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第4章 終幕戦編
第94話 暁に呑まれる
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「落ち着いて、マリスタン!!!!!」
その言葉は誰が言ったのか、恐らく皆が心の中あるいは自身の口で同じ言葉を発していたと思う。しかし、最早暴走状態溶かしたマリスタンはギュルリアへ攻撃する手を止める事を知らなかった。
「はぁああああ!!!!!」
マリスタンは大きく跳んで、ギュルリアへ大剣を振り下ろそうとする。確かに、一番大きいダメージを与えられる攻撃方法だ。でも………ギュルリア相手にその動きは隙が大きすぎる。
僕とクレジアントは走る。マリスタンが、反撃を受けない事を神に祈りながら。
「小娘、良い事を教えてやろう」
「黙れ!!!!!其の小汚い口から発する言葉は反吐が出る!!!!!」
「フン、何を言っている。この小童をこうしたのはお前だろう?」
「………はっ?」
素っ頓狂な声を上げて、マリスタンは硬直する。丁度スタグリアンが痛みの為か悶えだす。その瞬間に、ギュルリアはマリスタンを蹴って吹き飛ばした。マリスタン吹き飛んで壁に激突して頭を垂れる。意識を失ったのか。
「マリスタン………!!!!!」
「クライト、相手は戦闘中に関わらずブラフも使う程頭が回るよ」
「その通りだね………でも、いや。やっぱいい」
きっとブラフなんかじゃない。逃げ遅れたスタグリアンをギュルリアが捕縛して、迫りくる仮想分身の大剣からスタグリアンを使って防御したんだろう。それをスタグリアンは一身に防御しながらも受け止めて、その反動で地面にクレーターが出来る程になってしまったのではないか?勿論、今そんな話しても仕方無いから話さない。
「マリスタンは………大丈夫だ。キュールが隠れて裏で色々と動いているから」
「それなら、攻め続けるしか無いね」
「今残っている人で連携して………」
「その必要は無い」
「「っ」」
そうギュルリアが突然言う。
「何を言って」
「横の二人だ」
僕は横を向かない。向いた瞬間に襲われて死ぬ可能性だってある。その間にクレジアントは、横を確認してくれる。
「ユーリア!!!ナヴァール先生!!!」
「ま、まさか二人も?」
「その、まさかだよ………」
クレジアントの声色に明かなる落胆の色が混ざる。取り乱すことも無いから、多分死んでは無いんだろう。何時どうやって倒したのかは分からない。けれど、今はそんなことが重要ではないのだ。目の前にある事実だけが役に立つ。
「突っ込むぞ」
「つっこ、え?ちょ、ちょっと待ってくださ………」
まだダウンしていなかったストライク先輩が一人でギュルリアに突っ込んでいってしまう。僕達も遅れて続くが、ギュルリアの対応は早いものだった。
向かってくるストライク先輩の剣筋をいなしたかと思ったら後頭部を剣の柄で殴って気絶させてしまった。それに一瞬気を取られたのか、クレジアントも首を手刀で叩かれ………同じく気絶した。
気が付いたら、僕一人だけだった。流石に動揺して、周りを見渡す。
「………隙だらけにも程がある」
気が付くと、僕はお腹を刺されていた。少し前と、同じ構図。
「死角からの………攻撃」
「鈍くなったな、クライト」
僕は膝をガクッと地面に付く。剣が刺さったままからか、動くたびに腹部が痛い。腹部を魔人化させて筋肉を固め、肉体による一時的な止血。あまり持たない。
低くなった視線で再び当たりを見渡すと、やはり皆が地面に伏していた。夢なんかじゃない、今の一瞬にしてギュルリアに瓦解させられたんだ………でも
「まだ………っ!!!まだとっておきの隠し玉は使っていない」
「ほう?じゃあ今使って見せてみろ」
「今は使えない」
「………フンッ」
ギュルリアが鼻を鳴らして僕を嘲笑する。無理もない、今の僕は無様だ。
「………ねぇ、ところで」
「遺言か?聞いてやろう」
力の入らない表情筋と口角を無理やりもたげて、ギュルリアに一言伝える。
「誰か、忘れてない?」
「………何を言っている?御前等は我が、たった今確かに全員倒し………てっ!?」
「ははっ」
大きく鋭い爪がギュルリアの両肩を突き破り、しっかりと捕縛され爆速で上空へ持ち上げられる。勿論、腹部にギュルリアの刀が突き刺さっている僕も一緒に持ち上げられる。呼吸の苦しさと併せて、まんまと策に掛かってくれたギュルリアに乾いた笑いが出る。
この事象の犯人とも呼ぶべき人は、そう。
ギルバードだった。
「御前………!!!!!何時からッ!!!!!」
「いつから、ってったって………疑問に思わなかったの?まぁそうだよね。潰炎を何度も撃たれて、翼竜たちは徐々にフェードアウトしていった。確かに僕と翼竜だけで戦って居たらすぐに気が付いたかもしれないけれど、そこに沢山の人が集合してきた。攻撃してこない翼竜なんかに、意識なんて向かないよね」
「………糞がァ!!!だったら、せめて御前だけでも………」
「う!?ぅぅぅ………っ!!!」
ギュルリアが僕を刺している剣を持った腕に力を入れて、僕を真っ二つにしようと試みてくる。この瞬間の為に全ての意識を向けていたからか不覚にも僕の方が不注意によって深い傷を招いてしまった。
直ぐにギュルリアの胸板を蹴り飛ばして、突き刺さった剣から逃れる。僕に逃れられたせいか、今度は翼竜とそれに乗るギルバードを殺害しようとしている。ギルバードの見事な指揮によって、翼竜たちが連携を取りギュルリアの体中に太く硬い爪で鷲摑みしていっている。くそ………〈寛容〉がギュルリアの〈強欲〉によって制限されたせいで、痛みも傷も抑えられない。でも………これだけはやらないといけない。
懐から花火を取り出し、ギュルリアに投げつける。直撃。
次の瞬間。花火が爆発して、夕日の空を背景に見事な花模様を空に描いた。激しく悲惨な戦闘中には似つかわしくない程に鮮やかでくっきりと形が浮き出てきていた。でも………ギュルリアはおろか、翼竜にすらまともなダメージを与えられていない。それもその筈。あれだけ激しい魔法が効かなかったというのに、今更どうして花火から飛ぶ火の粉如きで怪我を負うだろうか。
「………クライト」
「………」
僕は花火が当たったことを確認して表情を歪める。ギュルリアは、漆黒の瞳孔の奥で僕の瞳をしっかりと捉えた後。ニィッと不気味な笑みを浮かべて、言葉を発する。
「御前の負けのようだな………!!!!!!!!!!」
「………」
「………なんだ、なにかまだ隠し玉でも………ッ!?」
これをいつから僕が隠し玉と言っただろうか。
ドスンと無様に地面に落ちる。肋骨が折れたか、分からないけれど。今はそんなことどうだって良い。
「それは、ただの合図だよ」
「ッ…………ふ、ふざけるなぁぁああ!!!!!!!!!!」
「〈慈悲〉1式………解放ッ!!!」
翼竜六体を相手取っても尚、動きが収まることの無いギュルリアにさっきかけておいた〈慈悲〉1式を食らわせる。幸いにも、僕の方にダメージが来なかったみたいで良かった。今のボロボロな状態で〈慈悲〉1式なんて食らっていたらまずかった。
「アァァァァァアアアアア!!!!!クライト、貴様ァァァアアア!!!!!」
僕はさっきの意趣返しとばかりにギュルリアに向かってニヤリと笑ってやる。
次の瞬間。
─────────────────ォォォォォォオオオン!!!!!!!!!!
ギュルリアの怒りと苦悶と驚きの混ざったなんとも言えないような表情が、ギュルリアを固定していたギルバードの乗っていない残りの翼竜達六体と共に、光と轟音を強く発する熱線に呑まれ………消え去った。
その言葉は誰が言ったのか、恐らく皆が心の中あるいは自身の口で同じ言葉を発していたと思う。しかし、最早暴走状態溶かしたマリスタンはギュルリアへ攻撃する手を止める事を知らなかった。
「はぁああああ!!!!!」
マリスタンは大きく跳んで、ギュルリアへ大剣を振り下ろそうとする。確かに、一番大きいダメージを与えられる攻撃方法だ。でも………ギュルリア相手にその動きは隙が大きすぎる。
僕とクレジアントは走る。マリスタンが、反撃を受けない事を神に祈りながら。
「小娘、良い事を教えてやろう」
「黙れ!!!!!其の小汚い口から発する言葉は反吐が出る!!!!!」
「フン、何を言っている。この小童をこうしたのはお前だろう?」
「………はっ?」
素っ頓狂な声を上げて、マリスタンは硬直する。丁度スタグリアンが痛みの為か悶えだす。その瞬間に、ギュルリアはマリスタンを蹴って吹き飛ばした。マリスタン吹き飛んで壁に激突して頭を垂れる。意識を失ったのか。
「マリスタン………!!!!!」
「クライト、相手は戦闘中に関わらずブラフも使う程頭が回るよ」
「その通りだね………でも、いや。やっぱいい」
きっとブラフなんかじゃない。逃げ遅れたスタグリアンをギュルリアが捕縛して、迫りくる仮想分身の大剣からスタグリアンを使って防御したんだろう。それをスタグリアンは一身に防御しながらも受け止めて、その反動で地面にクレーターが出来る程になってしまったのではないか?勿論、今そんな話しても仕方無いから話さない。
「マリスタンは………大丈夫だ。キュールが隠れて裏で色々と動いているから」
「それなら、攻め続けるしか無いね」
「今残っている人で連携して………」
「その必要は無い」
「「っ」」
そうギュルリアが突然言う。
「何を言って」
「横の二人だ」
僕は横を向かない。向いた瞬間に襲われて死ぬ可能性だってある。その間にクレジアントは、横を確認してくれる。
「ユーリア!!!ナヴァール先生!!!」
「ま、まさか二人も?」
「その、まさかだよ………」
クレジアントの声色に明かなる落胆の色が混ざる。取り乱すことも無いから、多分死んでは無いんだろう。何時どうやって倒したのかは分からない。けれど、今はそんなことが重要ではないのだ。目の前にある事実だけが役に立つ。
「突っ込むぞ」
「つっこ、え?ちょ、ちょっと待ってくださ………」
まだダウンしていなかったストライク先輩が一人でギュルリアに突っ込んでいってしまう。僕達も遅れて続くが、ギュルリアの対応は早いものだった。
向かってくるストライク先輩の剣筋をいなしたかと思ったら後頭部を剣の柄で殴って気絶させてしまった。それに一瞬気を取られたのか、クレジアントも首を手刀で叩かれ………同じく気絶した。
気が付いたら、僕一人だけだった。流石に動揺して、周りを見渡す。
「………隙だらけにも程がある」
気が付くと、僕はお腹を刺されていた。少し前と、同じ構図。
「死角からの………攻撃」
「鈍くなったな、クライト」
僕は膝をガクッと地面に付く。剣が刺さったままからか、動くたびに腹部が痛い。腹部を魔人化させて筋肉を固め、肉体による一時的な止血。あまり持たない。
低くなった視線で再び当たりを見渡すと、やはり皆が地面に伏していた。夢なんかじゃない、今の一瞬にしてギュルリアに瓦解させられたんだ………でも
「まだ………っ!!!まだとっておきの隠し玉は使っていない」
「ほう?じゃあ今使って見せてみろ」
「今は使えない」
「………フンッ」
ギュルリアが鼻を鳴らして僕を嘲笑する。無理もない、今の僕は無様だ。
「………ねぇ、ところで」
「遺言か?聞いてやろう」
力の入らない表情筋と口角を無理やりもたげて、ギュルリアに一言伝える。
「誰か、忘れてない?」
「………何を言っている?御前等は我が、たった今確かに全員倒し………てっ!?」
「ははっ」
大きく鋭い爪がギュルリアの両肩を突き破り、しっかりと捕縛され爆速で上空へ持ち上げられる。勿論、腹部にギュルリアの刀が突き刺さっている僕も一緒に持ち上げられる。呼吸の苦しさと併せて、まんまと策に掛かってくれたギュルリアに乾いた笑いが出る。
この事象の犯人とも呼ぶべき人は、そう。
ギルバードだった。
「御前………!!!!!何時からッ!!!!!」
「いつから、ってったって………疑問に思わなかったの?まぁそうだよね。潰炎を何度も撃たれて、翼竜たちは徐々にフェードアウトしていった。確かに僕と翼竜だけで戦って居たらすぐに気が付いたかもしれないけれど、そこに沢山の人が集合してきた。攻撃してこない翼竜なんかに、意識なんて向かないよね」
「………糞がァ!!!だったら、せめて御前だけでも………」
「う!?ぅぅぅ………っ!!!」
ギュルリアが僕を刺している剣を持った腕に力を入れて、僕を真っ二つにしようと試みてくる。この瞬間の為に全ての意識を向けていたからか不覚にも僕の方が不注意によって深い傷を招いてしまった。
直ぐにギュルリアの胸板を蹴り飛ばして、突き刺さった剣から逃れる。僕に逃れられたせいか、今度は翼竜とそれに乗るギルバードを殺害しようとしている。ギルバードの見事な指揮によって、翼竜たちが連携を取りギュルリアの体中に太く硬い爪で鷲摑みしていっている。くそ………〈寛容〉がギュルリアの〈強欲〉によって制限されたせいで、痛みも傷も抑えられない。でも………これだけはやらないといけない。
懐から花火を取り出し、ギュルリアに投げつける。直撃。
次の瞬間。花火が爆発して、夕日の空を背景に見事な花模様を空に描いた。激しく悲惨な戦闘中には似つかわしくない程に鮮やかでくっきりと形が浮き出てきていた。でも………ギュルリアはおろか、翼竜にすらまともなダメージを与えられていない。それもその筈。あれだけ激しい魔法が効かなかったというのに、今更どうして花火から飛ぶ火の粉如きで怪我を負うだろうか。
「………クライト」
「………」
僕は花火が当たったことを確認して表情を歪める。ギュルリアは、漆黒の瞳孔の奥で僕の瞳をしっかりと捉えた後。ニィッと不気味な笑みを浮かべて、言葉を発する。
「御前の負けのようだな………!!!!!!!!!!」
「………」
「………なんだ、なにかまだ隠し玉でも………ッ!?」
これをいつから僕が隠し玉と言っただろうか。
ドスンと無様に地面に落ちる。肋骨が折れたか、分からないけれど。今はそんなことどうだって良い。
「それは、ただの合図だよ」
「ッ…………ふ、ふざけるなぁぁああ!!!!!!!!!!」
「〈慈悲〉1式………解放ッ!!!」
翼竜六体を相手取っても尚、動きが収まることの無いギュルリアにさっきかけておいた〈慈悲〉1式を食らわせる。幸いにも、僕の方にダメージが来なかったみたいで良かった。今のボロボロな状態で〈慈悲〉1式なんて食らっていたらまずかった。
「アァァァァァアアアアア!!!!!クライト、貴様ァァァアアア!!!!!」
僕はさっきの意趣返しとばかりにギュルリアに向かってニヤリと笑ってやる。
次の瞬間。
─────────────────ォォォォォォオオオン!!!!!!!!!!
ギュルリアの怒りと苦悶と驚きの混ざったなんとも言えないような表情が、ギュルリアを固定していたギルバードの乗っていない残りの翼竜達六体と共に、光と轟音を強く発する熱線に呑まれ………消え去った。
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