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2巻
2-3
そんな風に戦場を駆け回り、魔物の数もだいぶ落ち着いた。
「ふう……」
それなりに疲れたので休憩とする。
今日一日で36レベルまで上昇し、インベントリには大量のドロップアイテム。
「スタンピードイベントさまさまだな、こりゃ」
「何がさまさまなの?」
「おわっ!」
ポチ、ゴレオ、コレクトと焚き火を囲っていると、いきなりイグニールが姿を現した。
「聞いたわよ?」
彼女はニヤニヤとしながら言う。
「にやけ面で走り回りながら、そこそこ良いポーションを配りまくっていたそうね? このあいだのコレクションピークの時も思ったけど、あんたやっぱり相当なお人好しね!」
「ハハハ、まあ状況が状況だからなあ……」
お人好しというよりも、こっちは大量のドロップアイテムを獲得し、他の人が倒した魔物分の経験値までもらっているんだ。ポーションでも配っとかないと、罰が当たる。
「確かに状況が状況だもんね。でも、おかげで今回のスタンピードはみんな絶好調よ」
「今回の、って他にも経験あるの?」
「何度かあるわね。まあ、その時はレベルもランクも低かったから、私の役目は前線への補給と、そこを抜けて来た魔物の討伐だったけど」
「そうなんだ」
「今日みたいに十分に人がいる状況でもなかったから、戻って来た前線組は、みんな死屍累々みたいな姿だった。うん、それに比べたら今回はマシね」
聞けば、本来のスタンピードは災害規模で恐ろしいものらしい。大抵の場合、魔物に対応する人数が足りないとのこと。
しかし今回は、原因となったデプリ側から多くの冒険者がトガルへ流入していたため、対応する人員に相当な余裕があるんだとか。
「しかもね? 混乱に乗じて、オークキングとかゴブリンキングが街に攻めて来たりすることがあるの。そうなればさらに厄介度は上がるんだけど……今回に関しては、あんたの従魔が未然に防いじゃったから、一安心よ」
イグニールはプリプリ怒っている時と打って変わって、柔和な表情を作ると言う。
「本当に大したものよ。知らない間に、街を救ってるんじゃないの?」
「いやあ、んなまさか」
救ったのはキングさんで、俺は特に何もしてない。
「まあ、目立つつもりがないってのは重々承知。誰にも言わないから安心して?」
「そっか、ありがとう。とりあえずはい、口止め料」
休憩がてら食べようと思っていた、ポチの作った食事をイグニールにも渡しておく。
「口止め料って……この間の素材で十分過ぎるわよ」
食事を受け取りながらイグニールは言葉を続ける。
「それにまだ恩返しだってできてないし、これ以上あると返せる自信がないわね」
「まあ、無理に返す必要はないよ」
イグニールがオークに襲われていたのだって、元はといえば、俺が塩漬け依頼を全てこなしてしまったことが原因なんだからな。
「いいえ、必ず返す。そのためにも、ご飯を食べたらもうひと頑張りしなきゃね!」
「気合入ってるなあ……」
「当然よ。稼ぎ時だし、あいつらのせいで下がっちゃったランクを上げないと」
イグニールはもともと、ソロでCランクの冒険者だったらしい。
だがあのパーティーに入ってから失敗続きでパーティーランクが降格し、ソロのランクも引き摺られて落ちてしまったのだと。
俺からすれば、そんな状況だったのにまだ彼らとパーティーを組んでいた彼女のほうが、度が過ぎるほどのお人好しだと思った。
「今日はなんだかレベルの上がりも良いし、この調子でもっと頑張らなきゃね」
食事を終えたイグニールは立ち上がるとグッと、少し古い杖を握りしめる。
「質に入れていた杖も、トウジが分けてくれた素材を売ったお金で取り戻したし、楽勝よ!」
「うん、気をつけてね」
「ォン!」
「……!」
「クエッ!」
意気揚々と戦場へ戻っていくイグニールを、俺達はみんなで見送った。
ちなみに彼女が今しがた口にした、レベルの上がりも良いって言葉。
実は、ソロじゃつらかろうってことで、さりげなくグループに入れていたのだ。
ゴレオと仲が良い手前、スタンピードで戦死されては困る。
グループに入れておけばHPが確認できて、ピンチの時もすぐにわかるしね。
だが、ソロでCランクまで上がれる腕を持つ冒険者だ。今日は楽勝だと言っていたし、本気を出したらかなり強いのかもしれないな……。
◇ ◇ ◇
それから、スタンピードは計四日間ほど続いたのち、終息へ向かうこととなった。
過去類を見ない程の規模だったのだが、終わってみれば犠牲者はゼロ人。
奇跡的な快挙として、参加報酬に追加ボーナスが加算されることとなり、戦いに出向いていた冒険者達は両手を上げて喜んでいた。
もちろん俺もその一人である。だってスタンピードが一日で終わると思っていたからね?
それがまさかの継続確定で、計四日間も続いてしまったんだから、嬉しいに決まっている。
この四日間、戦場を駆け巡って得たドロップケテルは……なんと128万ケテル。
まさかの100万超えを果たしてしまった。
ドロップケテルだけでこれだけの収益なんだから、たんまり得たドロップアイテムを売れば、しばらく牛丼特盛にトッピング全部載せで過ごしても、懐は痛くも痒くもない。
さらにレベルは39まで上昇していた。
四日間、自分でも魔物を倒しつつ、他のパーティーから経験値をいただいた結果である。
40レベルまで行っちゃうんじゃないかと思っていたが、ギリギリ39で止まってしまった。
経験値寄生をしたは良いものの、自分で倒したのは、過去に倒したことのある魔物ばかりだったからだろう。まあ、39までレベルが上昇したのは寄生させてくれたパーティーのおかげなので、あとで匿名にてポーションを送っておこう。
なんだか強そうなパーティーは、とりあえずグループにつっこんだままにしておく……という選択肢もあったのだけど、さすがにそこまで迷惑をかけるわけにもいかない。
過剰にカルマを背負ってみろ……待っているのは破滅である。
先ほど犠牲者はゼロだとしていたが、それは死亡者に限った話で、実のところ、怪我を負ってしまった冒険者はちらほらいるのだ。
さて、スタンピードの振り返りは一旦このくらいにして、俺は有り余るドロップアイテムを地道に分解、処理していこう。
魔物の素材だったり、ドロップ装備だったり、多種多様のものがインベントリには眠っている。
それを全て売るのではなく、分解して装備製作の素材にしてしまうほうが、今の俺には良かった。
ドロップした装備があるなら、せっかくだし装備しとけよって話になるのだけど、ドロップ装備って基本一点物ばかりだから、強化合成ができない欠点を持つ。
なので基本売るか分解するかの二択しかなく、なんとなく可哀想な存在なのかもしれない。
「よし、やるか」
俺の膝に頭を乗せて昼寝するポチを起こさないように撫でながら、有り余る装備類の分解に取り掛かった。
「……ん?」
ドロップ装備を延々と分解している最中のことである。
インベントリ内に、なんだか他と毛色の違う装備を発見した。
【精霊のマント】
必要レベル:30
STR:20
DEX:20
VIT:20
INT:20
AGI:20
UG回数:3
特殊強化:◇◇◇◇◇
限界の槌:2
装備効果:エクシオル
他の装備と比べて、やけに良い基本性能を持っている。
精霊と書かれているだけあって、なかなかの逸品だな……なんて思っていたのだが、装備効果にエクシオルと書かれているのを見て驚いた。
エクシオル……それは、まごうことなく強い装備だということを表している。
俺がやっていたゲームには、特殊強化の時にとんでもない効果を発揮する装備が存在していた。エクシオル装備とスペリオル装備の二種類である。
説明するとこれもまた長い話になってしまうのだが、端的に言うと、特殊強化した際の上昇値がヤベェってことだ。
普通の特殊強化が◇1~5まで、全ステータス+2と攻撃力・魔力+1なのだが、このエクシオル装備は一回の特殊強化で、全ステータス補正が+10以上も上昇していく。
残念ながら攻撃力と魔力はつかないが、ステータスを上げるという一点のみなら、とんでもない上昇値を誇るのだ。
◇1……全ステータス+10/500万ケテル
◇2……全ステータス+15/600万ケテル
◇3……全ステータス+20/1200万ケテル
◇4……全ステータス+25/1300万ケテル
◇5……全ステータス+30/1400万ケテル
◇6……全ステータス+35/2800万ケテル
◇7……全ステータス+40/2900万ケテル
覚えている限りだと……こんな感じだった気がする。
最終特殊強化可能回数は◇15なのだが、今回はレベルの低い装備ゆえ、◇5まで。
それでも五回の特殊強化を成功させると、ステータス補正は+100になる。
その分費用もバカみたいにかかってしまうけど、金の力で超絶強くなる装備というのが、このエクシオル装備というものだ。
え? ◇15まで強化した際の費用はいくらかかるのかって?
確か2億6200万ケテルとか、そんなんだった気がする。そこまでやった上でのステータス補正値は全ステータス+675……もうバカ装備だな。
ちなみに、成功率は最初から50%で、強化回数が増えていくに従って落ちていく。
◇8からは破壊確率が付きまとい、破壊となれば、とんでもない金額の費用が水の泡となる闇の深い装備だ。
そして、このエクシオルよりもっとやばい効果を持つ装備がスペリオル装備という。
現物がもし手に入ったら、その際に改めて説明しよう。
とにかく、超強力な装備を知らず知らずのうちに手に入れてしまった訳だが、肝心のお金が心許ないので、これを使ってさらに強くすることは難しい。
大人しくインベントリ内に寝かせておいて、資金が潤沢になってきたら着手してみよう。
つーかそもそもの話、エクシオル装備もスペリオル装備も、その大半が面倒臭いクエストを毎日こなして、対価として得たクエストコインとかを用いて、専用のNPCから交換することでしか手に入らない装備だったはず。
こんな装備がドロップアイテムの中に紛れ込んでいるのが、非常に謎だった。
ろくに確認もせず拾いまくっていた弊害がもろに出てるな……いったいどんな魔物からドロップしたのかすら、まったくもってわからん。
「まあ、この世界を旅していたら、どこかできっと巡り合うだろう」
こうしてドロップ装備として手に入ったのだから、この世界に、こういった特殊な装備が存在することは確定事項だ。あまり期待も執着もせずに行きましょう。
それに、強さを得るには多大な費用が必要だ。
強化に失敗して水の泡にするくらいなら、普通の装備を強化合成して特殊強化を施していったほうが、はるかに安定で安上がりなのだよ。
「さてと……少し遅いけど飯でも食いにいくか」
昼過ぎまでかかって、ようやくドロップ装備があらかた片付いた。
グゥとお腹がなっているので、ポチを起こして外に出よう。
「ポチ、起きろ」
「……アォン?」
まだ眠たそうに目を擦るポチを抱っこして立ち上がると、俺は宿を後にする。
外は良い天気だ。お日様の光っていいよなあ、なんだか元気が出てくる。
平日は家とバイト先の往復のみ。休日は引きこもって一日中ネトゲに勤しんでいた二十九歳フリーターの肌の色は病的に白かったが、異世界に来てそこそこ日焼けし、健康的になっている。
「ほら、そろそろ歩けって」
「ォン……」
まだ抱っこされていたいと服にしがみつくポチを、無理やり下ろして歩かせた。
いつもは俺より早く起きて、朝食の準備を確実に終えているポチなのだが、実のところ、寝起きはそこまでよろしくないようだ。飼い主に似ている。
「うーん、何を食べようかな……」
長時間座りっぱなしだったので、運動がてら街をぶらぶらと歩きながら、食事処の検討だ。
定番の牛丼屋でも良いのだが、せっかくスタンピードを頑張ってそれなりのお金を得たのだから、今日はグレードを上げて良い飯にしようかな?
「さー! 掘り出し物だよ! 掘り出し物!」
大通りを歩きながら店を探していると、露天商の声が響いてきた。
「今日の目玉は、ダンジョンから出たアーティファクト! 珍しいよー!」
「ダンジョンか……」
ダンジョンという言葉の響きになんとなく惹かれて、声の聞こえた方へと向かう。
「おっ! 兄ちゃんどうだい! これは伝説の賢者様が作ったアーティファクトだい!」
「おお……」
露天商が声を張り上げて売っている物を見て、少し声が出てしまった。
「さあ、今日俺が持ってきた掘り出し物のアーティファクトは、その名も魔導キッチン! 魔導キッチンだよ! 水も出れば火も出る、なんならオーブン機能だってある、不思議な不思議な魔導キッチンさ!」
露天商が掘り出し物のアーティファクトだという品物は、キッチンだった。
どでかいシステムキッチンのようなものではない。見た目的にはバーベキューで使うような簡易的なバタフライ式キッチンである。
「水も出れば、火も出るって、どういう仕組みですか?」
水道管とかガス管とか、そんなものは一切ついてないように見えるが。
「おっ! 興味あるかい? 見てろよ兄ちゃん!」
そう言いながら、露天商は懐から丸い石を取り出して、何やらごそごそとその魔導キッチンとやらの後ろに取り付け始めた。
「こうやって魔石を後ろにはめ込むと……ほら! 水が出るし、火も着くんだ!」
「おおっ!」
どういう原理なのかまったく理解できないけど、説明通りに確かにコンロに火がついて、シンクの蛇口から水がジャーっと流れ出したぞ、すげぇ。
「……クゥン」
俺の隣で見ていたポチは寝ぼけ眼から一転、そのつぶらな瞳を爛々と輝かせ、物欲しげで悩ましげな鳴き声を上げて、俺のズボンを引っ張った。
「ポチ……」
尻尾がブンブン振られているところを見ると、かなり欲しそうな雰囲気である。
確かに今は、毎朝牛丼屋が開店する前にキッチンを借りに行き、朝食を作って部屋に持ち帰っている……これは買ったほうが良いのかもしれない。
「その魔導キッチンというアーティファクトは、おいくらですか?」
「大特価の2000万ケテルさ! 安いだろう!」
たけぇよ! システムキッチンでもそんな値段しないだろ、絶対。
「ちょっと、高いですね……」
心の中のツッコミを表に出さないようにしながら、なんとか値段交渉に持ち込んでみる。
「アーティファクトだから、水も火も無尽蔵に出てくる代物だぜ? 2000万は大特価だ!」
ぐぬぬ、水も火も無尽蔵とは、さすがは伝説の賢者が作ったアーティファクト。
なんでそんなもんがダンジョンから出てくるのか知らんが、ここは異世界なので、俺の常識は通用しないから特に何も言うまい。
「ォン!」
買って、とせがむポチ。
「でもポチ……2000万はさすがに無理だよ」
「アォン……」
くっ、そんなに悲しそうな目をするなよ! なんだか俺が悪者みたいじゃないか!
500万ケテルくらいだったら、なんとか捻出できないこともない。だが1000万を超えてくると、さすがに手が出せなかった。
「500万にはならないよな……」
悩んでいると、露天商が言った。
「だったら、今だけ特別価格として、500万ケテルでいいぞ?」
「はあ?」
逆にそれは安過ぎて怖い。でもポチが欲しそうにしている手前、手が届く範囲なら買ってもいいかもしれない、と思えてきた。
水と火も使えて、さらにオーブン付き。買ってやったらポチもさぞ喜ぶだろう。
毎朝パインのおっさんのところへ行って迷惑をかけずに済むし、インベントリに入れておけば豪華な料理をいつでも食べられる。
「うーむ……」
「なんなら、契約書を交わして分割で払ってもいいぞ?」
「分割ですか?」
「おう! 頭金は払ってもらうけど、残りは分割だ! そこそこの稼ぎがあるなら、商人ギルドや冒険者ギルドで肩代わりしてもらえるし、なんなら俺もついてってやるからよ!」
「ほうほう」
聞けば、新装備や備品を導入する冒険者や商人に対して、信用に応じて代金を一部肩代わりしてくれる制度が存在するらしい。
それを使えば、即金がなくても物を買えて、決められた日付通りにお金を払い終わったら、新装備や備品は自分のものになると。ローンだな。
「冒険者ランクはまだDになったばかりなんですけど……大丈夫ですかね……?」
「依頼を毎日しっかりこなして、基準をクリアしてたら良いはずだぜ!」
やけに詳しいな、この露天商。
まあいいや、それなら今後の生活にもあまり響かないし、良いかもしれない。
露天商の強い推しに負けて、さっそく契約を交わそうとしたその時である。
「ちょっと待ちや、トウジ!」
俺を呼び止める声が後ろから響いた。
「ん?」
振り返ると、見慣れたオーバーオール姿のマイヤーがいた。
彼女は俺と露天商の間にずかずかと入ってきて、魔導キッチンを凝視する。
「……なんやアーティファクトとか言うとったけど、ちゃうやんけ!」
「な、何言ってるんだお嬢ちゃん! 営業妨害だろ!」
え、アーティファクトじゃないの?
そんな疑問を浮かべる俺をよそに、マイヤーは露天商に噛み付く。
「なにが営業妨害や! アーティファクトや! これ普通に型落ちの魔導キッチンやん! しかも魔石の燃費が悪過ぎて、悪評ぎょーさん出とる安いやつやん!」
「な、何言ってんだ! そんなことねーよ!」
「うちの鑑定スキルは誤魔化されへんで! 型落ちのもんを適正価格で売るならまだしも、何がダンジョンから出たアーティファクトや! ただの模造品の魔導機器やろ!」
怒濤の勢いで露天商を責め立てるマイヤー。
鑑定持ちと言われて、露天商はもはや何も言い返せなくなっている。
その様子を見ながら、俺は「マジか……」と凹んでいた。なんの疑問も持たずにぼったくられようとしていたからだ。
「綺麗に見せとるみたいやけど、これに値段をつけたら100万ケテルくらいやろ?」
「ぐっ……」
「いくらなんでもそれはぼったくり過ぎや、街の評判が悪くなったらどないすんねん」
「さっきから言わせておけば……500万でも良いってそこの兄ちゃんが言ったんだから、別に良いだろ! それに嘘はついてねぇ! 魔石を使えばしっかり水も火も使えるんだよ!」
露天商は続ける。
「そもそもこれは、ダンジョンから出た賢者のアーティファクトを基に作られてるんだから、賢者が作ったもんと同義だろ!」
「屁理屈いうなや!」
「うるせえ! このアマ……俺がアルバート商会と取引してる露天商だって知ってんのか? これ以上俺に楯突くと、お前は今後どこでも物を買えなくなるかもしれねぇぞ?」
「なんやて……」
「わかったらさっさと消えやがれ! 商売の邪魔だ!」
露天商がそんなセリフを叫んだ後、マイヤーの雰囲気が急に変わった。
さっきまで怒濤の勢いだったのに、それをスッと収めて笑顔になったからである。
なんだろう、ものすごい怒気をまとっているように思えた。
「ふう……」
それなりに疲れたので休憩とする。
今日一日で36レベルまで上昇し、インベントリには大量のドロップアイテム。
「スタンピードイベントさまさまだな、こりゃ」
「何がさまさまなの?」
「おわっ!」
ポチ、ゴレオ、コレクトと焚き火を囲っていると、いきなりイグニールが姿を現した。
「聞いたわよ?」
彼女はニヤニヤとしながら言う。
「にやけ面で走り回りながら、そこそこ良いポーションを配りまくっていたそうね? このあいだのコレクションピークの時も思ったけど、あんたやっぱり相当なお人好しね!」
「ハハハ、まあ状況が状況だからなあ……」
お人好しというよりも、こっちは大量のドロップアイテムを獲得し、他の人が倒した魔物分の経験値までもらっているんだ。ポーションでも配っとかないと、罰が当たる。
「確かに状況が状況だもんね。でも、おかげで今回のスタンピードはみんな絶好調よ」
「今回の、って他にも経験あるの?」
「何度かあるわね。まあ、その時はレベルもランクも低かったから、私の役目は前線への補給と、そこを抜けて来た魔物の討伐だったけど」
「そうなんだ」
「今日みたいに十分に人がいる状況でもなかったから、戻って来た前線組は、みんな死屍累々みたいな姿だった。うん、それに比べたら今回はマシね」
聞けば、本来のスタンピードは災害規模で恐ろしいものらしい。大抵の場合、魔物に対応する人数が足りないとのこと。
しかし今回は、原因となったデプリ側から多くの冒険者がトガルへ流入していたため、対応する人員に相当な余裕があるんだとか。
「しかもね? 混乱に乗じて、オークキングとかゴブリンキングが街に攻めて来たりすることがあるの。そうなればさらに厄介度は上がるんだけど……今回に関しては、あんたの従魔が未然に防いじゃったから、一安心よ」
イグニールはプリプリ怒っている時と打って変わって、柔和な表情を作ると言う。
「本当に大したものよ。知らない間に、街を救ってるんじゃないの?」
「いやあ、んなまさか」
救ったのはキングさんで、俺は特に何もしてない。
「まあ、目立つつもりがないってのは重々承知。誰にも言わないから安心して?」
「そっか、ありがとう。とりあえずはい、口止め料」
休憩がてら食べようと思っていた、ポチの作った食事をイグニールにも渡しておく。
「口止め料って……この間の素材で十分過ぎるわよ」
食事を受け取りながらイグニールは言葉を続ける。
「それにまだ恩返しだってできてないし、これ以上あると返せる自信がないわね」
「まあ、無理に返す必要はないよ」
イグニールがオークに襲われていたのだって、元はといえば、俺が塩漬け依頼を全てこなしてしまったことが原因なんだからな。
「いいえ、必ず返す。そのためにも、ご飯を食べたらもうひと頑張りしなきゃね!」
「気合入ってるなあ……」
「当然よ。稼ぎ時だし、あいつらのせいで下がっちゃったランクを上げないと」
イグニールはもともと、ソロでCランクの冒険者だったらしい。
だがあのパーティーに入ってから失敗続きでパーティーランクが降格し、ソロのランクも引き摺られて落ちてしまったのだと。
俺からすれば、そんな状況だったのにまだ彼らとパーティーを組んでいた彼女のほうが、度が過ぎるほどのお人好しだと思った。
「今日はなんだかレベルの上がりも良いし、この調子でもっと頑張らなきゃね」
食事を終えたイグニールは立ち上がるとグッと、少し古い杖を握りしめる。
「質に入れていた杖も、トウジが分けてくれた素材を売ったお金で取り戻したし、楽勝よ!」
「うん、気をつけてね」
「ォン!」
「……!」
「クエッ!」
意気揚々と戦場へ戻っていくイグニールを、俺達はみんなで見送った。
ちなみに彼女が今しがた口にした、レベルの上がりも良いって言葉。
実は、ソロじゃつらかろうってことで、さりげなくグループに入れていたのだ。
ゴレオと仲が良い手前、スタンピードで戦死されては困る。
グループに入れておけばHPが確認できて、ピンチの時もすぐにわかるしね。
だが、ソロでCランクまで上がれる腕を持つ冒険者だ。今日は楽勝だと言っていたし、本気を出したらかなり強いのかもしれないな……。
◇ ◇ ◇
それから、スタンピードは計四日間ほど続いたのち、終息へ向かうこととなった。
過去類を見ない程の規模だったのだが、終わってみれば犠牲者はゼロ人。
奇跡的な快挙として、参加報酬に追加ボーナスが加算されることとなり、戦いに出向いていた冒険者達は両手を上げて喜んでいた。
もちろん俺もその一人である。だってスタンピードが一日で終わると思っていたからね?
それがまさかの継続確定で、計四日間も続いてしまったんだから、嬉しいに決まっている。
この四日間、戦場を駆け巡って得たドロップケテルは……なんと128万ケテル。
まさかの100万超えを果たしてしまった。
ドロップケテルだけでこれだけの収益なんだから、たんまり得たドロップアイテムを売れば、しばらく牛丼特盛にトッピング全部載せで過ごしても、懐は痛くも痒くもない。
さらにレベルは39まで上昇していた。
四日間、自分でも魔物を倒しつつ、他のパーティーから経験値をいただいた結果である。
40レベルまで行っちゃうんじゃないかと思っていたが、ギリギリ39で止まってしまった。
経験値寄生をしたは良いものの、自分で倒したのは、過去に倒したことのある魔物ばかりだったからだろう。まあ、39までレベルが上昇したのは寄生させてくれたパーティーのおかげなので、あとで匿名にてポーションを送っておこう。
なんだか強そうなパーティーは、とりあえずグループにつっこんだままにしておく……という選択肢もあったのだけど、さすがにそこまで迷惑をかけるわけにもいかない。
過剰にカルマを背負ってみろ……待っているのは破滅である。
先ほど犠牲者はゼロだとしていたが、それは死亡者に限った話で、実のところ、怪我を負ってしまった冒険者はちらほらいるのだ。
さて、スタンピードの振り返りは一旦このくらいにして、俺は有り余るドロップアイテムを地道に分解、処理していこう。
魔物の素材だったり、ドロップ装備だったり、多種多様のものがインベントリには眠っている。
それを全て売るのではなく、分解して装備製作の素材にしてしまうほうが、今の俺には良かった。
ドロップした装備があるなら、せっかくだし装備しとけよって話になるのだけど、ドロップ装備って基本一点物ばかりだから、強化合成ができない欠点を持つ。
なので基本売るか分解するかの二択しかなく、なんとなく可哀想な存在なのかもしれない。
「よし、やるか」
俺の膝に頭を乗せて昼寝するポチを起こさないように撫でながら、有り余る装備類の分解に取り掛かった。
「……ん?」
ドロップ装備を延々と分解している最中のことである。
インベントリ内に、なんだか他と毛色の違う装備を発見した。
【精霊のマント】
必要レベル:30
STR:20
DEX:20
VIT:20
INT:20
AGI:20
UG回数:3
特殊強化:◇◇◇◇◇
限界の槌:2
装備効果:エクシオル
他の装備と比べて、やけに良い基本性能を持っている。
精霊と書かれているだけあって、なかなかの逸品だな……なんて思っていたのだが、装備効果にエクシオルと書かれているのを見て驚いた。
エクシオル……それは、まごうことなく強い装備だということを表している。
俺がやっていたゲームには、特殊強化の時にとんでもない効果を発揮する装備が存在していた。エクシオル装備とスペリオル装備の二種類である。
説明するとこれもまた長い話になってしまうのだが、端的に言うと、特殊強化した際の上昇値がヤベェってことだ。
普通の特殊強化が◇1~5まで、全ステータス+2と攻撃力・魔力+1なのだが、このエクシオル装備は一回の特殊強化で、全ステータス補正が+10以上も上昇していく。
残念ながら攻撃力と魔力はつかないが、ステータスを上げるという一点のみなら、とんでもない上昇値を誇るのだ。
◇1……全ステータス+10/500万ケテル
◇2……全ステータス+15/600万ケテル
◇3……全ステータス+20/1200万ケテル
◇4……全ステータス+25/1300万ケテル
◇5……全ステータス+30/1400万ケテル
◇6……全ステータス+35/2800万ケテル
◇7……全ステータス+40/2900万ケテル
覚えている限りだと……こんな感じだった気がする。
最終特殊強化可能回数は◇15なのだが、今回はレベルの低い装備ゆえ、◇5まで。
それでも五回の特殊強化を成功させると、ステータス補正は+100になる。
その分費用もバカみたいにかかってしまうけど、金の力で超絶強くなる装備というのが、このエクシオル装備というものだ。
え? ◇15まで強化した際の費用はいくらかかるのかって?
確か2億6200万ケテルとか、そんなんだった気がする。そこまでやった上でのステータス補正値は全ステータス+675……もうバカ装備だな。
ちなみに、成功率は最初から50%で、強化回数が増えていくに従って落ちていく。
◇8からは破壊確率が付きまとい、破壊となれば、とんでもない金額の費用が水の泡となる闇の深い装備だ。
そして、このエクシオルよりもっとやばい効果を持つ装備がスペリオル装備という。
現物がもし手に入ったら、その際に改めて説明しよう。
とにかく、超強力な装備を知らず知らずのうちに手に入れてしまった訳だが、肝心のお金が心許ないので、これを使ってさらに強くすることは難しい。
大人しくインベントリ内に寝かせておいて、資金が潤沢になってきたら着手してみよう。
つーかそもそもの話、エクシオル装備もスペリオル装備も、その大半が面倒臭いクエストを毎日こなして、対価として得たクエストコインとかを用いて、専用のNPCから交換することでしか手に入らない装備だったはず。
こんな装備がドロップアイテムの中に紛れ込んでいるのが、非常に謎だった。
ろくに確認もせず拾いまくっていた弊害がもろに出てるな……いったいどんな魔物からドロップしたのかすら、まったくもってわからん。
「まあ、この世界を旅していたら、どこかできっと巡り合うだろう」
こうしてドロップ装備として手に入ったのだから、この世界に、こういった特殊な装備が存在することは確定事項だ。あまり期待も執着もせずに行きましょう。
それに、強さを得るには多大な費用が必要だ。
強化に失敗して水の泡にするくらいなら、普通の装備を強化合成して特殊強化を施していったほうが、はるかに安定で安上がりなのだよ。
「さてと……少し遅いけど飯でも食いにいくか」
昼過ぎまでかかって、ようやくドロップ装備があらかた片付いた。
グゥとお腹がなっているので、ポチを起こして外に出よう。
「ポチ、起きろ」
「……アォン?」
まだ眠たそうに目を擦るポチを抱っこして立ち上がると、俺は宿を後にする。
外は良い天気だ。お日様の光っていいよなあ、なんだか元気が出てくる。
平日は家とバイト先の往復のみ。休日は引きこもって一日中ネトゲに勤しんでいた二十九歳フリーターの肌の色は病的に白かったが、異世界に来てそこそこ日焼けし、健康的になっている。
「ほら、そろそろ歩けって」
「ォン……」
まだ抱っこされていたいと服にしがみつくポチを、無理やり下ろして歩かせた。
いつもは俺より早く起きて、朝食の準備を確実に終えているポチなのだが、実のところ、寝起きはそこまでよろしくないようだ。飼い主に似ている。
「うーん、何を食べようかな……」
長時間座りっぱなしだったので、運動がてら街をぶらぶらと歩きながら、食事処の検討だ。
定番の牛丼屋でも良いのだが、せっかくスタンピードを頑張ってそれなりのお金を得たのだから、今日はグレードを上げて良い飯にしようかな?
「さー! 掘り出し物だよ! 掘り出し物!」
大通りを歩きながら店を探していると、露天商の声が響いてきた。
「今日の目玉は、ダンジョンから出たアーティファクト! 珍しいよー!」
「ダンジョンか……」
ダンジョンという言葉の響きになんとなく惹かれて、声の聞こえた方へと向かう。
「おっ! 兄ちゃんどうだい! これは伝説の賢者様が作ったアーティファクトだい!」
「おお……」
露天商が声を張り上げて売っている物を見て、少し声が出てしまった。
「さあ、今日俺が持ってきた掘り出し物のアーティファクトは、その名も魔導キッチン! 魔導キッチンだよ! 水も出れば火も出る、なんならオーブン機能だってある、不思議な不思議な魔導キッチンさ!」
露天商が掘り出し物のアーティファクトだという品物は、キッチンだった。
どでかいシステムキッチンのようなものではない。見た目的にはバーベキューで使うような簡易的なバタフライ式キッチンである。
「水も出れば、火も出るって、どういう仕組みですか?」
水道管とかガス管とか、そんなものは一切ついてないように見えるが。
「おっ! 興味あるかい? 見てろよ兄ちゃん!」
そう言いながら、露天商は懐から丸い石を取り出して、何やらごそごそとその魔導キッチンとやらの後ろに取り付け始めた。
「こうやって魔石を後ろにはめ込むと……ほら! 水が出るし、火も着くんだ!」
「おおっ!」
どういう原理なのかまったく理解できないけど、説明通りに確かにコンロに火がついて、シンクの蛇口から水がジャーっと流れ出したぞ、すげぇ。
「……クゥン」
俺の隣で見ていたポチは寝ぼけ眼から一転、そのつぶらな瞳を爛々と輝かせ、物欲しげで悩ましげな鳴き声を上げて、俺のズボンを引っ張った。
「ポチ……」
尻尾がブンブン振られているところを見ると、かなり欲しそうな雰囲気である。
確かに今は、毎朝牛丼屋が開店する前にキッチンを借りに行き、朝食を作って部屋に持ち帰っている……これは買ったほうが良いのかもしれない。
「その魔導キッチンというアーティファクトは、おいくらですか?」
「大特価の2000万ケテルさ! 安いだろう!」
たけぇよ! システムキッチンでもそんな値段しないだろ、絶対。
「ちょっと、高いですね……」
心の中のツッコミを表に出さないようにしながら、なんとか値段交渉に持ち込んでみる。
「アーティファクトだから、水も火も無尽蔵に出てくる代物だぜ? 2000万は大特価だ!」
ぐぬぬ、水も火も無尽蔵とは、さすがは伝説の賢者が作ったアーティファクト。
なんでそんなもんがダンジョンから出てくるのか知らんが、ここは異世界なので、俺の常識は通用しないから特に何も言うまい。
「ォン!」
買って、とせがむポチ。
「でもポチ……2000万はさすがに無理だよ」
「アォン……」
くっ、そんなに悲しそうな目をするなよ! なんだか俺が悪者みたいじゃないか!
500万ケテルくらいだったら、なんとか捻出できないこともない。だが1000万を超えてくると、さすがに手が出せなかった。
「500万にはならないよな……」
悩んでいると、露天商が言った。
「だったら、今だけ特別価格として、500万ケテルでいいぞ?」
「はあ?」
逆にそれは安過ぎて怖い。でもポチが欲しそうにしている手前、手が届く範囲なら買ってもいいかもしれない、と思えてきた。
水と火も使えて、さらにオーブン付き。買ってやったらポチもさぞ喜ぶだろう。
毎朝パインのおっさんのところへ行って迷惑をかけずに済むし、インベントリに入れておけば豪華な料理をいつでも食べられる。
「うーむ……」
「なんなら、契約書を交わして分割で払ってもいいぞ?」
「分割ですか?」
「おう! 頭金は払ってもらうけど、残りは分割だ! そこそこの稼ぎがあるなら、商人ギルドや冒険者ギルドで肩代わりしてもらえるし、なんなら俺もついてってやるからよ!」
「ほうほう」
聞けば、新装備や備品を導入する冒険者や商人に対して、信用に応じて代金を一部肩代わりしてくれる制度が存在するらしい。
それを使えば、即金がなくても物を買えて、決められた日付通りにお金を払い終わったら、新装備や備品は自分のものになると。ローンだな。
「冒険者ランクはまだDになったばかりなんですけど……大丈夫ですかね……?」
「依頼を毎日しっかりこなして、基準をクリアしてたら良いはずだぜ!」
やけに詳しいな、この露天商。
まあいいや、それなら今後の生活にもあまり響かないし、良いかもしれない。
露天商の強い推しに負けて、さっそく契約を交わそうとしたその時である。
「ちょっと待ちや、トウジ!」
俺を呼び止める声が後ろから響いた。
「ん?」
振り返ると、見慣れたオーバーオール姿のマイヤーがいた。
彼女は俺と露天商の間にずかずかと入ってきて、魔導キッチンを凝視する。
「……なんやアーティファクトとか言うとったけど、ちゃうやんけ!」
「な、何言ってるんだお嬢ちゃん! 営業妨害だろ!」
え、アーティファクトじゃないの?
そんな疑問を浮かべる俺をよそに、マイヤーは露天商に噛み付く。
「なにが営業妨害や! アーティファクトや! これ普通に型落ちの魔導キッチンやん! しかも魔石の燃費が悪過ぎて、悪評ぎょーさん出とる安いやつやん!」
「な、何言ってんだ! そんなことねーよ!」
「うちの鑑定スキルは誤魔化されへんで! 型落ちのもんを適正価格で売るならまだしも、何がダンジョンから出たアーティファクトや! ただの模造品の魔導機器やろ!」
怒濤の勢いで露天商を責め立てるマイヤー。
鑑定持ちと言われて、露天商はもはや何も言い返せなくなっている。
その様子を見ながら、俺は「マジか……」と凹んでいた。なんの疑問も持たずにぼったくられようとしていたからだ。
「綺麗に見せとるみたいやけど、これに値段をつけたら100万ケテルくらいやろ?」
「ぐっ……」
「いくらなんでもそれはぼったくり過ぎや、街の評判が悪くなったらどないすんねん」
「さっきから言わせておけば……500万でも良いってそこの兄ちゃんが言ったんだから、別に良いだろ! それに嘘はついてねぇ! 魔石を使えばしっかり水も火も使えるんだよ!」
露天商は続ける。
「そもそもこれは、ダンジョンから出た賢者のアーティファクトを基に作られてるんだから、賢者が作ったもんと同義だろ!」
「屁理屈いうなや!」
「うるせえ! このアマ……俺がアルバート商会と取引してる露天商だって知ってんのか? これ以上俺に楯突くと、お前は今後どこでも物を買えなくなるかもしれねぇぞ?」
「なんやて……」
「わかったらさっさと消えやがれ! 商売の邪魔だ!」
露天商がそんなセリフを叫んだ後、マイヤーの雰囲気が急に変わった。
さっきまで怒濤の勢いだったのに、それをスッと収めて笑顔になったからである。
なんだろう、ものすごい怒気をまとっているように思えた。
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