45 / 100
第45話 何も教えてない
しおりを挟む
「彼女すごいですよ。何も教えてないのにもうクラウドで処理はじめてますよ」
大和くんが、ヒカルちゃんについて説明してくれた。
ぼくは連れてきた後は大和くんに預けっぱなしだった。
すでにちゃんと作業できていることに感心した。
「今までは自分のPCでだけでやってたんでしょ?」
ぼくは聞く。
いままでの説明からすると、自分のPCにどんどんwebサービスのデータを集めて自分のPCで解析させているようだった。
「そうなんですよ。ドキュメントも英語のものをどんどん読んですでに必要なコマンドは覚えてますね」
大和くんが言う。自分のPCとクラウドサーバのPC基本的には同じように触ることができるのだが、サーバは自分のPCのようにグラフィックインターフェースでさわるわけではなく、エンジニアの黒い画面でおなじみのアレにコマンドを打ち込んで触っていくのだ。
「英語は翻訳ソフトで読んでるって行ってましたね」
高崎さんが以前話していたヒカルちゃんの言葉を思い出して補足した。
「確かにそれも使ってるんですけど、彼女ある程度は自力で読んでますね。ほんとに中学生なんですか?」
大和くんがヒカルちゃんの技術力に舌を巻いていた。
「ほんとに中学生なんだよね。うちとか佐々木のところのブログで勉強したんだって」
僕が説明する。ほうとうに中学生なのだ。
そして誰からも特別なに指導を受けていない。
世の中にある情報を探し組み立て自分でできるようになっていた。
「へー嬉しいですね」
大和くんがその話を聞いて喜ぶ。
「大和くんが書いたものが結構あるもんね」
僕が言う。そう、うちのブログは僕も書くけれど院生のみんなも書いている。そして大和くんのブログは優れたエンジニアには人気だ。
「そうですね。理解できる人が何人いるんだろうと思ってたんですけど、ここにいたんですね」
大和くんはそういった。論文もそうだけれども、基本的に最先端の研究をしていると、自分より出来る人はいないということが前提になってくる。
となりの研究員の内容だって理解するのはむずかしい。
「そんなこと思ってたのか」
僕が笑う。
思っていたもしっかり書いていた大和くんもえらいなと思った。
とりあえずやってみるところが彼のえらいところだ。
「そうですね。少なくとも調べる前の自分がわかればいいかな、と」
大和くんは言う。
そう、自分よりも詳しい人はいないという前提に立つと、少し前の自分がいまの自分に近づけるように手助けするという発想になる。
新しいものを調べる時はどうしても関係ないものも調べてしまう。その時間を最小限にできるというのは大きい。
「それ大事だね」
僕が頷く。
「彼女をみてるとウカウカしてられないですね。もっとスキル上げないと」
大和くんはそう言っていた。これは本当に良い傾向だ。
「うん、そういう効果があるかと思って、来てもらったんだ」
僕はヒカルちゃんを連れてきて大和くんとコミュニケーションとってもらっている理由を話した。
「良い仕事ですね」
大和くんがそう言う。
「ありがとう」
僕は微笑んだ。
46
「クラウドで処理するとこんなに速いんだね!」
ヒカルちゃんは作業しながら感嘆の声を上げた。
いままで自分のPCで作業していたので、その速度の差が歴然なのだろう。
「そうだね。そもそも処理してる間も作業できるし」
僕がヒカルちゃんの言葉に相槌を打つ。
自分のPCでデータ解析をさせると、そのあいだ他の作業はできないし、さらに言うと蓋を閉じたりスリープさせてしまうと止まってしまう。もちろん電源を抜いて電池が切れてしまってもいけない。
「そう!それ!!」
ヒカルちゃんのテンションがあがる。
心当たりがたくさんあったのだろう。
ぼくも昔体験したのでほっこりしていた。
「今なにやってるの?」
ぼくは質問する。
なんでもできる状況にはなっているはずだった。
彼女がどこに興味をもったのかどの順番で進めようとしているのかも知りたかった。
「とりあえず顔取り出してる!」
ヒカルちゃんが言う。
彼女が監視カメラの映像を手に入れて、最初にやったのは、顔を取り出すということだった。
これはクラウドサーバの扱い方を学ぶということも含まれているのだろう。
「顔を取り出す??」
高崎くんが不思議そうに聞く。
一般の人からすると聞きなれない単語だ。
なにをしているのか想像するのはむずかしい。
「そうなんだよ!公開されてるフレームワークを使って顔だけを抜き出すんだよ!」
ヒカルちゃんが高崎くんでもわかるように説明する。
簡単に言うと、既存のシステムを使って、顔が含まれる画像を探して顔だけが映った状態に変換している。
そのようにした後に、探したい顔に似ているものを探す。
「ふむふむ?」
高崎くんが理解を進める。
半疑問形なのが気になったが、たぶん理解しているであろう。
「そのあと、今回抜け出した、犯人たちの顔を認識させて探す!」
ヒカルちゃんがビシッと言った。
そう今回の目的もきちんと理解しているのだった。
順番も正しい。
「お、いいね」
ぼくは微笑んだ。
予想どうりの手順設計能力だった。
「でも、これ一般的なフレームワークだからどこまで取れるかわからないんだよね!」
ヒカルちゃんが今やっていることから次に起こりそうな問題を説明した。
ここまではたぶんちゃんと動くはず、ここからはやってみないとわからない、という想定をしながら手を高速で動かしている。
「デフォルトのやつ?」
ぼくが聞く。
たぶんいままでの話から想像するにopenCVの基本の顔認識システムを使っていると思われる。
一旦それでどこまで通用するのか確かめてそこからさらなる作戦を考えるのだろう。
「そうなんだよ!」
ヒカルちゃんのテンションがあがる。
「それだと取れるのは正面だけかな」
ぼくはそう説明した。
「やっぱりそうだよね!一旦それでやってみる」
ヒカルちゃんは理解した上でその作戦を進める。工学の世界では動いているものが一番正しいからだ。
「うん、それがいいと思う」
ぼくもそのやり方に賛同した。
「ヒカルちゃんほんとに手際がいいんですね」
大和くんがそのやりとりを見て感心していた。
大和くんが、ヒカルちゃんについて説明してくれた。
ぼくは連れてきた後は大和くんに預けっぱなしだった。
すでにちゃんと作業できていることに感心した。
「今までは自分のPCでだけでやってたんでしょ?」
ぼくは聞く。
いままでの説明からすると、自分のPCにどんどんwebサービスのデータを集めて自分のPCで解析させているようだった。
「そうなんですよ。ドキュメントも英語のものをどんどん読んですでに必要なコマンドは覚えてますね」
大和くんが言う。自分のPCとクラウドサーバのPC基本的には同じように触ることができるのだが、サーバは自分のPCのようにグラフィックインターフェースでさわるわけではなく、エンジニアの黒い画面でおなじみのアレにコマンドを打ち込んで触っていくのだ。
「英語は翻訳ソフトで読んでるって行ってましたね」
高崎さんが以前話していたヒカルちゃんの言葉を思い出して補足した。
「確かにそれも使ってるんですけど、彼女ある程度は自力で読んでますね。ほんとに中学生なんですか?」
大和くんがヒカルちゃんの技術力に舌を巻いていた。
「ほんとに中学生なんだよね。うちとか佐々木のところのブログで勉強したんだって」
僕が説明する。ほうとうに中学生なのだ。
そして誰からも特別なに指導を受けていない。
世の中にある情報を探し組み立て自分でできるようになっていた。
「へー嬉しいですね」
大和くんがその話を聞いて喜ぶ。
「大和くんが書いたものが結構あるもんね」
僕が言う。そう、うちのブログは僕も書くけれど院生のみんなも書いている。そして大和くんのブログは優れたエンジニアには人気だ。
「そうですね。理解できる人が何人いるんだろうと思ってたんですけど、ここにいたんですね」
大和くんはそういった。論文もそうだけれども、基本的に最先端の研究をしていると、自分より出来る人はいないということが前提になってくる。
となりの研究員の内容だって理解するのはむずかしい。
「そんなこと思ってたのか」
僕が笑う。
思っていたもしっかり書いていた大和くんもえらいなと思った。
とりあえずやってみるところが彼のえらいところだ。
「そうですね。少なくとも調べる前の自分がわかればいいかな、と」
大和くんは言う。
そう、自分よりも詳しい人はいないという前提に立つと、少し前の自分がいまの自分に近づけるように手助けするという発想になる。
新しいものを調べる時はどうしても関係ないものも調べてしまう。その時間を最小限にできるというのは大きい。
「それ大事だね」
僕が頷く。
「彼女をみてるとウカウカしてられないですね。もっとスキル上げないと」
大和くんはそう言っていた。これは本当に良い傾向だ。
「うん、そういう効果があるかと思って、来てもらったんだ」
僕はヒカルちゃんを連れてきて大和くんとコミュニケーションとってもらっている理由を話した。
「良い仕事ですね」
大和くんがそう言う。
「ありがとう」
僕は微笑んだ。
46
「クラウドで処理するとこんなに速いんだね!」
ヒカルちゃんは作業しながら感嘆の声を上げた。
いままで自分のPCで作業していたので、その速度の差が歴然なのだろう。
「そうだね。そもそも処理してる間も作業できるし」
僕がヒカルちゃんの言葉に相槌を打つ。
自分のPCでデータ解析をさせると、そのあいだ他の作業はできないし、さらに言うと蓋を閉じたりスリープさせてしまうと止まってしまう。もちろん電源を抜いて電池が切れてしまってもいけない。
「そう!それ!!」
ヒカルちゃんのテンションがあがる。
心当たりがたくさんあったのだろう。
ぼくも昔体験したのでほっこりしていた。
「今なにやってるの?」
ぼくは質問する。
なんでもできる状況にはなっているはずだった。
彼女がどこに興味をもったのかどの順番で進めようとしているのかも知りたかった。
「とりあえず顔取り出してる!」
ヒカルちゃんが言う。
彼女が監視カメラの映像を手に入れて、最初にやったのは、顔を取り出すということだった。
これはクラウドサーバの扱い方を学ぶということも含まれているのだろう。
「顔を取り出す??」
高崎くんが不思議そうに聞く。
一般の人からすると聞きなれない単語だ。
なにをしているのか想像するのはむずかしい。
「そうなんだよ!公開されてるフレームワークを使って顔だけを抜き出すんだよ!」
ヒカルちゃんが高崎くんでもわかるように説明する。
簡単に言うと、既存のシステムを使って、顔が含まれる画像を探して顔だけが映った状態に変換している。
そのようにした後に、探したい顔に似ているものを探す。
「ふむふむ?」
高崎くんが理解を進める。
半疑問形なのが気になったが、たぶん理解しているであろう。
「そのあと、今回抜け出した、犯人たちの顔を認識させて探す!」
ヒカルちゃんがビシッと言った。
そう今回の目的もきちんと理解しているのだった。
順番も正しい。
「お、いいね」
ぼくは微笑んだ。
予想どうりの手順設計能力だった。
「でも、これ一般的なフレームワークだからどこまで取れるかわからないんだよね!」
ヒカルちゃんが今やっていることから次に起こりそうな問題を説明した。
ここまではたぶんちゃんと動くはず、ここからはやってみないとわからない、という想定をしながら手を高速で動かしている。
「デフォルトのやつ?」
ぼくが聞く。
たぶんいままでの話から想像するにopenCVの基本の顔認識システムを使っていると思われる。
一旦それでどこまで通用するのか確かめてそこからさらなる作戦を考えるのだろう。
「そうなんだよ!」
ヒカルちゃんのテンションがあがる。
「それだと取れるのは正面だけかな」
ぼくはそう説明した。
「やっぱりそうだよね!一旦それでやってみる」
ヒカルちゃんは理解した上でその作戦を進める。工学の世界では動いているものが一番正しいからだ。
「うん、それがいいと思う」
ぼくもそのやり方に賛同した。
「ヒカルちゃんほんとに手際がいいんですね」
大和くんがそのやりとりを見て感心していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる