プライベート・スペクタル

点一

文字の大きさ
81 / 167
第二話 終章

第一節

しおりを挟む
「呉成ッ!……グっ……」
戦いが終わり大和の元に駆け寄ろうとするダイヤ。だが、ダメージが大きかったのか動くことが出来ない。
そんなダイヤに大和の方から近づく。
「よぉダイヤ。生きてるかい?」
「……へへッ…こんな最高の日にくたばるなんて、勿体なさ過ぎて罰が当たら」
「そりゃそうか…こういうのは映画の中ぐらいだろうからなぁ」
「呉成、お前やっぱり最高だ…お前に目ぇ付けて良かったぜ…」
「そりゃお眼鏡に適ってなにより」
大和の軽口に笑ったダイヤ。大和も笑みを浮かべる。
とそこに入る通信。相手はヒミコであった。
『終わったみたいだね』
「婆さん。そっちの方はどうなった?」
『こちらも大半は終わったさ、アンタが『巨神』の槍を打ち砕いた光景はこちらでも見ることが出来たからね、『巨神』が敗れたことを悟った収容者連中の大半は投降の意思を示したよ。今は逃亡を試みた一部連中の捕縛に動いている具合さ…』
「損害はどれくらいだったんだ?」
『『巨神』の【演目】の余波でここ本部以外の全ての建物は倒壊。当分は建て直しが必要だろうね…』
「…………」
『でも人的な損害は皆無に等しいよ。戦闘経験や連携による戦線の維持が上手くいったんだろうね、重傷者は少々出たものの死亡者は0名。その重傷者も他より比べて時間がかかる意味で重いだけで戦線復帰には問題無さそうだよ』
「そうか、そいつは良かったな」
『つまるところ今回の襲撃…アタシ等の勝利って訳さ』
ヒミコの言葉が確認の様に上がった歓声を漏れ聞いた大和。ひと先ず安堵する。

だが、その歓声を遮るかのような声が通信機に割り込む。
『……ょッ…ししょう!?師匠ッ!!?』
声の主はエイプリルであった。
「エイプリル。無事だったか?」
『うぃ、それよりも師匠ッ!?お耳に入れて欲しい情報がッ!?』
「どしたい?」

『私達の目当ての【星具】を持つ者がッ!私達の目の前にッ!そして消えてしまってッ!!』

「…ッ『無にして全』の一部か?」
大和の言葉に『うぃ』と肯定を示すエイプリル。
その時すぐそばで異様な気配を感じた大和。気配の方向を向く。
そこには球体に手袋が付いたような異様な姿の【星】。
ジャックやアトラス達からドロップと呼称されていた者であった。
「…ド………ロッ………プ?……」
「う~わ酷い有様だ~ね。アトラ~ス」
軽快な声音と独特の間延びで喋るドロップ。これまでの身振り手振りの小声でないその変わりっぷりにアトラスはこれまで演技していたのだと否が応でも悟る。
「お~いおい。そんな~に怖い顔はしない~でくれよ~裏切~りはしてないって~ぇ。現にここに居るのはき~みを助ける為なんだ~ぜ」
そう言って懐からあるモノを掲げるドロップ。
漆黒の球体のような物体。
溢れ出るエネルギーから大和はそれが『無にして全』の一部であると理解する。
理解すると同時に即座に動いた。
「借りるぜ」
返答を聞くまでも無くダイヤの鎚の一つを拾い投擲した大和。
ドロップはそれを事も無げに弾き飛ばす。
その隙に接近していた大和。打撃を叩き込もうと拳を振りかぶる。
だが、その途中で大和は急に動きを止めた。
「賢明な判断だ~よ『龍王』」
「ちッ!」
舌打ちする大和の視線の先。そこには灰白色の骨のような形状の突起物を体内から伸ばしダイヤの首元に突き付けていたドロップの姿があった。
「得体の知れない相手。ご自慢の拳で殺せるか試すのも良いだろうけれど、代償として彼は死ぬのは確実だろうねぇ~え」
「構うな呉成ッ!俺は生に置いての手前の目的を果たした!命の一つや二つ今更惜しかねぇ!!」
「君はそ~れで良いんだろうね~ぇ。でも見たと~ころ彼は出来ない。そういう性格ヤツだよ」
「…ダムっ」
苦虫を噛み潰した表情を見せたダイヤ。ドロップは「そ~の表情OKで~す♪」とサムズアップで喜ぶ。
「ではで~は一泡は吹かせるこ~とが出来たところでお暇させてもらおう~かな。あまり構わ~ないとアイツ拗ねるからナ~ァ」
「アイツ?」
「俺が仕~えている本当の~主の元さ~ぁ」
おそらくこの場から離脱するのだろう『無にして全』を掲げるドロップ。同時に突起でアトラスを摘まみ上げる。
大柄のアトラスだが箸で掴んだかのように軽々と持ち上げる。
「本来~なら教える義理は無いんだ~ろうけれどね。いずれ近いうちに相まみえるだろうか~ら教えておいてあげる~よ」

「俺の主の名は御法川トワトワミノリカワ『時極の魔女』の銘を賜った【おかた】だ~よ」

『『時極の魔女』…』
「それじゃ~あ~ね」
その言葉と共に光が瞬きドロップとアトラスはその場から消え失せた。
『…問題の終わりと共に新たな問題の出現。ふむ、中々にのべて平穏になりませんね…』
「良いぜ、好きなだけ来いよ…それまでその【星具】大事に保管しておけよな」
ダイヤを除いて誰も居なくなった戦場にて呟いた大和。
それから程無くしてエイプリルと『フツノミタマ』の医療班が到着した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。 なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。 銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。 時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。 【概要】 主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。 現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。

七人の勇者たち

板倉恭司
ファンタジー
 不細工を通り越して不気味な見た目の面子が揃っているため『人外部隊』なんて呼ばれている……それが傭兵の十三隊だ。そんな奴らに、妙な仕事が舞い込んだ。怪しいおっさんと天然な少女の護衛だ。楽勝かと思いきや、このアホの子は世界の情勢を一変させるほどの存在だった。しかし、そんなことで手を引くような連中じゃない。人外部隊は、筋が通らなくても金次第で何でもやってのける命知らずだ。不可能を可能にゃ出来ないけど、巨大な国家が相手でも引かない特攻野郎たちさ。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

魔帝戦記

愛山雄町
ファンタジー
 魔帝。それは八人の魔を司る王、すなわち魔王を統べる至高の存在。  強靭な肉体、卓越した武術、他を圧倒する魔力、絶対的な防御力……神の祝福を受けた勇者以外に傷つけることはできず、人族からは最強の魔族として恐れられている。  派遣社員、真柄(まつか)嵐人(らんと)はその魔帝として、グレン大陸の中央に位置するグラント帝国の帝都に召喚された。  しかし、ラントに与えられた能力は歴代の魔帝が持っていた能力のごく一部、それも個人の戦闘力に全く関与しない“情報閲覧”と“自動翻訳”のみ。  あまりの弱さに部下の中にはあからさまに侮蔑する者もいる。  その頃、勇者を有する人族側も神の啓示を受け、“人類の敵”、魔帝を討つための軍を興していた。  チート能力もなく、日本人のごく平均的な肉体しか持たない彼は、自身の知識と魔帝の権威を最大限に利用し、生き残るために足掻くことを決意する。  しかし、帝国は個々の戦士の能力は高いものの、組織としての体を成していなかった。  危機的な状況に絶望しそうになるが、彼は前線で指揮を執ると宣言。そして、勇者率いる大軍勢に果敢にも挑んでいく……。 ■■■  異世界転移物です。  配下の能力を上げることもできませんし、途中で能力が覚醒して最強に至ることもありません。最後まで自分の持っていた知識と能力だけで戦っていきます。  ヒロインはいますが、戦争と内政が主となる予定です。  お酒の話はちょっとだけ出てくる予定ですが、ドリーム・ライフほど酒に依存はしない予定です。(あくまで予定です) ■■■  小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも公開しています。 ■■■  2022.2.14 タイトル変更しました。 「魔帝戦記~常勝無敗の最弱皇帝(仮)~」→「魔帝戦記」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

処理中です...