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08 つよつよドラゴン
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「ここがわたくしの部屋です」
相も変わらず、メイドさんによる人力自動ドアを開けた先。ついにアンジェリカの部屋にたどり着いた。
アンジェリカの部屋は、白と青を基調とした部屋だった。海を思わせる濃い青色の絨毯に、白い猫脚の家具たちが並んでいる。なんだか応接間と似たような造りの部屋だ。もしかしたら、これがアンジェリカの趣味なのかもしれない。所々に差し色のようにピンクの小物があるのが、なんだか女の子らしい。
でも、ベッドとかは無いな。部屋には扉が3つも見えるし、たぶん、寝室は別にあるのだろう。残り2つは何の部屋だろう? 気になるな。
アンジェリカが、部屋に入ると、まるで電気を付けたようにパッと部屋が明るくなる。
「ファッ!?」
電気!? このドラゴンとか居るファンタジーな世界に電気があるのか!?
もしかしたら、僕の想像以上に人間の文明は進んでいるのかもしれない。
「ふふっ。これは、明かりの魔術ですよ」
驚きの声を上げた僕がおかしかったのだろう。アンジェリカが笑いながら教えてくれた。どうやら電気ではないらしい。魔術……なんともファンタジーな響きだ。ちょっとワクワクする。僕にも使えないかな?
頭上で光り輝くシャンデリアを見て思う。いったいどんな仕組みなんだろう? やっぱり魔力とかMPみたいなものを消費して光らしているんだろうか?
それにしても、魔術か……。魔術のある文明ってどんな発展を遂げているのだろう? 魔術の無い地球とはまったく違った文明を築いている可能性があるな。この世界がどんな世界なのか、見て回りたい。旅行とか良いな。僕もパパママドラゴンみたいに大きくなったら、旅行とかしてみるのもいいかもしれない。
アンジェリカが僕をイスに座らせると、自分もテーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろした。ただイスに座っただけなのだけど、アンジェリカの所作って美しい。たぶん、礼儀やマナーといったことも勉強しているのだろう。さすがお姫様だ。
「ルー、少し真面目な話があります」
「クー?」
僕はアンジェリカに首を傾げて見せる。べつにかわいい子ぶってるわけじゃない。言葉が通じないからね。こういうジェスチャーというかボディランゲージは大事なんだ。
「ルーは、わたくしの言葉が分かるのですよね?」
「クー!」
僕は元気よく頷く。
「でも、わたくしにはルーの言葉が分かりません……」
「クー……」
本来なら、使い魔とその主は、種族の壁を乗り越えて、言葉が通じるようになるらしい。その上でコミュニケーションを取って、良好な関係を築いていく。それが、使い魔と主の本来の形だそうだ。
しかし、僕の言葉はアンジェリカに通じてないのが現状だ。
そこで、この国一番の賢者と云われているらしい、あのハゲの老人である“先生”に相談したんだけど……。
「結局、言葉は分からないままでしたね……」
「クー……」
先生にも、この事態を好転させることはできなかった。相変わらず、僕の言葉はアンジェリカには伝わらないままだ。試しに「こんにちは」と言おうとしても……。
「クァククァクァ」
「何かしゃべろうとしているのは分かります。でも、言葉の意味が伝わってきません……」
こんな感じである。どうやらドラゴンの口は、人間のように様々な音を出すようには、できていないようだ。まだ僕が赤ちゃんドラゴンだからだろうか?
でも、パパママドラゴンも会話には“念話”という不思議な力を使って会話していたからなぁ……大人ドラゴンになっても、人間のように言葉をしゃべるのは難しいのかもしれない。
「先生は、ルーが格の高いドラゴンだからとおっしゃっていましたけど……」
そもそもこんなことになっている原因。それは僕にあるという。
ドラゴンと一口に言っても、様々なドラゴンが居るらしいけど、僕はその中でも上位の種族のドラゴンではないか、というのが先生の見立てだ。
上位の種族のドラゴンには、魔法や魔術を無効化するドラゴンも少なくないと言っていた。魔法と魔術の違いがよく分からないけど、言ってしまえば、僕は魔法のきかない“つよつよドラゴン”ということらしい。
それが原因で、使い魔と主の意思疎通を可能にするための魔術も無効化されてしまったのではないか、というのが先生の推論だった。バフ効果まで無効化しちゃうとか、融通が利かないよね。
ちなみに先生には、どうすることもできないと言われてしまった。先生もお手上げらしい。
「ルーはすごいドラゴンだったんですね」
「クー!」
それが原因で面倒なことになってるんだけどね。でも、アンジェリカに褒められたので、僕は胸を張って応える。イスの上で立ち上がり、背中の翼も広げて、自分なりにカッコイイポーズをしてみた。
「ふふっ。恰好良いですよ、ルー」
カッコイイポーズをしたのに、アンジェリカに笑われてしまった。まぁ、まだまだ小さい赤ちゃんドラゴンだからね。迫力に欠けるのだろう。そのことに少ししょんぼりしながら、僕はイスに座り直すのだった。
相も変わらず、メイドさんによる人力自動ドアを開けた先。ついにアンジェリカの部屋にたどり着いた。
アンジェリカの部屋は、白と青を基調とした部屋だった。海を思わせる濃い青色の絨毯に、白い猫脚の家具たちが並んでいる。なんだか応接間と似たような造りの部屋だ。もしかしたら、これがアンジェリカの趣味なのかもしれない。所々に差し色のようにピンクの小物があるのが、なんだか女の子らしい。
でも、ベッドとかは無いな。部屋には扉が3つも見えるし、たぶん、寝室は別にあるのだろう。残り2つは何の部屋だろう? 気になるな。
アンジェリカが、部屋に入ると、まるで電気を付けたようにパッと部屋が明るくなる。
「ファッ!?」
電気!? このドラゴンとか居るファンタジーな世界に電気があるのか!?
もしかしたら、僕の想像以上に人間の文明は進んでいるのかもしれない。
「ふふっ。これは、明かりの魔術ですよ」
驚きの声を上げた僕がおかしかったのだろう。アンジェリカが笑いながら教えてくれた。どうやら電気ではないらしい。魔術……なんともファンタジーな響きだ。ちょっとワクワクする。僕にも使えないかな?
頭上で光り輝くシャンデリアを見て思う。いったいどんな仕組みなんだろう? やっぱり魔力とかMPみたいなものを消費して光らしているんだろうか?
それにしても、魔術か……。魔術のある文明ってどんな発展を遂げているのだろう? 魔術の無い地球とはまったく違った文明を築いている可能性があるな。この世界がどんな世界なのか、見て回りたい。旅行とか良いな。僕もパパママドラゴンみたいに大きくなったら、旅行とかしてみるのもいいかもしれない。
アンジェリカが僕をイスに座らせると、自分もテーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろした。ただイスに座っただけなのだけど、アンジェリカの所作って美しい。たぶん、礼儀やマナーといったことも勉強しているのだろう。さすがお姫様だ。
「ルー、少し真面目な話があります」
「クー?」
僕はアンジェリカに首を傾げて見せる。べつにかわいい子ぶってるわけじゃない。言葉が通じないからね。こういうジェスチャーというかボディランゲージは大事なんだ。
「ルーは、わたくしの言葉が分かるのですよね?」
「クー!」
僕は元気よく頷く。
「でも、わたくしにはルーの言葉が分かりません……」
「クー……」
本来なら、使い魔とその主は、種族の壁を乗り越えて、言葉が通じるようになるらしい。その上でコミュニケーションを取って、良好な関係を築いていく。それが、使い魔と主の本来の形だそうだ。
しかし、僕の言葉はアンジェリカに通じてないのが現状だ。
そこで、この国一番の賢者と云われているらしい、あのハゲの老人である“先生”に相談したんだけど……。
「結局、言葉は分からないままでしたね……」
「クー……」
先生にも、この事態を好転させることはできなかった。相変わらず、僕の言葉はアンジェリカには伝わらないままだ。試しに「こんにちは」と言おうとしても……。
「クァククァクァ」
「何かしゃべろうとしているのは分かります。でも、言葉の意味が伝わってきません……」
こんな感じである。どうやらドラゴンの口は、人間のように様々な音を出すようには、できていないようだ。まだ僕が赤ちゃんドラゴンだからだろうか?
でも、パパママドラゴンも会話には“念話”という不思議な力を使って会話していたからなぁ……大人ドラゴンになっても、人間のように言葉をしゃべるのは難しいのかもしれない。
「先生は、ルーが格の高いドラゴンだからとおっしゃっていましたけど……」
そもそもこんなことになっている原因。それは僕にあるという。
ドラゴンと一口に言っても、様々なドラゴンが居るらしいけど、僕はその中でも上位の種族のドラゴンではないか、というのが先生の見立てだ。
上位の種族のドラゴンには、魔法や魔術を無効化するドラゴンも少なくないと言っていた。魔法と魔術の違いがよく分からないけど、言ってしまえば、僕は魔法のきかない“つよつよドラゴン”ということらしい。
それが原因で、使い魔と主の意思疎通を可能にするための魔術も無効化されてしまったのではないか、というのが先生の推論だった。バフ効果まで無効化しちゃうとか、融通が利かないよね。
ちなみに先生には、どうすることもできないと言われてしまった。先生もお手上げらしい。
「ルーはすごいドラゴンだったんですね」
「クー!」
それが原因で面倒なことになってるんだけどね。でも、アンジェリカに褒められたので、僕は胸を張って応える。イスの上で立ち上がり、背中の翼も広げて、自分なりにカッコイイポーズをしてみた。
「ふふっ。恰好良いですよ、ルー」
カッコイイポーズをしたのに、アンジェリカに笑われてしまった。まぁ、まだまだ小さい赤ちゃんドラゴンだからね。迫力に欠けるのだろう。そのことに少ししょんぼりしながら、僕はイスに座り直すのだった。
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