どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架

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意図せぬ邂逅(2)

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 目を和ませるトピアリーと黒いのの御蔭で大分落ち着いたし、そろそろ気合入れて戻るとしますか。
 すこーし周囲と話をした後、体調を理由に退席すればいいだろうし。
 あんだけ絡まれて面倒な事になったんだから、それくらいで許して欲しい処である。

「このまま最後まで参加していて、同じ輩だと思われるのも業腹ですしね」
「違う意味でどーるい認定されるんじゃね? ほらオージサマとかによ」
「……それもどうかと思うのですけれど?」

 王子様と同類認定されるのも微妙です、ってか嫌です。
 
 そんな他愛もない事を黒いのと話していると、後ろから気配を感じた。
 誰かがこっちに来ている。
 相手も隠す気はない処、多分息抜きなんだと思うけど。

「<えー又喧嘩売られる?>」
「<同情されるかもな?>」

 それも嫌っちゃあ嫌なんだけど、まぁまだマシ?
 悩むところなんだけど。

 と、考えている内に気配は近づいてくる。
 というか、あれ? 私のいる所が目的地?
 え? このトピアリーって実は有名な庭師の作品とか?
 それとも此処って実は待ち合わせに最適だとか?
 別に奥まって無いし、周囲から見えるし、密会場所には相応しくないと思うんだけど。

 いやいや、真昼間から密会とか嫌すぎる。
 ……違うよね?

「<おちつけや>」
「<はっ!>」

 あ、はい。
 ……そうですね。
 と言うか焦る理由無かった。
 別に悪い事している訳でもないし、此処にいる事に問題はないんだから。

「<取り敢えず儚げ令嬢モードになるとして>」
「<モードってお前なぁ>」

 いやいや、既に仮面っていうよりもモードだからね?
 そうとでも思ってないとやってられません。

「(と、言うか誰が来ているんだ……かぁ?)」

 私はこっちに来た人を見て一瞬固まった。

 え? マジで?
 
「<何で!?>」

 私は混乱しきる頭を殴りつけて、その場でひざを折り頭を下げた。
 本来なら其処までしなくて良いのかもしれない。
 けど、しなきゃいけないかもしれない。
 彼は私がそう考えないといけない数少ない人の一人だった。
 肩から黒いのの重みが消える。
 目の端に黒いのが座っているのが見えた。
 どうやら私の隣に座っているらしい……影に戻っていても可笑しくないのに、そうやっていてくれる事に心強さを感じていた。
 
 正直、急な展開過ぎて頭が回りません。

「<どうして! 此処に王子様がいるのさぁ!>」
「<知るか!>」

 草を踏み分ける音が段々近くなってくる。
 気配の主――今回の主催者である第二王子様――の目的地は確実に此処だった。

 主催者がパーティー抜け出すなよ! と突っ込みたい。
 すっごい突っ込みたいけど、突っ込んじゃないけないのは分かっているから我慢するしかない。
 代わりに思ったのは、目的が何かと言う事だった。
 此処と言う場所が目的なら良い。
 私は場所を譲れば良い。
 ってかここは私の場所な訳じゃないから、一人になりたいなどと言いつつ離れれば問題はない。
 けど……けど目的が場所じゃないなら?
 面倒事の種と関わるのは出来れば勘弁してほしかった。

 自身の次の言動を決める暇もなく、王子様は私の前に来てしまった。

「――顔を上げろ。礼は必要無い」

 これを断るための理由が私には、無い。
 非礼にならない程度にゆっくりと顔を上げ立ち上がった。

 そう言えば、これが王子様と初めて対面する事になるのかな?
 出来ればそんな日来なければ良かったと、思うんだけどねぇ。
 家柄的にも年頃的にも無理なのは分かっているんだけど、ね。

「(まさかの一対一での対面とか……微妙だ)」

 ロアベーツィア=ケニーヒ=ディルアマート。
 ディルアマート王国の第二王子にして王位継承権第一位の王太子サマ。
 つまりまぁ次期国王様と言う事になる。
 ……少なくとも今後重大な失態を犯さない限り。

 確か『ゲーム』では結構な俺様で強引君だったはず。
 なんかひねくれてもいたような?
 元々キャラの性格は二の次だった身としてはあまり覚えていない所なんだけど。
 取り敢えず、プラチナブロンドの髪に金の眸の【光の愛し子】で結構な男前系になる……ご予定のお子様である。

「<顔立ちは嫌味な程整っているから、成長すればさぞかし男前になるんじゃないかな? どーでもいいけど>」
「<イケメンに対しての関心の薄さがひでぇ>」
「<顔が整っている事は良い事だと思うよ? ただ子供にキャーキャー云うとか無いって思うだけで>」
「<テメェも同世代の餓鬼だっての>」
「<それはそれです!>」

 そういう意味ではさっきの令嬢サマだって深く考える事じゃないのかもしれないけどさ?
 あれは無理だって。
 成長しても助長する事あれど改心するとか絶対無理だと思うし。
 アレと同類扱いとか本気で泣きたいってなると思うよ、誰でも。

 ミーハーな気持ちがゼロな訳じゃないけど、現時点ではそんなミーハー心よりも自分の心の安定を求めたい所である。

 それに第二王子に近づきたくない理由……というか見極めるべき懸案事項があるのだ。
 第二王子が渦中の人となるであろう理由と朧気に覚えているあんな性格になるかもしれない、影響力のある出来事、というか人がいる。
 かの人がどんな人なのか?
 それによって目の前の彼は私にとって積極的に近づく事を拒否する危険人物となるか、遠巻きに静観する危うきに近寄らずの相手となるのか、それが変わる。

 第二王子に多大な影響力を与える人物――彼の実母である正妃様が一体どんな人物なのか?

 その見極めがイコールで第二王子もこれからどう成長していくのかに繋がっていくと私は思っているのだ。

 はっきり言って現王妃様は噂多き人だった。
 良きモノも悪きモノもあるのは人としては仕方ない事なのだろ思うのだが、悪きモノの広まり方が問題だと私は考えている。
 人なんだから良きも悪きも噂されるのは仕方ない事だ。
 私のように悪きに重きが置かれる事は結構特殊事例だとしても、良き噂だけの人なんてそれこそ気持ち悪い。
 そういう人こそ裏で何をやっているのかと私なら疑ってしまう。
 王妃様はそういう意味では悪き噂も流れる、まぁ普通の人と言える。

 けれど、その悪きモノが密やかに、それこそ処断される事を恐怖するような密やかさで流れるのならば話は別だった。
 噂に興味のない人ならば悪き噂など知らないだろう、そんなレベルで密やかに広がっていく悪き噂。
 それは知られる事で何を恐れているのか?
 王妃様を慕う人間による処断か?
 それとも王妃自身からの処断か?
 どちらにしろ、噂程度で何を恐怖するのか。
 たかが噂でしかないというのに……そこまで恐怖する理由があるのか?

 だから私は王妃という人間がどういったモノなのか、見極めたいと思った。

 噂を知っているのか、知らないのか。
 知っているならば、何かしらの理由で放置しているのか?
 知らないならば、知った時、どう判断し動くのか?

 悪き噂の通りの愚かなのか、意図的に噂を放置し策を練る賢き人なのか。

 それを見極める事は目の前にいる王子がこれからどう育つのか、予測する指針になると思うのだ。  
 
 悪しき噂に真がある人物ならば、我が子である王子に対する教育も大分偏るだろうし、そんな王妃と取り巻きに教育された先がどんな性格か? なんて問うまでもない。
 どんなに親が悪辣でも子がマトモに育つ事だってあるにはある。
 けれど、王家や貴族の場合、難しいんじゃないかと私は思う。
 「親」だけが悪辣ならば抜け出す方法は沢山あるし、子供も又善悪を知る機会がある。
 けど「親」だけでは無かったら? 
 悪辣な親に賛同する大勢の人がいたら?
 同類が周囲を固めていたら?
 親に善悪を学び、様々な基礎を学ぶ子供が親の教えを「オカシイ」と思うだろうか?

 ――無理だと私は思う。

 悪循環から抜け出す機会は今後存在するのかもしれない。
 だけど周囲を同じ考えの人間で固められた傀儡の子供に抜け出す機会はそう多くはないだろう。
 それが抜け出すチャンスだと気付かない可能性だってある。

 結局、親の教えを教え込まれた子供は同じ思想に染まり、同じ思考を抱くようになるのではないだろうか?

 無意識下では自分の考え方が破綻していると気付きながらも、それしか知らない子供が『ゲームの第二王子』なのだしたら……。
 
「(しっくりは来るけど、それはあくまで『ゲームの彼等』だ。それはこの世界の彼等じゃない、だからこそ私は見極めたい)」

 現時点で子供である彼がどう育つかは分からないし、そもそも王妃様が「どっち」なのかは私には分からない。
 それを私が知るには情報が足りなすぎる。
 
「(だからもう少し情報を集めてから会いたかった)」

 突然の一対一は勘弁してほしい。

 さっきパーティーで見かけた王子様は疲れていたし、言っては何だが眼が死んでいた。
 そんな姿を見る限り、令嬢サマと同類ではないのだろうとは思うのだ。
 けど私が分かるのはそれだけだ。
 王子様がどんな性格なのか、どんな考えでもって行動しているのか。
 それを知る術は私には無い。 

「<当たり障りなく、臣下の礼をとってお茶を濁すしかないんだよねぇ、多分>」
「<出来るだけ興味を煽らないよーに、か?>」
「<そういう事>」

 臣下の礼を完璧に取る子供ってのもある意味目立つけど、まぁそっちの方が目立たないと思う。
 令嬢サマ程鮮烈な人間の方がよっぽど印象に残りそうだ。

「<ってかココで王子様と話していると、令嬢サマが来そうで怖いんですけど>」
「<うげぇ。……あの執着心だからな。無いと言えない所がこえぇー>」

 私もです。

 私はそんな内心を隠して、儚げ令嬢様モードのまま、微笑んだ。
 笑顔の一つも無いと、それはそれで印象に残りますもんね。
 流石に媚び売るのは難しいですけど、この程度なら、ま、許容範囲でしょ。

 というか、此処で私から話しかけるのもマズイ気が?
 確か、こういう時って家格が下の人間から話しかけるのってマナー違反じゃなかったっけ?
 あ、けどパーティーの際は挨拶には私から行かないといけないし、時と場合による?
 この場合、どっちだろうか?
 微妙な所だ。

 早々に切り上げたいし、観察される前にこの場を去りたい所なんだけど。
 一番最悪なのは、此処で一緒に会場に戻る事だった。
 それだけは避けたい。

 そんな事を考えていたから、多分僅かに顔を顰めていたんだろう。
 王子サマは最初私を観察していたようだったのに、急に噴き出して、そのまま笑いだしてしまった。

「<え? 失礼だよね、この王子サマ。一応淑女としての仮面は被ったままですけど?>」
「<仮面とか言っている時点で色々台無しだけどな>」

 黒いのの突っ込みは黙殺しつつ、笑い声まで聞こえる王子様の笑い方に、これもプライドたっかい令嬢だったら、激怒してこの場を去るレベルだよなぁと思った。
 幾ら麗しの王子様でも此処まで笑われると――しかも人の顔見て――プライドを傷つけられたと怒り出すと思う。
 あ? けど相手王子様だから、泣き寝入りが落ちか。
 それ分かってやってるなら、王子様も相当性格悪いけど。

 さて、一般的な反応はどっちかと悩んでいると、王子様も笑いが収まったらしい。
 涙をぬぐい――涙が出る程笑われたって事ですけどね――未だに笑いの残る顔でこちらを見る王子様。
 はいはい、笑っても涙流しても麗しいですよ、顔はね。
 好感度は今ので大分下がりましたけどね。
 欠片も出さずに困った風に微笑む私に王子様から話を切り出してきた。
 取り敢えずは私から切り出す必要が無くなったので良しとする。

「笑って悪かったな。最近無い反応だったんだ。新鮮だと言うのに、こんな事が新鮮に感じる自分が面白くてな」
「……そうですの」

 まぁ言い訳でも本音でも良いんですけどね。
 むしろ私はほぼ初対面に其処まで色々崩れている貴方の態度に不信感を抱きますが?

「貴方はラーズシュタイン家の者なのだろう?」
「ディルアマート王国、ラーズシュタイン家キースダーリエに御座います。殿下に置きましても「あぁ、良い。堅苦しい挨拶はさっきしたからな、もういらん」――かしこまりました」

 挨拶もぶった切られて、この場を辞するタイミングを外してしまった。
 このまま流れる様にこの場を離れる気だったのに。

 私は内心ため息をつくと、目の前の王子様を無礼に当たらない程度に観察する事にした。

 顔立ち云々はまぁどうでも良い。
 王家の人間らしく整っているとしか思わない。

 体格は良い方だろう。
 年頃的には何かを講師に教わっているはずだ。
 魔術的な素養は知らないけど、少なくとも武術的な指導はすでに受けている体つきをしている気がする。
 服の上だから確実ではないけど。
 
 目は……うん、さっきよりは死んで無いかな。
 金色の双眸は光を通すと透明に透いて、宝石のように煌くのだろう。
 プラチナブロンドの髪も金糸のように陽の光を受けて輝いている。
 まぁ美しい子供であり、陽の下で生きるべき子供、と思わず考えてしまう程度には陽に相応しい子供だった。

 さっきの死んだ目はともかくとして、快活に笑えば、さぞかし注目を浴び、人を鼓舞する笑みとなるだろう。
 
「(カリスマってこういう事いうのかもねぇ)」

 眩しい限りである。
 色とりどりではないけど、目に眩しいお人である。

「<トピアリーに視線を移したい。目が痛い>」
「<おい。気を付けねーと、今度はテメェの目が死んでるぞ>」

 儚げモードが崩れそうです。
 私は再び肩に乗ってきた黒いのを撫ぜる。
 あー口が悪いし態度も悪いけど、外見は子猫だし、アニマルセラピーになってる気がする。
 黒いの、その子猫らしさで私を癒して下さい。
 そんな私の仕草が珍しいのか、王子様の視線が私が撫ぜている黒いのに向いた。

「それは貴方の使い魔か?」
「そのようなモノです」
「そうか。貴方達を見ていると使い魔というのも良いモノに見えてくるな」
「勿体ないお言葉に御座います」

 正確にはギブアンドテイクの関係だけどね。

「――本当に珍しいな」

 このまま当たり障りなく済まそうと考えていると、突然王子様の雰囲気が変わった。
 何と言うかさっきよりもフランクになった、そんな気が?

「お前のような令嬢もいるんだな。……いや、こっちが「普通」か。ダメだな。感覚が狂ってる気がする。いや実際狂ってるんだろうな」

 おーじさま? なんかすごい不穏な事言ってません?
 そしてもしかしてもしかしてあの令嬢サマと比べました?
 あの令嬢サマと同類認定だけは心底勘弁して下さいますか?
 衝動的に令嬢サマをぶちのめしたくなるんで。
 元凶を断つ的な感覚で。

 内心色々な、物騒な思考が渦巻く中、王子様は何かに対して苦笑した。
 多分、自分の考えに、だと思うけど。
 これが私に対してだったら、失礼だし、更に好感度下がるだけですけどね?

「悪いな。最近身近にいる奴等が強烈だったからな。おかげで自分の中で基準がずれていたみたいだ。……普通を思い出させてくれてありがとな」
「勿体ないお言葉に御座います。ワタクシなどがお役に立てて嬉しゅう御座います」
「そこまでかたくなるな。ここには他に人はいないし、アイツもこねぇよ」
「……『善処いたします』」
「<それ、御断りの言葉だろーが>」

 黒いのの突っ込み通り「善処します」や「考えます」は「いいえ」だったりするのです。……私の中では、ね。
 まぁそれを王子様は知る術はない訳だけど、多分雰囲気で通じてると思う。
 今度は私に向かって苦笑してるし。

「アイツ等から逃げるためにここに来たんだが、悪くない選択だったみたいだな」
「(私にとっては困る選択肢なんですけどねー)」

 そんな事口が裂けても言えませんけど。

「あぁ、そうだ。お前に会えたら謝ろうと思っていたんだ。――悪かったな」
「……殿下に謝って頂く事など記憶に御座いませんが?」

 いや、無い事も無いけどね?
 半分強制の招待状とか、地味につるし上げ臭い今回の招待客の顔ぶれとか、令嬢サマの存在とか。
 けどまぁそのどれも何処まで第二王子様の意志が反映されているのかな? って疑問がある。
 
 例えば招待状一つとっても、王子様が全ての招待客を選んだわけでもないだろうし、相当強く要求しないと私に対して半強制的な代物なんて出せない。
 公爵令嬢と言う肩書はそういうモノなのだ。……パーティーに参加してからちょっと自信なくなってきたけど。
 我が儘を通せる年頃ではあるけど、通す事で侮られる年頃でもあるのだ。
 そこらへんの匙加減を教え込まれていないはずがない。
 帝王学とまではいかなくても、教育は始まっているはずだから。

 つまり今回の一連の出来事は王家の人間が何かしらの意図で開いた可能性が高いのだ。

 そこまで行きついてしまえば王子様に何を謝られれば良いのやら、という感じだ。

 後、令嬢サマに関しては純粋に被害者のような気がしてならないし。

 そこらへんの含みも合わせて答えると、王子様は此方の含みに気づいたらしい。
 少しばかり驚いた顔をしていたから確かだと思う。

 ……今更だけど、これって興味引いてない?
 出来れば積極的に関わり合いになりたい類じゃないんだけどなぁ。

 けど正直、何処まで偽れば良いのか悩むところなのだ。
 私は公爵令嬢だ。
 お父様は宰相だ。
 つまり愚かな真似はお父様の評判にも繋がる。
 此処で令嬢サマとまではいかなくても、それに近しい演技をする事は出来なくもない。
 我が儘お嬢様の演技など前にもしたから問題無く演ずる事が出来る。
 けど、そんな事をして愚かしい自分を晒し、お父様達を悲しませる事はしたくない。

 令嬢たる部分はキチンとしつつ、興味を引かないようにしなければいけない。
 ……それって難しいと思う。
 特に王子様のようにハードルが下がっている人を相手にする場合は。

 あと、純粋に同世代がどのレベルかが分からない。

 リアはあの年にしては様々な経験をしているし、黒いのは私と同郷だ。
 お兄様だって多分あの同世代の中では優秀なのだろう。
 そんな人に囲まれていると、基準が何処にあるか本気で分からない。
 境界線が引けなくて、やり過ぎている気がしてならない。
 その結果が目の前の興味を抱いてそうな王子様なのだとしたら……。

「<やり過ぎたと落ち込んでもいいですか?>」
「<意味ねーけどな。それでも良いならやれば?>」
「<意味無いのならやる意味ないんですけど>」

 諦めろって事ですね、分かりたくないです。

「アイツに関しては俺が謝るのも違うんだが、まぁ彼女を止めれない事には謝ってもいいだろう?」
「一応、受け取らせて頂きます。何方の事をおっしゃっているかは定かでは御座いませんが」
「ああ、それで良い。……あとは、まぁアレがああもデカい顔をしているのもある意味此方の勝手な事情だからな。その件での謝罪だな」

 そんな事だろうとは思っていました。
 彼女の家は公爵ではない。
 だと言うのに、あの態度。
 あまり頭の回転は速くなさそうだったけど、そういう事じゃなく根本的に貴族社会の階級意識が低すぎる。
 そうなった原因が彼女の家の教育だけにあるとはとてもじゃないけど思えない、とは思っていた。
 けどまさか王家が関わっていたとは。
 そんなに王子様方の同世代に女の子って少ないのかね?

 私の中で令嬢サマは王妃教育の失敗の結果と結論付けられていたりする。

「アレは王妃のお気に入りだ。アレを溺愛する理由なんぞ俺は知る気もないが、まぁ王妃の事だ。かi「殿下!」――」

 これはあまり良くないと私は咄嗟に王子様の言葉を遮る。
 言っている事もだけど、言っている時の表情が更によくない。
 まさかあんな顔をするとは思わなかった――あんな忌々しという表情を。

「言葉を遮った事は平にお詫び申し上げます。なれど、殿下。場所と相手を再考して頂きたく存じます」

 相手は王家の人間だ。けれどこんな開けた場所で、今日会ったばかりの私相手に言って良い事と悪い事がある。
 何処で誰が聞いているか分からない。
 私がそれを弱点とみなさないとは限らない。
 人となりなんてこの短期間で見抜ける訳がないのだから。

 幾ら王子様が王妃様に思う所があっても、言葉にするには場所も相手も最悪と言える。

「<ここで「王妃」ではなくて「母親」と称するなら、まだ此処まで強く止める必要無かったんだけど、ね>」
「<完全な人払いがされているとは思えねーしな>」

 そう、護衛の存在も無視できない。
 第二王子がどれだけ周囲に信頼されているのか、どれだけ人望があるかなんて私は知らない。
 そして護衛がいない可能性も低い。
 なら護衛が今の会話を聞いてどんな行動に出るか、私には予測できない。
 
 子供だから、そこまで気にする事は無い?
 それが出来たら、私じゃない。
 考えすぎと言われようとも、思考を止める事は恐怖でしかない。
 『わたし』である以上、これは絶対だった。

 さて、思いのほか強く止めてしまったけど、王子様の反応は?
 止めた事に後悔は無いけど、と思いつつ王子様を見ると、王子様は少し驚いた様子で、けどそれ以上に“何か”の感情を感じた。
 読みとれないのは私の力量不足か、王子様という人間を知らないが故の経験値不足か。
 どっちにしろ、私の言動を心底不愉快に思っている……ようには見えなかった。

「流石オーヴェの娘という訳、か。……いや、悪かった。こんな所で云う事では無かったな」

 出来れば「人」の方も考えて欲しいんですけどねぇ。
 そして王子様はお父様と個人的な好があるようだ。
 宰相と殿下というには気安い雰囲気を感じる。
 後、私に対する警戒心の低さの理由も分かって、少し安心である。

「<成程、成程。お父様と交流があるから、私に対しての気安さがあるのね。それなら納得だわ>」
「<個人的に気にられたんじゃなくてよかったなー?>」
「<本当にね!>」

 黒いののは嫌味かもしれないけど、実際他の理由の方が厄介だし勘弁してほしいです。
 特に私個人に興味を持たれるのは頂けない。
 ほんとーにそれは勘弁してほしいわ。

「差し出がましい口を挟みました」
「いや、貴方のは必要な事だ。ありがとう」

 そして段々此処から離れる口実が無くなっている気がするんですけどねぇ。
 後、王子様の口調が安定しないのも少し気になるんですけど。
 実はもっと口悪かったりします?
 丁寧では無いけど、聊かこの年頃にしては上品な口調の中に、微妙に年相応な口調が混じっているような?
 まぁ黒いの程崩れてはいないからなんとなく? 程度だけど。
 
 出来れば上品な口調だけでいいです、
 何と言うか崩れた部分が本来の姿っぽいし。
 
 そろそろ此処から離れたいなぁ。
 それなりに収穫もあった訳だし。

「先程の言葉は聞かなった事にしたいと思います」
「ああ。……まぁ城の人間なら誰でも知っている事だがな。俺と母上の事など」

 いや、ですからね!
 聞かない事にしますって言いましたよね!?
 「王妃」から「母上」になったからいいと言えば良いですけどね。

「領地で療養していたんだろう? だと言うのに母上が強引に招待状を出してしまったんだ。本当にすまなかった。体は大丈夫だろうか?」
「お気遣い感謝致します。領地での静養の御蔭かこうして参加出来るようになりましたから大丈夫に御座います」
「そうか。なら良かった。……俺と母上の事も悪かったな」
「そちらに関してましては、ワタクシは何も聞いておりませんし、口を挟むべき事ではないとワタクシは思いますので」

 本当に。
 王妃様と第二王子の事については後々調べる必要があるとは思うけど。
 現時点で二人の事は私が口を挟むべき事じゃない。
 確かに、両者共に王家の人間である以上、色々面倒な事が絡んでくるとは思うけどさ。
 現状、親子の関係が良くない……つまり家族関係の拗れって事でしょ?
 第三者が口を挟むともっと拗れる典型的なパターンじゃないかなぁ? それって。

 と半分以上本音で言ったんだけど、それも王子様には思いのほか新鮮だったらしい。
 興味らしき視線を向けられている気がするんですけど?
 
「それと無く聞き出してきたり、真っ正直に聞いてきたりしてきた輩は大勢いたが、はっきり線引きした奴は初めてだな」

 俺と母上の事を知っていても、知らなくても、な。
 大抵はどちらかの味方だと良き切欠として来るんだがなぁ。

 王子様、色々駄々洩れです。
 口に出てますよ?
 突っ込みませんけどね?
 突っ込んだら更に藪蛇っぽいですもんね?

「あ、後は聞かずに俺の味方だと擦り寄ってくる奴か。……どれにも当てはまってなさそうだが?」

 いや、あんまりじっと見ないでください。
 見ても考えは分かりませんし。
 それとも心の中を覗くスキルでも持っているんですか?
 だとしたら心閉ざしてしまいそうですけどね?

 美麗なお子様の真顔でじっと見られるのは、変に緊張するんですが?
 今からでもお聞きしましょうか?
 擦り寄る……のは無理ですけどね。
 と言うか公爵令嬢の私がやったらかなり洒落になりませんけどね?
 お互い自分の居る地位は明確にしておきましょうね。
 子供ではあるんですけど、ね。

 引きそうにない王子様に私は内心ため息をつくと、言葉を紡ぐ。
 そろそろ色々考えて云う言葉を選別するのが面倒になりました。
 ある程度本音を出してもいいですよね?

「再び差し出がましい事ではありますが……殿下が「母上」とおっしゃっている間は親子の間での問題ではないかと」
「ほぉ?」
「王家の方である以上、それだけとは当然いきませぬが、殿下と御母上の間に起こっているのなら、それは親子間問題。知りもしない第三者に出来る事は無いかと。……拗れる原因にはなり得そうですが」

 本当に差し出がましいし、色々猫剥げている気がするんだけどさ。
 けど此処で色々偽って、王子様が出逢った人を擬態して私にメリットがあるとは思えない。
 と言うか、此処までさらけ出した時点で、最悪、そんな風に装った事を指摘されて、どうにもならない可能性がある。
 なら小賢しい小娘の一人として認識された方が遠ざかれるかも、とふと思ったのだ。

 この年頃の子供、特に男の子はどっちかと言えば自分がリードしたいタイプが多いのだと思う。
 精神年齢的には女の子が成熟が早いし、小賢しい女を男はあまり快くは思わない。
 勿論全員が全員ではない。
 けど子供ならそういう側面を持っていても可笑しくはない。
 コイツ自分の言う事聞かないぞ? 的な感じでね。

 まぁ馬鹿で従順な女は男の幻想で目立ちたがりでおバカな男は女の幻想な気がするけどね。

 子供らしかぬ姿を見て不審を誘う可能性も充分にあるけど、お父様と個人的な交流があるなら大丈夫じゃないかと思う。

「(お父様もただ者じゃないからね)」

 変わり者の娘は変わり者と考えてもらえれば充分だ。

 と、そんな諸々を諦めて、方向転換した上での本音をぶちまけてみたんだけど……。
 さてさて王子様の反応はいかに?  

 お試しのような、ちょっと変わった心境で王子様を見た私は、自分の口にした事が失敗だった事が分かってしまったのだった。
 
「<おいおい。此処まで驚く事か? ってかコレ完全に素じゃねぇか?>」

 黒いのの突っ込みが脳内で聞こえてくる。
 けどそれに対して私が返事する余裕は無かった。

 王子様は驚いていた。
 そう、完全に無防備な姿を私に晒しているのだ。
 目を見開き、完全に固まっている。
 先程までの気安い部分をだしながらも何処か王族として接していた王子様の無防備極まりない姿。
 今日初対面である私ですらこれが素なのだときづいてしまう、そんな雰囲気と表情だった。

 失敗した、と咄嗟に思った。

 だって私と王子様は初対面だ。
 私にとって今後交流を持つ気持ちも無い相手だ。
 王子にとって私はお父様の娘である事と謝罪しなければいけない相手である、という関係だ。
 繋がりを持つ必要もない、むしろ交流を持てば持つ程柵が増える相手。
 そんな面倒な相手のはずだったのだ。

 此処を離れれば、それで御終い。
 
 それがお互いにとってベストであるはずだった。

 そう、こんな無防備な姿を見せられるような相手では決してない。
 こんな無防備な姿を晒させる程衝撃的な事を言ってしまう相手ではない。

 幾ら私にとって本音だとしても、これは決して言ってはいけない事だったんだ。

 自分の感覚がこの世界に置いては変わり種である事を自覚しているつもりだった。
 だと言うのに、私はそれでも甘く見ていたらしい。

 この年でこの言葉を言う事がこれだけ相手に驚きを齎すなんて!

「<考えすぎ、ならいいんだけど。これ、完全に失敗、よね?>」
「<だろーな。興味を持たせないのが目標なら失敗だ。此処まで素を引っ張り出しておいて、興味を引かないなんて事ありえねーよ>」
「<小賢しい小娘と認識される事は?>」
「<得体のしれないモンだと認識される可能性は否定できねぇけど……嫌悪が見えれば、だけどな>」

 未だに驚きから覚めていない王子様の眸には嫌悪の類は見えない、と思う。
 驚きの中に潜んでいる感情は読み取れないけど、好悪くらいは何となく分かる。
 理解が及んでないからこその、ならば問題無いけど。
 お父様との交流の深さも関係してくる気がする。

 オーヴェシュタインという人は相手が王族だからと言って無駄にへりくだる事はしない。
 研究者気質である錬金術師である事も理由の一つだけど、それ以上にお父様は王族が自らを律し役目をはたしているからこそ誠心誠意仕えているのであって、王族の血に敬意を持っている訳では無いのだ。
 
 お父様にとって貴き血筋という考え方はあまり馴染まない。
 だから血に誇る事もあまりない。
 
 そんなお父様にとって王子様はまだ何も成してはいない。
 将来性はともかくとして、其処まで遜り阿る相手では無いのだ。

 お父様のそんな側面を知っていれば、娘である私のこの態度も許容範囲に入ってしまうかもしれない。
 小賢しい小娘であると同時にお父様の娘である、と嫌悪が薄れてしまう可能性は充分にあるのだ。

「<完全にミスったな>」
「<まさか此処まで驚かれるなんて想定外なんだけどね>」

 一言も喋らない所、衝撃が大きい事を示してませんかね?
 ……勘弁してください。

 何を言っても追い打ちを掛けそうで何も言えない私は王子様の出方を見るしかなかった。
 ――もう何度目でしょうかね? こうやって相手の出方を見るのは。
 私の得意技をカウンターにするべきかもねぇ。
 いや、それだけ見通しが甘いだけかもしれないけど、ね。

 千歩先を見通せる人になりたい、と切実に思った今日この頃、である。


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