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7.向
410.舞う
「予備校でも勉強し始めたから、今回の期末試験は自信あるよ!」
優里ちゃんが拳を上げる。
「すご~い!」
永那ちゃんのお母さんが拍手して、優里ちゃんは鼻の穴を大きくした。
特に私が教える必要もなさそうで、暗記科目だけ問題を出し合った。
「穂ちゃんの出す問題はよく当たるからねー!」と言っていた。
永那ちゃんと千陽は相変わらずで、永那ちゃんは寝ているし、千陽は静かにひとりで勉強していた。
お母さんが卵焼きとサラダを作り、私が豚汁を作った。
サラダのドレッシングはお母さんの手作りだ。
「永那ってば、私にまだ包丁持たせてくれないの」
私が野菜を切る横で、お母さんが両手で頬杖をつく。
リストカットの痕を、つい見てしまう。
「そうなんですか」
なんて返事をすればいいかわからない…。
こういう時、優里ちゃんだったらどう答えるんだろう?なんて考えていたら、優里ちゃんが私の肩からひょこっと顔を出した。
「永那は結構厳しいから…。普段はあんななのに…」
ぷっとお母さんが笑う。
「私もよく、永那に叱られるんですよー!学校で」
「え~!永那って友達にも叱るの~!?」
「そうですよ!私が黒板消しをパタパタしようとして、窓を開けたら、“風向きが悪いからやるな”って!風向きって!!細かすぎ!!」
…それは、チョークの粉が優里ちゃんにかからないように、心配して言ってくれただけなんじゃないかな?
「結局機械で黒板消しを綺麗にしたんですけど、最近うちのクラスのクリーナーの調子が悪くて…めちゃくちゃ時間かかった…」
「それは大変だったね~」
お母さんが答えて、優里ちゃんが項垂れるように私の肩に頭を乗せる。
「穂ちゃん、私何かやることある?」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
「あ~良い匂い。早く食べたいな~」
優里ちゃんに優しく抱きしめられる。
ふいに、永那ちゃんとネットカフェに行ったことを思い出して、前髪を指で梳いた。
次、いつ出来るんだろう…?
試験最終日は卒業式の準備があって、永那ちゃんと一緒には過ごせない。
本来だったら、きっと、その日に出来たはずなのに…。
春休みに入ったら、出来るよね…?
たぶん、千陽と3人でする前に、2人で出来るはず…!
…な、なんでこんな時にこんなこと考えてるの!?私!
「穂ちゃん?どしたの?」
「う、ううん!なんでもない!」
それからあっという間に時間は過ぎて、試験日になった。
試験日は早く家に帰れるから、毎日3人が私の家に来てくれる。
なんだか、永那ちゃんが家に来るのが、久しぶりな気がした。
優里ちゃんの誕生日パーティ以来だから、約1ヶ月ぶり。
制服に着替えた時に私の部屋でキスはしたけど、エッチはしていない。
自分のベッドから他人の匂いがすることに、あんなに慣れなかったのに、気づけば永那ちゃんの匂いがしているのが当たり前になっていた。
安心感すら覚える。
でも、永那ちゃんが私のベッドで寝なくなって、もう2ヶ月以上…。
当然彼女の匂いは消えていた。
4人でラグに座って、ローテーブルで勉強を始める。
永那ちゃんはすぐに腕を枕にして寝ようとしたから、部屋に連れて行った。
彼女が私のベッドで寝てくれることが嬉しい。
久しぶりに見る光景。
彼女の髪を撫でると、手を掴まれた。
「穂…好き…」
「私も、永那ちゃん好き」
彼女が頷いて、目を閉じた。
…こんなに寝ていて、本当に大丈夫なのかな?
試験中に彼女の様子を見てみたけど、ずっと船を漕いでいるようだった。
遅刻する日も少しずつ増えている。
夜もちゃんと寝てるって言ってるし、どうしちゃったんだろう?
起こすのにも時間がかかる。
何度唇に触れても…キスをしても、なかなか彼女は起きなかった。
そんな日が毎日続いて、金曜日になった。
永那ちゃんに抱きしめられる。
教室で抱きしめられるのは、まだ慣れない。
「なんで穂、今日一緒に帰れないの?」
これは耳にタコが出来るほど聞かれている。
「明日、卒業式だから…」
「そんなの知ってるよ!」
耳元で大声を出されて、目を閉じた。
「日曜は千陽とデートでしょ?私とは全然してくれないのに」
「し、してくれないんじゃなくて、出来る日がないんだよ…。ほら、土日はお母さんが…」
「わかってるよ…」
何度か繰り返した会話。
「永那ちゃん、春休み、毎日一緒に過ごそう?」
「毎日?」
「そう。毎日」
「絶対、毎日?」
「絶対」
「うん…」
「あと、放課後、お散歩しよ?そのくらいだったら平気でしょ?」
「お散歩ね…」
「うん。嫌?」
「嫌じゃない」
「じゃあ、月曜日からそうしよう?」
「うん」
なんとか彼女を落ち着かせて、私は急いで生徒会室に向かった。
資料を纏めて、各々軍手を持って、生徒会のメンバー全員で体育館に向かう。
卒業式の準備は滞りなく行われた。
卒業式当日の朝に卒業生に配るためのお花のブローチも数をチェックした。
念のため、少し多めに作ってある。
チラリと日住君を見たけれど、金井さんと特別不仲になっている様子はなかった。
優里ちゃんが拳を上げる。
「すご~い!」
永那ちゃんのお母さんが拍手して、優里ちゃんは鼻の穴を大きくした。
特に私が教える必要もなさそうで、暗記科目だけ問題を出し合った。
「穂ちゃんの出す問題はよく当たるからねー!」と言っていた。
永那ちゃんと千陽は相変わらずで、永那ちゃんは寝ているし、千陽は静かにひとりで勉強していた。
お母さんが卵焼きとサラダを作り、私が豚汁を作った。
サラダのドレッシングはお母さんの手作りだ。
「永那ってば、私にまだ包丁持たせてくれないの」
私が野菜を切る横で、お母さんが両手で頬杖をつく。
リストカットの痕を、つい見てしまう。
「そうなんですか」
なんて返事をすればいいかわからない…。
こういう時、優里ちゃんだったらどう答えるんだろう?なんて考えていたら、優里ちゃんが私の肩からひょこっと顔を出した。
「永那は結構厳しいから…。普段はあんななのに…」
ぷっとお母さんが笑う。
「私もよく、永那に叱られるんですよー!学校で」
「え~!永那って友達にも叱るの~!?」
「そうですよ!私が黒板消しをパタパタしようとして、窓を開けたら、“風向きが悪いからやるな”って!風向きって!!細かすぎ!!」
…それは、チョークの粉が優里ちゃんにかからないように、心配して言ってくれただけなんじゃないかな?
「結局機械で黒板消しを綺麗にしたんですけど、最近うちのクラスのクリーナーの調子が悪くて…めちゃくちゃ時間かかった…」
「それは大変だったね~」
お母さんが答えて、優里ちゃんが項垂れるように私の肩に頭を乗せる。
「穂ちゃん、私何かやることある?」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
「あ~良い匂い。早く食べたいな~」
優里ちゃんに優しく抱きしめられる。
ふいに、永那ちゃんとネットカフェに行ったことを思い出して、前髪を指で梳いた。
次、いつ出来るんだろう…?
試験最終日は卒業式の準備があって、永那ちゃんと一緒には過ごせない。
本来だったら、きっと、その日に出来たはずなのに…。
春休みに入ったら、出来るよね…?
たぶん、千陽と3人でする前に、2人で出来るはず…!
…な、なんでこんな時にこんなこと考えてるの!?私!
「穂ちゃん?どしたの?」
「う、ううん!なんでもない!」
それからあっという間に時間は過ぎて、試験日になった。
試験日は早く家に帰れるから、毎日3人が私の家に来てくれる。
なんだか、永那ちゃんが家に来るのが、久しぶりな気がした。
優里ちゃんの誕生日パーティ以来だから、約1ヶ月ぶり。
制服に着替えた時に私の部屋でキスはしたけど、エッチはしていない。
自分のベッドから他人の匂いがすることに、あんなに慣れなかったのに、気づけば永那ちゃんの匂いがしているのが当たり前になっていた。
安心感すら覚える。
でも、永那ちゃんが私のベッドで寝なくなって、もう2ヶ月以上…。
当然彼女の匂いは消えていた。
4人でラグに座って、ローテーブルで勉強を始める。
永那ちゃんはすぐに腕を枕にして寝ようとしたから、部屋に連れて行った。
彼女が私のベッドで寝てくれることが嬉しい。
久しぶりに見る光景。
彼女の髪を撫でると、手を掴まれた。
「穂…好き…」
「私も、永那ちゃん好き」
彼女が頷いて、目を閉じた。
…こんなに寝ていて、本当に大丈夫なのかな?
試験中に彼女の様子を見てみたけど、ずっと船を漕いでいるようだった。
遅刻する日も少しずつ増えている。
夜もちゃんと寝てるって言ってるし、どうしちゃったんだろう?
起こすのにも時間がかかる。
何度唇に触れても…キスをしても、なかなか彼女は起きなかった。
そんな日が毎日続いて、金曜日になった。
永那ちゃんに抱きしめられる。
教室で抱きしめられるのは、まだ慣れない。
「なんで穂、今日一緒に帰れないの?」
これは耳にタコが出来るほど聞かれている。
「明日、卒業式だから…」
「そんなの知ってるよ!」
耳元で大声を出されて、目を閉じた。
「日曜は千陽とデートでしょ?私とは全然してくれないのに」
「し、してくれないんじゃなくて、出来る日がないんだよ…。ほら、土日はお母さんが…」
「わかってるよ…」
何度か繰り返した会話。
「永那ちゃん、春休み、毎日一緒に過ごそう?」
「毎日?」
「そう。毎日」
「絶対、毎日?」
「絶対」
「うん…」
「あと、放課後、お散歩しよ?そのくらいだったら平気でしょ?」
「お散歩ね…」
「うん。嫌?」
「嫌じゃない」
「じゃあ、月曜日からそうしよう?」
「うん」
なんとか彼女を落ち着かせて、私は急いで生徒会室に向かった。
資料を纏めて、各々軍手を持って、生徒会のメンバー全員で体育館に向かう。
卒業式の準備は滞りなく行われた。
卒業式当日の朝に卒業生に配るためのお花のブローチも数をチェックした。
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