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第2章 戦技祭編

第29話 薄れる意識

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「現在の試合時間は約5分間!!! 今までで一番規模の大きい試合が、こんなに続いているとはもう本当にどういう事でしょうか!!! もう凄すぎて実況が邪魔な気がしてきました!!!!!」
『クライト頑張れぇぇぇぇえええ!!!!!』
『クレジアントも負けてないよーーーー!!!!!』
『何起こってんのか分かんねぇぇぇえええ!!!!!』
「声援なのか怒号なのか全く分からないほど、観客の皆さんも過去一番の盛り上がりを見せております!!! さあ、この戦い!!! いったいどちらが勝つのでしょうか………!!!!!」

 魔法を撃っては撃たれ、剣を交えては弾いて、傷がついては治してを繰り返す。

「流石に粘りすぎだよ」
「はは、俺は楽しいけど!」

 戦闘狂め………と僕は心の中で毒づく。でも、僕も今の戦いにわずかかながらの高揚を感じている。ただ、一つだけ思うのはクレジアントが強すぎるという事だ。僕が『殺されないように』とずっと昔から鍛錬してきたにもかかわらずクレジアントはそれについてくる。ゲームでクレジアントと戦っていたキャラ達はきっと相当絶望しただろう。

「でも、そろそろ倒れてもらうよ」
「ふーん、いいよ。なんだって来なよ!」

 じゃあ、そろそろ終幕とさせてもらおう。魔力だってそろそろキツい、一日分の魔力を全てクレジアントとの戦いに使ってしまっている。

多雷槍ヴァジュラス巨落塊ダウトメテオ固形粉砕ソリッドブラスト氷霧ブリザード黒波ブラックストリーム光散布フラッシュ火球百連弾ファイアプラトゥーン
「うわぁ!?なになに、ちょっ………多いよ!」

 一気に別系統の魔法を放って対応を強いる。その上に、色んな魔法を同時に打つことで色んな出来事が作用しあって予想外の攻撃を生み出す。それに関しては僕も全く分からないから、とにかく複雑に作用しあってくれることを祈るのみだ。今度それぞれの作用を使う研究もしようかな。

 そして、携帯魔力貯蔵パックを飲みほしてまた新たに魔法を撃ち続ける。所謂いわゆる、弾幕と呼ばれるものだ。これくらいの厚さでありながら休むことが一切できない状況にしないと、決め手になる攻撃をすることが出来ないからね。

 そして、だ。

「ぃたぁっ!?」
「おぉ、ようやく」
「な、何をしたんだ………!?」
「なに、ちょっと途中でだけだよ」

 そう、開始してから1分くらいの時。僕は新たに剣を鞘から取り出した。今までも剣で戦っていたはずだ、何故取り出したのか。そんなの決まっている。

「………どういう事?」
「僕はね、始めに奇襲を仕掛けてクレジアントに防がれた時に分かったんだ。『正攻法だったら、全て対応してくる』って。実際君はそうだったでしょ?」
「そうだね、痛っ………」
「だから、僕はたった一度だけ。剣をこの超硬い剣だけの剣から、先端が当たってから5分もしたら心臓が痛み出す毒を持った蛇の剣に持ち変えたんだ。そして丁度今、5分経った」

 全てはこれを仕掛けるためだけに、昨日から今日の試合まで蛇の剣で相手に傷をつけることはしなかった。全て、倒すとしても全てで倒していた。

「く、くそぉ………!」
「大丈夫、死なないよ。でもクレジアント、君に勝つためには搦め手だって使わないといけないんだ。解毒魔法を行使する暇が出来ないほど魔法の弾幕が飛んでくる今。無防備なクレジアントに僕はいつでもトドメをさせる………終わりだ」
「う、うぅ。俺の負け、か………」

 最後は僕は魔法の弾幕をい潜ってクレジアントを剣の腹で倒した。残った弾幕は、同じ魔法を出してすべてを打ち消した。倒れているクレジアントに解毒魔法を使って、これで毒の心配もなくなった。

 遂に、勝ったんだ………あの、クレジアントに。クライトが………

「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! つ・い・に!!! 決着が付きましたぁぁぁぁああああああ!!!!! 勝者は、勝者はぁぁぁあああああああ!!!!! ク・ラ・イ・トォォォォォォォォオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!!!!!』

 今までで一番大きな歓声が上がる。その歓声を聞いて、目の前に倒れたクレジアントを見て、僕は安心からか地面にへたり込んだ。もう、戦えない。優勝とか、そんなものどうでもいい。ただ、クレジアントに勝ったことが嬉しかった。

 昨日よりも圧倒的に大きく空気の魔力が揺れた。次の瞬間、空間が裂ける。その中からは………魔人が出てきた。

「な、なんだあれはぁぁぁあ!!!??? まるで、まるで空間が裂けているように見える!!!!! いや、裂けているのかもしれない!!! というか、クライト選手とクレジアント選手!!!!! 大丈夫でしょうか!!! え、ちょっと!!! 逃げてください!!!!!」

「………今。クライト、と言ったか?」
「ぁ………」
「お前がクライト………だと?」

 魔人が、空間から出てきて僕に近づいてくる。腰の抜けている僕は、その場から動くことが出来ない。もし動けたとしても、もう魔力が無い………

「こんな軟弱なんじゃくそうな奴が、昨日俺の莫迦弟子ばかでしをぶっ殺したのか?」
「は、はい。多分………」
「見たところ、きたえてはあるがそこまで筋肉も付いていない上に体内魔力量たいないまりょくりょう塵芥ちりあくたも無い………もう一度聞くが、本当にこいつが殺したのか?」
「そ、そうです。見た目は昨日となんら変わっていません………が、どうしてこんなに弱っているのでしょう?」

 僕は魔人に胸倉を掴まれて体が持ち上がる。まずい、これは本当にまずい。

「ク、クライト選手ーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!! 誰か!!! 誰か助けられる人はいませんか!!!!! って、まだあの裂け目から魔人達が出てきている!!!!! み、皆さん!!! 十二分じゅうにぶんに戦える者はフィールドへ!!!!! 戦えない市民の皆さんは『今すぐに』避難してください!!!!! 繰り返します!!! 十二分に戦える者は………」

 スティーブンさんが大きな声を張り上げて、何か言っている。でもそれどころではない。僕はもう、この魔人の手によって殺される。

「まぁいい、別に殺したところで損は無いだろう。違ったらまた探せばいい」
「そうですね、ではこちらで殺処分しておきます」
「あぁ、頼んだ」

 僕はポイと、ごみを投げ捨てる様に別の魔人の手に渡る。魔人は武器を取り出して、振りかぶる。もう、ダメだ

「助けて………………………」















 ガキィッ!!!!!















 薄れゆく意識で聞いたのは、一つの金属音。そして、



「クライト!!!!!」



 誰かが、僕を呼ぶ声。それだけだった。
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