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5.お姫さまと本の悪魔のおはなし
(1)
とある小さな王国に、お城のみんなに「本の虫姫」と呼ばれるお姫さまがおりました。
本当の名前は誰も覚えておりません。お姫さまのことを名前で呼んでいたのはお姫さまのお母さまだけ。物心ついたときにはお母さまは亡くなっていましたから、お姫さまは自分の名前も知りません。
血の繋がらないお妃さまや、正妃腹のお兄さま、お姉さまたちは、お姫さまのことを「ニセモノ」と呼んでおりました。ですから小さい頃のお姫さまは途中まで自分の名前は「ニセモノ」なのだと本気で思っていたのです。
ある時、お姫さまはお城で不思議な男に出会いました。影のようにどこからか現れた黒衣の男は、何のきまぐれかお姫さまに文字を教えてくれたのです。そしてひとりぼっちのお姫さまは本を読めるようになると、どんどん物語の世界にのめり込んでいきました。
お姫さまには、お兄さまやお姉さまたちのようなお部屋はありません。お姫さまのためだけにあつらえらえたものは存在しないのです。それでも、お城には大きな書庫があります。
お姫さまは日がな一日書庫にこもって、どっぷりと本の世界に入り込んでおりました。三度の食事よりも大事なものは、読書の時間。お姫さまは、本さえあれば、それで満足だったのです。
ですから「本の虫」というのはむしろ、お姫さまにふさわしい、素敵な名前だったのかもしれません。
本当の名前は誰も覚えておりません。お姫さまのことを名前で呼んでいたのはお姫さまのお母さまだけ。物心ついたときにはお母さまは亡くなっていましたから、お姫さまは自分の名前も知りません。
血の繋がらないお妃さまや、正妃腹のお兄さま、お姉さまたちは、お姫さまのことを「ニセモノ」と呼んでおりました。ですから小さい頃のお姫さまは途中まで自分の名前は「ニセモノ」なのだと本気で思っていたのです。
ある時、お姫さまはお城で不思議な男に出会いました。影のようにどこからか現れた黒衣の男は、何のきまぐれかお姫さまに文字を教えてくれたのです。そしてひとりぼっちのお姫さまは本を読めるようになると、どんどん物語の世界にのめり込んでいきました。
お姫さまには、お兄さまやお姉さまたちのようなお部屋はありません。お姫さまのためだけにあつらえらえたものは存在しないのです。それでも、お城には大きな書庫があります。
お姫さまは日がな一日書庫にこもって、どっぷりと本の世界に入り込んでおりました。三度の食事よりも大事なものは、読書の時間。お姫さまは、本さえあれば、それで満足だったのです。
ですから「本の虫」というのはむしろ、お姫さまにふさわしい、素敵な名前だったのかもしれません。
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