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第1章 園生活編

第10話 少し本気をだそう

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 僕は隙を見てどうにか逃げられないかと見計らう。しかし入口に2人、店内に4人、そして遠くから見張っているのが2人とそこそこ数も多い。そして何より相手は普通に強めだ、学園の決闘とはわけが違う。だったら戦うよりも逃げるのが良い。
 そう考えていると、突然轟音が鳴った。電気が割られたみたいだ。もう夕方という事もあり、周囲が見えにくくなってしまった。魔法でどうにでもできるが、今動いたらまずい。どうするべきか、強盗が立ち去るのを待つべきか?

バタン

「え?ちょ、大丈夫!?」

 あまり良くは見えないが、突然ユーリアが倒れてしまった。介抱しようとするが、何者かにその手を弾かれる。強盗の一人だ、ナイフをこちらに突きつけて一言。

「触ったら、殺す」

 全然勝てる相手だ。しかし、多勢に無勢でこいつを倒しても他の奴らにやられるだろう。結局無言で手を上げる羽目になってしまった。気配が消える、取りあえず助かったみたいだ………いや、違う!

「ユーリア!」

 確かに僕への殺意はなくなったが、ユーリアが店の外に連れ出されていった。すると、店内に二人を残して他の強盗は店を気にせずにどこかへ行ってしまった。なぜだ?何で、ユーリアを攫う必要がある?まさか………当初からそれが望みか!?
 そうこう考えているうちに店内に残っている二人も、金になるものを肩端から袋に詰めて店を後にしようとしていた。あいつらなら行き先を知っているはず、聞き出そうか。それにしても全く腑抜けた奴らだ。

「そう重い荷物を持って背後を晒すもんじゃない」
「な!?」
「クソッ、学園の奴か!でもこいつ、1年坊だ!二人でかかるぞ!」
「無駄だよ、もう気絶してる。さて、何で攫ったのか洗いざらい吐いて貰おう」

 流石に殺すのは忍びない。そもそも、情報を聞き出すのが本命だからね。一人目は初撃で気絶しちゃったけど、二人目は気を付けないと。

「チッ!小僧が舐めるなぁ!」

 強盗は短剣を逆手に持ち、素早く僕に向かってナイフを振る。でも、

「そんな攻撃僕には当たらないよっ!」
「ぐはぁっ!?」

 隙をついてお腹にグーパンを叩きこむ。手軽に魔法でも良かったけど、店まで巻き込むわけにはいかない。決闘場じゃないんだから、手放しに魔法は打てない。だからこそ確実に戦意を喪失するような殴打を相手に叩き込む。

「うぅあ………」
「大丈夫、僕は優しいから。君が素直に情報を吐いてくれたら殺さないであげる」
「ほ、本当か…?」
「もちろん!でも、本当のことを答えなかったら………分かるね?」
「………っ!!!」

 雑魚には〈傲慢〉1式を使うのももったいない。後でほぼ絶対に使うからね、だから〈傲慢〉1式じゃなくて僕の拳に本来見えないはずの魔素の塊を纏わりつかせる演出を行う。何も人が恐怖を覚えるのは能力によるものだけではない。

「さっさと話して」
「は、はい!俺らが戻ろうとしていたところは王都の南のスラム街の第1倉庫です!」
「目的は?」
「そ、それは………この金目のものを一度みんなで分ぱ………」

 僕は拳を地面に叩きつける。今度は演出ではなく、本当に魔素を纏わりつかせて殴る。これは警告だ、次嘘を吐いたら承知はしないとメッセージを拳で伝える。

「ひっ!?」
「いいから、それで目的は?」
「あ、め、メイヤー伯爵家の娘を、ららら拉致することですぅ!」
「何で?」
「そ、それは知りません!あ、ご、ごめんなさいぃ!アぐぅ………」

 うーん、これ以上は情報を得られなそうだ。僕は手加減しつつ強盗をぶん殴る。殺さないとは言ったけど、殴らないとは言って無い。二人とも縛っておいて、あとは通りかかった騎士団の人に任せよう。僕にはやることがある。

「王都の南のスラム街の第1倉庫ね」

 風を切りただひたすらに速く走る。流石にユーリアを見殺しにすることは出来ない、僕のこの世界でほぼ初めてともいえる友達だし何より前世からゲームで慣れ親しんだキャラだ。そんなユーリアが死ぬなんて、絶対だめだ。

「あれ?クライト!」
「っ、スタグリアン!ごめん、今時間が無いんだ!」
「あ、ちょっと!」

 偶然にもスタグリアンと会ったが気にせず走り抜ける。多分こんな時じゃなかったら話していただろうが、今はとにかく時間が無い。

「屋根に上るか」

 道は通行人との衝突に気を付けるのが面倒くさい、何より直線で進めないからね。僕は屋根に移動してただ走った。

☆★☆★☆

 南スラム街の第1倉庫に着いたものの誰も居ない。敵よりも早く着けたのか、それとも彼に騙されたのか。冗談にならない2択に心臓が暴れる。だが、その心配はすぐに消えた。2人、先ほど店に入らずに監視していた奴らが来た。

「でも、ユーリアが居ない………」

 なぜだか、ユーリアの姿が見えない。しかし冷静になって考えてみると、こいつら二人はユーリアを拉致する奴らよりも先にその場から離れていた二人だという事に気が付いた。きっと残りの4人は後からやって来るだろう。だったら、

「今、殺る」
「っ!?」
「敵だ!」

 流石、彼らの中では強い部類なのか僕が出てきてからの反応がとても速かった。こいつら2人を相手にするのか………ははは、ゲームより臨場感があって楽しいな。僕は主人公よりも眺める方が好きって言ったけど、少し間違ってたみたいだ。

「僕はただ、表立って活躍するのが嫌だっただけかもしれない」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ、ガキが!」
「こいつ、学園の奴だ!油断するなよ!」

 僕は彼らの言葉を聞き流しながら、魔法を撃つ準備をする。しかし、その瞬間から彼らはこちらに向かって襲い掛かってくる。だけど、それは僕にとっては好都合だ。

「〈寛容〉1式」
「クソ、〈寛容〉か!」
「ここは任せてくれ。〈強欲〉1式!」

 その瞬間、突如〈寛容〉1式の効果が消える。〈強欲〉1式の効果は相手の属性効果を一定期間使えなくするというものだ。制限は確か…そうそう

「くっ!」
「おい、大丈夫か!しっかりしろ!」
「あ、あぁだいじょっ!………うぐっ!はぁはぁ」

 一定期間心臓に激しい痛みを覚える。だったかな?だから隙だらけになる

「逝ってらっしゃい!」
「がぁあっ!!!」

 水魔法で水の球を作って、雷魔法で帯電させてから、風魔法で形を保ちながら高速で飛ばす。するとあら不思議、相手は気絶します。残りはリーダー格の彼一人、まぁ互角くらいの普通に倒せる位の相手だ。が、

ガキィン!

「フッ!」
「くっ!」

 油断は禁物だ。互角という事は僕もやられる可能性は大いにある。だから、今回は少し本気を出そうか。

「〈傲慢〉3式!」


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