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第二十話『虎』

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「仕方ねえな、行くぞ!」
とライオンが言った。

さて、どうするのか。
虎が電撃を身にまとっていて、それがあるかぎりこちらは攻撃をすることができない。攻撃をしたらしびれてしまいそうだからだ。

「攻撃してもらうしかない」
とライオンが言う。
攻撃してもらう?
どうやって??

私がそう思っていると
「グオオォォォォォォォ!」
ライオンが吠えた。

その声は低く、砦中に響き渡り、地面を揺らす。
私の体も、ピリピリ震える。
ライオンらしい、遠くまで響く唸り声。

今まで、しゃべるときはぼそぼそと言っていたので
かなりイメージと違う、ライオンの吠え声。
そう、喋っているときは普通のcool系イケメンなのだ。

あまりのイメージの違いにびっくりする。

ビクンとなっている、虎。
びっくりして、標的をライオンに定めた。
そう、ライオンはこれを狙っていたのだ。

「グルルゥゥゥゥゥウ」
虎も唸り声をあげる。
バチバチチチィィィイ
虎の雷撃が力を増し。音が鳴り響く。

そして、こちらを鋭く見る。

「グオォォォ!」

その瞬間、虎が吠えて雷撃を放ってくる!
バチチバチチチィィィと空間を雷撃が走る。

「ヤギっち、避けて!」
ヘビくんが私に言う。

「了解!」
ライオンが見事に標的になって、虎に雷撃を放たせた。
そのタイミングで私は横に移動して避ける!
そして、虎の雷撃は、空に消える。

「うぉぉぉ、あぶねぇ!!少しかすっただろうが!ヤギ!ちゃんと避けろ!」
とライオンが私に抗議する!!
「ごめんごめん!難しいのよ!」
本気で避けたんだけどね。ごめん!

「謝るのは後だよ!!よし、そのまま横に近づいて!」
とへびくんが言う。
その声を聞いてそのまま虎の方へダッシュする私。

「よし、今だ!」
と、キマイラの尻尾である、へびくんががぶりと噛み付いた。

「やった!」
とライオンが言う。

ヘビくんが噛み付き
「グウウゥゥゥゥ」と虎は呻き声をあげる。
そして、ヘビくんのスキル「蛇毒 - ポイズン」の毒により、パタリと虎は倒れた。

「た、倒した〜!」
と私はほっとした。

<虎を倒した>
と声が聴こえる。

<ライオンはレベル9になった>
<ヘビはレベル9になった>
<ヤギはレベル9になった>
「おー、みんなレベルが上がった!」
「順調に上がっていくな。」とライオンが言う。

「それだけ、レベル以上の敵をバンバン倒しているという事だね。キマイラさすがにポテンシャルが高いんだね」
とへびくんが言う。

「うーん、すごい、順調に倒してるね!」
と、妖精くんが言った。

「まぁ、なんとかな」
とライオンが妖精くんに答える。
「このくらいの敵ならまだまだいけるね!」とへびくんが笑った。

「それは心強い。次がボスだよ!」
妖精くんはそう言った。
そう、私達は戸惑いながらもボスのところまで来たのだった。
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