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044 ギフト
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白い煙の向こうから姿を現したクロエは、腰を落とし、真っ直ぐ両手で大きな針のような短剣を突き出していた。スティレット。オレがクロエに贈った、突き刺すことに特化した刃の無い短剣だ。
普通なら、スティレットを扱うには熟練の技が必要になる。人もモンスターも、体に多少穴が開いたところで即死したりしない。案外しぶといものだ。それが死や痛みを恐れぬダンジョンのモンスターともなれば、普通に使ったところで反撃に遭うだけだ。
スティレットを十全に扱うには、相手の急所を的確に突く必要がある。
しかし、相手が人間ならまだしも、相手が異形のモンスターとなれば、どこが急所か分からないのはままあることだ。それ故に、スティレットは十分な知識と技が必要な玄人向けの武器となっている。
だが、技はともかく、知識の方は、クロエのギフト【痛打】があれば問題ない。
クロエのギフトは、相手の急所が赤くなって見えるというものだ。実際にクロエに殴られたことがあるオレが断言するが、おそらく急所に攻撃がヒットした際、ダメージにボーナスを得る効果もあると思う。
さすがは、クロエだ。素人には普通無理なことを平然とやってのける! かわいい顔してやってることはエグいエグい。惚れちまうぜ!
ギフトは、成人した際にギフトの名前と共にギフト効果の説明が頭に入ってくるのだが、その説明は本当に簡単な、概要とも言えないような一言の説明しか貰えないのが普通だ。ギフトの詳細な効果を知りたければ、教会に高い金を払って調べてもらうしかない。まぁ、【ギフト鑑定】の持ち主なんて滅多に居ないから難解な言葉で煙に巻かれるだけだが。
だから皆、手探りや自分の直感を信じてギフトの能力を使っているわけだが……ギフトは成長する。
ギフトが成長すること自体は喜ぶべきことなのだが、自分の知らない間にギフトに新しい能力がプラスされていることもあるのだ。ギフトの成長が早い冒険者なんて、そのほとんどが自分のギフトの本当の能力を知らないとまで言われている。
実際に、自分のギフトに関して新しい発見をしたばかりだ。オレも自分のギフトの詳細な能力を知らない。金で解決する問題なら簡単なんだが、あいにくと、この冒険者の聖地とまで呼ばれる王都でも【ギフト鑑定】のギフト持ちは居ないからな。自分のギフトは自分で探るしかない状況だ。
オレも自分のギフトの新たな可能性にも気付けたし、これからはパーティのリーダーとしてメンバーのギフトの詳細も探っていかないとな。
まぁ、今はそんなことよりダンジョンボスの討伐を祝福しよう。褒めて伸ばす作戦だ。
「皆よくやった! 怪我もしてねぇみたいだし、余裕があったな。さすがはレベル2ダンジョンを2回も制覇していることだけはある」
クロエは得意そうに胸を張り、他のメンバーも1人を除いて顔を綻ばせる。いい調子だな。オレに褒められて喜んでいる。それだけオレに心を開いてるってことだ。クロエ、エレオノール、ジゼル、イザベルの4人については順調だが、リディに対しては苦戦を強いられている。
リディ。その身に着けている白地に青のラインが入った修道服が示す通り、【小さな癒し手】という治癒の奇跡のギフトを授かった少女だ。リディは嬉しいような悲しいような、複雑な感情が入り混じった顔を浮かべている。
おそらくだが、仲間の活躍を祝福しつつも、力になれない自分を卑下しているのだろう。オレにも覚えのある感情だ。オレも荷物持ちしかできず、戦闘で役に立てないことにどれだけ心を苛まれたか……。
しかし、マジックバッグという上位互換があるオレとは違い、リディにはパーティでは唯一無二の治癒の奇跡というギフトがある。今は余裕を持たせて低レベルのダンジョンを攻略しているから出番がないが、いざという時は彼女の力が必要不可欠になる。
まぁ、リディの活躍する機会は味方が怪我した時だ。本当なら、怪我しないに越したことはねぇから、リディの活躍なんてない方がいいのだ。そのことを本人が分かってくれればいいが……。
「リディ、お前はお前の役割を十分に果たせている。だから、そんなしょげた顔をするなよ」
「ん……ッ!?」
オレは気が付いたらリディの頭を撫でていた。丁度撫でやすい位置に頭があったからつい……な。
「ん~~~……」
手を振り払われるかと思ったが、リディは難しい顔を浮かべて唸っているだけだ。これはどう受け取るべきだ? まぁ、振り払われない内に撤退するか。
「ぁ……」
リディの頭から手を離すと、リディから小さく声が漏れるのが聞こえた。そして、今度はオレを上目遣いで見上げてくる。かわいい。確かにかわいらしいが、何を思っているんだ? オレにはリディの考えが読めなかった。
考えあぐねていると、リディは小さく溜息を吐いて、イザベルの方に駆けていく。そして、イザベルのスカートに抱き付くと、オレを振り返ってジーっと見ていた。
分からん。リディの考えが分からん。いやまぁ、オレみたいな独身の男が女の子の感情を読もうというのが、そもそも間違いなのかもしれん。女心は男には理解不能だ。
普通なら、スティレットを扱うには熟練の技が必要になる。人もモンスターも、体に多少穴が開いたところで即死したりしない。案外しぶといものだ。それが死や痛みを恐れぬダンジョンのモンスターともなれば、普通に使ったところで反撃に遭うだけだ。
スティレットを十全に扱うには、相手の急所を的確に突く必要がある。
しかし、相手が人間ならまだしも、相手が異形のモンスターとなれば、どこが急所か分からないのはままあることだ。それ故に、スティレットは十分な知識と技が必要な玄人向けの武器となっている。
だが、技はともかく、知識の方は、クロエのギフト【痛打】があれば問題ない。
クロエのギフトは、相手の急所が赤くなって見えるというものだ。実際にクロエに殴られたことがあるオレが断言するが、おそらく急所に攻撃がヒットした際、ダメージにボーナスを得る効果もあると思う。
さすがは、クロエだ。素人には普通無理なことを平然とやってのける! かわいい顔してやってることはエグいエグい。惚れちまうぜ!
ギフトは、成人した際にギフトの名前と共にギフト効果の説明が頭に入ってくるのだが、その説明は本当に簡単な、概要とも言えないような一言の説明しか貰えないのが普通だ。ギフトの詳細な効果を知りたければ、教会に高い金を払って調べてもらうしかない。まぁ、【ギフト鑑定】の持ち主なんて滅多に居ないから難解な言葉で煙に巻かれるだけだが。
だから皆、手探りや自分の直感を信じてギフトの能力を使っているわけだが……ギフトは成長する。
ギフトが成長すること自体は喜ぶべきことなのだが、自分の知らない間にギフトに新しい能力がプラスされていることもあるのだ。ギフトの成長が早い冒険者なんて、そのほとんどが自分のギフトの本当の能力を知らないとまで言われている。
実際に、自分のギフトに関して新しい発見をしたばかりだ。オレも自分のギフトの詳細な能力を知らない。金で解決する問題なら簡単なんだが、あいにくと、この冒険者の聖地とまで呼ばれる王都でも【ギフト鑑定】のギフト持ちは居ないからな。自分のギフトは自分で探るしかない状況だ。
オレも自分のギフトの新たな可能性にも気付けたし、これからはパーティのリーダーとしてメンバーのギフトの詳細も探っていかないとな。
まぁ、今はそんなことよりダンジョンボスの討伐を祝福しよう。褒めて伸ばす作戦だ。
「皆よくやった! 怪我もしてねぇみたいだし、余裕があったな。さすがはレベル2ダンジョンを2回も制覇していることだけはある」
クロエは得意そうに胸を張り、他のメンバーも1人を除いて顔を綻ばせる。いい調子だな。オレに褒められて喜んでいる。それだけオレに心を開いてるってことだ。クロエ、エレオノール、ジゼル、イザベルの4人については順調だが、リディに対しては苦戦を強いられている。
リディ。その身に着けている白地に青のラインが入った修道服が示す通り、【小さな癒し手】という治癒の奇跡のギフトを授かった少女だ。リディは嬉しいような悲しいような、複雑な感情が入り混じった顔を浮かべている。
おそらくだが、仲間の活躍を祝福しつつも、力になれない自分を卑下しているのだろう。オレにも覚えのある感情だ。オレも荷物持ちしかできず、戦闘で役に立てないことにどれだけ心を苛まれたか……。
しかし、マジックバッグという上位互換があるオレとは違い、リディにはパーティでは唯一無二の治癒の奇跡というギフトがある。今は余裕を持たせて低レベルのダンジョンを攻略しているから出番がないが、いざという時は彼女の力が必要不可欠になる。
まぁ、リディの活躍する機会は味方が怪我した時だ。本当なら、怪我しないに越したことはねぇから、リディの活躍なんてない方がいいのだ。そのことを本人が分かってくれればいいが……。
「リディ、お前はお前の役割を十分に果たせている。だから、そんなしょげた顔をするなよ」
「ん……ッ!?」
オレは気が付いたらリディの頭を撫でていた。丁度撫でやすい位置に頭があったからつい……な。
「ん~~~……」
手を振り払われるかと思ったが、リディは難しい顔を浮かべて唸っているだけだ。これはどう受け取るべきだ? まぁ、振り払われない内に撤退するか。
「ぁ……」
リディの頭から手を離すと、リディから小さく声が漏れるのが聞こえた。そして、今度はオレを上目遣いで見上げてくる。かわいい。確かにかわいらしいが、何を思っているんだ? オレにはリディの考えが読めなかった。
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