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069 ダンジョン攻略当日
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「せあっ!」
夜。月光に照らされるグラウンドに裂帛の気合いが迸る。いつもの自主訓練だ。
暗闇の中、ピタリと止まった輝く刀身を見て、オレは満足げに頷いていた。
縦割りダンジョン攻略を明日に控え、オレの気持ちは高ぶっていた。
オレは自主訓練の重要性はわかっているし、戦闘訓練の授業の模擬戦も大好きだ。
だが、やはり実戦ほど心躍る瞬間はない。
「オレの思考も戦闘狂染みてきたなぁ」
思わず苦笑を浮かべてしまう。
野蛮と言われれば、確かに野蛮なんだろうなぁ。
「まぁ、オレは最強になるんだ。仕方ないね」
最強になるためには、どんな戦いからも逃げるわけにはいかない。ならば、戦いを楽しんだ方がいい。
「さて、そろそろ寝るか」
ダンジョンには、ベストなコンディションで臨むべきだ。そのために睡眠は重要である。
オレはいつもよりも早く訓練を終えると、剣を鞘に戻し、コソコソと男子寮の自室まで帰るのだった。
◇
翌朝。男子寮の食堂。
窓からキラキラと朝日が飛び込み、食堂の中を照らしていた。
ガヤガヤと聞き取れない声の集合の中、オレは用意された朝食を自分で必要な分だけ取っていく。男子寮の食堂は、基本的にバイキング形式なのだ。
溢れんばかりのサラダとベーコンエッグ。お馴染みのバゲットとオニオンスープ。今から食べるのが楽しみだな。
朝食の乗ったトレイを持ったオレは、そのまま窓とは反対側の食堂の出入り口へと歩いていく。食堂の席次は決まっていないことになっているが、暗黙の了解というのはあるのだ。
「お!」
オレは人混みの中エロワとポールを見つけると、彼らと同じテーブルに着いた。
「二人ともおはよう」
「おう、おはよーさん」
「おはようなんだなー」
こいつらって意外と早起きなんだよなぁ。オレはこの二人よりも早く食堂に来たことがない。
そんな二人の前には、山盛りされた朝食があった。特にポールなんて山盛りというよりもチョモランマって感じだ。朝からこれだけ食えるんだからすごいよなぁ。
まぁ、オレたち貧乏だった辺境出身の貴族にとって、食堂の食事は豪勢だからね。ついたくさん食べたくなる気持ちもわかるってもんだ。どれだけ食べても料金は変わらないしね。
「いよいよ今日がダンジョン攻略だな。二人とも、調子はどうだ?」
オレの質問に、エロワとポールが顔を曇らせる。
「それか……」
「緊張してるんだなー……」
エロワは心底嫌そうな顔だな。
まぁ、一年生の相方があのテオドールだし、当然かもしれない。
ポールの顔には嫌悪感は浮かんでいないが、本人の言う通り緊張しているのだろう。表情が優れない。
「てか、俺らよりお前の方がやべーだろ。同じチームにあのフェルディナン殿下がいるって聞いたぜ? なんかミスったらヤバいんじゃねえの?」
「怖いんだなー……」
そういえば、フェルディナンは滅多に笑わないし、心の内をさらすことがないので、みんなから氷晶の王子って呼ばれてるんだっけ?
ゲームでは、主人公に調子を狂わされて、けっこう熱い部分を見せていたから忘れていたよ。
「まぁ、なんとかなるだろ」
ゲームでも仲間思いの一面があったし、本人は周囲に期待される王子としての仮面を身に付けているだけで、その本心はけっこう熱い奴だってこともオレは知っている。
なにより、フェルディナン本人は評判とは違って優しい奴だ。他人のミスで理不尽に怒ったりはしないだろう。叱責はあるかもしれないが、それは相手の成長を思えばこそだ。
「お前のそのクソ度胸が羨ましいよ」
「なんだなー」
「てか、なんで俺のパートナーはテオドールなんだよ! やりにくいったらありゃしねえぜ! クソが!」
愚痴るエロワに苦笑して、オレはサラダをもしゃもしゃ食べ始めた。
夜。月光に照らされるグラウンドに裂帛の気合いが迸る。いつもの自主訓練だ。
暗闇の中、ピタリと止まった輝く刀身を見て、オレは満足げに頷いていた。
縦割りダンジョン攻略を明日に控え、オレの気持ちは高ぶっていた。
オレは自主訓練の重要性はわかっているし、戦闘訓練の授業の模擬戦も大好きだ。
だが、やはり実戦ほど心躍る瞬間はない。
「オレの思考も戦闘狂染みてきたなぁ」
思わず苦笑を浮かべてしまう。
野蛮と言われれば、確かに野蛮なんだろうなぁ。
「まぁ、オレは最強になるんだ。仕方ないね」
最強になるためには、どんな戦いからも逃げるわけにはいかない。ならば、戦いを楽しんだ方がいい。
「さて、そろそろ寝るか」
ダンジョンには、ベストなコンディションで臨むべきだ。そのために睡眠は重要である。
オレはいつもよりも早く訓練を終えると、剣を鞘に戻し、コソコソと男子寮の自室まで帰るのだった。
◇
翌朝。男子寮の食堂。
窓からキラキラと朝日が飛び込み、食堂の中を照らしていた。
ガヤガヤと聞き取れない声の集合の中、オレは用意された朝食を自分で必要な分だけ取っていく。男子寮の食堂は、基本的にバイキング形式なのだ。
溢れんばかりのサラダとベーコンエッグ。お馴染みのバゲットとオニオンスープ。今から食べるのが楽しみだな。
朝食の乗ったトレイを持ったオレは、そのまま窓とは反対側の食堂の出入り口へと歩いていく。食堂の席次は決まっていないことになっているが、暗黙の了解というのはあるのだ。
「お!」
オレは人混みの中エロワとポールを見つけると、彼らと同じテーブルに着いた。
「二人ともおはよう」
「おう、おはよーさん」
「おはようなんだなー」
こいつらって意外と早起きなんだよなぁ。オレはこの二人よりも早く食堂に来たことがない。
そんな二人の前には、山盛りされた朝食があった。特にポールなんて山盛りというよりもチョモランマって感じだ。朝からこれだけ食えるんだからすごいよなぁ。
まぁ、オレたち貧乏だった辺境出身の貴族にとって、食堂の食事は豪勢だからね。ついたくさん食べたくなる気持ちもわかるってもんだ。どれだけ食べても料金は変わらないしね。
「いよいよ今日がダンジョン攻略だな。二人とも、調子はどうだ?」
オレの質問に、エロワとポールが顔を曇らせる。
「それか……」
「緊張してるんだなー……」
エロワは心底嫌そうな顔だな。
まぁ、一年生の相方があのテオドールだし、当然かもしれない。
ポールの顔には嫌悪感は浮かんでいないが、本人の言う通り緊張しているのだろう。表情が優れない。
「てか、俺らよりお前の方がやべーだろ。同じチームにあのフェルディナン殿下がいるって聞いたぜ? なんかミスったらヤバいんじゃねえの?」
「怖いんだなー……」
そういえば、フェルディナンは滅多に笑わないし、心の内をさらすことがないので、みんなから氷晶の王子って呼ばれてるんだっけ?
ゲームでは、主人公に調子を狂わされて、けっこう熱い部分を見せていたから忘れていたよ。
「まぁ、なんとかなるだろ」
ゲームでも仲間思いの一面があったし、本人は周囲に期待される王子としての仮面を身に付けているだけで、その本心はけっこう熱い奴だってこともオレは知っている。
なにより、フェルディナン本人は評判とは違って優しい奴だ。他人のミスで理不尽に怒ったりはしないだろう。叱責はあるかもしれないが、それは相手の成長を思えばこそだ。
「お前のそのクソ度胸が羨ましいよ」
「なんだなー」
「てか、なんで俺のパートナーはテオドールなんだよ! やりにくいったらありゃしねえぜ! クソが!」
愚痴るエロワに苦笑して、オレはサラダをもしゃもしゃ食べ始めた。
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