没落貴族の愛され方

シオ

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 ベッドに横になった時、既に心臓は張り裂けそうなほどにドキドキとしていた。鼓動が早すぎて、壊れてしまったみたいだ。俺をベッドに縫い付けるのは、ラーフの手。俺の上にはラーフがいる。ゆっくりと降りてきた唇を受け入れて、キスをした。口の角度を変えて、貪るように繰り返す。

 ふいに、ラーフの手が俺の尻たぶに触れた。びくりとして、体が震える。敏感になりすぎていて、体中が痛かった。揉みしだかれて、だんだんとラーフの手が俺の後孔に近付いて行った。

「セナ……、ここで俺を受け入れるんだよ」

 さわさわと、人に触れられたことのない場所を撫でられる。随分と狭い場所なのに、あんなに太いラーフのものが入るのだろうか。

「入る……かな」
「大丈夫、俺がゆっくり解すから」

 そう言って、ラーフは俺の体を一度離すと、俺をベッドの上で四つん這いにさせた。それも、尻を高く上げるような格好にだ。ラーフが俺の局部を眺めている。恥ずかしくて堪らない。

「何も怖くないから、俺に任せて」

 頷くことしか出来なかった。顔の下にクッションを置いて、クッションに顔を埋める。何をされるのか分からなくて怖いのに、それが妙な興奮を呼んでいる。直後、後孔に濡れた感覚とざらりとした感触が。

「……っ! ラ、ラーフ……!!」

 信じられなかった。ラーフが俺の後孔を舐めているのだ。逃げようにも、ラーフに腰をしっかりと掴まれていて、身動きが取れない。

「ラーフ……っ、そんなとこ、きたない……!」
「汚くないよ。さっき一緒にシャワー浴びただろう? 全身綺麗だよ」
「でも、でも……!!」
「大丈夫だよ」

 俺の反論はラーフには届かない。ラーフの舌先は、ぺろぺろと俺の後孔を舐めていたと思ったら、どんどんと中に入ってくる。舌先を尖らせて孔を執拗に責めた。

「あっ……やぁ、やっ……ラーフ、ラーフ……っ」
「すごいね、セナ。ここがパクパク動いて、俺の舌先を掴んでたよ。気持ち良かった?」
「わ、わかんな……っ!」

 言葉の最後は発せなかった。今まで舐められていた場所に、何か液体が垂らされて驚いてしまったのだ。一体どこから取り出したのか、それとも移動魔法を使ったのか、ラーフは見知らぬボトルを持ってそれの中の粘性の高い液体を俺の孔に垂らしていた。

「なに、なにするの、ラーフ」
「大丈夫。絶対にセナが嫌なことはしないから。今から、俺の指を入れて行くね」
「指!? 指なんて、入るわけないよっ」
「入るよ。指が入らないなら、俺のなんて絶対に入らないよ」

 ラーフは笑っていた。ちらりと後を見れば、裸のラーフがいて、ラーフのものはすでに高く立ち上がっている。確かに、あんなものを入れようとしているなら、指なんて軽い方だ。ラーフの指先が孔を擦るように、孔に沿って円を描く。くすぐったい。口からは不思議なことに喘ぐような声が出ていた。

「少しずつ入れるね。いい?」
「……うん、……はぁ……っ、ぅんっ!」

 ラーフの指が、ゆっくりと入ってくる。抜き差しを繰り返しつつ、どんどんと奥へ。挿入感に堪え切れず、体が拒んで腹に力が入る。

「セナ、俺の指を食いちぎっちゃうよ。もう少し力を抜いて」
「むりっ、むり、ぬけない……っ」
「大丈夫、抜けるよ」

 ラーフの片手が俺の背中を撫でる。くすぐったくて、力が抜けた。背中を腰を優しい手つきで愛撫されているうちに、ラーフの指が奥まで入ってくる。けれど、気持ち良くは無い。これで快感を得ることはなかった。

「セナ、指を増やすね」

 そう言って、二本の指が俺の中に入ってきた。その時、ラーフが俺のものを掴んで上下に扱きだす。温かい手に扱かれて、すぐに俺の手は固くなった。気持ち良すぎて、指が挿入されていることを忘れる。

「あっ、あっ、あぁ……っ!」

 声が漏れ続けていた。俺のものを扱くラーフの手と同調して声が漏れる。気付いた時には、指が三本に増やされていて、確かに俺の後孔はラーフの手によって広く開かれていた。苦しい。苦しいけど、それと同時にとても気持ちい。それは扱かれているからなのか、後孔が快感を齎しているのか。俺にはもう判断がつかない。

「セナ……っ、ごめん、もっと解してあげたいけどっ、もう俺っ」
「いいよ、ラーフ……いいから、早く、もう頭がおかしくなりそう」

 与えられる快感が強すぎて、意識が飛びそうだった。そんなときに、ラーフが俺の中から指を抜いて、何かを孔に押し当てた。そして、ぐぐっとそれを押込む。

「……っ!! ……は、ぁっ!! あっ、あぁっ!」
「セナ、セナっ」

 ラーフのものは、指より太くて指より長かった。苦しくて苦しくてたまらないのに、ラーフに犯されているという現実が何よりも俺を興奮させた。ぽたぽたと俺のものから垂れているものがある。それごと、ラーフの手が俺のものを掴んで強く扱いた。膝から崩れて行きそうになるのを、ラーフの片手が支えて、俺の体は揺れる。ラーフが抜き差しを繰り返すたびに、パンパン、と肌がぶつかる音がした。

「セナ……っ、セナ、セナっ!! もう、もういきそうだっ」
「……っ!! ラーフ……っ!」

 ラーフがそう叫んだ直後に、俺の中に熱いものが放たれた。俺の中に、ラーフの精が出されたのだ。腹が熱い。ずるり、と抜かれる瞬間にも声が出てしまう。後孔が熱い。二人でベッドに倒れ込むように横になった。俺の中からどろりとしたものが出てくる。

「……ラーフのが、出てる」
「ごめん。いきなり中で出しちゃって」
「いいよ」

 中で出さない場合、どうやってするのかを良く知らない。魔法使いの男女であれば、中に出して受精核を作るのだ。魔法使いの子作りは、互いの魔力を体内で交わらせることで達成できる。だが、俺たちは男だから子供は出来ない。

「……俺が女の子なら赤ちゃんが出来てたね」

 そうやって言うと、ラーフは息を一瞬詰まらせた。

「なんでそういう可愛いこと言うの」
「可愛いのか? 今の言葉」
「十分可愛いよ。……セナが男で良かった」
「なんで?」

 女であれば良かったのに、と思うことは多々あれど、男で良かったなどと思うことは悲しいことに少なかったのだ。その意味を問う。

「女の子だったら、セナの腹が休まらなかったよ。それに、妊娠中は抱けないなんて辛すぎる」

 耳元でこっそりと囁かれ言葉に。俺は体の奥底がきゅうっと苦しくなるのを感じた。ラーフの両頬に俺の両手をそれぞれつけて、少し引き寄せてからキスをした。

「……もう今夜はしないのか?」
「していいの?」
「いいよ。……でも、ラーフの顔が見れないのは嫌だ」
「じゃあ、違う体位にしよう」

 そう言って、ラーフは俺を仰向けに寝かせると、腰の下にクッションを入れた。高く掲げられた腰。それを掴んで、未だに硬さを保っているラーフのものを俺の後孔に当てた。中にはラーフが放ったものに満ちていて、ぬるぬるしている。そのぬめりを利用して、先程よりも楽にラーフは俺の中に入ってきた。

「セナの中、あったかい」
「……んっ、ラーフ、早く動いて」

 ずっと同じ場所にいられると、少し苦しい。ラーフに動きを求めれば、ラーフは俺の腰を掴んで前後に動かしたり、己のものを前後に抜き差しをした。

「あっ、あっ、らーふっ! あ、あぁっ!!」

 いやらしい水音が響く。これが、自分の体が発している音だなんて信じたくない。けれど、事実、この音は俺の後孔から聞こえた。体が揺さぶられるのにも少しずつ慣れてきた頃、ラーフは俺の上半身に近付いて、俺の胸を舐めはじめた。

「えっ、らーふ、なんで、そんなとこ……っ」
「ずっとこうしたかった。ずっと、セナの胸を舐めたかったんだよ」

 俺の最奥を貫きながら、ラーフはそんなことを言う。舌先で胸の先端を強く押したり、胸全体を甘く噛んだり。もう片方の胸にも同じことを繰り返した。特に、胸の先端を強く押されるのは背中にぞわぞわとしたものが駆け抜けて、俺自身が痛いくらいに膨張した。

「セナ、可愛い、胸が立ってきてる」
「やだ、やらぁっ、らーふ、そこばっかりやめてっ」
「痛くないだろう? セナ、気持ち良いことをしてるんだよ」
「痛くない、けどっ、でも、変な感じになる……、ひぅっ!」

 強く奥を貫きながら、腫れ上がった俺のものをラーフが手で扱く。そして口では俺の胸を蹂躙して、俺はもう何もかもに敏感に反応してしまった。腹を撫でられるだけでも苦しい。

「らーふっ! もう、いきたいっ、あっ、あっ、ああんっ」
「いいよ、セナッ」

 ズン、と深い部分を抉られた瞬間に、全てが頂点に達した。俺のものかはら白濁した液体が飛び散って、ラーフの顔を汚す。出続ける液体に自分でも驚く。体が壊れてしまったかのように、痙攣していた。

「セナ、……セナ、大丈夫?」

 ラーフの手が、俺の頬に当てられて、優しい目が俺を見ていた。ゆっくりと頷くと、ラーフが少し微笑む。

「急に、色々しすぎてごめん」
「……いいよ、ラーフはずっと我慢してくれてたから」
「ありがとう。俺、本当に幸せだよ。セナとこんなことが出来るなんて、夢みたいだ」

 感激しているラーフだが、また彼のものは立ち上がっていた。俺はすっきりしたけれど、ラーフはまだ足りていないようだ。

「……ラーフ、ラーフが辛そうだよ」
「俺はいいんだよ。自分でなんとか出来るから」
「そんなの、俺は嫌だ。……もう体力も残ってないけど、ラーフを気持ちよくさせたいよ」

 ラーフに向かって手を伸ばせば、その手を握って抱き寄せてくる。寝そべっていた体が起こされて、ラーフの腕の中に倒れ込んだ。

「じゃあ、もう一回だけ付き合ってくれる?」
「何度でも付き合うよ」

 本当はもう体中が痛くて、くたくたで、眠たくて、意識も朦朧としているが、ラーフが嬉しそうに笑ってくれるのが何よりも幸せで、俺はラーフのためならどんなことでも頑張れるような気持になったのだ。
 ラーフが近づいてきて、口付けをくれる。口と口が深く噛みあって、温かいものが自分の体に流れ込んでくることに気付いた。

「……魔力をくれてるんだね」
「下からだって、たくさんあげたよ」
「白っぽい液体でもらうより、俺はキスでもらった方が元気になるみたい」

 事実、この方法の方が上手く体に魔力が入ってくる。少しばかり力が戻ってきた。だが、体が痛いのは痛いままだ。

「あと三回くらいは俺出来そう」
「……俺がもたない。それに、そんなに焦らなくたって、もういいだろ」
「え?」
「これからずっと、俺のこと……抱けるんだからさ」

 恥ずかしくて、少し俯く。ラーフが強い力で俺を抱きしめる。互いに、体中が汚れている。精液、汗、唾液。そんなもので、体はどろどろとしていた。けれど、そんなことが気にならないくらいに、幸せな抱擁だったのだ。

「そうだね、その通りだ。これからもよろしくね、誰よりも愛しているよ、セナ」
「……俺もだよ」

 こうして俺は、ラーフに溺愛されているのだという自覚を持った。


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