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第1章 園生活編

第13話 ダンジョンへ

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【クライトside】

 ユーリアを助けた日から何日か経った。あの日、新聞で僕のことが実名を伏せて取り上げられていた。危ない所だった、新聞の記事には『名前をできることなら聞きたかった』とか書いてあったし。それは僕にとっては困る。
 それと結局指輪がどんな効果を持つかを知ることは出来なかった。でも、体内の魔素量の上限値は体内の魔素を使えば使うほど増えていく。だから何の効果があるか分からないものの、毎日その日余った魔素を入れていた。

 それは良いとして、今日から校外学習の日だ。事前に決めてあった班で冒険者の依頼を受けてきてもらうというもの。Bクラスは最低でもDランクの依頼を受けないといけない。この授業は2日連続で行うらしいから気合いを入れていこう。
 それと、今回の班はランダムで決められた。その結果、

・僕
・スタグリアン・アンサラー・レイシル
・キュール
・マリスタン・ジュール・ハッド

 というメンバーになった。僕とスタグリアンは良いとして他二人の簡単な説明をするとキュールさんは平民出身の頭が良いけど結構ドジな女の子、マリスタンさんは確かハッド男爵家の長女で武器が大剣というなかなか豪快なわりに華奢な体つきの女の子だ。
 ユーリアが居ないのは寂しいけれど、まぁ仕方が無い。この二人も僕は見覚えがあって少し話してみたいなとは思っていたから、機会が出来て良かった。それとリーダーはこの中で一番序列が高いマリスタンさんになった。

 余談だけど、僕はキュールさんを少し警戒している。というのもキュールさん自体は全く持って戦闘も得意ではないし心優しい性格の持ち主なのだけど、僕が悉く避けている主人公クレジアントの攻略対象なのだ。そのため、迂闊に仲良くなれない。

「それじゃあ行きましょうか」

 マリスタンさんの合図で皆が動きだす。

「そうだね」
「今日からよろしく」
「お、お願いします」

 冒険者ギルドに入り、マリスタンさんが適当な依頼を掲示板から1枚はがして持ってくる。依頼内容は低級ダンジョン1層の一掃だ………図らずもダジャレを言ってしまったけど、別に気にしないでくれ。ちょっと恥ずかしいから。
 依頼を確認した僕達はそこに向かう。少し、いや結構走ったところにようやく低級ダンジョンがあった。ゲームの素材周回でさんざん見た場所だ。近づくと魔物達がダンジョンの入口から飛び出してきていた。確かに、依頼が出るのも分かる。

「さて、準備は良いですか?」
「もちろん。準備万端だよ」
「皆罠にだけは気を付けてね」
「それじゃあ、中に入りましょうか」

 慎重にダンジョンの中に入る。楽しみだ、ダンジョンは何度も周回していたからこそ愛着もある。たまに面倒くさいななんて思う事もあったが、そんなことを思うのは一瞬で最下層にある宝を取った時はもう面倒くさいなんて感情は忘れている。

「あ、あそこにゴブリンが3体居る」
「私が行きましょうか?」
「ううん大丈夫、あの程度ならすぐに倒せるから」

 小さめの火球を3つ作ってゴブリンたちに放つ。ゴブリンたちは気づくことも無く倒された。するとゴブリン3体の経験値はチーム全体に分配される。今日はみんなで経験値分配する装置を持ってきているため、誰かが倒しても実質全員で倒したという事になる。

「きゃ!?」
「おっと?」

 そんなことを考えていたら急に下に落ちてしまった。誰かが間違えて罠を作動させてしまったのだろうか?取りあえず皆が怪我しないように床に空気のクッションを作る。これが紳士の対応というものさ………なんか流石に自分で言うの気持ち悪いな。

「ご、ごめんなさい!私が間違って罠に掛かってしまって…」
「まぁまぁ気にしないで、どうする?上に戻る?」
「まぁそうした方がいいんじゃないかな?だって依頼は1層の魔物の一掃だし」
「スタグリアンさん、でもクライトさんが言いたいのはそういう事ではないと思いますよ」

 お、マリスタンさん察しがいいな。そう、実はダンジョンは最下層まで行ってボスを倒すと全階層の魔物一定期間消えるんだ。ゲーム内では1日で復活していたが、公式設定に書いてあったのは1ヶ月。1層を一掃するだけではせいぜい1週間でもとに戻ってしまうだろう。だったら、最下層を攻略した方が良い。

「で、でも、いくら低級ダンジョンとはいえ、ボスは私たちだけじゃ勝てませんよ」
「確かにそうですね、じゃあ戻りましょうか」
「いや、でも4人だったらいけるんじゃないかな。それにクライトもいるし」
「スタグリアン変な事言わないで。でも僕も最下層行きたいな~」

 だって、ボス倒す方が楽なんだもん。ダンジョンってボス倒したら全階層の倒してない魔物の経験値まで入るし。ボス倒すだけならメチャクチャ美味しいんだ。でも、ボス前の弱い魔物達を倒しておかないとボスにバフがかかっていて本来よりも強くなってるんだけどね。

「で、でも…きゃっ!?」
「おっとぉ…?」

 また誰かが罠に掛かってしまったようだ。今度は…分断の罠かな?僕とキュールさんだけになっている。しかし、よりにもよってキュールさんと一緒かぁ………何度も言うがキュールさんに罪は無いのだ。

「うわぁぁ…ごめんなさいごめんなさい…」

 これはあくまで僕の勝手な行き過ぎた自衛だけど、それでも命を失うなんて御免だからね。まぁ仕方が無い、取りあえずこの階層に二人がいるはずだ。探せばすぐにみつか…っ!?

「きゃぁあ!」
「おわっと、またか………」

 思わずそんなことを口にしてしまう。またまた階層落下の罠にキュールさんが掛かってしまったようだ。凄いドジっ子だけど、これも原作通りである意味安心した。

「ご、ごめんなさい…もう私動きません…」
「まぁ気にしないで、でもごめん。ちょっと、持ち上げるね」
「きゃっ!」

 でもこれ以上変な罠を踏まれたら何が起こるか分からない。ダンジョンの罠は階層が低くなればなるほど凶悪さが増していく。それに罠の数も上がっていくため、キュールさんは確実に一瞬で罠を踏み抜くだろう。それが危険なものだったらいけない。
 だから僕はキュールさんをお姫様だっこで抱えることにした。そもそもキュールさんが地に足を付けなければ罠は発動されない。だから僕が持ち上げればいいだけの話って訳だ。

「じゃあ行くよ」
「え、あ、え…ちょ、ちょっと恥ずかしい、です………」
「気にしないで、それよりもうだいぶ低階層に来ちゃったからボスを倒そうと思ってるんだけど良いかな?」
「えっ!ボスですか!?や、やめといた方が良いですよぉ………」

 キュールさんは心配そうな表情をするけれど、もうここまで来てしまったのだから仕方が無い。多分今いる階層はボスのいる階層にだいぶ近いはずだ。1層よりもボス層の方が近いのならば、それはボスを選ぶに決まっている。

「えっと、あった!」
「え?きゃあっ!」

 僕は魔物がウロチョロいる中で下層に続く階段を見つけるのは面倒くさいので自分で罠を選りすぐって、下層に下る罠を踏んでいく。それを何度か繰り返していき、3回ほど踏んだところで、ボス層についた。
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