プライベート・スペクタル

点一

文字の大きさ
108 / 170
第三話 第三章

第七節

しおりを挟む
下着なんぞもっての他。装飾品すら身につけていない。完全無欠な生まれたままの姿。
倫理感すら何のその…イチモツも隠される事無くモノの見事にそそり立っていた。
「「………ッ!?」」
絶句する信楽と恥じらいも加えて右に同じな白雪。
そんな二人を見てタークスは首を傾げる。
「ん?何を固まっている?さてはこのタークスの肢体に惚れたな?」
「え?」
「だがその感情、何も恥じる事はない!むしろ当然の事!!……さあ存分に我が肉体を見るが良い!」
「ちょっと待て!?いややっぱり待たなくて良い!!何でなにも身に着けていないんだ!!?」
こんな戦場で…しかも相対している敵にこういうのを聞くのは場違いだと理解しつつも問いかける信楽。
だが、タークスは理解出来ないようにキョトンとした表情で答えた。
「君は一体何を言っているんだ?着飾るのは何かが必要な時、その必要のない我が肉体はありのままを晒すことは至極当然の事じゃあないか?」
「いやその理屈はおかしい!?」
どこ吹く風とそのままポーズを取り始めたタークスに思わずそうツッコんでしまった信楽。
「とにかく敵の趣向は置いておいて信楽さん。敵の『将』と会敵出来たのは僥倖です!護衛もいない今一気に倒してしまいましょう!!」
「ああそうだな!」
白雪の言葉で呑まれかけていた空気が元に戻ったと感じた信楽。
戦闘的に考えればなにも身に着けていないという事は搦手の心配はないという事である。
「『フツノミタマ』戦闘班所属、白雪。参ります!」
「同じく信楽…参る!」
名乗りと同時に駆け出した白雪と信楽。こちらを気にせず相も変わらずポーズを決め続けているタークスに一気に近づく。
そして打撃を叩き込んだ白雪。防御も何もない直撃である。
だが……。
「ほぅ、中々に良い拳だ!花の様に可憐な君からの贈り物と言ったところかな?」
「ッ!!?」
『三重』
続けて『御雷』を叩き込む。衝撃が駆け巡るごとにタークスの身体を仰け反らせる。
しかし……。
「素晴らしい!よく鍛えられている!!」
全く効いている素振りが無いタークス。隠されていないそこで理解出来る。
彼は上手く防御しているわけでも能力や【演目】によって受け流したりしているわけでもない。
ただ単純に硬いのだ!
まるで軍艦の装甲を殴っているような感覚。彫刻像を思わせる肉体は鋼鉄の如き硬さを持った細胞がひしめき合い鎧のような身体を形成されているのである。
「ちぃッ!」
手にした剣で死角から斬撃を加えた信楽。だがそれすらも防御する事は無く。現に刃が僅かにも入っていなかった。
(大和さんや門司さんの様な【星】なら彼の肉体を貫くことは可能。ですが、今の私達にあの方みたいな威力を出すにはまだ練度が足りなさすぎる…ッ)
「中々に良いモノを見た…では次はこのタークスの番だな」
その言葉と同時に姿が掻き消えたタークス。瞬間、白雪と信楽双方に強力な衝撃が入り身体が吹き飛んだ。
(硬さだけでない…身体能力も……ッ!)
ビルの側面に叩きつけられた事で殴られたのだと察した白雪と信楽。
「まだまだ」
追撃でポーズを取りながら高速で飛んでくるタークス。拳を叩き込んでくる。
何とか躱した白雪。代わりに受けたビルはまるでガラス細工の様に一階層が砕け散り、破砕音と共に崩壊を始める。
「なんとまあ脆い」
崩れ落ちるビルの側面を駆けるタークス。垂直なのに問題なく恐ろしい速度で駆け降りる。そして異様ともいえる身体能力で白雪に一気に肉薄した。
(か…勝て……)
とどめを刺そうと右足を大きく振りかぶるタークス。次の数瞬後、自分は完全に終わるだろうと白雪は覚悟する。
だが、その瞬間に信楽が割り込んだ。
「信楽さんッ!?」
『流水ッ!!!』
恐ろしい威力の蹴りを受ける信楽。
「がァアアアアアアアアアアァァァァ!!」
『御雷』と同じく『フツノミタマ』の戦闘班に伝授される。【星】の格闘技術の一つ『流水』合気の様な要領で相手の攻撃をいなし防御するという技術である。
だが、信楽の『流水』の練度では想定外の膂力から放たれたタークスの蹴りを受け流し切ることが出来ず。白雪や自身の直撃は免れたが両腕はズタズタになった。
「おぉ、花の様な可憐な君を身を挺して守るとは…俺の次に魅力的な男だな」
「ああ、そう称しておきながら…躊躇も無く踏み躙ろうとしているお前よりはマシだと自覚しているよ…」
「見解の相違だな…この世に可憐な花は数あれど、俺にとって真に愛でるべきは我が君トワ・御法川のみ…彼女を美しく着飾らせるためなら、俺はいくらでもその花を摘み花冠を作り上げよう」
『白雪さん。信楽さんを連れてここは一度退却をッ!?』
「俺は置いていけ…戦える仲間を…探してくるんだ……」

「不味いですよ師匠ッ!?このままでは白雪さん達が……」
「ああ、このままじゃあやられる」
「でしたら…」
戦況把握用の監視ドローンから送られてきた白雪達の映像を『創世神』の【領域】内から観ていた大和達。
白雪達の危機に席を立ったエイプリルだったが、「エイプリル」と大和に止められる。
「だけど助けたらダメだエイプリル」
「今回ばかりは馬鹿に同意ですエイプリル。参戦権は一度しかありません。ここでこの馬鹿共を投入すれば戦況は幾分かは好転するでしょう…ですが今後どうなるかわからない以上、ここで投入するのは得策ではありません」
「ですが…ッ………」
「心配するなエイプリル。俺達が出なくとも俺達に匹敵する協力者があの場に居る」
「ああ…そうだな兄弟。だから心配するな……」
そう言い切った大和と門司。
後ろ髪をひかれる思いのエイプリルであったが、彼等のその言葉を信じ再び映像に視線を戻した。

「ではそろそろ終わりだな……」
「くッ!?」
そう言ってトドメの為に拳を振り上げたタークス。だが、何かを察し防御の姿勢に入る。
瞬間、何かが飛んで来てタークスを吹き飛ばした。
「ッ!?新手だな…」
「これは…?」
「ヘヘッ…どうやら俺と言う男は相当持っているようだな…」
飛んで来たモノは片手鎚。タークスを吹き飛ばした片手鎚はブーメランのように持ち主の手元に戻っていく。
「何たって目立つのに絶好のタイミングで割り込めるんだからなァ!?」
その片手鎚を手にしたのは一名の【星】。
『国鳴り』と言う銘を持ち、先の合衆国での収容者脱獄の際、被収容者の立場ながら『巨神』アトラス相手に大和と共闘した男。
そして現在は合衆国所属の【星】の一人。
元収容者№G0329…オルド・ダイヤモンドであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ
ファンタジー
 ハートとお気に入り登録、ぜひぜひお願いいたします!  ↓簡単なあらすじは''もっと見る''へ!↓  ここは、剣と魔法の異世界グリム。  ……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。  近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。  そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。  無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?  チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!  努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ! (この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...