僕は生まれて初めて君の為に泣く

tera

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02ー15歳

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 ──それから10年がたった。



 僕は魔力がないという欠陥を背負っていても、いたって普通に過ごしていた。

 もう使われてない、人気のない修練場の原っぱに座って休んでいると、僕を呼ぶ声がする。



「クレイ君! 隣に座っても良い?」



「ん」



 振り向くと、杖を持ったフィーナがいた。

 彼女は、僕が5歳の頃、隣の家に引っ越して来たいわゆる幼馴染というやつだ。

 杖を持っていることをみると、魔法科の補習でもあったのかな、なんて察する。



 魔法科は、学校の授業の中でも主に魔法に関して深く学ぶクラス。

 その中でも彼女は成績優秀な優等生で、特待生として都会の大きな魔法学校に進学することがほぼ決まっているような、そんなすごい女の子だ。



「また勝手に抜け出して、ここで一人で練習してるの?」



「うん、少しでも身体を強くしたいし」



「頑張り屋さんだね!」



「フィーナほどじゃないよ」



 微笑むフィーナに、僕はそう返しておく。

 特待生として進学が決まっているのに、毎日魔法科の補習を受けるフィーナに比べたら、僕の一人稽古なんて霞んでしまう。



 魔力を持たない僕は、必然的にみんなよりも体が弱い。

 病気がちで、体力的な面で同級生についていけない。



 だから、父はそんな僕が少しでも丈夫に育つように、小さい頃から街の剣術道場に入れてくれた。

 僕のハンデを聞いて、大きなところは門前払いされたけど、父が頼み込んでくれたおかげで、小さな道場には理解してもらい、僕は剣を学ぶことになった。



 最初は、父が頭を下げてくれた場所だし、みんなに追いつくために頑張って稽古したけど。

 魔力が無いハンデは身体を鍛えるだけではどうにもならない。

 もちろんからかわれたり、いじめられたりもした。

 人と違う現状に、諦めたくなることだってたくさんあったけど、今の僕は剣術を鍛錬してきてよかったと思ってる。



 そう思う理由は、ハンデを追っていても愛情いっぱい育ててくれた両親がいたり、普通の人として剣術を教えてくれた先生がいたり、色々あるんだけど。

 その中でも、彼女が幼馴染でいてくれたことが一番の理由だった。
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