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狼と猫10
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内心「告白してすぐってどうなんだよ」と思わなくもない。「もし俺が雌だったら引くよな」と思いながら、オリヴィは逞しい腕を掴んで寝室へと向かった。
(こういうのは勢いがないと駄目だから)
オリヴィがそう思ったのは自分が雄だったからだ。盛り上がっているいまを逃せば、この先いつそういう気分になるかわからない。どこからどう見ても雄にしか見えない自分に、アスミが欲望を抱くのはいまだけかもしれない。
(もしかしたら雌の匂いだってしなくなるかもしれないわけだし)
あれだけ隠しとおさなくてはと思っていたことさえ、いまのオリヴィには何より大事なことに思えた。
だからベッドに誘った。やや強引だったものの、そのこと自体に後悔はない。
(後悔はしてないけど、こんなに恥ずかしいなんて思わなかった……!)
雄同士だというのに、素っ裸になった途端に恥ずかしくなった。まるで股間を隠すようにベッドに座ったものの、目の前で淡々と服を脱ぐアスミの様子にさらに恥ずかしくなる。
(っていうか、アスミのほうは平然としてるよな)
慣れているような雰囲気にオリヴィの雄としての自尊心が少しだけ刺激された。「俺のほうが年上なのに」と、どうでもいいことまで考える。
(初めてだなんてバレたら、きっと笑われる)
緊張していることをごまかすために揺れる尻尾を必死に尻で押さた。へたってしまいそうな耳にも力を込める。
そんなふうに自分のことに必死だったオリヴィは、急に肩に触れられて飛び上がるほど驚いた。その様子に咄嗟に手を引いたアスミの表情に気づき、慌てて勢いよく抱きつく。そうして初めてだということを隠すように勢いだけで口づけた。
それにアスミが驚いたのは一瞬で、すぐに主導権はアスミに移った。触れ合った唇をしゃぶるように舐められ、そのまま舌を突っ込まれて中までしゃぶられる。気がつけば舌を絡め合いながら膝に座らされていた。
口づけすら初めてだったオリヴィは、密着する肌の感触に戸惑いっぱなしだった。そんなオリヴィとは対照的に、濃厚な口づけをしながらアスミの指は器用に交わる部分の準備を進めていく。そうして気がついたときには、オリヴィの尻の穴にアスミの立派すぎるものが深々と突き刺さっていた。
(こいつ、どんだけ慣れてんだよ……っ)
アスミが少し腰を動かすだけでとんでもない刺激が体の中を貫いた。思わず漏れそうになる声を噛み殺すたびにオレンジ色の目が微笑み、腰を掴む手が労るように背中の窪みをなぞる。
「……っ、それ、やめろって」
「なぜだ?」
「くすぐ……っ、てぇから、だよっ」
「でも、ここをこうして撫でると……ほら、中が締まる」
「そ……いうこと、言うな……っ」
腹いせに肩を掴む両手に力を入れた。それでも爪を立てられないのはアスミに傷を付けたくないからだ。そのくらいアスミのことが好きなのに出てくるのは憎まれ口ばかりになる。本来受け入れる側でない雄だからか初めてだからか、やることなすこと気恥ずかしくて仕方がない。
(つーか、絶対に慣れてるだろ……っ)
肌の触れ方も尻のいじり方も慣れているようにオリヴィには思えた。口づけだって慣れていなければあんなふうにできるはずがない。「俺なんて口づけだけで勃ったっていうのに」と悔しくなってくる。
「お、まえ、絶対に、慣れてる、だろ……っ」
「……そうか?」
(いま、間があった。絶対に間があった)
つまりアスミは間違いなく慣れているということだ。そのことにオリヴィは雄としての差に悔しさを感じた。そんなことで競っても仕方がないのに雄としての自尊心がボロボロと崩れ落ちていく。
(雄として、完全に……んっ、負けてんじゃ、ねぇか……っ)
しかも年下に負けているのが悔しくてたまらない。
「もしかして、オリヴィは初めてだったのか?」
「う……っせぇよ……っ」
言葉が詰まったことで当たったと言ったも同然だ。オリヴィはグッと唇を噛み締め、少し下にあるアスミの顔を睨むように見下ろした。ところがアスミのほうはやけに嬉しそうな表情を浮かべている。
「な、なんだよ」
「いや、初めてかと思うと嬉しくて」
「ば……っかじゃねぇか」
「そうか?」
「んなの初めてとか、俺は雄なんだから……っ。おま、急に動くなって……んぁっ!」
急に腰を突き上げたアスミの動きに、オリヴィの口から高い声が漏れた。慌てて唇を噛み締めたものの、体の中を暴かれる感覚に腰から背骨にぞわぞわとした寒気のようなものが走る。そのままうなじまで上ってきた寒気が一気に快感へと変わった。
「ひ……っ」
「オリヴィは可愛いな」
「可愛いって、おまえ、何言って……ん……!」
「オリヴィは可愛い。こうして少し奥を突くだけでこんなに感じてくれて」
「馬鹿、やめろって……ぁん!」
「尻尾も気持ちがいいと震えているのが可愛い」
「ひっ! やめ、さわ、なって! ふぁ、ぁっ、あっ!」
尻尾を優しく掴まれ腰が震えた。そのまましごくように撫でられ、腹の奥にぐぅっと力が入る。そのせいで中を貫く堅いものを余計に強く感じてしまった。
「猫族は尻尾が弱いと聞いたことがあったが、本当だったのか」
「おま……! 知ってて触って、こらっ、だからやめろって言って! ひゃっ! やめ、ほんと、おかしく、なるからぁ……!」
気がつけば尻尾の付け根をグイグイと指で押されていた。それが雄の証を刺激し下腹がビクビクと波打つ。同時にアスミを咥えている部分までゾワゾワし、太ももが大きくブルッと震えた。
オリヴィは感じたことのない感覚に目を回しかけた。早く快感を逃したくて雄の証を擦りたいのに肩から手を離せない。離せばもっと深いところを貫かれるとわかっているからだ。
それでも欲を吐き出したくて焦れったく腰を動かした。そのたびに敏感な先端がアスミの腹と擦れ、さらに尻の奥を刺激され目の前がチカチカ瞬き始める。
(こいつ、本当に年下かよ……!)
手のひらでいいように転がされている気がして悔しくなる。あまりの経験差に雄の自尊心が刺激され、オリヴィの気持ちを千々に乱れさせた。
「大丈夫だ、痛くはしない」
「そ……じゃねぇ、って……ひゃっ! ひっ、ひっ、も……奥、無理だって、」
「そんなことはない。オリヴィの体は……ほら、どんどん開いていっている」
「ぅあっ!」
さらにズンと深いところを貫かれ、オリヴィの両足から力が抜けた。それでもこれ以上突っ込まれるのは無理だと逞しい肩を必死に掴む。爪を立てたくないと思っていたのも忘れたようにギリギリと爪を立てるが、そうして力めが力むほどアスミを強く咥えることになるのだとオリヴィは気づいていなかった。
「ぐ……ぅっ。そんなに、締めつけられると、さすがにもたない」
初めてアスミが耐えがたいと言わんばかりの声を出した。それがオリヴィの耳をくすぐりうなじを粟立たせる。短い耳の毛がビンと立ち、尻尾の先まで静電気が走ったようにビリビリするのを感じた。
「ア、スミ、アスミ、」
気がつけばうわごとのようにアスミの名を呼んでいた。段々と体から力が抜けていくのに、尻と腹の中だけは堅いものをぎゅうぎゅうに締めつけている。
その堅いものが一回り大きくなった。「まだでかくなるのかよ」とオリヴィが思った瞬間、ズルンと滑るように腹の奥へと入っていく。そのままズボッとどこかを突き抜け、ズブズブとさらに奥へと入っていった。
「な……ひ……っ、なに、奥が、ひ……っ!」
堅いものがどこかにぶつかった。そこをぐぐぅと持ち上げられた途端にオリヴィが仰け反った。口を開いたものの声は出ず、そのまま息を吐き出し音にならない悲鳴を上げる。
「グゥ……ッ。奥が、まるで俺を飲み込むように……グッ」
ズブブと奥を犯される感覚にオリヴィは全身を硬直させた。それとは逆に体の奥は柔らかくアスミのものを締めつける。そうしてさらに奥へと誘うようにきゅうきゅうと根元から先端へ締め付けを強くした。
「ひっ、いぁ、ぁあ――――!」
「グゥ……ッ!」
あまりの感覚にオリヴィは何が何だかわからなくなっていた。痛いわけではなく、しかし知っている快感でもない。欲を吐き出すときの何倍も強い感覚に、オリヴィは髪を振り乱しながら頭を振り続けた。
嫌だ。気持ちいい。怖い。すごい。
抜いて。これ以上入れないで。もっと奥に入れて。もっと深いところを抉って。
動かないで。止まって。もっと動いて。もっと激しく擦って。
わけのわからない感覚に意識が呑み込まれていく。気がつけばオリヴィの目から涙がポロポロとこぼれ落ちていた。その姿にアスミはハッとし、普段とは違う艶やかな表情に目を細める。
「もしかしてここが……オリヴィの子宮なのか……?」
アスミの声が耳をくすぐるだけでオリヴィには快感だった。背中をブルブルと震わせながら頭を嫌々というように小さく振る。それに小さく笑ったアスミは宥めるように後頭部を撫で、そのままそっと口づけた。
「ん……っ。ん……ぁん……ん……」
「少し落ち着いたか?」
「ア……スミ」
普段とはまるで違う惚けたようなオリヴィに、アスミの喉が鳴る。
「初めてと知っていて、これ以上はよくないとわかっているが……」
アスミの眉が険しく寄る。その顔をぼんやり見ていたオリヴィは、頬を両手で包むと自らチュッと口づけた。そのまま頭を抱きしめ、力が抜けていた両足を何とか太い腰に絡ませる。
「やめないで……もっと、してほしい……」
初めて味わう雄と雌両方の快楽に、オリヴィは我を見失っていた。そのことに気づいていたアスミだったが、滾ったままの雄の証を舐め回すような腹の奥の感触に思考が途切れる。
ベッドにオリヴィを押し倒したアスミは、そのまま開いたばかりの体を何度も貪った。そうして根元をこれでもかと膨らませ、勢いよく精を噴き出す。その感触と尻の穴を塞がれているような感覚に目を回しながら、オリヴィは自分を組み敷く逞しい体に全身で抱きついた。
(こういうのは勢いがないと駄目だから)
オリヴィがそう思ったのは自分が雄だったからだ。盛り上がっているいまを逃せば、この先いつそういう気分になるかわからない。どこからどう見ても雄にしか見えない自分に、アスミが欲望を抱くのはいまだけかもしれない。
(もしかしたら雌の匂いだってしなくなるかもしれないわけだし)
あれだけ隠しとおさなくてはと思っていたことさえ、いまのオリヴィには何より大事なことに思えた。
だからベッドに誘った。やや強引だったものの、そのこと自体に後悔はない。
(後悔はしてないけど、こんなに恥ずかしいなんて思わなかった……!)
雄同士だというのに、素っ裸になった途端に恥ずかしくなった。まるで股間を隠すようにベッドに座ったものの、目の前で淡々と服を脱ぐアスミの様子にさらに恥ずかしくなる。
(っていうか、アスミのほうは平然としてるよな)
慣れているような雰囲気にオリヴィの雄としての自尊心が少しだけ刺激された。「俺のほうが年上なのに」と、どうでもいいことまで考える。
(初めてだなんてバレたら、きっと笑われる)
緊張していることをごまかすために揺れる尻尾を必死に尻で押さた。へたってしまいそうな耳にも力を込める。
そんなふうに自分のことに必死だったオリヴィは、急に肩に触れられて飛び上がるほど驚いた。その様子に咄嗟に手を引いたアスミの表情に気づき、慌てて勢いよく抱きつく。そうして初めてだということを隠すように勢いだけで口づけた。
それにアスミが驚いたのは一瞬で、すぐに主導権はアスミに移った。触れ合った唇をしゃぶるように舐められ、そのまま舌を突っ込まれて中までしゃぶられる。気がつけば舌を絡め合いながら膝に座らされていた。
口づけすら初めてだったオリヴィは、密着する肌の感触に戸惑いっぱなしだった。そんなオリヴィとは対照的に、濃厚な口づけをしながらアスミの指は器用に交わる部分の準備を進めていく。そうして気がついたときには、オリヴィの尻の穴にアスミの立派すぎるものが深々と突き刺さっていた。
(こいつ、どんだけ慣れてんだよ……っ)
アスミが少し腰を動かすだけでとんでもない刺激が体の中を貫いた。思わず漏れそうになる声を噛み殺すたびにオレンジ色の目が微笑み、腰を掴む手が労るように背中の窪みをなぞる。
「……っ、それ、やめろって」
「なぜだ?」
「くすぐ……っ、てぇから、だよっ」
「でも、ここをこうして撫でると……ほら、中が締まる」
「そ……いうこと、言うな……っ」
腹いせに肩を掴む両手に力を入れた。それでも爪を立てられないのはアスミに傷を付けたくないからだ。そのくらいアスミのことが好きなのに出てくるのは憎まれ口ばかりになる。本来受け入れる側でない雄だからか初めてだからか、やることなすこと気恥ずかしくて仕方がない。
(つーか、絶対に慣れてるだろ……っ)
肌の触れ方も尻のいじり方も慣れているようにオリヴィには思えた。口づけだって慣れていなければあんなふうにできるはずがない。「俺なんて口づけだけで勃ったっていうのに」と悔しくなってくる。
「お、まえ、絶対に、慣れてる、だろ……っ」
「……そうか?」
(いま、間があった。絶対に間があった)
つまりアスミは間違いなく慣れているということだ。そのことにオリヴィは雄としての差に悔しさを感じた。そんなことで競っても仕方がないのに雄としての自尊心がボロボロと崩れ落ちていく。
(雄として、完全に……んっ、負けてんじゃ、ねぇか……っ)
しかも年下に負けているのが悔しくてたまらない。
「もしかして、オリヴィは初めてだったのか?」
「う……っせぇよ……っ」
言葉が詰まったことで当たったと言ったも同然だ。オリヴィはグッと唇を噛み締め、少し下にあるアスミの顔を睨むように見下ろした。ところがアスミのほうはやけに嬉しそうな表情を浮かべている。
「な、なんだよ」
「いや、初めてかと思うと嬉しくて」
「ば……っかじゃねぇか」
「そうか?」
「んなの初めてとか、俺は雄なんだから……っ。おま、急に動くなって……んぁっ!」
急に腰を突き上げたアスミの動きに、オリヴィの口から高い声が漏れた。慌てて唇を噛み締めたものの、体の中を暴かれる感覚に腰から背骨にぞわぞわとした寒気のようなものが走る。そのままうなじまで上ってきた寒気が一気に快感へと変わった。
「ひ……っ」
「オリヴィは可愛いな」
「可愛いって、おまえ、何言って……ん……!」
「オリヴィは可愛い。こうして少し奥を突くだけでこんなに感じてくれて」
「馬鹿、やめろって……ぁん!」
「尻尾も気持ちがいいと震えているのが可愛い」
「ひっ! やめ、さわ、なって! ふぁ、ぁっ、あっ!」
尻尾を優しく掴まれ腰が震えた。そのまましごくように撫でられ、腹の奥にぐぅっと力が入る。そのせいで中を貫く堅いものを余計に強く感じてしまった。
「猫族は尻尾が弱いと聞いたことがあったが、本当だったのか」
「おま……! 知ってて触って、こらっ、だからやめろって言って! ひゃっ! やめ、ほんと、おかしく、なるからぁ……!」
気がつけば尻尾の付け根をグイグイと指で押されていた。それが雄の証を刺激し下腹がビクビクと波打つ。同時にアスミを咥えている部分までゾワゾワし、太ももが大きくブルッと震えた。
オリヴィは感じたことのない感覚に目を回しかけた。早く快感を逃したくて雄の証を擦りたいのに肩から手を離せない。離せばもっと深いところを貫かれるとわかっているからだ。
それでも欲を吐き出したくて焦れったく腰を動かした。そのたびに敏感な先端がアスミの腹と擦れ、さらに尻の奥を刺激され目の前がチカチカ瞬き始める。
(こいつ、本当に年下かよ……!)
手のひらでいいように転がされている気がして悔しくなる。あまりの経験差に雄の自尊心が刺激され、オリヴィの気持ちを千々に乱れさせた。
「大丈夫だ、痛くはしない」
「そ……じゃねぇ、って……ひゃっ! ひっ、ひっ、も……奥、無理だって、」
「そんなことはない。オリヴィの体は……ほら、どんどん開いていっている」
「ぅあっ!」
さらにズンと深いところを貫かれ、オリヴィの両足から力が抜けた。それでもこれ以上突っ込まれるのは無理だと逞しい肩を必死に掴む。爪を立てたくないと思っていたのも忘れたようにギリギリと爪を立てるが、そうして力めが力むほどアスミを強く咥えることになるのだとオリヴィは気づいていなかった。
「ぐ……ぅっ。そんなに、締めつけられると、さすがにもたない」
初めてアスミが耐えがたいと言わんばかりの声を出した。それがオリヴィの耳をくすぐりうなじを粟立たせる。短い耳の毛がビンと立ち、尻尾の先まで静電気が走ったようにビリビリするのを感じた。
「ア、スミ、アスミ、」
気がつけばうわごとのようにアスミの名を呼んでいた。段々と体から力が抜けていくのに、尻と腹の中だけは堅いものをぎゅうぎゅうに締めつけている。
その堅いものが一回り大きくなった。「まだでかくなるのかよ」とオリヴィが思った瞬間、ズルンと滑るように腹の奥へと入っていく。そのままズボッとどこかを突き抜け、ズブズブとさらに奥へと入っていった。
「な……ひ……っ、なに、奥が、ひ……っ!」
堅いものがどこかにぶつかった。そこをぐぐぅと持ち上げられた途端にオリヴィが仰け反った。口を開いたものの声は出ず、そのまま息を吐き出し音にならない悲鳴を上げる。
「グゥ……ッ。奥が、まるで俺を飲み込むように……グッ」
ズブブと奥を犯される感覚にオリヴィは全身を硬直させた。それとは逆に体の奥は柔らかくアスミのものを締めつける。そうしてさらに奥へと誘うようにきゅうきゅうと根元から先端へ締め付けを強くした。
「ひっ、いぁ、ぁあ――――!」
「グゥ……ッ!」
あまりの感覚にオリヴィは何が何だかわからなくなっていた。痛いわけではなく、しかし知っている快感でもない。欲を吐き出すときの何倍も強い感覚に、オリヴィは髪を振り乱しながら頭を振り続けた。
嫌だ。気持ちいい。怖い。すごい。
抜いて。これ以上入れないで。もっと奥に入れて。もっと深いところを抉って。
動かないで。止まって。もっと動いて。もっと激しく擦って。
わけのわからない感覚に意識が呑み込まれていく。気がつけばオリヴィの目から涙がポロポロとこぼれ落ちていた。その姿にアスミはハッとし、普段とは違う艶やかな表情に目を細める。
「もしかしてここが……オリヴィの子宮なのか……?」
アスミの声が耳をくすぐるだけでオリヴィには快感だった。背中をブルブルと震わせながら頭を嫌々というように小さく振る。それに小さく笑ったアスミは宥めるように後頭部を撫で、そのままそっと口づけた。
「ん……っ。ん……ぁん……ん……」
「少し落ち着いたか?」
「ア……スミ」
普段とはまるで違う惚けたようなオリヴィに、アスミの喉が鳴る。
「初めてと知っていて、これ以上はよくないとわかっているが……」
アスミの眉が険しく寄る。その顔をぼんやり見ていたオリヴィは、頬を両手で包むと自らチュッと口づけた。そのまま頭を抱きしめ、力が抜けていた両足を何とか太い腰に絡ませる。
「やめないで……もっと、してほしい……」
初めて味わう雄と雌両方の快楽に、オリヴィは我を見失っていた。そのことに気づいていたアスミだったが、滾ったままの雄の証を舐め回すような腹の奥の感触に思考が途切れる。
ベッドにオリヴィを押し倒したアスミは、そのまま開いたばかりの体を何度も貪った。そうして根元をこれでもかと膨らませ、勢いよく精を噴き出す。その感触と尻の穴を塞がれているような感覚に目を回しながら、オリヴィは自分を組み敷く逞しい体に全身で抱きついた。
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