめは一部のみの考えであった。だが…その考えは鎮まるどころか伝播していき、やがて全てのカミガミが『上位者』に対して反意を持つようになった。
そして『上位者』の座をかけて殺し合いが始まることになる。
唯一となる為に自身以外の全てを敵と定めて……。

『文献では最終的に下克上を仕掛けられた『上位者』が全員を返り討ちにしたとされています。結果多くのカミガミは死亡し、生き延びた存在も座を追放されたとされています………その敗れ去った者たちの呼称が……』
「そう『旧支配者』☆君たちの目の前にあるのはそのうちの一つってわけ♪」
「しかし元カミとはいえ亡骸が動くとは…ましてや他の存在を捕食するなんて…」
「そりゃあカミ様だもん☆世界の支援がなければ【星】だろうと勿論人類だろうとどんなものでも死ぬのは絶対☆でもカミ様には魂の死はあっても肉体の死はないんだよ♪」
そこで変化を始めた『断片』否…『旧支配者』。成長による躍動を続けすでに小型ビルと同じ大きさのそれは形づくり始める。
「だからこうして復活のための栄養を与えてやれば、ほらこの通り♪」
形作ったそれは人型。樹木のような根を辺り一面に張り巡らせた巨人のような姿であった。
「■■■■■■■■■~!!!」
「あっはいい声♪これなら魂も肉体の復元に従い戻ってくるだろうね☆」
叫び声と共に周囲から栄養を奪い取り始める『旧支配者』。倒れている人々や【星】を絡めとり取り込んでいく。
それを見ながらイドは満足げに頷く。
「イドさん!久弥さんを裏切って用済みのように捨てこんな怪物を呼び出して、貴方はいったい何を考えているのですか!?」
「裏切ったわけじゃあないんだよねエイプリル☆ただ方向性が違っただけで♪……それに信者が信仰するカミを甦らそうとして何が悪いの?♪」
そこで見せたイドの表情にぞっとするエイプリル。
一見先程と同じような軽薄そうな表情のように見えるが…中には何もない完全な虚無のような瞳であった。
「まあ☆信じない君等は何も理解できないよね♪あっそうだ☆」
言って懐から何かを取り出した久弥。『月下の雫』その柄である。
「一部は気づいていたみたいだけれど☆遠隔で操作する為にあえて刀身を折ったんだ♪エネルギー源となる刀身はこの方の中に☆操作する為の柄は俺の手にってね♪」
それを指揮棒のように振るったイド。すると彼の動きに呼応するように『旧支配者』は触手をエイプリルに向けて伸ばす。
「そろそろ取り込まれよっか☆それなら何かわかるかもよ♪まあ理解しただけで君等の意識や魂はこの方と一つになって消滅するんだけれどね♪」
『躱せ将軍!今の俺たちじゃあ防いだら必ず負ける!!』
「うぃ!!」
狗の忠言に苦々しそうな表情で従い触手を避けるエイプリル。
だが、触手は枝分かれをして追尾した。
「ダラァ!!」
そのままエイプリルが絡めとられそうになる瞬間、間に入った大和。高速で打撃を叩き込む。
あまりの威力に触手は粉々に破裂した。
「師匠ッ!」
「エイプリル。ここは俺が引き受ける」
「ですが……」
「代わりに一つ頼まれてくれねぇかい?」
『旧支配者』に相対しながら大和はこの空間の出入り口の方向を指さした。
「今から急いでこの【領域】の制御中枢を奪ってきてくれ。いけるか?」
「師匠ッ!この状況でいったい何故!?」
「この後にコイツが何を企んでいるかを察しがついたからな…チェルシーも付いて行ってやってくれ」
「承知しましたぁ」
『エイプリル。私が道すがらに説明いたします。早く行きましょう』
「エイプリル」
「師匠」
「頼んだぜ」
「…うっ、うぃ!!」
力強く頷き出入り口まで駆けていったエイプリルと一礼の後に続くチェルシー。
振り返り大和は笑みを持って見送った。
「はてさて…っと……」
『ところで貴方は大丈夫なんです大和…?』
「問題ねぇ。それにしても助かったぜ睦美……」
『仲間のことを気にかけるのもナビゲーションの役目ですから……』
睦美の言葉に笑みを浮かべた大和。イド達に向き直る。
「あっははは☆良いように足手まといを排除できてよかったね大和♪」
「…………」
「でも君は大丈夫なのかい?☆おそらく睦美にも言われただろうけれど2対1だよ?☆それもそこいらの【うぞうむぞう】とは違い今は亡骸とはいえカミ様だ♪舐めプできる余裕はあるのかぁ~い☆」
『ふむ、復活されたとはいえ門司と睦美が一撃を入れたくなった気持ちはわかったような気がします……ですが、その点についてはご心配なくイド……なぜなら………』
「おおぉおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおお!!」
『すでに貴方は『龍王かれ』の逆鱗に触れていますから…』
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