[異世界恋愛短編集]私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください

石河 翠

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1.私のせいではありません。諦めて、本音トークごと私を受け入れてください

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 私は日本からの異世界転移者だ。突然の雨でビルの軒下に入り、ショート動画をスワイプして消去していたら、うっかり何かを同意だか登録だかしてしまったらしい。慌てて解除しようとしたところで雷が近くに落ち、その衝撃でこちらの世界に移動してしまったのである。

 いろいろと大事なものを失くした状態で浜辺に打ち上げられていた時には、正直泣いた。私のような人間は客人と呼ばれていて、世界を超えることで魔力が豊富になったり、異能を得ていたりするのだとか。保護された後は、有力貴族に娶られるのが恒例なのだという。

 そして私を保護したお屋敷のお嬢さまは、私に礼儀作法を叩きこんでくれた。文字通り物理的に叩きこまれたのにはびっくりしたけれど。お貴族さま、こええええええ。ある程度仕上がったと思ったら、速攻で吸血伯爵とやらの元に送り付けられたってわけ。

 念願叶って性癖ど真ん中のイケメンに会えたら、興奮してテンションあがりまくりになっても仕方ないでしょ。村人に取り囲まれたときには、正直絶望していたからね。どうせ奴隷扱いなら、ご主人さまは村人モブ複数よりも、好みのイケメンひとりの方が嬉しい。心的にも、身体的にも。擦り切れたらどうしてくれるんだって話ですよ、まったく。

「もう黙っていてくれ」
『すみません。ずっとうるさかったですよね。でも話の分かる旦那さまで本当に安心しました』
「こちらにとっては不幸なことだがな」
『旦那さま、今、幸せじゃないんですか。可哀そう』
「誰のせいだと思っている」
『ぴえん』

 とはいえなんだかんだ言いつつ、私を屋敷に置くことにしてくれた時点で、吸血伯爵さまはとってもお優しい。それなのに周辺の人々にここまで怖がられているということは、やっぱり吸血鬼というのは事実ってことなんだろうな。まあ、でも血を吸っても絵になるくらいの美形だし、むしろ吸血鬼要素はポイント高いのでは? 吸血鬼は萌える。これは声高に主張したい。

「だから、全部駄々洩れだと言っている」
『まあまあ、いいじゃないですか。そんな細かいことを気にしなくても』
「お前は気にしろ」

 綺麗な髪を雑にがしがしとかきむしる吸血伯爵さまは、やっぱり死ぬほど麗しかった。
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