117 / 117
117 帰還
しおりを挟む
「ほう? これがボスドロップか」
ラスボスの部屋。大きなドーム状の空間の中、その中央。オレたちの前には、大きな宝箱があった。それも今までのような木箱ではない。赤に金の装飾が付いたザ・宝箱って感じの宝箱だ。
ゲームでは『洞窟』のボスドロップ品は三つ出たが、こっちではどうだろう?
「それでは、開けますね」
そう宣言して、ブリジットが宝箱を調べていく。
宝箱を開けるのは、ブリジットの役目だ。ボスドロップの宝箱は罠とかないのだが、一応学園の授業では調べることを推奨している。これもある意味初々しい光景になるのだろう。
「罠はないようですわ。では、開けますね……」
ブリジットが慎重な手つきで宝箱を開いていく。
宝箱の中からピカッと光が漏れ、宝箱が開いた。
みんなで宝箱を覗き込むようにして中に何が入っているのか確認していく。
「両手槌に指輪、それと金貨か!」
シケてんなぁ。全部ハズレだ。両手槌は使う奴がいないし、指輪は防御力は上がるが、二つしか付けられない貴重な指輪装備をただ防御力の上がるだけの装備で埋めるのはナンセンス。そして、金貨に至ってはただの換金アイテムだ。
ゲームだったら、今回の攻略は無意味と断じてもいいくらいのショボさである。
だが、オレにはそんなショボいアイテムたちが輝いて見えた。
だって、これらはオレたちが協力して、初めて『洞窟』をクリアした報酬なんだ。
これがゲームだったら、クリアすることが当たり前だった。多少の達成感はあったけど、ここまで感動することはなかっただろう。
今回のダンジョン攻略は、オレたちにとって成功を約束されたイベントじゃない。セーブもできないし、間違えたらロードでなかったことにすることもできない。
たくさん失敗したし、新たな気付きもあった。これらの経験は、オレたちの宝物になるだろう。
「この指輪、貰ってもいいか?」
オレは指輪を手に取るとみんなに訊いてみる。
先ほどはナンセンスと断じたが、今のオレは指輪装備を一つも持ってないからね。他の指輪装備を手に入れるまで着けていようと思ったのだ。
そういえば、ゲームでは指輪装備は左右の手に一つずつしか装備できなかったが、指は十本ある。例えば、指輪装備を右の手に三つも四つも装備したらどうなるんだろう?
要検証だな。
みんなの了承を得て、右手の薬指に指輪を装備した後、オレたちはボス部屋の奥にある小部屋の魔法陣を使ってダンジョンから抜け出した。
ダンジョンから無事に生還したオレたちに待っていたのは、祝福の言葉ではなくお説教だった。
今日はオレたちがダンジョンに入った日から数えて九日目らしい。テストの期日は七日間だけ。オレたちは期日を二日間もオーバーしてダンジョンに潜っていたことになる。
そのことは、ダンジョンの中にいたオレたちにもわかっていた。でも、どうしてもダンジョンを完全攻略したかったのだ。
「心配したんですよ? 皆さんになにかあったのではないかと……」
「すみませんでした、コランティーヌ先生……」
「反省してまーす……」
「そうなんだなー……」
生徒指導室の中でコランティーヌ先生に説教されるオレたち。だが、ダンジョン攻略中ずっと張っていた緊張の糸が切れてしまったのか、異常なくらい眠かった。シャルリーヌなんて無言で舟を漕いでいるくらいだ。
そんなオレたちの様子を見て、担任のコランティーヌ先生は溜息を一つして口を開く。
「とにかく、無事でよかったです。まずは休息が必要でしょう。しっかり眠って疲れを取ってください」
「はーい……」
「シャルリーヌ様、起きてください……」
「ゃー、もぅちょっと……」
生徒指導室を出たオレたちは、のろのろとまるでゾンビのような足取りで寮へと戻っていく。
その途中、オレは振り返ってチームメンバーを見た。
ダンジョンにいる時は気が付かなかったが、みんな目の下にクマを浮かべて不健康で眠そうな顔をしていた。これはお説教が中断されるわなと納得できるような顔だ。シャルリーヌなんて両脇をアリソンとブリジットに支えられて半分寝ているような感じだ。
「みんな、お疲れ様。たしかに期日は二日もオーバーしちゃったし、怒られちゃったけどさ、オレはみんなと組めて、『洞窟』をクリアできてよかったよ。みんなはオレの誇りだ」
「へへ……。俺もだぜ」
「みんなと冒険できて嬉しかったんだなー」
「うみゅー……」
「シャルリーヌ様、今感動的な場面ですよ」
「アリソン、もう寝かせてあげましょうよ」
最後はなんか締まらないが、オレの言葉に嘘はない。
そして、オレたちは丸三日間ぐっすり寝て、体力を回復した。
テストの結果は、オレたちは期日に帰らなかったので得点はゼロ。全員仲良く赤点を取って、補習を受けることになったのだった。
とはいえ、学園ではオレたちが『洞窟』を踏破したことが噂で流れ、みんなに一目置かれるようになるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは(=゚ω゚)ノ
作者のくーねるでぶるです。
お読みいただきありがとうございます。
本作はこれにて一度完結設定にさせていただきます。
また時間ができたら続きを書かせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
気軽に感想もよろしくね>w<b
ラスボスの部屋。大きなドーム状の空間の中、その中央。オレたちの前には、大きな宝箱があった。それも今までのような木箱ではない。赤に金の装飾が付いたザ・宝箱って感じの宝箱だ。
ゲームでは『洞窟』のボスドロップ品は三つ出たが、こっちではどうだろう?
「それでは、開けますね」
そう宣言して、ブリジットが宝箱を調べていく。
宝箱を開けるのは、ブリジットの役目だ。ボスドロップの宝箱は罠とかないのだが、一応学園の授業では調べることを推奨している。これもある意味初々しい光景になるのだろう。
「罠はないようですわ。では、開けますね……」
ブリジットが慎重な手つきで宝箱を開いていく。
宝箱の中からピカッと光が漏れ、宝箱が開いた。
みんなで宝箱を覗き込むようにして中に何が入っているのか確認していく。
「両手槌に指輪、それと金貨か!」
シケてんなぁ。全部ハズレだ。両手槌は使う奴がいないし、指輪は防御力は上がるが、二つしか付けられない貴重な指輪装備をただ防御力の上がるだけの装備で埋めるのはナンセンス。そして、金貨に至ってはただの換金アイテムだ。
ゲームだったら、今回の攻略は無意味と断じてもいいくらいのショボさである。
だが、オレにはそんなショボいアイテムたちが輝いて見えた。
だって、これらはオレたちが協力して、初めて『洞窟』をクリアした報酬なんだ。
これがゲームだったら、クリアすることが当たり前だった。多少の達成感はあったけど、ここまで感動することはなかっただろう。
今回のダンジョン攻略は、オレたちにとって成功を約束されたイベントじゃない。セーブもできないし、間違えたらロードでなかったことにすることもできない。
たくさん失敗したし、新たな気付きもあった。これらの経験は、オレたちの宝物になるだろう。
「この指輪、貰ってもいいか?」
オレは指輪を手に取るとみんなに訊いてみる。
先ほどはナンセンスと断じたが、今のオレは指輪装備を一つも持ってないからね。他の指輪装備を手に入れるまで着けていようと思ったのだ。
そういえば、ゲームでは指輪装備は左右の手に一つずつしか装備できなかったが、指は十本ある。例えば、指輪装備を右の手に三つも四つも装備したらどうなるんだろう?
要検証だな。
みんなの了承を得て、右手の薬指に指輪を装備した後、オレたちはボス部屋の奥にある小部屋の魔法陣を使ってダンジョンから抜け出した。
ダンジョンから無事に生還したオレたちに待っていたのは、祝福の言葉ではなくお説教だった。
今日はオレたちがダンジョンに入った日から数えて九日目らしい。テストの期日は七日間だけ。オレたちは期日を二日間もオーバーしてダンジョンに潜っていたことになる。
そのことは、ダンジョンの中にいたオレたちにもわかっていた。でも、どうしてもダンジョンを完全攻略したかったのだ。
「心配したんですよ? 皆さんになにかあったのではないかと……」
「すみませんでした、コランティーヌ先生……」
「反省してまーす……」
「そうなんだなー……」
生徒指導室の中でコランティーヌ先生に説教されるオレたち。だが、ダンジョン攻略中ずっと張っていた緊張の糸が切れてしまったのか、異常なくらい眠かった。シャルリーヌなんて無言で舟を漕いでいるくらいだ。
そんなオレたちの様子を見て、担任のコランティーヌ先生は溜息を一つして口を開く。
「とにかく、無事でよかったです。まずは休息が必要でしょう。しっかり眠って疲れを取ってください」
「はーい……」
「シャルリーヌ様、起きてください……」
「ゃー、もぅちょっと……」
生徒指導室を出たオレたちは、のろのろとまるでゾンビのような足取りで寮へと戻っていく。
その途中、オレは振り返ってチームメンバーを見た。
ダンジョンにいる時は気が付かなかったが、みんな目の下にクマを浮かべて不健康で眠そうな顔をしていた。これはお説教が中断されるわなと納得できるような顔だ。シャルリーヌなんて両脇をアリソンとブリジットに支えられて半分寝ているような感じだ。
「みんな、お疲れ様。たしかに期日は二日もオーバーしちゃったし、怒られちゃったけどさ、オレはみんなと組めて、『洞窟』をクリアできてよかったよ。みんなはオレの誇りだ」
「へへ……。俺もだぜ」
「みんなと冒険できて嬉しかったんだなー」
「うみゅー……」
「シャルリーヌ様、今感動的な場面ですよ」
「アリソン、もう寝かせてあげましょうよ」
最後はなんか締まらないが、オレの言葉に嘘はない。
そして、オレたちは丸三日間ぐっすり寝て、体力を回復した。
テストの結果は、オレたちは期日に帰らなかったので得点はゼロ。全員仲良く赤点を取って、補習を受けることになったのだった。
とはいえ、学園ではオレたちが『洞窟』を踏破したことが噂で流れ、みんなに一目置かれるようになるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは(=゚ω゚)ノ
作者のくーねるでぶるです。
お読みいただきありがとうございます。
本作はこれにて一度完結設定にさせていただきます。
また時間ができたら続きを書かせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
気軽に感想もよろしくね>w<b
130
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~
キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。
異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。
役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。
隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。
戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。
異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。
まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。
ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。
それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。
次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。
その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。
「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」
※カクヨムにも掲載中です。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
一気に読ませていただきました。
物語が続く事を切に願います。
面白いです。
アイギスはチートすぎるから出番大分先かな?
ありがとうございます!
出番だいぶ先になります!