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「随分と香りが強くなってきた」
「ん……」
まどろんでいたところで頬を撫でられ、むず痒さから吐息のような声が漏れた。それが自分の声じゃないように聞こえた拓巳は、「発情が始まったのかな」とぼんやりした頭で考える。
今回の発情は、はじめから優一がずっとそばにいた。会社の難しいことがすべて終わり、一緒に過ごしていたときに拓巳が発情に入ったのだ。
発情が始まったことに最初に気づいたのは優一だった。いや、優一でなくても気づいただろう。発情に入った拓巳からは、これまでよりずっと濃く甘い香りが漂っていた。無意識のうちに優一が使った服やタオルをいくつも手にした。「Ωがつがいの香りを求める姿はたまらないね」と笑う優一から着ていたシャツを奪い取りもした。そんなことをくり返し、頭がぼんやりしてきたところで拓巳自身が服を脱がされた。そうしてベッドに連れて行かれたところまではなんとなく記憶にある。
「空調が効いているとはいえ、水分補給は欠かさないようにしなくてはいけない。ほら、グラスを持って」
「……いらない」
「このままじゃ干からびてしまうよ」
「……これ、優一さんの匂い、しない」
普段なら絶対に言わない言葉がスラスラと拓巳の口から出てくる。そのたびに頭のどこかで「恥ずかしい」という気持ちがわき上がるが、それもすぐにどうでもよくなった。そんなことよりも優一の香りがほしくて胸が苦しい。もっと、もっとと焦燥感に駆られた拓巳はもっとも強く香る目の前の体に抱きついた。
「求愛はうれしいけれど、これでは体力がもたないだろう。ほら、こっちを向いて」
「んーっ……んっ、ん……」
体を少し離されたことにむずがる拓巳の唇に冷たいものが触れた。
(優一さんの唇だ)
冷たい感触が優一の唇だということはすぐにわかった。いつものように触れ合う部分が気持ちよくて、拓巳は必死に優一の唇に吸いついた。それを何度かくり返していると唇が離れ、今度は小さな突起のようなものを口に入れられる。そこからニュルッと出てきたのはゼリー状のものだ。
「ん……、やだ、優一さんのが、いい、んっ」
「それは後でたっぷりあげるから、先にこれを食べてしまおうか。……そう、いい子だ。あと半分、しっかり食べて。これは我が社、あぁいや、我が社だった製薬会社で開発した完全栄養食品でね。ほぼすべてが体内に吸収される高性能でハイカロリーなものだ。元は病院食として開発され、いまや宇宙食としても注目されている。発情中のつがいに最適ではあるんだが、一日三本口にしなければさすがに一週間はもたないだろう」
「んー……っ、ん、んっ」
嫌だと緩く頭を振るが、そのたびに小さな筒状のものを口に入れられゼリー状のものを注ぎ込まれた。何度も口を潤すゼリー状のものは、正常なときにはおいしく感じるものなのだろう。しかしいまの拓巳には優一の香り以外味すべてが無機質なものでしかない。それを無理やり口に入れられるのは苦痛以外のなにものでもなかった。
それでも優一に言われたのだからと、なんとかすべてを喉の奥に流し込んだ。ようやく小さな注ぎ口から解放された拓巳は、すぐさま優一に抱きつき首筋にカプカプと何度も噛みつく。
「きみはまだ人だというのに、もう吸血鬼の求愛行動かい?」
「んっ、ん、ん」
「拓巳くんにはきっと可愛らしい牙が生えるだろうね。そうしたきみを早く見たいと思っているのに、いまのままの拓巳くんでいてほしいとも思ってしまう。わたしは思っていたより我が儘なようだ」
「んっ……優一さん、はやく……」
首筋を噛むことはセックス開始の合図だ。なぜか拓巳はそう思った。それなのに優一は背中を優しく撫でるだけで、つがいの印を噛むこともなく後孔に挿れてもくれない。尻に当たっている楔はもう十分熱く硬くなっているのにだ。
「あぁ……花開こうとしているきみの香りは、なんと甘く淫らなのだろう。生まれたばかりのΩだというのに、この先が楽しみでならないよ」
「ゆういちさん、はやく」
「たどたどしい言葉もたまらなくそそる。……どうやらわたしも発情に入ったようだ。さぁ、つがいの時間をたっぷりと楽しむことにしようか」
耳元で囁かれた言葉に、拓巳の体が歓喜にフルッと震えた。
それから発情の熱に呑み込まれるのはあっという間だった。互いに体の境がわからなくなるほど抱きしめ合い、優一の長大な楔が拓巳の中を深く強く穿つ。
「ぁっ、や、ぁっ! あっ、ぁ!」
体を少し上下させるだけでジュボジュボと恥ずかしい音が聞こえた。それでも腰を動かしてしまうのは、羞恥を上回るほどの快楽に囚われているからだ。
もうどのくらい優一の楔を受け入れているのかわからない。何日経ったのかもわからない。それでも体の奥に燻る熱は収まる気配を見せず、仰向けになった優一の腰に拓巳が跨がったのは少し前のことだった。
「それでは自慰をしているのと変わらないよ」
「んっ! ぁ、ぃや、まっ……」
「動いているのは拓巳くん自身だ」
「ちが、まって、ま……っ」
ペニスから吐き出すものがなくなり、それでも絶頂してしまうのが苦しくて涙があふれた。そんな拓巳に「ペニスの根元を押さえていればいい」と言ったのは優一だった。
何も考えられなくなっていた拓巳は、言われるままに片手で自分のペニスを握り締めた。しかし腰を動かすたびに手が動いてしまい、まるで自慰をしているような状態になる。慌てて両手で握り締めたもののヌルヌルしたものですべりがよくなり、ますますスムーズに扱いてしまっていた。
「やぁ、ぁ、あ……!」
閉じた目の奥がチカチカ点滅する。イきすぎて痛みさえ感じるペニスが、またヒクヒクと震え出した。イくのが苦しいから必死に握っているというのに、ヌチュヌチュ、クチュクチュと音を立てながら両手で擦ってしまう。
下腹がブルブルと震え、硬くて太い楔を咥えた後孔にギュゥッと力が入った。そうして次の瞬間――。
「ぃ、ぁ……――!」
頭のどこかがパンと弾け飛んだ。下腹部が脈打つように動いている。両手で必死に握り締めたペニスもドクドクと跳ねたが、吐き出すものがなくなったのか手にわずかなぬめりを感じるだけだった。
「別の絶頂を感じてみるかい?」
「…………ぇ……?」
少し飛んでいた拓巳は優一の言葉を聞き逃した。何を言ったのだろうと、ゆっくりと目を開ける。視線を落とすと、優一の手がまだ両手で握り締めたままの自分のペニスに近づくのが見えた。
「ぇ……? ひぁっ」
冷たい指先にペニスの先端を擦られ腰が跳ねた。驚き見開いた拓巳の目には、赤くなったペニスの先端をいじる優一の指先が見える。しかもただ撫でるのではなく、粘液でべっとりと汚れている小さな口をグリグリと抉るようにいじっているのだ。
「やっ、なに、やめ、……っ」
「射精とは別の絶頂感だが、気に入ってくれるはずだ」
「やぁっ! や、やめ、ひ……!」
「ほら、小さい口がパクパクして……可愛いくてなんて淫らなんだろう」
「ぃ……っ! ゆ、いちさ、やめ、やめ、て……っ」
敏感になっている先端は、もはや痛いのか気持ちいいのかわからない。ただ鋭い感覚が怖くて震えるペニスを両手で必死に握り締めた。そうしなければ何かが漏れそうな感じがしたからだ。
(これ、だめだ……っ。これ、やばぃ、やばい、むり……っ)
せり上がってくる感覚は、交わり続けてから初めて感じる尿意だった。下腹部が熱くなり、その熱が段々とペニスの先端へと向かっていく。
優一の手を止めたくて、拓巳は必死に駄目だと訴えた。両手でペニスをつかみ、なんとか耐えようとした。しかし優一の指は止まらず抉るように先端をいじり続けた。
プシュ、プシュッ、プシュ。
耐えていたものが一気に吹き出した。歯を食いしばった拓巳だったが、そのくらいでは止まるはずもない。それどころか次々と吹き出す感覚に下腹部が震え、開放感に腰までもが震えた。
「ぁ…………ぁ……」
とてつもない開放感と初めて感じる快楽、そこにとんでもない羞恥心が加わり、拓巳の頭はぐちゃぐちゃになっていた。発情中に混乱する自分を感じたのも初めてだった。
「泣かなくていい」
「…………だ、って俺……、俺……」
「これは粗相じゃない。先に言っておくべきだったね」
「……だって、これ……」
どう考えても精液じゃない。高校のとき先輩にひどくされたこともあったが、こういった粗相は一度もしなかった。それなのにこんなことになり、しかも射精とは違う気持ちよさまで感じてしまった。
「これは潮だよ」
「……しお、って」
体を売っていた拓巳は、もちろんその言葉を知っている。しかしあれは女が出すもので男の自分が出すものではない。
「絶頂した後、ペニスをいじり続けると男でも出るようになる。とくに感じやすい拓巳くんならすぐに出るだろうと思っていたが、予想以上だ」
「ん……っ。優一さん、もぅ、触らない、で」
「あぁ、すまない。感動して、つい」
すまないと謝る声は、気のせいでなければ楽しそうな響きを含んでいる。
「せっかくだから、この感覚を覚えていてほしくてね。そうすれば何度でもくり返すことができる。そろそろ発情が終わりそうないまなら忘れないだろうと思ったんだが、やはり先に言っておくべきだったかな」
粘液や潮に濡れた拓巳の両手を、優一の手が労るようにゆっくりと撫でた。その感触さえ快感に感じるなか、拓巳はふと、発情抑制剤を送ってきた雪弥のことを思い出した。
(優一さんを嫌いになることは、絶対にないけど……)
「頬を叩きたくなるときがあるのだろう」と言った優一の言葉を思い出した拓巳は、ほんの少しだけ雪弥の気持ちがわかったような気がした。
「ん……」
まどろんでいたところで頬を撫でられ、むず痒さから吐息のような声が漏れた。それが自分の声じゃないように聞こえた拓巳は、「発情が始まったのかな」とぼんやりした頭で考える。
今回の発情は、はじめから優一がずっとそばにいた。会社の難しいことがすべて終わり、一緒に過ごしていたときに拓巳が発情に入ったのだ。
発情が始まったことに最初に気づいたのは優一だった。いや、優一でなくても気づいただろう。発情に入った拓巳からは、これまでよりずっと濃く甘い香りが漂っていた。無意識のうちに優一が使った服やタオルをいくつも手にした。「Ωがつがいの香りを求める姿はたまらないね」と笑う優一から着ていたシャツを奪い取りもした。そんなことをくり返し、頭がぼんやりしてきたところで拓巳自身が服を脱がされた。そうしてベッドに連れて行かれたところまではなんとなく記憶にある。
「空調が効いているとはいえ、水分補給は欠かさないようにしなくてはいけない。ほら、グラスを持って」
「……いらない」
「このままじゃ干からびてしまうよ」
「……これ、優一さんの匂い、しない」
普段なら絶対に言わない言葉がスラスラと拓巳の口から出てくる。そのたびに頭のどこかで「恥ずかしい」という気持ちがわき上がるが、それもすぐにどうでもよくなった。そんなことよりも優一の香りがほしくて胸が苦しい。もっと、もっとと焦燥感に駆られた拓巳はもっとも強く香る目の前の体に抱きついた。
「求愛はうれしいけれど、これでは体力がもたないだろう。ほら、こっちを向いて」
「んーっ……んっ、ん……」
体を少し離されたことにむずがる拓巳の唇に冷たいものが触れた。
(優一さんの唇だ)
冷たい感触が優一の唇だということはすぐにわかった。いつものように触れ合う部分が気持ちよくて、拓巳は必死に優一の唇に吸いついた。それを何度かくり返していると唇が離れ、今度は小さな突起のようなものを口に入れられる。そこからニュルッと出てきたのはゼリー状のものだ。
「ん……、やだ、優一さんのが、いい、んっ」
「それは後でたっぷりあげるから、先にこれを食べてしまおうか。……そう、いい子だ。あと半分、しっかり食べて。これは我が社、あぁいや、我が社だった製薬会社で開発した完全栄養食品でね。ほぼすべてが体内に吸収される高性能でハイカロリーなものだ。元は病院食として開発され、いまや宇宙食としても注目されている。発情中のつがいに最適ではあるんだが、一日三本口にしなければさすがに一週間はもたないだろう」
「んー……っ、ん、んっ」
嫌だと緩く頭を振るが、そのたびに小さな筒状のものを口に入れられゼリー状のものを注ぎ込まれた。何度も口を潤すゼリー状のものは、正常なときにはおいしく感じるものなのだろう。しかしいまの拓巳には優一の香り以外味すべてが無機質なものでしかない。それを無理やり口に入れられるのは苦痛以外のなにものでもなかった。
それでも優一に言われたのだからと、なんとかすべてを喉の奥に流し込んだ。ようやく小さな注ぎ口から解放された拓巳は、すぐさま優一に抱きつき首筋にカプカプと何度も噛みつく。
「きみはまだ人だというのに、もう吸血鬼の求愛行動かい?」
「んっ、ん、ん」
「拓巳くんにはきっと可愛らしい牙が生えるだろうね。そうしたきみを早く見たいと思っているのに、いまのままの拓巳くんでいてほしいとも思ってしまう。わたしは思っていたより我が儘なようだ」
「んっ……優一さん、はやく……」
首筋を噛むことはセックス開始の合図だ。なぜか拓巳はそう思った。それなのに優一は背中を優しく撫でるだけで、つがいの印を噛むこともなく後孔に挿れてもくれない。尻に当たっている楔はもう十分熱く硬くなっているのにだ。
「あぁ……花開こうとしているきみの香りは、なんと甘く淫らなのだろう。生まれたばかりのΩだというのに、この先が楽しみでならないよ」
「ゆういちさん、はやく」
「たどたどしい言葉もたまらなくそそる。……どうやらわたしも発情に入ったようだ。さぁ、つがいの時間をたっぷりと楽しむことにしようか」
耳元で囁かれた言葉に、拓巳の体が歓喜にフルッと震えた。
それから発情の熱に呑み込まれるのはあっという間だった。互いに体の境がわからなくなるほど抱きしめ合い、優一の長大な楔が拓巳の中を深く強く穿つ。
「ぁっ、や、ぁっ! あっ、ぁ!」
体を少し上下させるだけでジュボジュボと恥ずかしい音が聞こえた。それでも腰を動かしてしまうのは、羞恥を上回るほどの快楽に囚われているからだ。
もうどのくらい優一の楔を受け入れているのかわからない。何日経ったのかもわからない。それでも体の奥に燻る熱は収まる気配を見せず、仰向けになった優一の腰に拓巳が跨がったのは少し前のことだった。
「それでは自慰をしているのと変わらないよ」
「んっ! ぁ、ぃや、まっ……」
「動いているのは拓巳くん自身だ」
「ちが、まって、ま……っ」
ペニスから吐き出すものがなくなり、それでも絶頂してしまうのが苦しくて涙があふれた。そんな拓巳に「ペニスの根元を押さえていればいい」と言ったのは優一だった。
何も考えられなくなっていた拓巳は、言われるままに片手で自分のペニスを握り締めた。しかし腰を動かすたびに手が動いてしまい、まるで自慰をしているような状態になる。慌てて両手で握り締めたもののヌルヌルしたものですべりがよくなり、ますますスムーズに扱いてしまっていた。
「やぁ、ぁ、あ……!」
閉じた目の奥がチカチカ点滅する。イきすぎて痛みさえ感じるペニスが、またヒクヒクと震え出した。イくのが苦しいから必死に握っているというのに、ヌチュヌチュ、クチュクチュと音を立てながら両手で擦ってしまう。
下腹がブルブルと震え、硬くて太い楔を咥えた後孔にギュゥッと力が入った。そうして次の瞬間――。
「ぃ、ぁ……――!」
頭のどこかがパンと弾け飛んだ。下腹部が脈打つように動いている。両手で必死に握り締めたペニスもドクドクと跳ねたが、吐き出すものがなくなったのか手にわずかなぬめりを感じるだけだった。
「別の絶頂を感じてみるかい?」
「…………ぇ……?」
少し飛んでいた拓巳は優一の言葉を聞き逃した。何を言ったのだろうと、ゆっくりと目を開ける。視線を落とすと、優一の手がまだ両手で握り締めたままの自分のペニスに近づくのが見えた。
「ぇ……? ひぁっ」
冷たい指先にペニスの先端を擦られ腰が跳ねた。驚き見開いた拓巳の目には、赤くなったペニスの先端をいじる優一の指先が見える。しかもただ撫でるのではなく、粘液でべっとりと汚れている小さな口をグリグリと抉るようにいじっているのだ。
「やっ、なに、やめ、……っ」
「射精とは別の絶頂感だが、気に入ってくれるはずだ」
「やぁっ! や、やめ、ひ……!」
「ほら、小さい口がパクパクして……可愛いくてなんて淫らなんだろう」
「ぃ……っ! ゆ、いちさ、やめ、やめ、て……っ」
敏感になっている先端は、もはや痛いのか気持ちいいのかわからない。ただ鋭い感覚が怖くて震えるペニスを両手で必死に握り締めた。そうしなければ何かが漏れそうな感じがしたからだ。
(これ、だめだ……っ。これ、やばぃ、やばい、むり……っ)
せり上がってくる感覚は、交わり続けてから初めて感じる尿意だった。下腹部が熱くなり、その熱が段々とペニスの先端へと向かっていく。
優一の手を止めたくて、拓巳は必死に駄目だと訴えた。両手でペニスをつかみ、なんとか耐えようとした。しかし優一の指は止まらず抉るように先端をいじり続けた。
プシュ、プシュッ、プシュ。
耐えていたものが一気に吹き出した。歯を食いしばった拓巳だったが、そのくらいでは止まるはずもない。それどころか次々と吹き出す感覚に下腹部が震え、開放感に腰までもが震えた。
「ぁ…………ぁ……」
とてつもない開放感と初めて感じる快楽、そこにとんでもない羞恥心が加わり、拓巳の頭はぐちゃぐちゃになっていた。発情中に混乱する自分を感じたのも初めてだった。
「泣かなくていい」
「…………だ、って俺……、俺……」
「これは粗相じゃない。先に言っておくべきだったね」
「……だって、これ……」
どう考えても精液じゃない。高校のとき先輩にひどくされたこともあったが、こういった粗相は一度もしなかった。それなのにこんなことになり、しかも射精とは違う気持ちよさまで感じてしまった。
「これは潮だよ」
「……しお、って」
体を売っていた拓巳は、もちろんその言葉を知っている。しかしあれは女が出すもので男の自分が出すものではない。
「絶頂した後、ペニスをいじり続けると男でも出るようになる。とくに感じやすい拓巳くんならすぐに出るだろうと思っていたが、予想以上だ」
「ん……っ。優一さん、もぅ、触らない、で」
「あぁ、すまない。感動して、つい」
すまないと謝る声は、気のせいでなければ楽しそうな響きを含んでいる。
「せっかくだから、この感覚を覚えていてほしくてね。そうすれば何度でもくり返すことができる。そろそろ発情が終わりそうないまなら忘れないだろうと思ったんだが、やはり先に言っておくべきだったかな」
粘液や潮に濡れた拓巳の両手を、優一の手が労るようにゆっくりと撫でた。その感触さえ快感に感じるなか、拓巳はふと、発情抑制剤を送ってきた雪弥のことを思い出した。
(優一さんを嫌いになることは、絶対にないけど……)
「頬を叩きたくなるときがあるのだろう」と言った優一の言葉を思い出した拓巳は、ほんの少しだけ雪弥の気持ちがわかったような気がした。
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