ビッグデータ探偵

なかの

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第49話 生まれた時から強い

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「きたよー!」
ヒカルちゃんが元気よく入ってくる。
毎日遊びに来ているのでなれたものだった。

「いらっしゃい!」
ぼくも挨拶を返す。
楽しそうにプログラムを書いているヒカルちゃんを見ているとうれしい。
いろいろ複雑な事情があるとは思うがその才能が正しく伸びているのは素晴らしい。

「もう学校は終わったの?」
高崎くんが疑問を返す。
夕方ではあるけれども、学校によってはまだ授業中ということもあり得そうな時間帯だったからだ。
彼女は真面目なので、学校をサボってこちらに来ているという事態を心配したのだろう。

「終わったんだよ!学校も楽しいからね!」
ヒカルちゃんが答える。
たのしいからちゃんと行っているとのことだった。
勉強は自分でもできるけど友達と遊べる時間も大事ということだろう。
高崎くんは安心したみたいだった。

「わかりやすい、引きこもりの天才というわけではないんだね。佐々木もそんな感じだしね」
ぼくがうなずく。
最近のエンジニアは社交性が高い人も増えている。
昔ながらの社交ができない分を才能に当てているというタイプの人は減っている。

「プログラムはプログラムでたのしいけどね!学校も大事!」
ヒカルちゃんはすでにPCをカタカタさせながら答えた。
クラウドにアクセスしながら成果を確認しているようだった。

「健全だ」
ぼくは笑う。

「健全ですね!いいですね!私も中学校楽しかったなー」
高崎くんも微笑む。
中学校時代を思い出しているのだろう。彼女はこのころから元気そうだ。
たぶんミス健全という感じの中学生時代を過ごしていそうだ。

「へー!その時から空手強かったの!」
ぼくは気になって聞いた。
いつ頃からはじめて、いつ頃から強くなったのだろうか。
格闘技なんてやったことがないからどういう訓練をつめば日本一になれるのか想像もつかない。

「はい!優勝してました!空手は生まれた時から強かったです!」
高崎さんはえっへん!と胸を張りながら答えてくれた。
生まれた時から強かったらしい。
たしかに歩けるようになった瞬間から道着を着ていそうなイメージがある。

「生まれた時って」
ぼくは笑った。

「生まれた瞬間から瓦割りしてました!」
彼女はジェスチャーをしながら説明した。
ほんとにやっていてもおかしくないから冗談かどうかわかりづらい!

「すごい!」
ヒカルちゃんはその話を聞いて目をキラキラさせている。

「いやいや」
ぼくがつぶやく。

「子供にウソ教えるのはどうなの?」
僕はわらいながら高崎くんに注意した。

「ななちゃんならできそう!」
ヒカルちゃんは笑って主張した。

「いつのまにかななちゃんって、親しくなってる。そっかこないだまさに高崎くんの強さを体験したんだね。僕はまだしたことないけど」
僕は笑った。そうこないだヒカルちゃんは犯人と間違えられて、腕を高速で取り押さえられたので、その強さを体験しているのだ。

「体験してみます??」
高崎くんがビシッと空手のポーズをとりながら言った。

「いやいや」
僕は丁寧に辞退した。
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