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第2章 俺だって、俺だって!
第18話 遂に来た、この日が
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「文・化・祭!!!」
「やった~!」
「ついに来てしまったか・・・」
男子校の唯一の華行事、文化祭の日だ
この日は男子校では完全に無縁のJCやJKが来る日
男子校に3年間通い、女子耐性を完全に失った俺らにはハードルの高い行事だ
「なぁ、俺一般人の前でオタ芸するんだよな?ドタキャンしようかな・・・」
「傑はダンス同好会に入ってるもんな、意外とヒップホップとかじゃなくてオタ芸なんだな」
「僕もちょっと人前で女装するの恥ずかしくなってきたよ・・・」
「んふふふふ~、二人の活躍をじっっっっくりと拝見させてもらおうかな」
「啓介、キモいぞ」
キモいなんて失敬な
まあいい、俺は本当に今回何もすることないから
傑と良哉の勇姿を見届けることだけを楽しみに来ている
あ、あとは彼女が欲しい
「オタ芸したら『かっこいい~!』って言って女子達が寄ってきてくれないかな」
「ん~無理かも」
「でもキレキレのダンスをしてるのはかっこいいよ!」
「おう、ありがとう。見ててくれや」
「何その陽キャみたいな喋り方」
「おまっ、俺を陰キャって言いたいのか!?」
そこまでは言ってないだろ
普段そんな喋り方しないから珍しいなって思っただけだよ
「ちょっと、二人とも来てくれる?」
「ん?どうした良哉」
良哉に連れられて俺と傑は教室に行く
するとそこには俺が昨日準備したメイド服が丁寧に畳まれた山があった
「ちょっと、この服の着かたが分からないんだけど教えてくれる?」
「あ~・・・メイド服」
「良哉は12時~13時の部だっけ?まだいいんじゃないか?」
「ううん、違くって。僕こういう背中にファスナーついてる服の着方が分かんないから。ちょっと教えてほしいなと思って」
「おう、いいけどもう着てる奴らいるよ」
周りを見回すとメイド服をすでに来たこのクラスの同級生が2人
恐らくこれからの8時~9時の部の奴らだろう
何というか・・・うん
「何というか」
「面白いな、この絵面」
「お、啓介達じゃん。お前ら冷やかしなら帰れよ~」
「似合ってるね」
「思っても無いこと言うのやめろ、自分自身でも似合って無いなと思ってるわ」
正直に言おう。似合って無い
こいつはイケメンだが・・・普通に顔と服装がマッチしていない
こんなこと思っても言わないが、こいつ自身もそう思っているならセーフだ
「ところで、ほんとに何しに来たんだ?」
「良哉が衣装の着方分からないらしいから教えてやってくれ」
「あ~なるほどな、これよほど腕の可動域広くないと一人で着れないよ」
「ん?なんでさ」
「背中にファスナーあるからさ、無理なんだよね」
やっぱ一人だと無理なんだ
まぁ誰かに手伝ってもらうしかないな
あ、そうだそうだ
「傑ってさ、厨房の時間12時~13時だったよな?手伝ってあげなさい」
「あぁ、全然いいよ。あと何でお母さん口調なん」
「ほんと?ありがと~!」
よしよし、これでヨシ
「あ~ごめん、俺そろそろオタ芸の準備行ってくるわ」
「行ってらっしゃい、観覧しに行くよ」
「僕も行くよ!」
「あ、そうそう。康孝と美紀も来るから」
「え、嘘」
一気に顔色が悪くなる傑
生まれたての小鹿みたいに足が震えだして可愛い
ただこのまま行かれてもあれだし、励ますか
「まぁ、午後来るって言ってたし。多分傑のをギリギリ見ないくらいに来るよ」
「ねぇ、ほんとに?ほんとに?信じていいんだよね???」
「傑君、見られてもかっこよければ大丈夫だよ!」
「違う、違う、そうじゃ・・・そうじゃない・・・」
フラフラとしながら大講堂に向かう可哀そうな傑の背中を見届けた後
一般開放の時間になったことに気が付く
取り敢えずは康孝と美紀と合流することにした
あ、因みにさっき傑に言ったのは緊張させないための嘘だから
普通に午前中から来る
「あ、ごめん僕もう一個確認したいことがあるから教室戻るね!」
「うん、全然良いよ。因みに何確認しに行くの?」
「僕が着る服のサイズを事前に確認しておきたくて」
「あーおっけおっけ、じゃあいってらっしゃい」
そう言って良哉はタタッと走っていってしまった
まぁ、特にやることも無いしタカとみっきーと合流するまではブラブラしておくか
うーん、それにしても割と本格的な展示もあるんだよなぁ
「うお、もう一般の人来てる」
割と校門に近い所でブラブラしていたため大勢の人が入場するのを視認する
ピコン
お、連絡が来た
『もう着いたよー』
『因みに二人で来てる』
『ねえ、因みに良哉くんの女装は見れるんだよね?』
『今、良哉がメイド服のサイズ確認してるぞ』
『うわ~いいね!』
『因みに俺今みっきーの隣居るけどめっちゃにやけてる』
草
女装そんなに楽しみなのか
まぁ、女装よりも先に傑のオタ芸見ることになるけど
「あの~すいません」
「え、あ、はい?どうされました?」
「あの~ちょっと行きたいところがどこか分からなくて・・・教えて頂けますか?」
そう声をかけてきたのは顔の知らない女性の方
だが、制服を着ているため多分JKだろう
ん?待てよ?これって人生最大のチャンスなんじゃない?
「はい、大丈夫ですよ!どこに行きたいんですか?」
「えっと、大講堂?という所に行きたいのですが・・・」
「大講堂ですか!オタ芸を見に行く感じですか?」
「あ、そうです!ちょっと興味がありまして」
「そうなんですか!自分も友達と見に行く予定なんですよ!大講堂はこの道を突き当たって左方向に進むと見えてきますよ!」
出来るだけゆっくりとにこやかに伝える
まだだ、まだ連絡先を聞くタイミングではない・・・
「ありがとうございます!では、失礼します」
今だ!
「あ、すいませんお姉さん。良かったら、連絡先を交換しませんか?」
言ったー!!!
できる限りの決め顔で、でも作りすぎてキモくならないように
ちょっとだけ微笑む感じで
ヤバい、心臓バクバクしてる
どうしよ、ここで『あ、普通に嫌です』とか言われたら
俺死んじゃうかも
「え、あ、いいですよ!」
「え、ほんとですか?」
嘘ー、えー?ほんとに言ってる?
驚きなんだけど、いいんですか?こんな奴ですけど?
うわ~良かった~
「はい、交換完了ですね!」
「ありがとうございます、こんな奴ですが」
「いえ!お兄さん優しいですし、かっこいいと思うので」
「え、ほんとですか?ありがとうございます!」
え、うそ~
え~?俺女性にかっこいいって言われたの初めてなんですけど~
というか、女性と話すのも母親を抜いたら3年ぶりなんですけど~
「それでは!また今度!」
「あ、また今度~」
「連絡してくださいね!」
行ってしまった
なんか、いいね
「心の中の俺が語彙力を失くしちゃった・・・」
「お、ケーいた」
「全然返信返してくれないからちょっと探すの時間かかったー」
「あ、ぁあごめん。ちょっと道案内しててさ」
「啓介君!戻ってきたよ~!あ、美紀さんに康孝さん!」
合流したようだ
それじゃあ大講堂行くか
そういえば、今さっき連絡先交換した人も大講堂行くって言ってたよな
会えるかな~
「やった~!」
「ついに来てしまったか・・・」
男子校の唯一の華行事、文化祭の日だ
この日は男子校では完全に無縁のJCやJKが来る日
男子校に3年間通い、女子耐性を完全に失った俺らにはハードルの高い行事だ
「なぁ、俺一般人の前でオタ芸するんだよな?ドタキャンしようかな・・・」
「傑はダンス同好会に入ってるもんな、意外とヒップホップとかじゃなくてオタ芸なんだな」
「僕もちょっと人前で女装するの恥ずかしくなってきたよ・・・」
「んふふふふ~、二人の活躍をじっっっっくりと拝見させてもらおうかな」
「啓介、キモいぞ」
キモいなんて失敬な
まあいい、俺は本当に今回何もすることないから
傑と良哉の勇姿を見届けることだけを楽しみに来ている
あ、あとは彼女が欲しい
「オタ芸したら『かっこいい~!』って言って女子達が寄ってきてくれないかな」
「ん~無理かも」
「でもキレキレのダンスをしてるのはかっこいいよ!」
「おう、ありがとう。見ててくれや」
「何その陽キャみたいな喋り方」
「おまっ、俺を陰キャって言いたいのか!?」
そこまでは言ってないだろ
普段そんな喋り方しないから珍しいなって思っただけだよ
「ちょっと、二人とも来てくれる?」
「ん?どうした良哉」
良哉に連れられて俺と傑は教室に行く
するとそこには俺が昨日準備したメイド服が丁寧に畳まれた山があった
「ちょっと、この服の着かたが分からないんだけど教えてくれる?」
「あ~・・・メイド服」
「良哉は12時~13時の部だっけ?まだいいんじゃないか?」
「ううん、違くって。僕こういう背中にファスナーついてる服の着方が分かんないから。ちょっと教えてほしいなと思って」
「おう、いいけどもう着てる奴らいるよ」
周りを見回すとメイド服をすでに来たこのクラスの同級生が2人
恐らくこれからの8時~9時の部の奴らだろう
何というか・・・うん
「何というか」
「面白いな、この絵面」
「お、啓介達じゃん。お前ら冷やかしなら帰れよ~」
「似合ってるね」
「思っても無いこと言うのやめろ、自分自身でも似合って無いなと思ってるわ」
正直に言おう。似合って無い
こいつはイケメンだが・・・普通に顔と服装がマッチしていない
こんなこと思っても言わないが、こいつ自身もそう思っているならセーフだ
「ところで、ほんとに何しに来たんだ?」
「良哉が衣装の着方分からないらしいから教えてやってくれ」
「あ~なるほどな、これよほど腕の可動域広くないと一人で着れないよ」
「ん?なんでさ」
「背中にファスナーあるからさ、無理なんだよね」
やっぱ一人だと無理なんだ
まぁ誰かに手伝ってもらうしかないな
あ、そうだそうだ
「傑ってさ、厨房の時間12時~13時だったよな?手伝ってあげなさい」
「あぁ、全然いいよ。あと何でお母さん口調なん」
「ほんと?ありがと~!」
よしよし、これでヨシ
「あ~ごめん、俺そろそろオタ芸の準備行ってくるわ」
「行ってらっしゃい、観覧しに行くよ」
「僕も行くよ!」
「あ、そうそう。康孝と美紀も来るから」
「え、嘘」
一気に顔色が悪くなる傑
生まれたての小鹿みたいに足が震えだして可愛い
ただこのまま行かれてもあれだし、励ますか
「まぁ、午後来るって言ってたし。多分傑のをギリギリ見ないくらいに来るよ」
「ねぇ、ほんとに?ほんとに?信じていいんだよね???」
「傑君、見られてもかっこよければ大丈夫だよ!」
「違う、違う、そうじゃ・・・そうじゃない・・・」
フラフラとしながら大講堂に向かう可哀そうな傑の背中を見届けた後
一般開放の時間になったことに気が付く
取り敢えずは康孝と美紀と合流することにした
あ、因みにさっき傑に言ったのは緊張させないための嘘だから
普通に午前中から来る
「あ、ごめん僕もう一個確認したいことがあるから教室戻るね!」
「うん、全然良いよ。因みに何確認しに行くの?」
「僕が着る服のサイズを事前に確認しておきたくて」
「あーおっけおっけ、じゃあいってらっしゃい」
そう言って良哉はタタッと走っていってしまった
まぁ、特にやることも無いしタカとみっきーと合流するまではブラブラしておくか
うーん、それにしても割と本格的な展示もあるんだよなぁ
「うお、もう一般の人来てる」
割と校門に近い所でブラブラしていたため大勢の人が入場するのを視認する
ピコン
お、連絡が来た
『もう着いたよー』
『因みに二人で来てる』
『ねえ、因みに良哉くんの女装は見れるんだよね?』
『今、良哉がメイド服のサイズ確認してるぞ』
『うわ~いいね!』
『因みに俺今みっきーの隣居るけどめっちゃにやけてる』
草
女装そんなに楽しみなのか
まぁ、女装よりも先に傑のオタ芸見ることになるけど
「あの~すいません」
「え、あ、はい?どうされました?」
「あの~ちょっと行きたいところがどこか分からなくて・・・教えて頂けますか?」
そう声をかけてきたのは顔の知らない女性の方
だが、制服を着ているため多分JKだろう
ん?待てよ?これって人生最大のチャンスなんじゃない?
「はい、大丈夫ですよ!どこに行きたいんですか?」
「えっと、大講堂?という所に行きたいのですが・・・」
「大講堂ですか!オタ芸を見に行く感じですか?」
「あ、そうです!ちょっと興味がありまして」
「そうなんですか!自分も友達と見に行く予定なんですよ!大講堂はこの道を突き当たって左方向に進むと見えてきますよ!」
出来るだけゆっくりとにこやかに伝える
まだだ、まだ連絡先を聞くタイミングではない・・・
「ありがとうございます!では、失礼します」
今だ!
「あ、すいませんお姉さん。良かったら、連絡先を交換しませんか?」
言ったー!!!
できる限りの決め顔で、でも作りすぎてキモくならないように
ちょっとだけ微笑む感じで
ヤバい、心臓バクバクしてる
どうしよ、ここで『あ、普通に嫌です』とか言われたら
俺死んじゃうかも
「え、あ、いいですよ!」
「え、ほんとですか?」
嘘ー、えー?ほんとに言ってる?
驚きなんだけど、いいんですか?こんな奴ですけど?
うわ~良かった~
「はい、交換完了ですね!」
「ありがとうございます、こんな奴ですが」
「いえ!お兄さん優しいですし、かっこいいと思うので」
「え、ほんとですか?ありがとうございます!」
え、うそ~
え~?俺女性にかっこいいって言われたの初めてなんですけど~
というか、女性と話すのも母親を抜いたら3年ぶりなんですけど~
「それでは!また今度!」
「あ、また今度~」
「連絡してくださいね!」
行ってしまった
なんか、いいね
「心の中の俺が語彙力を失くしちゃった・・・」
「お、ケーいた」
「全然返信返してくれないからちょっと探すの時間かかったー」
「あ、ぁあごめん。ちょっと道案内しててさ」
「啓介君!戻ってきたよ~!あ、美紀さんに康孝さん!」
合流したようだ
それじゃあ大講堂行くか
そういえば、今さっき連絡先交換した人も大講堂行くって言ってたよな
会えるかな~
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