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一万円の行方
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それから明音と海音は、毎週1回のストリートライブを一緒に行うようになったが、明音は最近母の様子がいつもと違うことに気づいた。
たまに海音に出してくれるご飯はいつもと変わらないのだが、どうも態度がおかしい。
どこか他人行儀というか、学生時代に『実は苦手だけれど同じグループにいる子と、偽物の笑顔で笑い合っている』ような。
「明音」
母が部屋に入ってきて、なにか言いにくそうにしている。
「何?」
「海音君と、あまり深く付き合わない方がいいと思う」
突然何を言い出すのだろう。今まで普通に夕飯を作ってくれたりしていたのに、そんなことを言い出す母が明音には理解ができなかった。
しかし、最近様子が違ったことには気づいていた。きっと母は何か知っているのかもしれない。
「どうして?」
何か嫌な答えが返ってきそうな気はしていた。母はそれを裏切らなかった。
「明音、一万円足りないって言ってたの、海音君が盗ったんじゃないかと思うのよ」
「え……?」
明音は今まで生きてきて、人のものを盗むような人と出会ったことがない。そんなことをする人が本当にいるなんて、信じられなかった。
「どうしてそう思うの?」
「……なんとなくよ」
母親の勘というものだろうか。例えそれが正しかったとしても、明音は信じたくなかった。
もしそれが本当だったら、明音は自分のお金で買われたギターに糠喜びしていたということになる。
もしそれが本当だとしても、どうやって海音に確かめればいいのだろう。明音は、どうすることが一番いいのか、としばらく思い悩んだ。
もしそれが本当だったら、海音がやったことは犯罪だ。犯罪を犯すような人とこの先一緒に生活することは、いくら海音のことが好きだとしても嫌だった。それとこれとは別だ。
愛して結婚した人が犯罪を犯してしまったのなら、罪を一緒に償い、自分だけは味方でありたいと思う。しかし、犯罪を犯してしまった人をこれから愛することは、まだ若い明音にはできなかった。
明音と海音はまだ結婚していない。まだ間に合う。今後も同じようなことを繰り返されるのなら、このまま付き合っていたくないと思った。
しかし、明音にも一応自分の意思というものがある。母に言われたからそれに従うだなんて、そんなにまっすぐな娘ではない。
──どっちにしろ、海音に確認しなきゃ。話はそれからだ。
明音は、次に海音が家に来る日を待って、一万円の行方を確かめることにした。明音の家でなくても確かめることはできたが、味方が誰もいない状況下でそれをする勇気が、明音にはなかったのだ。
たまに海音に出してくれるご飯はいつもと変わらないのだが、どうも態度がおかしい。
どこか他人行儀というか、学生時代に『実は苦手だけれど同じグループにいる子と、偽物の笑顔で笑い合っている』ような。
「明音」
母が部屋に入ってきて、なにか言いにくそうにしている。
「何?」
「海音君と、あまり深く付き合わない方がいいと思う」
突然何を言い出すのだろう。今まで普通に夕飯を作ってくれたりしていたのに、そんなことを言い出す母が明音には理解ができなかった。
しかし、最近様子が違ったことには気づいていた。きっと母は何か知っているのかもしれない。
「どうして?」
何か嫌な答えが返ってきそうな気はしていた。母はそれを裏切らなかった。
「明音、一万円足りないって言ってたの、海音君が盗ったんじゃないかと思うのよ」
「え……?」
明音は今まで生きてきて、人のものを盗むような人と出会ったことがない。そんなことをする人が本当にいるなんて、信じられなかった。
「どうしてそう思うの?」
「……なんとなくよ」
母親の勘というものだろうか。例えそれが正しかったとしても、明音は信じたくなかった。
もしそれが本当だったら、明音は自分のお金で買われたギターに糠喜びしていたということになる。
もしそれが本当だとしても、どうやって海音に確かめればいいのだろう。明音は、どうすることが一番いいのか、としばらく思い悩んだ。
もしそれが本当だったら、海音がやったことは犯罪だ。犯罪を犯すような人とこの先一緒に生活することは、いくら海音のことが好きだとしても嫌だった。それとこれとは別だ。
愛して結婚した人が犯罪を犯してしまったのなら、罪を一緒に償い、自分だけは味方でありたいと思う。しかし、犯罪を犯してしまった人をこれから愛することは、まだ若い明音にはできなかった。
明音と海音はまだ結婚していない。まだ間に合う。今後も同じようなことを繰り返されるのなら、このまま付き合っていたくないと思った。
しかし、明音にも一応自分の意思というものがある。母に言われたからそれに従うだなんて、そんなにまっすぐな娘ではない。
──どっちにしろ、海音に確認しなきゃ。話はそれからだ。
明音は、次に海音が家に来る日を待って、一万円の行方を確かめることにした。明音の家でなくても確かめることはできたが、味方が誰もいない状況下でそれをする勇気が、明音にはなかったのだ。
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