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「さあ、お茶の時間です」
「王族の皆さまは、毎日お茶会をなさっているのですか?」
こんなにお茶ばかり飲んで、お腹がちゃぷちゃぷにならないのでしょうか。私の疑問がわかっているのでしょう、使者さんが笑っています。
「会議や書類仕事、視察などに時間を割かれることのほうが多いかもしれませんね」
「それならば、なぜ毎日お茶会に呼ばれるのでしょうか?」
放っておいてほしいと言外に伝えましたが、使者さんはどこ吹く風。さすが王宮で働く使者さん、ハートの強さが半端ないです。
「殿下もぐるぐる巻きで固定されていますから、暇をもて余しているのかもしれませんね」
「『呪いを解いてほしい』と頼んできた使者さんが、そこまで投げやりで良いのですか?」
「いいんですよ、これで」
お掃除がまだ残っているんですという私の主張が通ることはなく、今日もいつの間にかお茶会の場所まで連れ出されてしまいました。今日は王太子さまの部屋ではなく王宮のお庭ということで、いつもと雰囲気が変わりましたね。
「流行りのお菓子は、お嫌いですか?」
田舎どころか教会でも食べられないお菓子を片手に、使者さんが微笑みます。くっ、食べ物を人質にするなんて卑怯です!
「美味しいですし、お菓子は大好きですけれど、この状況が嫌すぎるんです」
「まあ確かにやや異様な状況ではありますが」
「これをややで押し止める使者さんの心の強さが羨ましいです」
使者さんと私が向かい合い、それを眺める形で座っている王太子さま。動けないのにお茶会をするなんて、なんの意味があるのでしょう。ご自分が動けないぶん、観察して楽しんでいらっしゃるのでしょうか。
「だいたい、ここまでくるとフラグがたちすぎなんですよ」
「フラグとは?」
「古今東西、お茶会と言えば事件が起こるものなんです」
「それは、そういうことを言うほうが悪いのではないでしょうか」
「使者さん、カップから離れて!」
いきなり出ましたよ。本日はお庭の四阿でガーデンパーティと聞いていた時からある程度覚悟はしていましたが、まさかの足がいっぱいある毒虫さんとご対面です! しかも活きが良すぎるタイプみたいで、カップの中で跳ねております。
「王族の皆さまは、毎日お茶会をなさっているのですか?」
こんなにお茶ばかり飲んで、お腹がちゃぷちゃぷにならないのでしょうか。私の疑問がわかっているのでしょう、使者さんが笑っています。
「会議や書類仕事、視察などに時間を割かれることのほうが多いかもしれませんね」
「それならば、なぜ毎日お茶会に呼ばれるのでしょうか?」
放っておいてほしいと言外に伝えましたが、使者さんはどこ吹く風。さすが王宮で働く使者さん、ハートの強さが半端ないです。
「殿下もぐるぐる巻きで固定されていますから、暇をもて余しているのかもしれませんね」
「『呪いを解いてほしい』と頼んできた使者さんが、そこまで投げやりで良いのですか?」
「いいんですよ、これで」
お掃除がまだ残っているんですという私の主張が通ることはなく、今日もいつの間にかお茶会の場所まで連れ出されてしまいました。今日は王太子さまの部屋ではなく王宮のお庭ということで、いつもと雰囲気が変わりましたね。
「流行りのお菓子は、お嫌いですか?」
田舎どころか教会でも食べられないお菓子を片手に、使者さんが微笑みます。くっ、食べ物を人質にするなんて卑怯です!
「美味しいですし、お菓子は大好きですけれど、この状況が嫌すぎるんです」
「まあ確かにやや異様な状況ではありますが」
「これをややで押し止める使者さんの心の強さが羨ましいです」
使者さんと私が向かい合い、それを眺める形で座っている王太子さま。動けないのにお茶会をするなんて、なんの意味があるのでしょう。ご自分が動けないぶん、観察して楽しんでいらっしゃるのでしょうか。
「だいたい、ここまでくるとフラグがたちすぎなんですよ」
「フラグとは?」
「古今東西、お茶会と言えば事件が起こるものなんです」
「それは、そういうことを言うほうが悪いのではないでしょうか」
「使者さん、カップから離れて!」
いきなり出ましたよ。本日はお庭の四阿でガーデンパーティと聞いていた時からある程度覚悟はしていましたが、まさかの足がいっぱいある毒虫さんとご対面です! しかも活きが良すぎるタイプみたいで、カップの中で跳ねております。
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