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03 急襲と甘い罠
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「あれは!?」
「モリリオンワームだ!」
モリリオンワームは、ゲームでも登場したまるで巨木のように大きなワームだ。地面から急に現れて襲撃してくるモンスターである。伏撃を避けるには、微かな振動を感じたらすぐに逃げる必要があるのだ。
「馬が……!」
エステルの視線の先、モリリオンワームの先端では、馬がワームの口の中に吞み込まれていくところだった。
「馬が狙われたか。フェリシエンヌとエステルは馬を確保して逃げてくれ!」
「あなたはどうするの!?」
「どうするって? あれを倒すんだよ」
「忘れたの? あなたの腕には――――」
フェリシエンヌの言葉を遮るように、モリリオンワームが大声で鳴く。まるで黒板を爪でひっかく音を何倍にも大きくしたような不快な音だ。
モリリオンワームがこちらを向く。その口はまるでヤツメウナギのようにギザギザの歯が並んだ姿は、ある種の工業機械のような趣があった。
見ているだけで不快だな。さっさと片付けるか。
「サイクロン!」
オレはサイクロンの魔法を使う。記憶にあるよりも多くの魔力を消費したのは、きっと魔封じの手錠の効果だろう。
魔封じの手錠か。この程度の物でバルタザールを封印できるわけないのにな。
突如としてモリリオンワームを中心に竜巻が発生した。その大きさはモリリオンワームよりもずっと大きい。
そして、モリリオンワームの体がどんどん竜巻によって切り裂かれ、竜巻がモリリオンワームの血の色である青に染まっていく。
こんなところかな?
サイクロンの魔法を解くと、ズチャッと湿っぽい音を立ててモリリオンワームの死体が地面を打った。
モリリオンワームはその体内に鉱石を持っている可能性があるのだが……。捌いてまで入手しようとは思えなかった。時間かかるしね。
「バルタザール、あなたは……」
「ん?」
振り返ると、驚愕の表情を浮かべたフェリシエンヌと、睨むように厳しい顔をしたエステルと目が合った。
「あなたには、魔封じの手錠が着けれているはずです! なぜ魔法が使えるのですか!?」
「魔封じの手錠は、魔力を吸収することで魔法の発動を妨害している。ならば、吸収する量を超えて魔力を使えばいいだけだ」
「そんな無茶苦茶な……」
フェリシエンヌはまるで絶望したようにその場にぺたりと座り込んでしまった。
どうやら彼女には理解を超えたものだったらしい。フェリシエンヌの目には怯えの色が少しだけあるような気がした。
ゲームでは、フェリシエンヌも同じ方法で魔封じの手錠を無効化しているのだが……。なんでオレだけそんな目で見られなくちゃいけないんだ?
「それでどうする? 馬が一頭食べられてしまったが? オレが走ろうか?」
オレというか、バルタザールの体ならば馬以上のスピードで走り続けることができるだろう。ラスボスは伊達ではないのだ。
「……わたくしとエステルが一緒の馬に乗ります。あなたは一人で乗ってください」
「わかった」
やれやれ。また警戒されてしまった。こんなことなら魔法を使わない方がよかったかもしれないな……。
◇
その日の夜。満天の星空の下。
ふと接近する人の気配を感じて目を覚ました。そちらを向けば、焚火によって照らされ、陰になったメイド姿が見えた。
エステル?
彼女は王家に仕える暗殺者の一族だ。オレを暗殺しようというのだろうか?
「何の用だ?」
「起こしてしまいましたか? これでも忍び足には自信があったのですが……。まぁ、いいです」
声をかけると、エステルはエプロンを解き、いそいそとメイド服を脱ぎ始めた。
「何してるんだ?」
「私、強い男性が好きなんです。どうか私にお情けをくださいませんか?」
「えぇ……」
こいつ、いきなりなに言ってるの!?
「大丈夫ですよ、姫様は眠っていらっしゃいます。今のうちに――――」
呆然としていると、ぱさりと音を立ててエステルのメイド服が地面に落ちた。そこにいたのは、背後から焚火に照らされた下着姿のエステルだった。
ここまでくれば、エステルが何を望んでいるのか、鈍いオレにもわかる。
心臓がバクバクとエステルに聞こえそうなほど早鐘を打ち、顔が熱くなっていくのを感じる。
エステルは最推しでこそないが、実はフェリシエンヌよりも好きなキャラなのだ。推しキャラの中でもかなり上位のキャラである。
そんな推しキャラに迫られてる。なにこのご褒美!?
だ、だが、オレにはフアナという最推しが……!?
「バルタザール様、どうかお情けを……」
エステルがブラジャーに手をかける。
「ま、待ってくれ!」
そう。ちょっと待ってほしい。あまりにも不自然だ。こんなのおかしい。
沸騰しそうな頭を必死に回す。
そうだ。この状況はおかしい。
エステルはオレを殺すつもりだ!
「エステルの懸念はわかるつもりだ。だが、オレにフェリシエンヌに手を出すつもりはない! もちろん、お前たちを襲うこともない! 信じてくれないか?」
「はい?」
エステルは何を言ってるのかわからないとばかりに首をコテンとかしげてみせた。
「モリリオンワームだ!」
モリリオンワームは、ゲームでも登場したまるで巨木のように大きなワームだ。地面から急に現れて襲撃してくるモンスターである。伏撃を避けるには、微かな振動を感じたらすぐに逃げる必要があるのだ。
「馬が……!」
エステルの視線の先、モリリオンワームの先端では、馬がワームの口の中に吞み込まれていくところだった。
「馬が狙われたか。フェリシエンヌとエステルは馬を確保して逃げてくれ!」
「あなたはどうするの!?」
「どうするって? あれを倒すんだよ」
「忘れたの? あなたの腕には――――」
フェリシエンヌの言葉を遮るように、モリリオンワームが大声で鳴く。まるで黒板を爪でひっかく音を何倍にも大きくしたような不快な音だ。
モリリオンワームがこちらを向く。その口はまるでヤツメウナギのようにギザギザの歯が並んだ姿は、ある種の工業機械のような趣があった。
見ているだけで不快だな。さっさと片付けるか。
「サイクロン!」
オレはサイクロンの魔法を使う。記憶にあるよりも多くの魔力を消費したのは、きっと魔封じの手錠の効果だろう。
魔封じの手錠か。この程度の物でバルタザールを封印できるわけないのにな。
突如としてモリリオンワームを中心に竜巻が発生した。その大きさはモリリオンワームよりもずっと大きい。
そして、モリリオンワームの体がどんどん竜巻によって切り裂かれ、竜巻がモリリオンワームの血の色である青に染まっていく。
こんなところかな?
サイクロンの魔法を解くと、ズチャッと湿っぽい音を立ててモリリオンワームの死体が地面を打った。
モリリオンワームはその体内に鉱石を持っている可能性があるのだが……。捌いてまで入手しようとは思えなかった。時間かかるしね。
「バルタザール、あなたは……」
「ん?」
振り返ると、驚愕の表情を浮かべたフェリシエンヌと、睨むように厳しい顔をしたエステルと目が合った。
「あなたには、魔封じの手錠が着けれているはずです! なぜ魔法が使えるのですか!?」
「魔封じの手錠は、魔力を吸収することで魔法の発動を妨害している。ならば、吸収する量を超えて魔力を使えばいいだけだ」
「そんな無茶苦茶な……」
フェリシエンヌはまるで絶望したようにその場にぺたりと座り込んでしまった。
どうやら彼女には理解を超えたものだったらしい。フェリシエンヌの目には怯えの色が少しだけあるような気がした。
ゲームでは、フェリシエンヌも同じ方法で魔封じの手錠を無効化しているのだが……。なんでオレだけそんな目で見られなくちゃいけないんだ?
「それでどうする? 馬が一頭食べられてしまったが? オレが走ろうか?」
オレというか、バルタザールの体ならば馬以上のスピードで走り続けることができるだろう。ラスボスは伊達ではないのだ。
「……わたくしとエステルが一緒の馬に乗ります。あなたは一人で乗ってください」
「わかった」
やれやれ。また警戒されてしまった。こんなことなら魔法を使わない方がよかったかもしれないな……。
◇
その日の夜。満天の星空の下。
ふと接近する人の気配を感じて目を覚ました。そちらを向けば、焚火によって照らされ、陰になったメイド姿が見えた。
エステル?
彼女は王家に仕える暗殺者の一族だ。オレを暗殺しようというのだろうか?
「何の用だ?」
「起こしてしまいましたか? これでも忍び足には自信があったのですが……。まぁ、いいです」
声をかけると、エステルはエプロンを解き、いそいそとメイド服を脱ぎ始めた。
「何してるんだ?」
「私、強い男性が好きなんです。どうか私にお情けをくださいませんか?」
「えぇ……」
こいつ、いきなりなに言ってるの!?
「大丈夫ですよ、姫様は眠っていらっしゃいます。今のうちに――――」
呆然としていると、ぱさりと音を立ててエステルのメイド服が地面に落ちた。そこにいたのは、背後から焚火に照らされた下着姿のエステルだった。
ここまでくれば、エステルが何を望んでいるのか、鈍いオレにもわかる。
心臓がバクバクとエステルに聞こえそうなほど早鐘を打ち、顔が熱くなっていくのを感じる。
エステルは最推しでこそないが、実はフェリシエンヌよりも好きなキャラなのだ。推しキャラの中でもかなり上位のキャラである。
そんな推しキャラに迫られてる。なにこのご褒美!?
だ、だが、オレにはフアナという最推しが……!?
「バルタザール様、どうかお情けを……」
エステルがブラジャーに手をかける。
「ま、待ってくれ!」
そう。ちょっと待ってほしい。あまりにも不自然だ。こんなのおかしい。
沸騰しそうな頭を必死に回す。
そうだ。この状況はおかしい。
エステルはオレを殺すつもりだ!
「エステルの懸念はわかるつもりだ。だが、オレにフェリシエンヌに手を出すつもりはない! もちろん、お前たちを襲うこともない! 信じてくれないか?」
「はい?」
エステルは何を言ってるのかわからないとばかりに首をコテンとかしげてみせた。
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