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148 下知
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「卿も呼ばれたか。非常招集とのことであったが、いったい何であろうな?」
「わかりかねますな。またぞろ、南の部族連合が戦争でも吹っ掛けてきましたかな?」
「さて……」
「非常招集とは尋常なことではあるまい」
「わたくしにはなんの情報ももたらせておりませんが……」
「数時間前に教皇が王宮を訪れたと聞くが」
「まさか……な」
謁見の間には多くの貴族の姿があった。その服装の豪華さもさまざまだ。おそらく、連絡のつくすべての貴族家の当主が呼ばれたのだろう。
「バウムガルテン辺境伯、お久しぶりです。あれから自分の足で歩くのが楽しくて、つい屋敷から王宮まで歩いて通うほどですよ。本当に感謝しております」
「こちらこそお役に立ててよかった。とても健康的ですな。顔色も随分と明るく、よくなった気がします」
オレはアルトマイヤー侯爵家の派閥の貴族が集まる所で、ある貴族の男と話していた。以前、オレが足を治した貴族だな。この男もアルトマイヤー派閥の貴族だったらしい。
「バウムガルテン辺境伯は、なにか情報を持っていますか? あいにく私はこれといった情報はなく……。非常招集となれば国家の大事。しかし、なにも思い当たることがない。不安しかありません」
「私も同じような状態ですよ。いったいなにが飛び出るのか……」
まぁ、本当は見当がついてるがね。たぶん、邪神の復活が予言されたのだろう。
原作ゲームとはだいぶタイミングが違うが、おそらくそのはずだ。
しばらくすると王様の入場が告げられ、ざわざわとしていた貴族たちが一斉に静かになりひざまずく。さすがはよく教育された貴族の当主たちだね。
「面を上げよ。楽にしてくれ。皆、よく集まってくれた。此度は国の大事が出来《しゅったい》したため皆を集めさせてもらった」
王様が椅子に座ることなく立ったまま語りだす。その表情は険しく、まさしく国の存亡を賭けた問題が起きたのだと確信させるのものだった。
「単刀直入に言おう。ヨハンネス教皇より、邪神復活の兆しありとの報告があった」
「邪神が!?」
「なんという……」
「まさか、そのようなことが!?」
「厄介な……」
王様の邪神復活の話を聞いて、さすがに貴族たちがざわめく。この世界の人たちにとっては、邪神の脅威はただの神話ではなく身近な問題だ。女神からギフトという不思議な力を賜っているし、邪神の僕としてモンスターたちが跳梁跋扈している。ただの神話として切り捨てるには、神の影響が大きすぎた。
「静まれ。我らは邪神の復活に備えなければならない。これは人類の存亡を賭けた戦争だ。各々戦争に備えよ。過去の文献では、邪神の復活に合わせてモンスターが強くなるようだ。ゆめゆめ気を付けるように」
やはりオレの予想通り邪神の復活か……。できれば復活してほしくなかったが、もう止められないのだろう。
「次に呼ぶ者たちと今後の方針を固めるつもりだ。まずはアルトマイヤー侯爵」
「はっ!」
そして次々と貴族の名前が呼ばれていく、おそらく派閥の長を集めて会議をするのだろう。
そして、会議で決定したことを派閥を上から下に情報がもたらされる。まぁ、連絡網みたいなものだろう。
「以上だ。余りの者は戦争に備えるように。これより戦時だ!」
「「「「「はっ!」」」」」
予想通りというか予想外というか、オレの名前は呼ばれなかった。まぁ、オレはアルトマイヤー侯爵の派閥に属している一貴族だからな。それに、オレには国規模の軍事についてなんの知識もない。呼ばれないのは当たり前なのかもしれない。
さて、王様は戦争に備えるように言っていたが、我が領はもう邪神との戦争に備えた準備をしている。あと必要なのは兵の確保と調練だろう。ああ、あとは防衛施設の完成も急がせないといけないな。
うちの領は、日本の戦国時代の北条氏をお手本に総構えを真似して陣地構築している。たとえ孤立するようなことがあってもしばらくは自給自足で戦えるように考えられている。
というのも、邪神が復活したら、バウムガルテン領は邪神との戦争の最前線になるからだ。邪神は王国から見て東の未開地域に復活するのだ。
なんとも最悪な場所に領地があったものだな。ゲームでは王国の東半分はモンスターの雪崩に蹂躙される。王都まで陥落寸前になるほどだ。そんな状況でバウムガルテン領が生き残ることができることは難しいだろう。だが、備えはしておくべきだ。
「はぁ……」
ゲームではいよいよ主人公が頭角を現して皆に認められていくサクセスストーリーの始まりでしかないが、オレのようなモブにとっては迷惑な話でしかない。
栄光なんていらない。名誉なんていらない。どうにかしてバウムガルテン領を守りたい。オレにあるのはそれだけだ。
「一度、リアたちを教会に連れていくか。ギフトが進化するかもしれないし……。主力の強化は必須だな……」
この世界はギフトによって戦力が大きく変わる。一騎当千が文字通りの意味で実在する世界だ。邪神の復活する前に戦力になりそうな奴の強化をしよう。
「わかりかねますな。またぞろ、南の部族連合が戦争でも吹っ掛けてきましたかな?」
「さて……」
「非常招集とは尋常なことではあるまい」
「わたくしにはなんの情報ももたらせておりませんが……」
「数時間前に教皇が王宮を訪れたと聞くが」
「まさか……な」
謁見の間には多くの貴族の姿があった。その服装の豪華さもさまざまだ。おそらく、連絡のつくすべての貴族家の当主が呼ばれたのだろう。
「バウムガルテン辺境伯、お久しぶりです。あれから自分の足で歩くのが楽しくて、つい屋敷から王宮まで歩いて通うほどですよ。本当に感謝しております」
「こちらこそお役に立ててよかった。とても健康的ですな。顔色も随分と明るく、よくなった気がします」
オレはアルトマイヤー侯爵家の派閥の貴族が集まる所で、ある貴族の男と話していた。以前、オレが足を治した貴族だな。この男もアルトマイヤー派閥の貴族だったらしい。
「バウムガルテン辺境伯は、なにか情報を持っていますか? あいにく私はこれといった情報はなく……。非常招集となれば国家の大事。しかし、なにも思い当たることがない。不安しかありません」
「私も同じような状態ですよ。いったいなにが飛び出るのか……」
まぁ、本当は見当がついてるがね。たぶん、邪神の復活が予言されたのだろう。
原作ゲームとはだいぶタイミングが違うが、おそらくそのはずだ。
しばらくすると王様の入場が告げられ、ざわざわとしていた貴族たちが一斉に静かになりひざまずく。さすがはよく教育された貴族の当主たちだね。
「面を上げよ。楽にしてくれ。皆、よく集まってくれた。此度は国の大事が出来《しゅったい》したため皆を集めさせてもらった」
王様が椅子に座ることなく立ったまま語りだす。その表情は険しく、まさしく国の存亡を賭けた問題が起きたのだと確信させるのものだった。
「単刀直入に言おう。ヨハンネス教皇より、邪神復活の兆しありとの報告があった」
「邪神が!?」
「なんという……」
「まさか、そのようなことが!?」
「厄介な……」
王様の邪神復活の話を聞いて、さすがに貴族たちがざわめく。この世界の人たちにとっては、邪神の脅威はただの神話ではなく身近な問題だ。女神からギフトという不思議な力を賜っているし、邪神の僕としてモンスターたちが跳梁跋扈している。ただの神話として切り捨てるには、神の影響が大きすぎた。
「静まれ。我らは邪神の復活に備えなければならない。これは人類の存亡を賭けた戦争だ。各々戦争に備えよ。過去の文献では、邪神の復活に合わせてモンスターが強くなるようだ。ゆめゆめ気を付けるように」
やはりオレの予想通り邪神の復活か……。できれば復活してほしくなかったが、もう止められないのだろう。
「次に呼ぶ者たちと今後の方針を固めるつもりだ。まずはアルトマイヤー侯爵」
「はっ!」
そして次々と貴族の名前が呼ばれていく、おそらく派閥の長を集めて会議をするのだろう。
そして、会議で決定したことを派閥を上から下に情報がもたらされる。まぁ、連絡網みたいなものだろう。
「以上だ。余りの者は戦争に備えるように。これより戦時だ!」
「「「「「はっ!」」」」」
予想通りというか予想外というか、オレの名前は呼ばれなかった。まぁ、オレはアルトマイヤー侯爵の派閥に属している一貴族だからな。それに、オレには国規模の軍事についてなんの知識もない。呼ばれないのは当たり前なのかもしれない。
さて、王様は戦争に備えるように言っていたが、我が領はもう邪神との戦争に備えた準備をしている。あと必要なのは兵の確保と調練だろう。ああ、あとは防衛施設の完成も急がせないといけないな。
うちの領は、日本の戦国時代の北条氏をお手本に総構えを真似して陣地構築している。たとえ孤立するようなことがあってもしばらくは自給自足で戦えるように考えられている。
というのも、邪神が復活したら、バウムガルテン領は邪神との戦争の最前線になるからだ。邪神は王国から見て東の未開地域に復活するのだ。
なんとも最悪な場所に領地があったものだな。ゲームでは王国の東半分はモンスターの雪崩に蹂躙される。王都まで陥落寸前になるほどだ。そんな状況でバウムガルテン領が生き残ることができることは難しいだろう。だが、備えはしておくべきだ。
「はぁ……」
ゲームではいよいよ主人公が頭角を現して皆に認められていくサクセスストーリーの始まりでしかないが、オレのようなモブにとっては迷惑な話でしかない。
栄光なんていらない。名誉なんていらない。どうにかしてバウムガルテン領を守りたい。オレにあるのはそれだけだ。
「一度、リアたちを教会に連れていくか。ギフトが進化するかもしれないし……。主力の強化は必須だな……」
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