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現世編 序章 終わりの始まり
7話 夢あらわに
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光が射している方向に俺は視線を外すことなく動いていった。距離で言うと300mくらいだろうか。目前まで到着して気づいたのが、光ではなく白い空間がそびえ立っていた。その表現が望ましいかどうかは分からないが、初めて見る光景なのでなんとも形容しがたいものだった。
「見たところ、この空間は奥まで真っ白で何も見えないな」
入ろうかどうしようか様子を伺っていたら、先ほどの声が聞こえてきた。
「おぉ、着いたかの。早速、入ってくるのじゃ」
そう言われ俺は1回深呼吸をして、その空間に入り込んだ。
入った途端、入り口が消えた。先ほどの真っ暗な空間が今度は真っ白な空間に変わった。
「ふう・・・次は白すぎて何もわからないか」
辺り一面全てが白く目印もないので進んでいるかどうかも不明だが、突然その空間が眩しく勢いよく輝きだした。
「う・・・・眩しい、目が開けられない」
全身が光で包みこみまれ、その場から動くことができなかった。暫くして眩しさが和らいできた感じがしたから、ゆっくりと瞼を開いてみた。
「・・・・・・・」
これは…正直驚いた。
「なんて、神秘的なんだ」
それこそアニメやイラストで見たことのある風景だった。地面はなく辺り一面が雲に覆われ、その雲から見え隠れする浮遊大陸、天を見上げると透き通るほどの奇麗な青空。そして、現世では見たことのない浮遊生物が優雅に飛び鳴き声をあげている。
「ハハハ・・・マジか」
本当にこんな世界があったのか。俺は震えが止まらなかった。もちろん嬉しくてだ。
「すごい! しかも俺自由に飛んでいるし! ああ・・・なんて風が気持ちいいんだ」
興奮のあまり呼ばれたことを完全に忘れ、この神秘的な世界を飛び回り満喫してしまった。すると…
「お~い! 早う、来ぬか~」
おっと、つい夢中になって忘れていた。声主に会いに行かないと。上空から視線を落とすと何やら人らしき者を認識したので、そこへ向かう。
「あの人かな」
声主がいる陸地に着地し、目的の人物まで歩いて行った。近づき、声主の姿を確認すると、俺は思わず笑いそうになった。
「なんて、テンプレ的な人なんだ」
その容姿は異世界もの転生に出てくる神のイメージに瓜二つだった。高齢で長く白い顎鬚、白い布製の服、なにより口調が如何にもって感じだ。
「なんじゃ、ワシの顔に何かついておるかの?」
「いえ、なんでもありません。とりあえず、初めまして」
「率直に聞きますが、あなたは神様ですか?」
「うむ、如何にもワシは神じゃ」
予想通り。なんだかワクワクしてきた。
「神様は名前とかはありますか?」
「ワシの名前? う~ん、なんじゃったかのぅ・・・この数百年誰かに名前で呼ばれたことはないからのぅ。忘れてしまったのぅ」
さすが神。長生きだな。いや、神様に寿命があるかどうか知らんけど。
「そうじゃのぅ・・・思い出せんが、あえて言うなら『ゼウス』なんてどうじゃ?な~んか神々しくて如何にも神っぽくて良いとは思わんかの?」
「いや、まんまだから!」
というか、それ最高神の名だわ。きっと怒られるぞ。『我の名を騙る不躾な奴は天罰じゃ!』とか言われて雷撃落とされると思うぞ。それとも、ここの神界の最高神はゼウスじゃないのか? あくまでも俺がいた世界の神話だけの話だろうか?
「ん? 何かおかしいかの?」
「いや、まあ、良いんじゃないですかね。似合っていますよ!」
深く追求するのも面倒なので、適当に相槌した。
「そんなことより本題にはいるぞ。あまり時間を要していないのでな」
「そうなんですか?」
「うむ、時にお主、今の自分の状態を理解しておるかの?」
「ええ、死んでいますね」
死んでいるのに、普通に会話していると『死んだ』というフレーズに違和感を覚えるのだけどな。
「そうじゃな・・・じゃがそういう事じゃなくての、お主自分の姿を確認しておるか?」
「姿?」
言われてみれば、意識が戻ってから自分の容姿は気にしてなかったな。そんな余裕もなかったし。なので、確認してみた。
「なっ! なんじゃこりゃー!!」
驚愕した。いつもの感覚で自分の身体を動かしていたから違和感とかなかったけど、実際視認したらとんでもない姿に変貌していた。
「か、身体が青白くなって透けている。それにこの心臓の部分にある人魂みたいなものはなんだ?」
こんな状態なら、暗闇の時に気づきそうなんだが…かなり混乱してたんだな。
「やはり、気づいておらんかったか。それはのお主の魂じゃよ。人はみな死ぬと魂となり、その魂も1時間も経たぬうちに消滅する」
「魂・・・じゃあ、俺はもうすぐ消滅してしまうのですか?」
「いや、お主が魂になってから既に猶予時間は過ぎておる」
「!? 今の俺はいったいどういう状態・・・」
急激に不安になる。
「実はの・・・お主たちの死は『イレギュラー』な出来事じゃったのじゃよ」
「イレギュラー? それってどういう・・・ん、たち? ちょっとまて神様! 今、たちって言ったよな! もしかして凛と真由羅先輩も俺と同じ状況にいるのか?」
聞き逃せない言葉を聞いて興奮し、思わずタメ口になってしまった。まあ、いいか。
「うむ、実際はお主たちの学園周辺にいた人間全員じゃな」
「じゃあ、さっきの俺みたいにあの暗闇の空間にいるのか? 助けに行かないと・・・」
居てもたってもいられず、その場から放れようとした。
「まあ、待て、慌てるな。順に話していくから落ち着いて聞くのじゃ」
たしなめされ、俺は少し冷静になり神様の話を聞くことにした。
「先ずは・・・お主のそばにいた2人は、別の神が救っておる」
「あぁ、良かった・・・2人とも生きていたんだ」
感極まって泣きそうになった。まあ、実際に涙が出るかどうかは今の状態ではよく分からないが。
「いや、死んでおるぞ。ワシら神の力によって魂を繋ぎ留めているだけじゃからの。じゃが、あの時あの周辺にいた全員の魂を救うことはできなかったのじゃ。それは本当に力不足で申し訳ないと思っておる。」
「でも、俺たち3人は救ってくれた」
思うところもあったが、何より俺の大切な人が救われているのを聞いて安堵していた。
「お主たちは、最優先で助けたからの」
「最優先? 俺たちが・・・それはいったい・・・」
「まだ明確になっておらぬから詳しくは言えぬのじゃが、あれは運命じゃなくイレギュラーじゃ。本来お主たちは死ぬ運命ではなかったのじゃ。お主が狙われたのじゃよ」
驚くべき事実を聞かされ俺は数秒間沈黙した。
「・・・なんで? 俺が狙われるって・・・」
じゃあなにか、俺のせいで巻き添えくらって他のみんなは死んだっていうのか。
「狙われた理由は分からん。ただ、1つ言えることは狙った奴はお主の世界の人物じゃないってことじゃ」
「なん・・・だって」
次から次と恐ろしいことを聞かされて、脳の処理が追い付かなくなってきた。
「お主らを救い狙った人物を調べたのじゃが・・・かろうじて場所だけは判明した。僅かな魔力痕跡があったからの。そこで、お主にその世界に行ってもらたいのじゃ」
「マジか・・・それって生き返るのか」
「生き返るというか、転生じゃな。肉体は滅びておるしの」
ここで、転生キターーーーーーー!!
「本来、こんなことは神の法に触れるのじゃが状況が状況での。最高神『ゼウス』様に掛け合って、特別に許可をもらったのじゃよ」
「最・高・神・ゼウス様!?」
あんた、さっき自分の名前「ゼウスなんてどうじゃ?」って言ったよな! まるでゼウスという名がこの神界に存在しなかったかのように。怖いわ。あれ、マジで言ってたの? というか、これまでのシリアスな展開があんたの今の一言ですべて台無しになったわ。
「あぁ・・・ゼウス・・・ゼウス様ね・・・ありがとうございます?」
なんかこの爺さんに構ってたら余計に疲れてくる。とにかく、話の続きを聞くことにしよう。
「見たところ、この空間は奥まで真っ白で何も見えないな」
入ろうかどうしようか様子を伺っていたら、先ほどの声が聞こえてきた。
「おぉ、着いたかの。早速、入ってくるのじゃ」
そう言われ俺は1回深呼吸をして、その空間に入り込んだ。
入った途端、入り口が消えた。先ほどの真っ暗な空間が今度は真っ白な空間に変わった。
「ふう・・・次は白すぎて何もわからないか」
辺り一面全てが白く目印もないので進んでいるかどうかも不明だが、突然その空間が眩しく勢いよく輝きだした。
「う・・・・眩しい、目が開けられない」
全身が光で包みこみまれ、その場から動くことができなかった。暫くして眩しさが和らいできた感じがしたから、ゆっくりと瞼を開いてみた。
「・・・・・・・」
これは…正直驚いた。
「なんて、神秘的なんだ」
それこそアニメやイラストで見たことのある風景だった。地面はなく辺り一面が雲に覆われ、その雲から見え隠れする浮遊大陸、天を見上げると透き通るほどの奇麗な青空。そして、現世では見たことのない浮遊生物が優雅に飛び鳴き声をあげている。
「ハハハ・・・マジか」
本当にこんな世界があったのか。俺は震えが止まらなかった。もちろん嬉しくてだ。
「すごい! しかも俺自由に飛んでいるし! ああ・・・なんて風が気持ちいいんだ」
興奮のあまり呼ばれたことを完全に忘れ、この神秘的な世界を飛び回り満喫してしまった。すると…
「お~い! 早う、来ぬか~」
おっと、つい夢中になって忘れていた。声主に会いに行かないと。上空から視線を落とすと何やら人らしき者を認識したので、そこへ向かう。
「あの人かな」
声主がいる陸地に着地し、目的の人物まで歩いて行った。近づき、声主の姿を確認すると、俺は思わず笑いそうになった。
「なんて、テンプレ的な人なんだ」
その容姿は異世界もの転生に出てくる神のイメージに瓜二つだった。高齢で長く白い顎鬚、白い布製の服、なにより口調が如何にもって感じだ。
「なんじゃ、ワシの顔に何かついておるかの?」
「いえ、なんでもありません。とりあえず、初めまして」
「率直に聞きますが、あなたは神様ですか?」
「うむ、如何にもワシは神じゃ」
予想通り。なんだかワクワクしてきた。
「神様は名前とかはありますか?」
「ワシの名前? う~ん、なんじゃったかのぅ・・・この数百年誰かに名前で呼ばれたことはないからのぅ。忘れてしまったのぅ」
さすが神。長生きだな。いや、神様に寿命があるかどうか知らんけど。
「そうじゃのぅ・・・思い出せんが、あえて言うなら『ゼウス』なんてどうじゃ?な~んか神々しくて如何にも神っぽくて良いとは思わんかの?」
「いや、まんまだから!」
というか、それ最高神の名だわ。きっと怒られるぞ。『我の名を騙る不躾な奴は天罰じゃ!』とか言われて雷撃落とされると思うぞ。それとも、ここの神界の最高神はゼウスじゃないのか? あくまでも俺がいた世界の神話だけの話だろうか?
「ん? 何かおかしいかの?」
「いや、まあ、良いんじゃないですかね。似合っていますよ!」
深く追求するのも面倒なので、適当に相槌した。
「そんなことより本題にはいるぞ。あまり時間を要していないのでな」
「そうなんですか?」
「うむ、時にお主、今の自分の状態を理解しておるかの?」
「ええ、死んでいますね」
死んでいるのに、普通に会話していると『死んだ』というフレーズに違和感を覚えるのだけどな。
「そうじゃな・・・じゃがそういう事じゃなくての、お主自分の姿を確認しておるか?」
「姿?」
言われてみれば、意識が戻ってから自分の容姿は気にしてなかったな。そんな余裕もなかったし。なので、確認してみた。
「なっ! なんじゃこりゃー!!」
驚愕した。いつもの感覚で自分の身体を動かしていたから違和感とかなかったけど、実際視認したらとんでもない姿に変貌していた。
「か、身体が青白くなって透けている。それにこの心臓の部分にある人魂みたいなものはなんだ?」
こんな状態なら、暗闇の時に気づきそうなんだが…かなり混乱してたんだな。
「やはり、気づいておらんかったか。それはのお主の魂じゃよ。人はみな死ぬと魂となり、その魂も1時間も経たぬうちに消滅する」
「魂・・・じゃあ、俺はもうすぐ消滅してしまうのですか?」
「いや、お主が魂になってから既に猶予時間は過ぎておる」
「!? 今の俺はいったいどういう状態・・・」
急激に不安になる。
「実はの・・・お主たちの死は『イレギュラー』な出来事じゃったのじゃよ」
「イレギュラー? それってどういう・・・ん、たち? ちょっとまて神様! 今、たちって言ったよな! もしかして凛と真由羅先輩も俺と同じ状況にいるのか?」
聞き逃せない言葉を聞いて興奮し、思わずタメ口になってしまった。まあ、いいか。
「うむ、実際はお主たちの学園周辺にいた人間全員じゃな」
「じゃあ、さっきの俺みたいにあの暗闇の空間にいるのか? 助けに行かないと・・・」
居てもたってもいられず、その場から放れようとした。
「まあ、待て、慌てるな。順に話していくから落ち着いて聞くのじゃ」
たしなめされ、俺は少し冷静になり神様の話を聞くことにした。
「先ずは・・・お主のそばにいた2人は、別の神が救っておる」
「あぁ、良かった・・・2人とも生きていたんだ」
感極まって泣きそうになった。まあ、実際に涙が出るかどうかは今の状態ではよく分からないが。
「いや、死んでおるぞ。ワシら神の力によって魂を繋ぎ留めているだけじゃからの。じゃが、あの時あの周辺にいた全員の魂を救うことはできなかったのじゃ。それは本当に力不足で申し訳ないと思っておる。」
「でも、俺たち3人は救ってくれた」
思うところもあったが、何より俺の大切な人が救われているのを聞いて安堵していた。
「お主たちは、最優先で助けたからの」
「最優先? 俺たちが・・・それはいったい・・・」
「まだ明確になっておらぬから詳しくは言えぬのじゃが、あれは運命じゃなくイレギュラーじゃ。本来お主たちは死ぬ運命ではなかったのじゃ。お主が狙われたのじゃよ」
驚くべき事実を聞かされ俺は数秒間沈黙した。
「・・・なんで? 俺が狙われるって・・・」
じゃあなにか、俺のせいで巻き添えくらって他のみんなは死んだっていうのか。
「狙われた理由は分からん。ただ、1つ言えることは狙った奴はお主の世界の人物じゃないってことじゃ」
「なん・・・だって」
次から次と恐ろしいことを聞かされて、脳の処理が追い付かなくなってきた。
「お主らを救い狙った人物を調べたのじゃが・・・かろうじて場所だけは判明した。僅かな魔力痕跡があったからの。そこで、お主にその世界に行ってもらたいのじゃ」
「マジか・・・それって生き返るのか」
「生き返るというか、転生じゃな。肉体は滅びておるしの」
ここで、転生キターーーーーーー!!
「本来、こんなことは神の法に触れるのじゃが状況が状況での。最高神『ゼウス』様に掛け合って、特別に許可をもらったのじゃよ」
「最・高・神・ゼウス様!?」
あんた、さっき自分の名前「ゼウスなんてどうじゃ?」って言ったよな! まるでゼウスという名がこの神界に存在しなかったかのように。怖いわ。あれ、マジで言ってたの? というか、これまでのシリアスな展開があんたの今の一言ですべて台無しになったわ。
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