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第3章 領改善編

第51話 対処完了

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「………えっ?」

 あまりに突然の出来事で、頭が理解しようとしていない。

 でも、紛れもない事実がそこには転がっていた。

「………し、しん、死んだ?」
「………ど、どどどういうこと!?」

 喋っている途中で突然、頭がずり落ちた。後方に居る執事がやったのか?いや、絶対に違う。だって、その人の頭も一緒に転がっているのだから。

 じゃあ………誰が?そんな問いの答えは、もう目の前にあった。

「ここか?」
「そ、そうです!」

 魔人だった。ゲートから出てきた人数は、前回襲ってきた魔人達よりも遥かに少ない。けれど、分かる。前回よりも、高位の魔人達だ。

「へぇ。寂れたところだな?いや、あんなに立派なお屋敷があるじゃないか。それを軍事費に充てたら少しは抵抗で来ただろうにな。今斬ったこいつらも、きっと領主にきつくシバかれてきたんだろ」
「………ん?あ、あ、ぁああ!く、クライトを発見!そしてその隣にはクレジアントらしき人物もいます!!!」
「なっ!全員戦闘準備!」

 おいおい、冗談でしょ。突然父が殺されたと思ったら、急に今度は僕とクレジアントが居たって言って襲ってくる奴があるか?

「く、クライト!どうする!」
「た、戦うしかないでしょ………!!!」
「クライト!お父さんが死んで悲しい気持ちは分かるけれど、一旦呼吸整えて!冷静に戦って!」
「………だ、大丈夫、心配しないで」

 悲しい気持ちではない。なんていうんだろう、きっとクスタフが僕にとって父親と到底呼べる存在じゃなかったからだろうか。それよりも、今後の領の事が頭を駆け巡っていた。
 今後の後継ぎは?多分クスマになるだろうけれど、今魔人と戦ったらクスマはどこまで弱ってしまうだろうか?今までの税率はどうするんだ?そんな事が頭をよぎっては消えていく。

 でも、それを考えるのは完全に今じゃない。魔人、しかも前回よりも強い個体。こいつらをまずはどうにかしないといけない。

「囲め!」
「「「「了解!!!」」」」
「クレジアント!二手に別れよう!」
「分かった!!!」

 相手の魔人は前回と違って連携を取って来る。少人数で指揮がしやすくなったのか、はたまた単純に知能が高いのか、それは分からないけれどとにかく厄介だ。囲まれないようにクレジアントと二手に分かれて、半分ずつ相手することにする。

「〈寛容〉2式!」
「クライト!ダメだ、ボクは何とか引き付けてるから!〈寛容〉2式じゃなくて1式を使って!クライトが先に何体か倒してから僕も本格的に動き始める!」
「っ!わ、分かった!」

 クレジアント、戦闘の事に関してのIQは高い。〈寛容〉2式が敵からしたらダメージ効率が2倍になるという事をクレジアントはしっかり理解して、攻撃を仕掛けるよりもまずは回避による防御を選択してくれた。キュールが居たら回復魔法をかけて貰えるのにと思ったりもしたけれど、今の状況ではキュールを守り切れない。ダメだ。

「敵は二人のみ!いくら強いと言ったってしっかり連携を取れば負けることはない!4人ずつに分かれて戦え!」
「「「了解!」」」
「どうかな!」
「くっ!?」

魔人達は4人ずつに別れようとしていたけれど、クレジアントのちょっかいが効いたのか8人の魔人達は5人がクレジアントの方へ向かった。僕が相手するべき、いや。ひとまず倒すべき相手は3人か。

「まずは………君から!」
「なっ!ぐぅう………ぁあっ!」

 僕が魔人の一人に縦方向に剣で斬ろうとするも、昨日の魔人とは違ってしっかりと受け止めて押し返してくる。その間に、二人が何やら魔法を練っている様だ。僕はそこに適当な初級魔法を撃って妨害させる。随分前のコウモリダンジョンでコウモリ達がしてきたことを模倣してみると、これが意外に魔人のような魔法を主体として戦う敵には刺さる。

「舐めるなぁっ!」
「ふっ!っと、力押しはダメみたいだね………だったら」

 魔人が自身の筋肉で僕ごと押し返す。それと同時に中級魔法の雷鳴サンダーを撃ってきたから火炎ファイアで相殺する。良いね、学園戦技祭で培った判断力が活きてる気がする。

「おい!3人で一斉に行くぞ!」
「分かった!」
「おっと、それは悪手でしょ」

 残念ながら、ここは学園戦技祭じゃない。つまり、属性効果なんていくら使ってもいいって事だ。まぁ、見せたからには確実に仕留めないといけないけれど………この3人を倒せないであっちの5人を倒せるわけがない、やろう。

「………〈謙譲けんじょう〉2式!」
「ん?な、なんだ!体が………」
「動かない!」
「クッソ、守りの体制にも入れないぞ!」
「残念、一回使ってみたかったんだよね」

 〈謙譲〉2式。範囲内の敵の動きを一定時間奪う。反動は、動きを奪った倍の時間その後使用者の動きも止まる。

「〈謙譲〉を受けた君たちが出来るのは、属性効果の発動と魔法の詠唱みたいな口だけで完結する攻撃だけ」
「………くっ!」
「でも、そんな時間は残念ながら無いよ」

 剣身に炎を纏わりつかせて切れ味を良くしてから、薙ぐ。

 それと同時に〈謙譲〉2式を解除して、動かない体で飛んでいく魔人達の首を見る。無事に息の根は止まったようだ。たまに、首を飛ばしても死なない奴もいるから確認は必須だ。

「………よし、動ける」

 自分に対しての反動も終了し、魔人達の転がった頭を見るとその近くに父、クスタフとその執事の頭もあった。あぁ………また今後の事を考えてしまう。今はクレジアントに加勢しに行かないといけない。

「クレジアント!」
「クライト!来たね!」
「なっ!あの3人はやられたか………っ!!!」
「くそ、こいつに意識を取られ過ぎた!反撃せずに全部受け流しているから、攻めきれると思ってしまった………!」
「撤退だ!今日の目的は討伐ではない、偵察だ!」
「「「「了解!」」」」

 ちょっと、ちょっと。それはないんじゃない?

「〈寛容〉2式」
「く、クライト?」
「………〈傲慢〉2式!」
「っな!?属性2個持ちだと!?」
「無理だ、俺らだけでは太刀打ちできない!もっと上官、いや。上官の部隊を作るべきだ!そうでもしないと確実に殺しきれない!」
「早くゲートを開け!」
「俺が時間稼ぎする!〈怠惰たいだ〉2式!」

 敵が〈怠惰〉2式発動する。効果は攻撃必中だ、けれど今の僕達は〈寛容〉2式を発動しているからあまり効果が無い。属性同士の相性が悪かったね。

「クライト!一気に行くよ!」
「分かった!」

 クレジアントがゲートを開こうとしている魔人に向かって一直線に突き進んでいこうとする。僕はクレジアントに道を作るため、他の魔人4人に対して雷槍ヴァジュラを撃つ。全員を倒すことは出来ないけれど、逃亡の体勢に入っている魔人達は対処しきれずかなりのダメージを負った。

「クソ!時間を稼げ!」
「「「うぉぉぉぉおお!!!!!」」」
「結局はそうなるか………激流竜巻ネプチューン
「「「うわぁぁぁああああああ!!!!!」」」
「クレジアント!」

 他の4人を纏めて撃破し、あとはクレジアントに託す。

「出直してきな!!!」
「がぁぁぁあああ!!!!!」

 僕とは違って、力がかなり強いのか。クレジアントは素の力で魔人の頸を斬り飛ばした。ゴトンと、さっきも聞いたような音をたてて無事に魔人を倒すことが出来た。

「………まぁ、少しは感謝してるよ」
「ん?クライト、どうしたの?」
「いいや、何でもない。ただ、魔人達の無差別な攻撃も少しは役に立つんだなって」
「うーん?あんまり難しいことは分かんないけれど、クライトが良いならいっか!」

 今日は酷いな………でも、本当に大変なのはここからだ………
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